凄いよ マスコミの取材依頼の数が これで明真の名は一気に売れる
北洋にも 移籍金はガッポリ入るってわけだ
これ 落ちてたよ 最初からこうなると思ってた? オーナー
もちろん われわれ投資会社は (カニカニ・ポーズ♪)
リターンが無いと 行動しませんから
まあ ひき逃げは予定外でしたけど
その分 朝田先生のオペを この身で体験することができましたから
病院をカネに変える そんな専門家がいたとはねぇ
医者は (カニカニ♪) 商品ってわけか
人の命が 一番お金になるんですよ 野口先生
チームドラゴンは 一番の人気商品ですから・・・
☆ ☆ ☆
『医龍 Team Medical Dragon 2』、見事な出来栄えの続編だ☆ 全体を総合
的、客観的に見るならね。少なくとも、去年の春ドラマの『医龍』第1シリーズを
楽しんでた視聴者は、私を含めて十分楽しめたんじゃないかな♪
完全に前作を受け継いだドラマだから、今年から見始めた視聴者がどの程度
楽しめたかについては、ちょっと疑問も残る。例えば、荒瀬の「75kg」って台
詞も分からないだろうし(患者の体重と必要な麻酔の量がすぐ分かる優秀な
麻酔医って意味)、何で司会の女性が突然会場を抜け出して助けに来るのか、
何で妙な助っ人が最後に突然現れたのか、何で病院の屋上で医者が太極拳
やってるのか、さっぱり分からないだろう。
まあでも、視聴率的には21.0%の大成功だからOKでしょ。裏番組にTBS
『3年B組金八先生』第8シリーズ初回SPがぶつかってたにも関わらず、去年
より遥かに高い視聴率を稼いだってことは、去年の視聴者の多くが戻って来
た上に、新たな視聴者の獲得にも十分成功したってことになる。第1シリーズ
が視聴率以上に高い評価だったから、別に不思議じゃないわな。ウチも、『クロ
サギ』『ギャルサー』と重なってたから最後は挫折しちゃったものの、第7話ま
では好意的記事を書き続けてたもんね。
今回は、乃木坂太郎の原作(原案・永井明、取材協力・吉沼美恵、小学館ビッ
グコミック スペリオール)に一応沿って展開された前回とは違って、オリジナ
ル脚本。もちろん、脚本は共同制作によるものだろうけど、まずは脚本家の
林宏司をホメるべきだろう。上手い! これぞ優等生って感じだ♪ さすが、
NHK『ハゲタカ』を成功させただけのことはある。フジ『離婚弁護士』も書いた
そうで、細かい専門的な話を得意とするってことかね。
それにしても、ここまで専門的な脚本を部外者が書けるのかなと不思議に思っ
て、エンドロールをチェックすると、医療脚本・高橋明仁って名前がある。検索
から推測すると、おそらくこの人は心臓血管研究所付属病院・外科の医師だ
ろう。第136回日本胸部外科学会関東甲信越地方会要旨集なんてものを見
てみると、言葉自体がほとんど理解できなくて苦笑してしまった(^^ゞ ってこと
は、ドラマの専門用語ラッシュなんてのは、所詮はドラマ向けの初歩的レベル
に過ぎないってことなのかも知れないね。
さらに、第1シリーズに続いて医事監修を務める須磨久善(心臓血管研究所
付属病院、高橋の先輩か上司だろう)。医療指導の佐野俊二(岡山大学病院
副院長・心臓血管外科)、山崎健二(東京女子医科大学心臓血管外科)、角
南博(藤井病院・外科、胃が専門らしい)、廣瀬仁(ドレクセル大学医学部・胸
部心臓外科、所属については英語情報だけ)。看護指導の石田喜代美(数々
のドラマ・映画で活躍してるものの、元の職歴は発見できず)。
こうした多くの専門家のバックアップも見逃せない。須磨と佐野は公式サイト
のスペシャルインタビュー01、02に登場してて、今回からの佐野が第1シリー
ズをけなしてるのが笑えるし、正直さも好感もてる。ま、須磨とケンカしないよ
うにね♪ 今後、また機会があれば、インタビューの内容にも触れたいかな。
専門的な脚本って所から話が逸れたので、ここで元に戻そう。演出の水田成
英、音楽の澤野弘之・河野伸、プロデューサーの長部聡介・三竿玲子らを始
めとするスタッフにも、もちろん拍手を送りたい。サントラ収録で、英語の歌詞
を透き通った女性ボーカルが歌い上げる『Aesthetic』(作詞・今井麻紀子、作
曲・澤野弘之、歌・関山藍果)も、相変わらず良かった♪ 手術が3つとも成功
した後で流れてたキレイな曲のことね。去年かなりの人気だったってお話。
一方、キャストもみんな好演してて、特に野口賢雄(岸部一徳)のパワーアップ
したいやらしさは最高だった☆ 見方を変えれば、彼こそが、このドラマの悲
劇的かつ喜劇的な主人公のようにも見える。
ただ、キャスト全体で見ると、スタッフ全体の技にはちょっと負けてるかな。例
えば、主人公のスーパードクター・朝田龍太郎を演じる坂口憲二。彼はかなり
好きなタレントで、台詞を覚えるだけでも大変だろうなとは思うけど、今回のあ
の演技に限ると、それほど難しくはない。ルックス、体格、声質的にハマリ役
なのは確かだけどね。。
同じことは、第1シリーズでER(救命救急部)に朝田を引き抜こうとした鬼頭祥
子役、夏木マリにも言える。彼女も『野ブタ。をプロデュース』でいい味出してた
好きな女優だけど、医龍での演技はさほど難しくはないはずだ。看護師・里原
ミキ役の水川あさみ、循環器内科・藤吉圭介役の佐々木蔵之助、北日本大学
からコロンビア大学に移った心臓外科医・霧島軍司役の北村一輝らも、今回
だけに関して言うなら、決して難しい演技じゃない。
こうゆう事を書くと、誤解するファンが出てきそうだから、念のために強調しと
こう。彼ら、チームドラゴン&その周囲の登場人物は、みんな個性的に光って
る。ただ、その光は、キャスティングも含めてスタッフの力によってもたらされ
た部分の方が大きいだろうってことだ。私は、坂口も夏木も北村も好きだし、
佐々木の魅力もよく分かってる。ま、水川は、第1シリーズ初回みたいなお色
気サービスが全くなかったのがちょっとだけ気になるけど、まあいいや♪
あっ、ちなみにこの一段落、ウチの熱心な常連さんは笑ってネ、とだけ書いと
こう。私自身、書きながら笑ってるしね ^^ ま、島倉千代子のヒット曲なわけよ。
さて、彼らとは違って、荒瀬門次役の阿部サダヲの演技は、ちょっと難しくて
評価できる。かなりクセがあるけど優秀で真面目で温かみもあって、ちょっと
可愛かったりもする麻酔医。阿部は完全にハマリ役だろう。第1シリーズ登
場のバーテンダー・香ちゃんこと山口香(奥菜恵)と結婚して子供まで出来た
わけか。照れてたけど、やる事やってんね♪ 安産のお守りまで、しかも患
者の分まで買ってたし、今回はちょっといい人すぎたかも。。
伊集院登役の小池徹平の演技はもう少し複雑で、さらに評価できるって言う
か、お疲れさまと言ってあげたい。彼は色んなものを表す必要があったのだ。
高度なバチスタ手術までまかされるほど成長した姿。「わがままな」患者にボ
ヤいてしまう若さ&俗っぽさ。結局は患者を深く思いやれる温かさ。スーパー
ドクター・朝田への尊敬。通俗的だけど憎めない先輩・木原(池田鉄洋)との
程よい親しさ。最後のオチでの騒ぎ方とか、ちょっと大げさな部分もあるけど、
役柄も本人も若いからOKだろう。先日の『an・an』だと、好きな男ランキング
23位、抱きたい男4位、かわいい男2位の人気者でもある小池。今後もこの
調子で頑張ってもらいたいもんだ。
最後に、一番大変で責任重大なのは、明らかに片岡一美役の内田有紀だ。
演技の出来はともかく、見てて応援したくなってしまったのは、別に白のボディ
コンシャスなスーツ姿に萌えたからじゃない♪ 野口以上に第2シリーズのカ
ギを握ってるのが、外資の中心人物らしい彼女。そもそも、公式サイトの最初
に出てくる文字が、「LIFE or MONEY? 命は金で買えるのか」だ。今回は
医療をめぐる様々な社会的問題を、お金をキータームにして総合的に扱って
いくみたいだから、経営が傾いた北洋病院を買収してオーナーとなった彼女が、
同じく経営の苦しい明真にどう関わってくるのかが、今後の最大の焦点となる。
今回、過去の強引な病院買収で恨みを買ってしまった相手にひき逃げされて、
朝田に助けてもらったことを考えても、おそらく朝田とビミョーな関係となるんだ
ろう。つまり、一美にとって朝田は、最大の商品であると同時に、命の恩人の
天才医師で、しかも同年代のイケメンだ。『an・an』好きな男ランキング20位
なんだから、恋愛の1歩か2歩手前くらいまでは行くんじゃないかな。吉岡秀隆
との離婚で傷ついてるだろうしって、そりゃ関係ないか♪ まあただ、第1シリー
ズを見た感じから考えると、朝田=坂口と一美の関係はあくまで恋愛の手前
で留まると思う。あんまり仲良くしてると、前作第1話冒頭みたいに、ミキ(水川)
が怒鳴りこんで来そうだしね。
もう一つ予想しとくと、片岡は今のところ野口とつるんでる悪者扱いだけど、最
後は「それほど悪い奴でもなかったな」って感じになるだろう。外資を単純な悪
役にするのは現実的にも間違ってるし、ドラマ的にも考えにくい。まして、一美
はそこそこ魅力的な女性。最後まで悪役にはしないだろう。ちょうど、第1シリー
ズ最後に悪役を卒業した霧島みたいに、一美でも逆転劇が起きるはずだ。最
終回は、野口だけ悪者にして、アフリカか南米に飛ばすって感じかな。野口ま
でいい人にするのは、キレイ事すぎて恥ずかしいから止めて欲しい。
☆ ☆ ☆
さて、ここまではスタッフとキャストについて個別に見てきた。ここからはドラマ
の内容に関する全体的な話に移ろう。まず、あらすじ(ストーリー)については、
去年と同じく公式サイトに詳しいので、細かく書く気にはなれない。逆にバッサ
リ単純化して書くなら、次のようになるだろう。
差出人不明のメールと、難病患者の出現がキッカケとなって、高度な能力を
持つチームドラゴン(Team Medical Dragon=医龍)が明真大学付属病院に再
結成される。タイからリスクマネージメント部長として呼び戻された野口は、当
初は彼らの手術に反対してたものの、医療ジャーナリスト・一美の説得に従っ
て、結局は手術を容認。彼らの活躍を病院経営の立て直しに利用することに
した。患者の体内の赤ちゃんや、別の患者の手術まで加わって、朝田らは苦
戦するものの、チームに好意的な鬼頭や、かつての敵の霧島の協力のおか
げで、同時に行われた3つの手術全てに見事成功。ところがラスト、実は一美
が外資の人間、北洋病院のオーナーで、メールや難病患者も含めてすべてを
仕組んでたことが分かった。数千万円の金と明真との提携関係を、外資が見
事に獲得したのであった。。。
もっと単純化するなら、チームドラゴンが再結成&大活躍、その裏には、病
院経営の問題や外資の陰謀があったってことだ。ドラマを見る前の予想だと、
もっと社会問題的な側面を前面に押し出して来るのかと思ったけど、ほとん
どの時間は、第1シリーズと同様にチームドラゴンの活躍に費やされた。正
直言って私は、オンタイムで流し見しながら、アレッ、再放送かよ!って感じ
もかなりあった。ただ、去年の高評価には、圧倒的な心臓手術シーンが関わっ
てたはずだから、初回にそれを踏襲したのは、続編放映の戦略として正解だ
と思う。新たな流れはここからじっくり築いて行けばいい。
このドラマを録画で見直して改めて感じたのは、優等生だなってこと。それも、
体育とかまで含めて全教科で高得点を取る、かなり出来のいい優等生だ。
脚本について具体的に見ると、まずメールの使い方が上手い。チームメンバー
の藤吉が出した可能性を最後まで残しておいて、最後の最後に外資の一美
の陰謀だとバラす。もちろん、正体不明のメールごときであのアウトロー的存
在の朝田がアメリカから明真に戻ってくるなんてのは、ご都合主義的な設定だ。
でも、これは所詮ドラマ。目くじらを立てるほどのこともないし、朝田の反逆的
キャラを知らない新しい視聴者は、それほどおかしいとも思わなかっただろう。
度重なる予想外の困難を、大勢の仲間の協力でギリギリ切り抜けていくストー
リー構成も模範的で、なかなかチャンネルを『金八』に変えにくいし、それでい
て最後に強烈なオチを持ってきて来週以降にしっかりつなぐのも優等生。もち
ろんオチには、一美の白クマのアクセサリーっていう伏線がキレイに張られて
る。何でひき逃げされたのか、何でフィクサーみたいに北洋病院と明真の間を
取り持つことができたのか、何でジャーナリストなのに記事や雑誌が映らない
のか、っていう疑問も、オチによって解消される。映像も音楽もホントに上手く
て、一美だけじゃなく難病患者・富樫ゆかり(りょう)に対しても効果的に使わ
れてた。
さらに、朝田かと思わせて野口を登場させる冒頭。伊集院を飛ばそうとした江
上彰教授をあの野口が逆に飛ばす意外性。いやな患者・ゆかりの印象を後
でアップさせる点。公開オペで華やかさを演出すると共に、霧島と鬼頭を呼び
よせる流れ。朝田が電話で助けを求めた相手が、荒瀬と見せかけて実は霧島
だっていう仕掛け。荒瀬のお守りと香ちゃん話の使い方。まったく教科書的な
出来栄えだと思う。形式美と言ってもいいほど、型通りの優等生だ。
ただ、それでも私は、今回のドラマの大枠にかなり引っかかった。あまり強調
するつもりもないけど、その点は一応はっきり言っておきたい。理由は、去年
と全く同じなのだ。去年の第1話の記事とリタイア宣言記事から引用してみよう。
・・・・・・このままだと単なるヒーロー物語になってしまうんじゃないかって
こと。超人的な能力を持つものが、困難を乗り越えて悪を倒すってだけ
じゃ、平凡だし奥深さもない。『水戸黄門』や『大岡越前』とも大差ないし、
円谷プロのウルトラマン・シリーズの方がむしろ進んでることになる。
キツイ言い方をするなら、現実の権力構造から一時だけ目を逸らせた視
聴者が、超人を頂点とする新たな階層秩序にハマって楽しむだけの事。
もちろん、単なる娯楽作品としてならそれでもいいけど、このドラマには
もっと高い意識を持って欲しいもんだ。・・・・・・
・・・・・・水戸黄門みたいな、スーパーヒーローによる勧善懲悪物語にする
のは回避してたものの、バチスタ・チームによる勧善懲悪物語に近づいて
しまってるのは残念だ。ある種の刑事ドラマに近いと言ってもいい。医療
の問題ってのは、手術の判断にせよ、救急患者受け入れの問題にせよ、
薬や器具の開発や医療費の問題にせよ、善悪が微妙な所に特色がある。
ところが医龍では、チームを善の側に、それ以外の特に野口と霧島を悪
の側におく傾向が強い。こうした方が一般ウケするってことなんだろうけど、
所詮は大衆娯楽としてのテレビドラマにすぎないなっていう感じは持って
しまった。医療と向き合うメディア報道としては、やっぱりNHKのドキュメ
ンタリーや新聞の特集記事の方が遥かに上だ。。・・・・・・
こうしたドラマの性格を端的に表してるのが、第1シリーズ最後の手術を乗り
切った後の、チームによる大名行列。朝田を中心かつ先頭において、空軍の
戦闘機みたいに三角形の隊列を組んで病院内を進み、周囲の者たちはみん
なひれ伏すかのように拍手と尊敬のまなざしを送る。参勤交代かよ!なんて
突っ込みたくなる所だ。今回も一瞬だけ再現されてたこのバチスタチームの
姿は、実は映像的に、かつての悪しき医局の権威構造と全く同じもの。『白い
巨塔』の類似シーンを思い出すだけですぐ分かる。去年も今年も、朝田は唯
一絶対の全能の神で、あの美しい挿入歌『Aesthetic』の歌詞をじっくり読んで
も、その点はハッキリ分かることだ。
手術にしても、恐ろしく困難な状況に直面し続けてるのに、去年から一度も大
失敗がないし、諦めざるを得ない場面もない。それどころか、迷いも一時的な
ものにすぎず、結局は成功の満足感で消え去ってしまう。この辺りは、元々マ
ンガってことだけじゃなく、医師の意見を全面的に取り入れてることの悪影響
もあるのかも知れない。正直言って、複雑で困難な社会的現実にいつも目配
りしてる私としては、大きくため息をついてしまう部分だ。
とは言うものの、だからこのドラマはダメだと切り捨てるつもりも全く無いわけ
で、出来がいいのは明らかだし、今後の話の展開余地は非常に大きくて、修
正の余地も十分にある。もしこのドラマのレビューを来週以降も続けるのなら、
虚構の神の物語から現実の人間の描写へとドラマが方向修正する様子を温
かく見守りたいと思ってる。去年で頂点を極めた神話的虚構から、複雑な人間
的現実へ。このドラマが子供のマンガを脱却して、大人の社会に軸足を移し
ていくことを、陰ながら願ってる。。
☆ ☆ ☆
最後に、外資とカネの問題についてちょっとだけ。外資の日本進出については、
ハゲタカという言葉で否定的に表現されることが少なくなかった。ただ、破綻し
たか破綻しかけてる会社を買収して再生、高く売って儲けること自体は、単な
る普通の商行為の延長にすぎない。商いの基本は、安く買って高く売ること。
それは悪いことでもないし、簡単なことでも安全なことでもないのだ。
実際、外資の投資のその後を見ると、大きくまとめて見ればプラスかも知れな
いけど、個別に見れば苦戦してるものも少なくない。なるほど、4年前に最悪
期を通過した金融危機の際には、リップルウッド(現・RHJインターナショナル)
が日本長期信用銀行(長銀)をタダ同然で買収して新生銀行へと再生すること
になったし、サーベラスが日本債権信用銀行(日債銀)をあおぞら銀行へと再生
したのも似たような成功例かも知れない。
でも、リップルウッドのフェニックスリゾート(宮崎)買収は、巨額の資金と6年の
月日を通じて、最近やっと光が見え始めた程度。ダイエーに投資したアドバン
テッジパートナーズは損してるはずだ。西友に投資したウォルマートも今のとこ
ろ失敗。消費者金融へここ数年多額の投資をしてた外資も、現時点では大損
だろう。極端な制度改正の影響は彼らにも全く想定外だったのだ。もちろん、ア
メリカのサブプライム(信用度の低い相手への融資)関連に投資したヨーロッパ
資本(アメリカにとっては外資)も、夏以降の信用収縮騒ぎには動揺したはずだ。
ドラマでは一美が、「いわゆる」を表す「カニカニ(両手二本指屈伸)」ポーズで
「リターン」がないと行動しないとか言ってたものの、所詮、投資にリスクは付き
もの。ハイリスク・ハイリターンが大原則だ。ひき逃げで瀕死の状態になったな
んてのも、ハイリスクの典型的な具現化と言えるだろう。リスクを積極的に取る
姿勢は、真似しようと思っても日本にはなかなかできないことで、そうした能力
や見事に結実した成果については、それなりに評価すべきことなのだ。
したがって問題なのは、外資のビジネスモデルよりも、その具体的なやり方の
詳細だ。今の所、外資の病院買収についてはまだ話題先行の側面が強くて、具
体的には目立ってない。実際、過去10年間のデータベースである「日経テレコ
ン21」で「病院 買収 外資」と打ち込んでみると、僅か2件しかヒットせず、しか
も具体的な話の記述は一つもないのだ。Yahoo!で検索しても、大した情報は
見当たらない。かつてのハゲタカ騒動みたいなものはまだ目立ってないのだ。
ただし、ネット上で病院の買収案件が生々しく提示されてたりするのも確かだし、
医療系の投資ファンドが登場してるのも事実。少なからずの病院の経営難も本
当らしい。だから、今後の外資のお手並み拝見って感じが現在の状況だろう。
ちなみに今回の一美のやり方は、伊集院が大騒ぎしたほどひどいものでもない
(ひき逃げの原因は別として)。メールと難病患者でチームドラゴンを再結成させ、
野口の反対を利用して、オーナーとなってる北洋病院で手術させる。建前上は、
北洋の医師による手術。その成功を待って、北洋の医師を瞬時に明真へと売
却。明真の功績にする代わりに、医師1人あたり1000万の移籍金を手に入れ
て、しかも格上の明真と業務提携。
法的にも現実的にも考えにくいけど(下のP.S.参照)、もし可能ならそれほど
悪でもない。実際、チームドラゴンの「感情」を除けば、患者、明真、北洋、1人
も損はしてないのだ。来週以降、朝田がその点をどう見るのか、脚本が外資
をどう扱うのか、ドラマの力が試されることになる。少なくとも、チームドラゴン
が善で外資が悪とか、日本の病院が被害者で外資が加害者なんていう、子供
じみたストーリーだけは止めてほしいと強く願ってる。
さすがにそろそろ時間だな。調べるのに時間をかけ過ぎちゃったわ ^^; カネ
については、もちろん高度な医療に多額の費用がかかるのは当然のこと。誰
がどこまで払うのか、医療サイドはどの程度まで儲けていいのか。所詮きれい
な答が出るはずのない問題で、スーパードクターの神業も通じない領域だ。経
済格差、地域格差も広がる一方。カネがないから治療できない人、カネになら
ないから病院が足りない地域、カネがないから十分補助できない国や自治体。
その一方で、何の心配もない富裕層、圧倒的に裕福な生活を送りつつ、それ
を何とも思ってない医師達。カネをめぐる、すぐにはどうしようもない状況と直
面したチームドラゴンの苦悩や迷いは、十分映し出すべきだろう。
最後に、大量に出てくる専門用語について。バチスタ手術(Batista:肥大した
心臓の一部を切り取った後で縫い合わせて小さくする手術)、ドール手術(Dor:
心臓の筋肉に一度切り口を開け、正常な部分だけを縫い合わせて心臓を小さ
く正常に作り直す)、HLHS(Hypoplastic Left Heart Syndrome:左心低形成症
候群=心臓の左が未発達;重くて稀な先天性心疾患)、ノーウッド手術(Norwood:
HLHSに対して、細すぎる大動脈の代わりに肺動脈を使った新しい大動脈を形
成、心臓に穴を作って新しい肺血流を作る)、僧帽弁逆流(左心房と左心室の
間の弁を血液が逆流)、数々の専門用語については素通りして来たけど、もし
来週以降もレビューするのなら、ある程度は触れて行かざるを得ないだろう。あ
ちこち調べまくってね。。(^^ゞ
いやいや、それにしても、下調べだけでこんなに時間がかかったのは、『華麗
なる一族』第1話以来のことだわ。こんなこと、とても続けてらんないよな。やっ
ぱ、レビュー候補No.2の『ハタチの恋人』が一番ラクか♪
ま、今晩見てのお楽しみ。もう疲れたから、今回はこの辺で。。☆彡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P.S.最後の新聞記事、社会面27ページ(15版)はよく出来てたけど、バチ
スタについての本文は「東京八王子の明真大学付属病院外科によって
実施され・・・」と書いてあった。これはマズイ記述だ。実施場所について
は、北洋と明真の多くの関係者の証言でゴマかしようがないからだ。
それに対して、見出しの「明真大学付属病院 胸部心臓外科の快挙」な
ら形式的には問題ない。つまり、執刀したのが明真の医師って意味に取
れるからだ。ただ、この場合も、どうして北洋で実施したのかを追及すれ
ば、強引な移籍による小細工はバレバレで、功績どころか疑惑の対象に
なりかねない。その意味で、最後のオチは所詮フィクション、非現実的な
ものにすぎなかった。。
P.S.2 例の朝田の手術練習。夜中に建物の屋上のそのまた上で、蒸気(?)
に包まれつつ上半身裸で両手を動かすイメージトレーニングのシーン
は、ほとんどカンフーのパロディだ♪ このクソ真面目なドラマの中で、
数少ない笑いのポイントだと思ってる。
私はあれを見ながら、伊集院が「アチョー!」と飛びかかる姿とか、『白
い巨塔』の財前(唐沢寿明)が久光製薬のサロンパスを朝田の背中
の龍(火傷の痕)にペタッと貼り付けてムッとされるシーンとか思い浮
かべて、1人で笑ってた。私だけ?♪
P.S.3 「オレのオペは見世物じゃねぇんだよ」と言う朝田のオペを、民放のド
ラマがたっぷり見世物にするシニカルな構造も、即座に笑っちゃった
けど、スタッフはその辺りに気付いてるのかな。ちょっと怪しいかも。。
P.S.4 ライブ・デモンストレーションなんて名づけられてた「公開オペ」。検索
すると、ドラマと動物と金融操作(公開オペレーション)ばかりが出て
来てしまう。患者の同意の上であってもおかしくはないけど、おそらく
実際にはほとんど行われてないんだろう。少なくとも、ヘッドフォンと
マイクで質問に受け答えしてる場合じゃないよな。
手術室に携帯持ち込んで、指示を受けながら初体験のオペをするな
んてのも、たとえ緊急手段であってもほとんどあり得ない話だ。機器
への電磁的悪影響だけでも危険だろう。
P.S.5 メディアの報道による、一部の医療機関への患者の集中とか、「わが
ままな」患者の問題とか、あまり話を広げすぎるのもマズイけど、今後
も軽く扱って欲しいとは思う。ただし、中心はMoneyってことで。
P.S.6 このドラマ、去年もそうだけど、上手い台詞のやり取りってものが
すごく少ない。欠点って言うか、ちょっと物足りない所だね。大まか
なストーリーと映像と音楽で勝負してるドラマなんだよな。。
P.S.7 タイトルバックの映像はますまずだった。『医龍2』の「2」の表現が
ちょっとオシャレ♪
P.S.8 野口の髪型の話って、笑っちゃうほどみんな書いてるな。目立た
なくなっちゃった木原のヘアスタイルが可哀相。。
P.S.9 外資系のMR(医薬情報担当者)がよく使うとされてた、両手の人
差し指と中指を曲げ伸ばしする「カニカニ・ポーズ」は、二重引用符
(“ ”)を表すもの。木原は後ろの「”」しか書かなかったけど、正確
にはもう一方の手で前の「“」も表すはずだ。要するに、日本語で言
えばカッコによる言葉の強調であって、特別な意味だと示したい時
に使うわけ。例えば、カニカニ「リターン」カニカニなら、お金とか儲
けって意味だろう。
P.S.10 去年の記事を読み返してみると、やっぱ今より全然軽いね。ちょっ
と恥ずかしい気もするけど、あのくらいで留めて他のことに時間を
回す方が正解なのかも知れないな。。。
cf. 善悪の彼岸へ向かう水戸黄門~『医龍2』第2話
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
秋ドラマ、期待の3本はこれだ☆
・・・・・・(以下、去年)・・・・・・
権威的秩序vs破壊的天才~『医龍』第1話
完成度の高い本格派~『医龍』第2話
誤解と対立の爽やかな克服~『医龍』第3話
君を必要としている人はいる~『医龍』第4話
氷の涙~『医龍』第5話
極限状況における人間の姿~『医龍』第6話
屈折した愛と良心~『医龍』第7話
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『医龍』ひとまずリタイア・・
最近のコメント