『ガリレオ』第3話、共振現象の証明
(☆13年6月追記: 最新の数式記事とレビューをアップ。
『ガリレオ2』第9話の数式、超音波による圧力・密度変化(&ビルの高さ)
エリートがみだす凡人の心の歯車~『ガリレオ2』第9話・撹乱す )
☆ ☆ ☆
天才物理学者・湯川(福山雅治)が毎回やってる物理学の内容は、高校から
大学1、2年程度のレベルなので、ここまでほぼキレイに解読できてる。特に
第3話『騒霊ぐ』(さわぐ)では、黒板がキレイに映ってて、内容も振動に関す
る一般的なものだったから、完璧に解読できた♪ 普通のレビューは数日後
になるから、先に物理の記事だけアップしとこう。
今回の湯川は、物体それぞれに固有のリズム(固有振動数)で力を加えると
物体は激しく揺れ動く、ということを示したのだ。つまり、「共振」現象の存在
の物理的証明で、内海薫(柴咲コウ)が驚いたポルターガイスト(騒がしい霊)
の正体は共振だと言いたかったわけ。今までと同様に、板書は要約にすぎな
いし、間違いや不適切な書き方もあるから、注意が必要だった。
以下の説明は、大学1、2年の物理を知ってないと難しく見えるだろうけど、実
は教科書レベルにすぎない。実験室にいる学生でも書けるはずだ。
ちなみに、黒板と慣習にしたがって、振動数の代わりに角振動数ω(オメガ)を
使ってる。(振動数)=ω/2πだから、似たようなものだ。固有振動数の話は、
固有角振動数の話に変えてある。それでは、どうぞ☆彡
(訂正:最後の振幅の式の右辺に絶対値記号を付けるのを忘れてた・・・)
cf.天才・湯川が示した物理学の解読と検証~『ガリレオ』第1話
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『ガリレオ』第5話、キューピッドの黄金と鉛の矢は流行るかな♪
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コメント
初めて閲覧させていただきました。
非常に分かりやすく理論式の説明をされていると思います。建築の学生のみならず、機械あるいは電気の一部の学部生でも十分理解できるように上手く説明されていると思います。
しかしながら、この共振現象の話で問題となるべく本質は、この理論式の中身ではないと思うのです。理論式を導く以前の問題だと思います。
本来問題となるべきなのは、多自由度系である建築物が、式の上でなぜか一自由度近似されていることであると思いました。一自由度近似して固有振動数を求めているということは、少なくとも等価剛性および等価質量の具体的な値を知る必要があると思うのです。この値をいかに推定したのかが問題だと思うのです。話の中で湯川先生は「柱の傷み具合からして・・・」とか言っていたと記憶しているのですが。つまり梁の痛み具合から等価剛性を推定したと考えられるのですが、これは可能なことなのでしょうか。また、等価的な質量はどのようにして推定したと考えられますか?何か方法があるのであれば是非教えてほしいです。
投稿: 振動屋 | 2008年1月 1日 (火) 03時24分
はじめまして☆ 新年早々コメントありがとうございます♪
お話の内容とお名前から考えて完全に理系の方のようですね。
僕はあちこちに書いてますように、「半ば理系」にすぎない
ので、まずその点をご理解頂きたいと思います。
数式や記号に抵抗がない文系と言った方が適当かも知れません。
あと、今は旅先なので、マシンも通信環境も劣悪ですし、
身辺に専門書・参考書の類も全くない状況です。
だから、このレスはすれ違いに終わる可能性が高いでしょう。
ただ、事の本質は、このすれ違いにあるのかも知れません。
また、僕の立場とか見方の説明として、ここに書く意味は
あるし、それ以上に、コメントには真正面から応答するという
ウチの基本的姿勢を示す点で意味があるでしょう。
レスには、不特定多数の読者がいらっしゃるわけですから。
まず、恥ずかしながら「等価剛性」とか「等価質量」と
いう言葉は初めて聞きました。
検索すると、あまり素人向けの説明が見当たらないのですが、
要するにこの場合の「等価」とは、「元の物体のものと
ほぼ等しい価値をもつ近似的」という意味の修飾語ですね。
以下、個別の論点に1つずつお答えしていきましょう。
まず「本質」について。これは物理学の用語では
ありませんし、少なくとも僕は、『ガリレオ』の共振現象の
話の本質が1自由度近似であるとも思いません。
ガリレオは大衆向け映像的フィクションの代表、ドラマです。
ドラマ作りの観点から考えると、共振の数式の
本質は単なるイメージ作りでしょう。
ほとんど誰も、式の意味など分からないし気にもしない。
ただ、何となく科学とか物理学のイメージが
かもし出されるということで、それでいいわけです。
視聴率への貢献と言ってもいいでしょう。
次に、ドラマの内部で考えた場合の共振の数式の本質は、
湯川にとっての「単なる直前イメージトレーニングとか、
イメージウォーミングアップ」だと、まず第6話レビュー・
コメント欄に書いてます。
さらに、第9話レビュー・本文では「イメージトレーニング
であると共にウォーミングアップ。問題となってる現象を
物理学の数式でとらえ直すと共に、具体的な考察と実証実験
の前に脳内回路の動きを良くするための、大切な儀式」と
書いてます。
ウチのガリレオ記事30本は、相互補完的な関係にありますし、
コメント欄にもかなりの事が書かれてることをご理解ください。
数式に限定せず、もう少し広く共振現象の話を考えるなら、
この記事の本文にあるように、本質は「物体それぞれに
固有のリズムで力を加えると物体は激しく揺れ動く」という
定性的物理現象です。
それを数式で定量的に捉える出発点が1自由度近似の質点系。
どうしてそこから始まるかというと、1次元の物理が簡単
だから、1変数の数学が初歩だから、変化するものが
少ない思考が人間の基本だから。色々と説明できるでしょう。
等価質量とか等価剛性の値は、多自由度で大きさも弾性・
可塑性も無視できない物体に対する近似計算において、
重要となるんでしょう。
それはもちろん僕の守備範囲ではないので、専門の方や
専門書・参考書にお任せするしかありません。
ただ、ドラマ作りにも、ドラマの中の湯川にとっても、
それらの理解にとっても、重要ではないと思います。
「柱の傷み具合」とかいう湯川の言葉は、等価剛性の
(低さの)推定と言えなくもないのかも知れませんが、
もっと普通に「痛んでれば揺れが大きくなる」という
ごく普通の定性的考察だと考えれば十分でしょう。
ポルターガイストの名に値する現象にとっては、
揺れ(≒振幅)の大きさが重要なわけですから。
最後に、記事で何度か書いてると思いますが、
原作には全く数式はありません。
つまり、もともと物理にたずさわってた作者・東野が
ストーリー構成する際にも、そういったものは重要では
なく、定性的説明で十分だったのでしょう。。☆彡
投稿: テンメイ | 2008年1月 1日 (火) 20時14分