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『ロミオとジュリエット』、シェークスピアとの比較を中心に

   「よく待ってたな、お前」

   「だって私たち、ロミオとジュリエットじゃな~いもん♪」

   

         ☆          ☆          ☆ 

シェークスピアのロミジュリと、『たったひとつの恋』と、事件ものの二時間ドラマ

を足して3で割ったみたいなこのドラマ。ちょっとだけ見ようと思ってたのに、つい

つい最後まで流し見してしまった。面白い♪ 素晴らしいとは思わないし、大して

マジメにも見てないけど、良質な娯楽作品って感じ。見終わった後も心地よかった。

別に甘ったるいフニャフニャ喋りに萌えたからではなく、美形のタッキーにイケナ

イ気持ちを抱いたからでもなく、純粋に爽快だった☆

       

その爽快さを象徴する台詞が、冒頭に引用しておいた、ドラマのラストのやり取

りだ。『ロミオとジュリエット~すれちがい~』ってタイトルなのに、最後にヒロイン

がタイトルそのものを否定。仲良く手をつないで、銀杏並木をずっと歩きながら

のエンディング。秋ドラマの『僕の歩く道』のエンディング、自転車の並走を徒歩

に変えたもので、全く型通りの映像なんだけど、キレイだったし、最後の台詞に

ヒネリが効いてて良かった。脚本・井上由美子音楽・菅野祐悟演出・大谷太

、その他のスタッフ&キャストに笑顔で拍手だ☆ 特に、井上の脚本は、まと

まりの良さって観点だけなら、ひと恋の北川悦吏子より上手かったと思う。ほと

んど教科書的な構成だ。

          

と言う訳で、全く予想外だけど、ちょっと記事を書いてみたくなった。ホントは、今

までみたいにたっぷり時間をかけて本格的なレビューを書きたい所。それだけの

ネタは含まれてるドラマだ。でも、今そんな時間はない。そもそも、先日の「ブロ

グ3割引宣言!」に書いたように、ブログやドラマにかけるパワーを大幅に減らす

ことを決めたばかりだ。だから、ここでは軽~い記事で済ませとこう。ただし、多

少はウチらしいマニアックさも織り交ぜとく♪

     

          ☆          ☆          ☆

ロミジュリとの関連は後回しにして、ひと恋との関連を見て取った人も大勢いる

だろう。日テレの土曜9時、アイドルの恋愛ドラマ。金持ちで純朴でトボけた女子

大生と、貧乏で一見無愛想で実は優しい肉体労働者。二人のやり取り、トラック、

講義風景、キャンディー、「マンションの30階」、などなど。

亀梨和也の代わりに滝沢秀明綾瀬はるかの代わりに長澤まさみを使ってるも

のの、見てる途中で何度もアユタ(平岡祐太)ユウコ(戸田恵梨香)コウ(田

中聖)を探してしまった。そう言えば、まとめ記事を書くかもとか言って、書いてな

いよな。『白夜行』もだけどネ。。^^;

         

と、ここまで書いてもう朝だ。ひと恋や『華麗なる一族』なら、ここから昼頃まで徹

夜してでも延々書き続けてたんだけど、それはもうやらないから、あわてて簡単

にシェークスピアに触れておしまいにしよう。おそらく、原文を引用するブロガー

は少ないと思うから、ウチらしいマニアックさを出しやすい。ま、ひと恋でナオ先

生が黒板に書いた英語を読解したのに比べれば、かなり平凡な作業だけどネ。

エッ?と意表を突かれた方は、ウチのひと恋記事の9話10話を参照あれ♪

      

シェークスピアの原文に関しては、著作権に配慮する必要もないことだし、出典

はあげない。いくつかのヴァージョンがあるらしいけど、検索してすぐ出てくる原

文サイトの英語を利用させて頂いた。もちろん、ドラマと一致してることは確認済。

    

まず、竹中直人英語の授業第一幕・第五場で、ロミオがジュリエットに一目

惚れする時の台詞。

   What lady is that,which doth enrich the hand

   Of yonder knight?

   I know not,sir. 

   O,she doth teach the torches to burn bright!

英語とのつながりが分かるよう、あえて直訳するなら、

   あれは何という女性だね、向こうの騎士の手を取って輝かせてるのは?

   分かりません。

   あぁ、彼女はたいまつに、輝いて燃えることを教えてるようだ!

     

この直訳からも分かることだけど、実は英語の直後に「真ん中の、一番愚かな

ジュリエット」(=樹里)が訳したのは、この英語じゃなかった。その後に続く部分

を、かなり省略した形で台詞にしてたのが、「まるで、夜の闇に輝く宝石のように

キレイだ。まるで、カラスの群れに対する、白いハトのように気高い」なのだ。

これが脚本上の工夫なのか編集の結果なのかは分からないけど、竹中は「場

所が違う!」と突っ込んで廊下に立たせても良かったはず♪ 演出的にも十分

アリだったと思うけどネ。。

    

続いて、樹里が置き忘れた英語の本を広道が窓辺で読むシーン。ここは聞き取

りにくかったけど、本の映像を手がかりに解読できた。第二幕・第二場、一番有

名な、二階の窓のジュリエットと庭のロミオとの会話の部分で、広道はジュリエット

の言葉を一単語ずつ読んでいた。

   O Romeo,Romeo!wherefore art thou Romeo?

   

これは直訳って言うより、現代英語に直せばいい。後半は

   why are you Romeo?

と言ってるわけだ。つまり、なぜ私のウチ(キャピュレット家)と敵対する家(モ

ンタギュー家)の方なの?、とジュリエットが運命を嘆いてダダをこねてるわけ。

だから、広道もジュリエットのように窓際にいたわけだ。

そしてこの部分は、ドラマのしばらく後の、講義でも使われてたし、さらにマン

ションの2階と下との会話でも使われていた。

    

そのマンションの2階と下の会話も適度なヒネリが入ってて良かった。元のロミ

ジュリでは、名前を捨てる=家を捨てる=生まれ変わるって話になって、そこに

は死の暗示も入ってるんだけど、広道&樹里は違ってた。

     

   「いやだなぁ、それ。大した名前じゃないけど、生まれ変わりたくない」

   「私も。今のまんまの広道がいい」

        

もちろん、これだけ見ると全くありふれた台詞だ。でも、ロミジュリとの微妙な

違いをハッキリ分かりやすく打ち出してる点で評価できる。こことラストの台詞

の二箇所が、現代版ロミジュリの明確な自己主張だった。

     

最後に、樹里が話してたロミジュリの要約について。その日のうちに好きになっ

て、2日目にキスして、3日目に駆け落ちして、その後について広道がたずねた。

すると樹里は、両方の家から追っ手が来たからジュリエットが眠り薬を飲んで欺

こうとしたって感じの説明をした。これは、間違いとまでは言わないけど、かなり

の「超訳」で(死語?)、まるで両家だけが悪いかのように聞こえてしまう。

実は、ロミオがジュリエット家側の人間を殺してしまって、それが公になったので、

半ば自業自得で逃げ回るハメになったのだ。

だからむしろ、ドラマの山下真司の方がマシなのだ。彼はホントは殺してないって

話だったから。

       

もう一つ、このシーンに関連して、マニアックな解説をしとこう。樹里がビンから

キャンディーを取って広道にアーンとなめさせるシーンが何度かあったし、キャ

ンディーや銀杏の葉のビンが度々映ってた。キャンディーへのこだわりっていう

は、ひと恋の引用だろうと思う。でも、ここで注目したいのはむしろビンだ。

    

これは実は、ロミジュリの毒薬のイメージなのだ。ジュリエットが飲んだのは眠り

薬と言うより液体の仮死薬。死んだような状態だったからこそ、ロミオが勘違い

して、自分も液体の毒薬を飲んで自殺したわけだ。当然、それらが入っていた

のはビン。そのことが分かってると、このドラマの評価は上がると思う。フツー

に見ると悲劇の出来損ない。ひと恋が「悲劇を装ったコメディ」なら、これは「悲

劇を装えなかったコメディ」だけど、ちゃんと悲劇の香りは漂わせていたってこと。

    

録画してる方は、ぜひとも雨のシーンを見直してみて欲しい。すると、映像の意

識やテクニックが分かるだろう。非常に暗いムードの中、毒薬の話になった途

端に、樹里の顔を隠すかのように2つのビンがせり上がる。そのあと、今度は

つなぎ合わせた二人の手とビンが重なる。おまけに、フロントガラスを流れる雨

とビンも重なってる。

     

ここはまさに、液体の毒薬のイメージを、視聴者の無意識へと流し込んでいた

テクニカルな部分。その上手さと細かさに拍手喝采するべきところだったのだ。

こことか、ひと恋の板書とか、折角スタッフが細かいワザを織り込んでくれてる

のだから、視聴者側も、やはりそれを味わって評価したいものだ。。

     

          ☆           ☆           ☆

ほんの軽い記事にするはずだったのに、書き始めたのが遅かったから、完全

に夜が明けてしまった。中途半端だけど、もう無理はしない。ここでアッサリ止め

よう。ホントなら、タッキー&松嶋菜々子の『魔女の条件』なんてのも参照しなが

らガンガン喋りまくりたいところだけどな。。

    

ま、昔からのウチの読者は物足りないかも知れないけど、心配しなくてもいずれ

また超マニアックな記事をアップするからお楽しみに!

エッ、これで十分? 何、ここまで読んだ人がいない? あっ、そう♪

どうでもいいけど、タッキーも「あっ、そう♪」って言ってたのがちょっと嬉しかった ^^

それでは。。☆彡

   

P.S.シェークスピアと書くべきか、シェイクスピアと書くべきか、それが問題だ♪

    エンドロールに出てた福田恆存(ツネアリ)訳・新潮社も、私が参照した

    中野好夫訳・新潮文庫も、シェイクスピア。Yahoo!検索もシェイクの優

    勢だけど、一般的には話す時も書く時もシェークの方が多いと思う。。

    

P.S.2 どうせなら、ひと恋のオレンジのイガイガも出して欲しかったな♪

   

P.S.3 教訓1.拾ったテキストは学校に届けよう♪

      教訓2.りんごのウサちゃんカットを覚えとこう♪

      教訓3.ケガをしたら、銀杏並木に行こう!

       

cf.悲劇か喜劇か、それが問題だ~『たったひとつの恋』第3話

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コメント

テンメイさん!!おはようございます!!
これ、絶対好きそうだなぁ・・・と思って見てました。
今回も原作の引用部分をよく見つけるなぁ・・・。
なるほど、ひと恋での経験をふまえて原作と合わせる部分と全然違うって強調する部分とメリハリを作って表現したかったのね・・・。
まぁ、リア王がイマイチだったから楽しめたかなぁ?わざとそうしたのか?
てんちゃんはかわいいですね・・・どうやって遊ぶのか、まだ分からないけど・・・。
今クールはまだ思案中ですか?自分も見ないと分かりません・・・。

投稿: お気楽 | 2007年4月 8日 (日) 10時30分

>お気楽さん

アハハ(^^) バレバレでしたか。
他にやる事が山のようにあるのに、つい出来心で
見ちゃって、中途半端な記事まで書くハメになりました^^;

  ひと恋での経験をふまえて原作と合わせる部分と
  全然違うって強調する部分とメリハリを作って表
  現したかったのね・・・。

オオッと!お気楽さんがマジメさんになっちゃってる♪
上手い説明だなぁ。さんまのマネして、メモ、メモ ^^
リア王は見ませんでした。
  
てんちゃんって、わざと書いてるのかな?
テンちゃんなら、僕のことなんですけどネ(^^ゞ
まあ、テンちゃんのココアだから、てんちゃんでいいか♪
遊び方って、メアドとID入力して、後は
画面クリックするだけですよ。超簡単!

時々遊んでやってくださいな☆
そうしないとスネちゃいますよ。
ココアじゃなくて、僕が(^^♪

投稿: テンメイ | 2007年4月 8日 (日) 21時54分

テンメイ様、こんばんは。
ふふふ、今回は書いてるだろうと思いましたよ。
書いててよかった!

エンターティメントは
基本的に現実逃避なのですが
次の段階で
「面白くってタメになる」
という要素がでてきます。
現実を逃避しつつ現実的な利益にもなります。
という怪しい展開です。

これは「現実を逃避するためには
現実とは何かを知っておくべきでは?」
という問いかけを含んでいるわけです。

ま、「深い楽しみを求めて」ということですよね。

今回の井上脚本はまあ、その手のものです。

第一夜は実際に舞台劇の「リア王」が
挿入されるし
第二夜は英文のテキストが挿入されます。

皆さん、かの有名な「ロミオとジュリエット」とは
こういうものなんですよ。
そして、私はこんな風にアレンジしてみましたよ。

というわけなのです。
しかし、そういうワザも大方の人には
テンメイ様のツッコミがないと理解できなかったりして。

まさに春休み。子供たちの中には
初めてロミジュリに触れた人も多かったでしょう。
ああ、うらやましいこれから
さまざまな物語にふれることのできる人々。

しかし、まあ、教養というのは
底なし沼のようなもの。
これからも深く深く一緒にもぐってくれると
うれしいです。

投稿: キッド | 2007年4月 9日 (月) 03時57分

>キッドさん

こんばんは。ふふふ、バレてましたか♪

TB問題が解決したようで良かったです。
ココログのメンテナンス攻撃もムダではないんですね。
携帯アクセスも簡単になったし☆

現実逃避、これぞキッド節って感じの文章ですネ。
「現実を逃避するためには
 現実とは何かを知っておくべきでは?」
テンメイ節の応答はこうなります。

単なる逃避であれば、自分の身の回りの
辛い現実を知るだけでいいわけです。
ただ、逃避にもレベルがあるわけですネ。
単なる逃避ではなく、別の現実に接近して楽しむレベル。
別の現実とは、たとえばシェークスピアの原文なわけです。
そこに描かれた世界はフィクションですが、
原文自体、書物そのものは全くのリアリティ。
こういった現実への接近、その認識を楽しむ段階こそが、
単なる現実逃避の「次の段階」でしょう。
   
「次の段階」の逃避に移る必要があるかどうかはビミョーな話で、
それは「より心地よい段階」かどうかも分からないし、
「辛い現実からより遠い段階」なのかも分からない。
だから、他人に強いるようなものでもないわけです。
その意味で、この記事は「啓蒙」などとは別物です。
「明るみに人を出すこと」などではない。

でも、「次の段階」or「別のレベル」があるのは確かで、
少なくともキッドさんと僕は知っている(と思ってる)。
たとえ、同じものではないにせよ。
それを提示することで、面白がったり段階を移行したりする人が
出てくれば、そこにはやはり、小市民的喜びが生まれます。
そしてさらに、その人たちがこちらに「別のもの」を
提示してくれたりすれば、これほど刺激的な快楽もないでしょう。
まさにその瞬間、個人的情報発信が成果をあげるのであり、
ブログというエンターティメントが成立するのです☆

井上脚本は、我々にそうした機会を与えてくれるものであったし、
井上自身と我々の間に共鳴をもたらすエンターティメントでも
あったわけです。

というわけで、皆さん一緒に底なし沼に落ちましょう♪
手をつないどけば、助かるでしょ。多分。
落ちていくのに、金もツボも出家も関係なし。
フィクションへの愛があれば十分です。
その愛が深ければ、やがてリアリティへの愛へと広がるでしょう。
ドラマだけじゃなく、ドキュメンタリーにも興味が湧くし、やがては
逃避対象であった現実にも再び目を向ける力が湧くでしょう。。☆

P.S.そうそう、そちらの「羊たちの沈黙」はウケましたが、
    さすがのキッドさんもマ○○○○は避けましたか♪
    僕なんて小心者だから、最初の1文字しか書けません。
    アウトプット不能。インプットは一応してますけどネ。。

投稿: テンメイ | 2007年4月10日 (火) 00時20分

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受信: 2007年4月 8日 (日) 23時22分

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