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『医龍』挿入歌、『Aesthetic』の歌詞について

『医龍2』のレビューは最初の2本で中止しちゃったけど、最低限のフォローは

してるし、録画もしてる。第2シリーズのカギを握る外資の片岡一美(内田有紀)

と、第1シリーズから継続の悪役・野口賢雄(岸部一徳)については、ウチが最

初から予想してた通りの展開になってるから、密かにニンマリしてる所だ♪

    

さて、ありがたいことにレビュー中止後も、去年の記事を含めてアクセスはそこ

そこ続いてる。その中で前から気になってたのは、まだシングルカットされてな

いサントラ盤収録の美しい曲、『Aesthetic』の歌詞の訳を求める検索だ。

歌・関山藍果、作詞・今井麻紀子、作曲・澤野弘之によるこの曲は、朝田龍太

郎(坂口憲二)が見事な神の技を見せて困難を乗り越えた時に流れるもの。

インストルメンタル(歌詞なし)で流れることもあるけど、ここぞって時には関山

のキレイな女性ソプラノが響き渡る。

    

典型的なのは、2時間SPで21.0%の高視聴率をマークした第1話のラスト。

北洋病院での新生児HLHS手術(担当・朝田)、同じく北洋でのパチスタ(担当・

朝田&伊集院=小池徹平)、明真大学付属病院での公開ドール手術(担当・

朝田&霧島=北村一輝)が同時に成功した後だ。富樫ゆかり(りょう)の涙が、

美しいメロディーラインに上手く溶け込んでた。

    

去年から評判が良かったこの曲は、歌詞が英語で書かれてて、公式(オフィシャ

ル)の日本語訳がまだ無いみたいだから、気になる人がかなりいるのは当然だ

ろう。22時スタートにも関わらず、いまだに視聴率15%をキープしてるしね。

で、翻訳を求めて「医龍 aesthetic 歌詞 訳」でYahoo!検索すると、ウチが

約163件中の4位でヒットするわけだ。その事を前から知ってたにも関わらず、

これまで訳を載せてなかったのは、英語で十分だろって気持ちもあったけど、

それ以上に著作権に配慮してのこと。少なくとも、無断の全訳は、JASRAC

(日本音楽著作権協会)の高性能検索システムに見つかって怒られる可能性

が少なくない。

    

そこで、部分訳と本質と注意点についてだけ簡単に書いとこう。

まず、部分訳(or 要約)は次の通り元の英語は、検索すればすぐ見つかる。

    

   いつもあなたを待ち望んでます

   わたしのそばで ずっと導いてください。

   あなたが旅立つなら 私は付いて行きます。

   あなたがくれた聖なる命 あなたの魂と思って大切にします

   あなたと一緒に あなたの望みを携えて 私は世界中を旅するでしょう

    

「旅」って言葉は、第1シリーズを見てないとピンと来ないかも知れない。要す

るに朝田は、世界中をさすらいながらゴッドハンド(神の手)を披露してるのだ。

もちろん、「世界中を旅する」って歌詞が、「どこまでも付いて行く」って意味も表

してるのは言うまでもない。

     

ただ、この曲の本質を理解するには、曲名の「aesthetic」っていう英単語の意

味を理解するのが最適だろう。これは普通に訳すと「美学、美意識」って意味

で、これだと朝田の手術自体やそれがもたらした平穏な世界の美しさを歌う曲

のように思えるだろう。その解釈は間違ってないけど、語源を遡るともっと深く

理解できるようになる。

     

「aesthetic」の語源は「感受する」っていうギリシア語なのだ。何かを感受する

ことは、それに対する美意識につながるってことなんだろう。でも、『医龍』の場

合はもっとストレートに、朝田が神の手によってもたらすものを、神の光のよう

にありがたく感受する、と解釈する方がしっくり来る。もちろんそれは、朝田本

人や患者その他の美意識にもかなってるわけだ。

        

なお、そもそも歌詞ってものは普通の言葉遣いから外れてることが珍しくない

けど、この曲の場合は日本人が書いた英語だ。文法的に、あまり細かい点を

気にするべきじゃないだろう。

例えば「You steers」の「s」、「Trying my life with」という言い回し、「I won't vain」

の「vain」の動詞的用法、「the all of the world」という表現などは、大まかな日

本人的感覚で理解すれば十分だ。

    

90年代の小室哲哉の全盛期に、歌詞の英語がおかしいって指摘があったけ

ど、そもそもクリエイターの仕事は新しく創り出すこと。過去や通常の慣例から

外れてても、多くの受け手に伝わるのなら、特に問題はない。

    

という訳で、今夜の第6話から始まるドラマ後半では、『aesthetic』の使われ方

にも着目してみると面白さが増すかも知れない。あるいは、もっとヒネった楽し

み方だと、『医龍』と本質的に同じだとウチが指摘してる『水戸黄門』の主題歌

『ああ人生に涙あり』(作詞・山上路夫、作曲・木下忠司)と比較するとかね♪

「人生 楽ありゃ 苦もあるさ~」って、苦ばっかみたいな気もするけどな。。^^;

それでは。。☆彡

        

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(11月22日追記) おかげさまで、Yahoo!を通じてこの記事へのアクセス

が続々と入り続けてる。第7話で、消化器外科医の松平幸太朗(佐藤二朗)

がスーパードクターとして復活した直後の曲の使い方もキレイだった♪ 医者

は神じゃないとか言いつつ、歌詞は神への讃歌なんだよな。。

        

cf.神話的虚構から人間的現実へ~『医龍2』第1話

   善悪の彼岸へ向かう水戸黄門~『医龍2』第2話

       ・・・・・・(以下、去年)・・・・・・

   権威的秩序vs破壊的天才~『医龍』第1話

   完成度の高い本格派~『医龍』第2話

   誤解と対立の爽やかな克服~『医龍』第3話

   君を必要としている人はいる~『医龍』第4話

   氷の涙~『医龍』第5話

   極限状況における人間の姿~『医龍』第6話

   屈折した愛と良心~『医龍』第7話

   『医龍』ひとまずリタイア・・

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受信: 2007年11月17日 (土) 05時40分

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受信: 2007年12月 4日 (火) 20時42分

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