『ガリレオ』第1話の脚本チェック☆
ドラマ放映後、4日後とか5日後にようやくレビューをアップするのが当たり前
になっちゃってるウチとしては珍しく、最新の記事をお届けしよう♪ 今日17日
に発売されたばかりの、月刊『ドラマ』2007年12月号(映人社)のシナリオ特
集は、『ガリレオ』第1~3話の脚本を掲載してたので、早速チェックした。
まず、メインの脚本家である福田靖(3話は古家和尚とのコラボ)へのインタ
ビューについて。11月号の『ホタルノヒカリ』の時には、脚本家・水橋文美江
に対するロング・インタビューがあったのに、なぜか今回は小さな囲み記事の
み。大まかに言うと4つの話があって、1つ目は執筆時期。春に依頼が来て
スタート、初夏から本格的に取り組み始めたらしい。東野圭吾の原作がちゃ
んとあるってことを考えると、準備期間は十分あったようだ。
2つ目は、湯川学(福山雅治)と内海薫(柴咲コウ)の描き方。原作『探偵ガリ
レオ』『予知夢』にはない内海を登場させるにあたっては、フジの月9ってこと
を十分意識したようで、第1話の学生食堂の「犬のアレ」に関するやり取りで
感じがつかめたらしい。それにしては、この言葉はその後使われてないけど
ね。個人的には、『ホタル』最終回でアホ宮=雨宮蛍=干物女(綾瀬はるか)
が似たような単語を連発した後だったから、またかよ!って感じだった。ま、
それ以外の湯川と内海の会話は全体的に面白くていいけどネ。。
3つ目は、第1話のプロット(大まかな筋書き)を書く際のポイント。レーザー
光線による殺人をテレビで簡単に描くと子供向けの感じになっちゃうから、何
度も失敗を重ねる「42回の殺人未遂」って話にしたそうだ。確かに、原作は
わりと簡単に書いてるし、そもそも金森(ドラマでは唐沢寿明)はそんなに執
念深い悪者としては描かれていなかった。
4つ目は、第1話の出来の素晴らしさに大喜びして、あちこちメールを送りま
くったっていう微笑ましいお話。ま、気持ちは分かるよな。内容も視聴率も大
成功のスタートだったもんね☆
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福田靖へのインタビューに続いて、本題の脚本に移ろう。『ホタル』ほどでは
ないけど、ドラマとの違いはわりと少ないかなって印象がある。ともかく、第1
話に関するドラマと脚本の興味深い相違点を7つ箇条書きにしてみよう。
①脚本には早くも、湯川に対する内海の思いが書かれてる。途中では「嫌い」っ
て言葉があるのに、最後には台詞の補足として「好感」。あっという間に、嫌
いから好きになっていた。ただし、湯川の側の気持ちは分からない。
②湯川の授業内容がかなり違う。特に、湯川が内海に質問する場面では、
湯川の「ブラウン運動」って言葉を受けて内海が「ブラウン管」と応えて笑わ
れてた。実際のドラマは「マイクロ波」と「マイ・クローゼット」で、これはドラ
マの方がバカバカしさがよく表れてるだろう。ちなみに、黒板の内容の指定
はない。
③栗林(渡辺いっけい)は、女性にグーで殴られたって話になってる。ドラマ
はレンガで、これまたドラマの方がいいだろう。
④脚本の金森は25歳で、これは原作の設定(20台初めくらい)に近い。また、
唐沢がやってたような、足をドンと鳴らす神経症的仕草は、脚本にはない。
⑤脚本の湯川は、地面に数式を書くことはなく、頭の中で数式が浮かぶだけ。
いまや爆笑シーンとなってるあの書きなぐりが、ベストの演出ってことかも♪
⑥ドラマは鏡を4枚(プラス1枚)使ってたけど、脚本は2枚だけ(原作は1枚)。
また、鏡と鏡の距離、鏡とターゲットの距離は20mで、1枚目の鏡と装置の
距離は8mとなってた。ドラマだと、100mと1mって感じだ。脚本の設定だ
と、鏡を0.01度動かした時の光線のズレは2.5cmくらいにしかならない
はずなのに、ドラマと同じく2mズレると書かれてる。80倍も大げさな表現だ。
ってことは、福田靖が物理的計算をしてないのは明らかだし、撮影の現場
でも気にしてないってこと。科学監修がいるのにね。なお、正しい計算につい
てはウチの物理記事を参照のこと。
⑦実験を続ける湯川に対して、ドラマでは内海が「行かないで!♪」とちょっと
甘えるようなセクシャルな台詞を口にしたけど、これも脚本にはない。
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とりあえず、今日のところはこの辺で十分でしょ。一言でまとめれば、やっぱり
ドラマは上手く作られてるなってことだ。第2話と第3話については、反応がま
ずまずで時間もあればってことで。
それでは。。☆彡
cf.天才・湯川が示した物理学の解読と検証~『ガリレオ』第1話
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『ガリレオ』第5話、キューピッドの黄金と鉛の矢は流行るかな♪
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