『ガリレオ』第6話、ドラマと原作の比較
無理があるなぁ。忙しい秋に毎週3本のドラマ記事なんて。。原作記事は『華麗
なる一族』で始めたことだけど、あれは1年で1番ヒマな冬のこと。春夏はとも
かく、時間がない秋にまで引きずったのは大失敗だったかも。生活全体で見る
と、ここ5年くらいで最悪の状況になってしまってる。でも、あと1ヶ月弱のガマン
か。ならぬ堪忍、するが堪忍。する価値がある堪忍かどうか、疑問だけどね。。
という訳で、ボヤキから入った今回♪ 1話完結型の科学ミステリー・ドラマで、
第7話の放映後に第6話の原作情報なんてアップしても、読む人はあんましい
ない。でも、湯川(福山雅治)や静子(深田恭子)と同じく「細かい事が気になる」
性格だから、ここで原作記事を中断するのも気になるし、ドラマと原作の違い
も自分で気になる。ま、今回もサラッと軽く書いとこうか。例によって東野圭吾
の原作『予知夢』(文芸春秋)をこれから読もうと思ってる人にはお勧めしない
のでご注意あれ☆ では、ガリレオ・シリーズの「夢想る」(ゆめみる)について、
ドラマ第7話と原作第一章を比較してみよう。いつものように、箇条書きで淡々
と書いていこう。
☆ ☆ ☆
①ドラマの坂木八郎(新井浩文)は、原作では坂木信彦だ。ドラマは、幼馴染っ
て設定にした内海薫(柴咲コウ)に、「ハチ♪」と親しげに(ちょっと上から目線
で)呼ばせたかったんだろう。また、画家・北野宗平の「Sohei」、坂木八郎の
「hachi」、森崎礼美(堀北真希)の「Remi」っていう3つのサインの最後を、す
べて同じ「i」の形に揃えたかったと思われる。
原作の坂木は家業の電気工事業を手伝う27歳の男で、占いも絵も関係ない
代わりに、器械体操の経験を持ってる(だから窓までよじ登れる)。森崎由美
子(ドラマでは手塚理美)に猟銃で狙われて逃げる際、ひき逃げ事件を起こし
てしまってるから、ハッキリと犯罪者だ。それに対してドラマでは、坂木は結局
被害者って感じが強くて、ストーカー行為や住居不法侵入の罪を問われるこ
ともなく、内海と親しげな笑顔で別れていった。原作より、かなりイメージ良く
描かれてたわけだ。外見は怪しいけどね♪
②ドラマでは、由美子が坂木をおびきよせるために、オブラートに油性ペンで
「私に会いに来て」とか文字を書いて、占い用の水がめに浮かべた。原作で
は、単なるワープロで打った手紙にすぎない。
ドラマはかなり無理があるけど、視覚的・視聴率的に考えると上手かったと思
う。フジの月9は、理屈や現実性よりも、感覚的・イメージ的な心地良さを優先
する時間帯なのだ。明確な女性狙いの方針で今の地位を築いたと言っていい。
今回の『ガリレオ』みたいな科学的ドラマでも、福山雅治のビジュアルと人気を
最大限に活かしてるのは、月9として全く自然なことだろう。
③今回の謎の中心は、「モリサキレミ」を巡る不思議なつながりだ。ドラマでは、
森崎由美子の浮気相手の画家・北野の所に、幼い坂木と内海が遊びに来て
たことになってた。北野と由美子の間にできた娘・礼美の名前を、北野が内海
の呼び名として使ってたから、内海のことを好きだった坂木の心の恋人が「モ
リサキレミ」になって、作文の内容や占いの館の名前や守護天使につながって
いく。
原作は相当違う設定だけど、同じく複雑なものだ。森崎由美子の浮気相手の
デザイナー・桜井努には、真子という娘がいて、由美子から貰った女の子の
人形に「モリサキレミ」と名前をつけて可愛がった。真子が交通事故で死んだ
数年後、桜井と分かれた由美子は、(桜井との?)娘に礼美と名前をつける。
一方、真子と仲良しだった幼い坂木は、真子の形見として桜井から人形をも
らって大切にしてたから、親に人形を捨てられてしまった後も、「モリサキレミ」
という名前を心の底で大切にしてた。
こうして、原作では人形の名前を起点にして、女子高生・森崎礼美と坂木信彦
の間に神秘的なつながりが生じたわけだ。坂木が礼美を知ったのは「ちょっと
したきっかけで」としか書かれてない。由美子が坂木を殺そうとしたのは、桜井
との浮気の発覚を恐れてのことだ。バレるのは嫌だし、バレそうになると途方
もない事までやりかねないけど、にも関わらず浮気はする。ドラマと原作が共
通して描く女のイメージには、う~ん・・って感じかも♪
ドラマを見終わった直後には、ゴチャゴチャして分かりにくい話だなって印象
だったけど、原作と比べてみると、謎の脚本家・松本欧太郎がかなり頑張っ
てるのが分かって、ドラマの印象もアップした。原作と比較する作業には、こ
うゆう効果もあるのだ。
④ドラマでは、採取した水を使った実験シーンが超地味だった代わりに、湯
川が大きな彫刻を作るシーンがいいアクセントになってた。もちろん女性ファ
ンにとっては萌えシーンでもある♪
原作ではなぜか実験室で学生が綱引きをやってて、腰高フォームのチームと
腰を落としたチームのどちらが勝つか、湯川が草薙刑事(ドラマでは北村一輝)
にたずねるシーンがある。深読みは可能かも知れないけど、普通に見るなら、
湯川がいつものように理系オンチの草薙をからかうお遊びシーンだ。ちなみ
に、草薙はどっちが勝つと予想したか、結果はどうだったかについては、あえ
てここには書かないことにしよう♪ 湯川の説明がどの程度正しいのか、ちょっ
とビミョーだけどね。。
⑤そもそも何でこの事件が天才物理学者のもとへ持ち込まれたかって点に
ついては、ドラマと原作は大きな共通点を持ってる。ドラマは内海の好奇心、
原作は草薙の好奇心と言うべきだろう。2人とも「不思議な事が気になる」性
格なのだ。(蛇足だけど、第7話のパロディね♪)
ただし、ドラマの場合は内海が湯川に会うための口実作りって側面が強い。
それに対して原作は、マスコミや裁判の対策だなんて言い訳してるものの、
草薙が湯川と一緒に遊んで半ばサボリたいって側面が強いだろう。。
☆ ☆ ☆
ま、この程度書けば十分でしょ。特に③を書いたことで、自分自身の頭の中が
整理された♪ スッキリした所で、今度は第7話の本格的レビューの方に取り
かからなきゃね。って言うか、ブログ以外の用事が山積みだわ・・^^;
早く正月休みが来ないかな♪ ではまた。。☆彡
cf.天才・湯川が示した物理学の解読と検証~『ガリレオ』第1話
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『ガリレオ』第5話、キューピッドの黄金と鉛の矢は流行るかな♪
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