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『ガリレオ』第7話、ドラマと原作の比較

第8話の数式は、僅か2時間できれいに解明♪ 今週はちょっとだけ時間的

余裕ができたかなと思ってたら、想定外の仕事が入ってきた。忘年会の予定

もあるし、美容室には行かなきゃなんないし、そろそろ年賀状なんてもののプ

レッシャーも生じている。とてもドラマ記事なんか書いてる余裕はないよなぁ・・

とか内心ブツブツぼやきつつ、それでも必死に頑張ってるわけよ。マニアの哀

しい性(さが)って奴か。。

     

な~んて言ってる時間はないから、サッサと形だけ整えて書き上げよう。正直、

8日前のドラマなんて早くもうろ覚えになってるんだけど、録画とメモと自分の

記事を頼りにして、いつものようにドラマと原作を淡々と比較してみる。

ドラマ第7話「予知る」(しる)は、東野圭吾『予知夢』(文芸春秋)だと第五章。

つまり、『探偵ガリレオ』から『予知夢』へと10章続く原作の、一番最後の話だ。

箇条書きの比較の前に、毎度お馴染みの一言。以下の文章は、広い意味で

はネタバレの記事と言えなくもないから、くれぐれもご注意あれ☆

     

        ☆          ☆          ☆

ドラマ第7話の最大の見せ場は、湯川学(福山雅治)の謎解きや内海薫

(柴咲コウ)とのやり取りではないし、巧妙なトリックでもない。何と言っても、

金に執着する悪女・静子を好演した深キョン=深田恭子の可愛さだ♪ 細か

い事が気になるっていうキャラは、湯川との共通点を作ると同時に、携帯の

動画で自殺現場を監視するっていうインパクトある話を持ち出すためだろう。

    

それに対して原作の静子には、さほどインパクトはない。「おとなしく物静か

で、何事もそつなくこなす優等生だ。どんなときでも夫と家庭のことを一番に

考えてくれる」ってことで、ドラマと違って峰村(ドラマでは佐藤重幸)と不倫関

係にはあったものの、「美人」を強調する描写はないし、それどころか同じマ

ンションの少女(後述)に「おばさん」と呼ばれてしまってる♪

    

ドラマの菅原(塚地武雅)は食品加工会社を経営する資産家で、女にモテ

ない鉄道オタク&AV観賞男っていう淋しい話になってた。ダンボール箱や鉄

道バーに書かれてた「菅原ハム」って文字が、ちょっと可哀相に思えたほど。

   

それに対して作の菅原は、大学ヨット部の後輩・峰村と同じ会社に勤める

営業マンで、ドラマほど哀れな感じはない。ただ、実家が資産家だから金に

困らないって所は、ドラマと同様だ。

    

要するにドラマは、菅原の惨めなキャラを強調して栗林(渡辺いっけい)や鉄

道と重ねることで、美しい静子や天才・湯川との対比(or 格差)を鮮明にして

たのだ。だから、湯川を菅原と栗林の仲間にするためには、「変人」っていう

ネガティブな面を強調する必要がある。そのために、内海は「変人!」と叫ん

でたし、ラストの湯川は『鉄道ジャーナル』の「クモハ」に感動して不気味な笑

いを響かせてたわけだ。ドラマだからいいけど、あれが現実だったら、内海じゃ

なくてもちょっと怖いかも♪

          

ドラマの峰村は金に困ってた研究者で、金に執着する静子と手を組んで、

最後はいきなり死体になってしまった。おそらく自殺って話で、静子に殺され

た可能性は残るけど、差し当たりはその証拠が無い。

    

原作の峰村は開発部所属の研究員であると共に、静子のW不倫相手。

原から金と妻の両方を奪い取ろうとして、最後は自分の妻にバレてしまって

激しく動揺。ただし、死んではいない(一応・・)。ドラマと違って、自殺の際に

菅原の部屋のカーテンは締めてないし、ハンガーのER流体入りダンパーを

片付ける様子も描かれてないから、その辺りは湯川の推理になっている。

    

ドラマで首吊り自殺したのは冬美(桜井千寿)。ワガママっぽく見える若い

女の子で、静子らにそそのかされて菅原に接近したって設定。最後の瞬間

に菅原に「冬子!」と間違えられて皮肉っぽく笑ってた。

   

原作ではこの「冬子」の漢字だけ違ってる「富由子」が自殺。キャリアウーマン

で、仕事を通じて知り合った菅原と本気で不倫した上に妊娠中絶。そんな状

況で、静子と峰村の不倫を知ったので、自分から話を持ちかけたようだ。この

辺りに限らず、人物描写や経緯は原作の描写の方が細かいことが多い

ちなみに、ドラマが若い女の子にしたのは、ヴィジュアル的効果と共に、年上

の大人に騙されて死ぬ世間知らずって部分を強調できるからだろう。

     

トリックについては、ドラマと原作は根本的に同じで、電圧によって粘性が

変わるER流体を入れたダンパーを、ハンガーラックの縦棒に仕込むって話

だ。ドラマの内海の代わりに、原作では草薙刑事(ドラマでは北村一輝)が、

実験室のハンガーでぶら下がって実体験する。その程度の違いにすぎない。

    

ただ、原作で無かった「電気が消えた」って話が、ドラマの謎解きでは大きな

役割を果たしてた。これはひょっとすると、科学監修の東京大学・大島まり研

究室あたりから、電力消費の大きい変圧器が必要だっていう指摘があったの

かも知れない。あるいは、原作の湯川がかなり唐突にトリックを見破った点に

ドラマスタッフが引っかかったための補足かな。原作では、工場見学もER流

体業者の輸送風景もないから、トリック周辺の描写に関しては、ドラマの方が

よくできてた。

    

ドラマで「予知」したのは菅原だけど、原作では同じマンションに住む少女。

寝てる途中で目が覚めて見たって話だけど、夢の可能性も残ってたから、神

秘性が増して「予知」って感じが少しある。おまけに話の最後には、少女が本

物の予知をしたような描写まであった。ここではあえて省略しとこう♪

    

本格的レビューの方のP.S.にも書いたけど、ドラマは単に1週間前に同じ

光景を見たってだけだから、ほとんど「予知」の名には値しない。自殺シーンっ

ていう特別なものとはいえ、間を空けて2回同じ場面を見るなんてのは日常

的にいくらでもあることだ。

ただ、予知を菅原にさせたって点だけは一応評価できる。第6話の内海の使い

方もそうだけど、なるべく主要なキャラを利用して話を作りたいわけだ。予知す

る少女を可愛い子に演じさせるんじゃ、深キョンの圧倒的存在感がちょっと薄

れちゃうしね。

                   

原作に鉄道関連は出てこないし、謎解き助教授のマネをする助手も登場

しない。実験を手伝う学生もなしで、もっぱら湯川と草薙の2人が活躍する。

ドラマとしては、そのままだとシンプルすぎるわけだろう。5年前に一度ドラマ

企画がボツになったって話(公式サイト)は、その辺りにも原因があるのかも

知れない。。

    

        ☆          ☆          ☆

という訳で、今回も何とか書き終えた。もっと早くアップしたいのは山々なんだ

けど、色々と用事が立て込んでるから後ろへ後ろへとズレ込んでる状況。結

局、立ち直るのは正月明けかな。

ではまた。。☆彡

    

cf.天才・湯川が示した物理学の解読と検証~『ガリレオ』第1話

   サンタと女、揺れる理系の男心~『ガリレオ』第2話

   ブランコとおにぎりでホカホカ~『ガリレオ』第3話

   科学と恋愛、2つの円端具流~『ガリレオ』第4話

   愛と矢、ひねくれた直進~『ガリレオ』第5話

   遠く離れたもののつながり~『ガリレオ』第6話

   つながりの中の細かい事~『ガリレオ』第7話

   結果が語る過剰なプロセス~『ガリレオ』第8話

   サンタを信じた科学者へのプレゼント~『ガリレオ』最終回

         ・・・・・・・・・・・・・・・・

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   『ガリレオ』第2話、光の屈折の計算式

   『ガリレオ』第3話、共振現象の証明

   『ガリレオ』第4話、超音波による泡の衝撃波に苦戦中・・

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     ・・・・・・・・・・・・・・・・

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