« 心身不調で無理したのは逆効果だったか・・ | トップページ | 『ガリレオ』第6話、ドラマと原作の比較 »

『ガリレオ』第7話、ER流体とトリックについて

(☆13年4月追記: 新シリーズの記事をアップ。

    『ガリレオ2』第1話の数式、

       誘電体のマイクロ波加熱における電力半減深度&吸収電力 )

      

        

☆08年10月5日追記:1年ぶりのスペシャルに関する記事を追加。

          『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』の数式と図について

          操縦ることの巧みさと難しさ~『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』 )

              

        

          ☆          ☆          ☆      

自民党の麻生太郎が「脳内メーカー、知ってるか~」とか街頭演説で言ったら

しいってニュースから2ヶ月経過。これをパロって「ER流体、検索してるか~」

とかみんなに聞きたい感じだね♪ 第4話の円端具流はかなり流行ったけど、

第5話のキューピットの矢は簡単すぎたのかサッパリ。第6話は特に目新しい

話はなかったけど、第7話でまた登場。さて、今回はどの程度ヒットするかな。

今、放映終了後4時間だけど、早くも流行が終わってたりして。。

    

「ER流体」(electrorheological fluid=電気粘性流体)とは、湯川学(福山雅治)

の説明によると、

「電圧を加えることで、粘性が変わる液体だ。電圧が無い状態ではただの液

体だが 強い電圧をかけると固めることができる。これが今回の事件のトリッ

クだ。ER流体は、ロボットにとっての筋肉を作るために使用される。峰村の

勤める研究室にも、ER流体の業者の車が出入りしていた。・・・冬美さんは、

峰村の手によって計画的に殺害されたんだ。・・・人体を支えられるほど、ER

流体を固くするためには、家庭用の電圧では足りない。だから峰村は変圧器

を使ったんだろう」

    

さらに、東野圭吾による原作『予知夢』(文芸春秋)第五章「予知る」(しる)の

記述も補足しとこう。

エレクトロレオロジー流体だ。・・・通常だと牛乳のようだが、少し電圧を加え

るとクリームのようになる。さらに電圧を加えると凍ったアイスクリームのよう

にかちんこちんになる」。

固め方はかなりの微調整が可能で、しかも元に戻せるようだ(可逆的)。

      

ネットで検索すると、企業サイトのもっと丁寧な説明がすぐに見つかるけど、

今回の話を理解するには上の湯川の説明で十分だろう。ロボット研究所の

「HuRoBoT」(Human & Robot Technology)に勤める峰村英和(佐藤重幸)

は、ER流体を中に入れたダンパー(振動・衝撃吸収装置。ゆっくり縮む)を

ハンガーの縦棒に組み込んだ。普通にぶら下がる練習の時には、縦棒はゆっ

くり縮んで行って、足が下につくから首吊り自殺にはならなかった。湯川の実

験室でも内海薫(柴咲コウ)が最初にぶら下がった時には、ゆっくり下がって

いった。

                 

ところが瀬戸冬美(桜井千寿)の自殺本番では、峰村が遠隔操作して、縦棒

の中のER流体に電圧を加える。縦棒は固まってしまって縮まらず、冬美の

狂言自殺は本物の自殺になってしまった。それを向かいのマンションから見

菅原満(塚地武雅)がビビってる間に、峰村がハンガーの縦棒を普通のと

(ダンパーの部分だけ)交換して、変圧器も片付けて、管理人を呼びに行く。

その様子は峰村の携帯からテレビ電話で、静子(深田恭子)に送られてた。

ダメじゃないか!深キョン! 可愛いけど♪☆

                      

ちなみに、「ER流体」の「E」は「electro」だから「電気の」って意味だけど、「R」

の意味にはちょっと意表を突かれた。rheological」を直訳すると、「レオロジー

的な」。レオロジーとは、物質の変形や流動に関する学問で、その語源は古

代ギリシアの哲学者・ヘラクレイトスの有名な言葉、「万物は流転する(パンタ・

レイ=panta rei)」にあるらしい。2500年も時代を遡る壮大な由来なのか。。

    

結局、「ER流体」を直訳すると、「電気的で、流れの学問が扱うような、流体

(≒液体)」ってことになるだろう。まだ発見されて約50年の新しい物質で、当

初はウインズロー(Winslow)流体と呼ばれてたとのこと。シリコンオイルなど

の絶縁油の中に粒子を分散させて作った「分散型」ER流体が一般的らしい。

流動パラフィンにコーンスターチを混ぜるだけで出来るそうだけど、電極や変

圧器の準備までやる気はしないな。そんな事やってる間に、世間はER流体

なんて忘れてるだろうし。先週の水に浮かぶ文字(オブラート+油性ペン)の

お手軽実験でさえ、実際に試す気はしない・・(^^ゞ

          

ちなみに、ネット百科事典・ウィキペディアの説明は、極端に短くて単純でおま

けに分かりにくい。株式会社ERテックのサイトの方が、図やグラフもあってカ

ラフルで、遥かによく分かる解説だった。今回の業者の車はこの会社のもので、

車体に大きく「ER Tec」と書かれてた。ま、宣伝効果のプラス・マイナスは微

妙だと思うけどな。殺人トリックの材料だもんね。。

              

ってことで、放映直後の小ネタ的ウンチクはこれにて終了。本格的レビューは

木曜深夜から金曜夜の間のアップかな。ER流体と今回のストーリーとの関連

を上手く解釈できるかどうかは、全く自信なし。一応これから考えてみるけどね。

ではまた。。☆彡

      

              

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.哲学者ヘラクレイトスが本当に「パンタ・レイ」(Παντα ρει

    万物流転=すべては流れゆく)って言葉を著作に書いたかどうかは不

    明だ。気にせず引用するケースが多いようだけど、著作とされる『自然

    について』は現存しないし、明確な証拠もない。ただ、すべては流れゆ

    くって感じの思想を持ってたのは確かだ。これは、仏教思想ともつなが

    るものだろう。。

           

P.S.2 今回の数式は、量が多いしレベルも高くて、時間がないからパスし

      ようと思ってる。多分、流体の応力テンソルの計算式で、ちょっと調

      べてみたけど分からなかった。ま、今まで十分な解読作業をやって

      きたから、たまにはいいでしょ。レースもあるから、忙しいのよ。

      それより、受付の女の子! 湯川のイタズラ書き、止めろよな!

      って言うか、何で都合よく油性ペンが置かれてるんだよ!♪

       

               

P.S.3 2013年6月15日の特番『ガリレオからの挑戦状~実験(ため)す』

      で、ER流体が登場したようだ。私が流し見したのは、しばらく後の

      大気圧で鉄タンクを凹ます実験辺りから。

        

     

cf.天才・湯川が示した物理学の解読と検証~『ガリレオ』第1話

   サンタと女、揺れる理系の男心~『ガリレオ』第2話

   ブランコとおにぎりでホカホカ~『ガリレオ』第3話

   科学と恋愛、2つの円端具流~『ガリレオ』第4話

   愛と矢、ひねくれた直進~『ガリレオ』第5話

   遠く離れたもののつながり~『ガリレオ』第6話

   つながりの中の細かい事~『ガリレオ』第7話

   結果が語る過剰なプロセス~『ガリレオ』第8話

   過剰な格差がもたらす劇的な出来事~『ガリレオ』第9話

   サンタを信じた科学者へのプレゼント~『ガリレオ』最終回

   操縦ることの巧みさと難しさ~『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』

              

         ・・・・・・・・・・・・・・・・

   『ガリレオ』第1話、レーザー光線の計算式

   『ガリレオ』第2話、光の屈折の計算式

   『ガリレオ』第3話、共振現象の証明

   『ガリレオ』第4話、超音波による泡の衝撃波に苦戦中・・

   『ガリレオ』第5話、キューピッドの黄金と鉛の矢は流行るかな♪

   『ガリレオ』第5話の数式、波動方程式の導出と一般解

   『ガリレオ』第6話の数式「フーリエ変換」について

   『ガリレオ』第8話の数式、アレニウスの式と2次反応速度式

   『ガリレオ』第8話の数式、2次反応速度式の計算と答

   『ガリレオ』第9話、雷の放電エネルギーの数式か・・

   『ガリレオ』最終回の数式1~熱伝導方程式

   『ガリレオ』最終回の数式2~熱伝導方程式の計算と答

   『ガリレオ』最終回、核爆弾処理シーンの数学的解説

  『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』の数式と図について

             

         ・・・・・・・・・・・・・・・・

   『ガリレオ』第1話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第4話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第5話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第6話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第7話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第8話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第1話の脚本チェック☆

| |

« 心身不調で無理したのは逆効果だったか・・ | トップページ | 『ガリレオ』第6話、ドラマと原作の比較 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『ガリレオ』第7話、ER流体とトリックについて:

» ガリレオ第7話「予知る(しる)」 [naotoの一人暮らし(仮)]
月曜は恒例の・・・naotoです。 どんなにレポートが忙しくても 文化祭で何もしてなくて追い詰められても ぜったいに見ます! ガリレオ。 今回のゲストは深田恭子と塚地武雅。 感想は。。。追記で! 大学生日記ラン... [続きを読む]

受信: 2007年11月27日 (火) 07時06分

» ガリレオ〜第7話・予知! [一言居士!スペードのAの放埓手記]
ガリレオですが、マンションの向かいの部屋で浮気相手が首吊り自殺をしようとしています。ご丁寧に電話までかけてくれるのですが、公開自殺は完了したようです。菅原(ドランクドラゴン塚地)は慌てふためきますが、菅原の後輩が現場にかけつけます。(ガリレオ・第7話予知るの感想、以下に続きます)... [続きを読む]

受信: 2007年11月27日 (火) 17時46分

» ガリレオ (深田恭子さん) [yanajunのイラスト・まんが道]
◆深田恭子さん(のつもり)深田恭子さんは、毎週月曜よる9時フジテレビ系列にて放送されている連続ドラマ『ガリレオ』の第7話に菅原静子役でゲスト出演しました。昨夜はその第7話が放送されました。... [続きを読む]

受信: 2007年11月27日 (火) 20時57分

« 心身不調で無理したのは逆効果だったか・・ | トップページ | 『ガリレオ』第6話、ドラマと原作の比較 »