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テレビの視聴率について再び考える

2006年12月6日のウチの記事「テレビの視聴率(上)」では、朝日新聞の記

事で解説されてた視聴率というものについて、私のとらえ方を次のように書い

ておいた。

   

   原則として週1本だけとはいえ、本気でドラマ・レビューを書いてて、さらに

   他のドラマにも多少は目配りしてるブロガーとしては、どうしても視聴率と

   いうものに関心を持たざるを得ない。もちろんそれは、自分が注目するド

   ラマの視聴率が高ければ喜んで、低ければ悲しむなんて単純で平凡なも

   のではない。高いものを見て低いものを見ないって訳でもない。・・・逆に自

   分が評価するドラマの視聴率が低い方が嬉しいなんて部分もある。なぜな

   ら、多くの人には分からない良さが、自分には分かるって事になるからだ。

   視聴率に対する私の主な関心は、・・・脚本への関心と同種のもの。つまり、

   ドラマを構成する重要な要素の一つ・・・ドラマを理解する上での、一つの

   重要な外的要素が視聴率・・・」。(着色は今回)

      

この1年以上も前の記事から今さら長々と引用したのには、2つの理由がある。

1つは、昨日(2008年2月10日)の朝日新聞朝刊3面の特集記事が「視聴率 

重みと限界」だったこと。「あしたを考える」というシリーズの中の、最近の企画

が「テレビどこへ 選択のとき」で、その1テーマとして視聴率が取り上げられた

わけだ(執筆記者は青山祥子雑崎徹)。

   

もう1つの理由は、先日のウチの本格的ドラマレビュー「善悪の混沌への誘い~

『あしたの、喜多善男』第5話」で視聴率の話を書いたから。ウチが冬ドラマから

1本だけ選び出した『喜多善男』の視聴率が、5.2%なんていう記録的に低い

数字に落ち込んだことに衝撃を受けたことから書き始めたものだった。

     

さて今回の朝日の記事は、最新の話を取り入れてキレイにまとめたものではあ

るけど、1年以上前の解説と比べて大きな違いは感じなかった。簡単にまとめ

ておこう。

            

調査してるのはただ1社、放送局や広告会社が出資するビデオ・リサーチ社の

み。全国27地区で専用機器を使って自動的に調査。うち、11地区で毎日集計。

記録は1分ごとで、いわゆる番組視聴率とは放送時間中の平均値。普通は世

帯視聴率だけど、関東・名古屋・関西の3地区では個人視聴率も毎日集計。調

査世帯は無作為の抽出で、上の3地区では各600世帯、他は各200世帯。

聴率をもとに、CMの価格や量(本数や時間)が決定される。

視聴率調査方法の技術的問題としては、統計的誤差(600世帯地区で1.8~

4.1%)、計測されない視聴の増加(録画・パソコン・ワンセグなど)が挙げられ

る。2011年の地上デジタル放送完全移行を前に、新たにより詳細で正確な視

聴率調査の検討が行われてる。。

     

この視聴率が、たとえば放送中の連続ドラマにどう影響してくるかというと、まず

ドラマ自体については、内容・ゲスト出演者・放送期間・続編(orSP)企画など

に影響がある。視聴者の側では話題性・安心感・満足度などにつながっていく。

ブロガーの世界ではさらに、記事数、記事内容、反応(アクセス数、コメントなど)

の形で変化が現れる。

    

こうして、テレビを中心とする世界全体に視聴率が関わっていくわけだけど、数

年前の偽装事件の際にも議論されたように、「視聴率至上主義」には批判も多

い。けれども、多数の視聴者の意見を把握するにはやっぱり視聴率しかないと

いう反論が遥かに勝ってるのが現状だ。

それに対して、「視聴質」を調べたり重視したりする動きも一応ある。テレビ朝日

と慶応大が97年から始めたネット調査「リサーチQ」、オリコンの「ドラマ満足度

ランキング」、あるいは、大手スポンサー企業への反応の調査など。

     

          ☆          ☆          ☆

さて、ここからは私の考えを書いて行こう。そもそもテレビ局がなぜ視聴率を稼

ぎたいかというと、局のイメージアップ、優秀な人材の確保とかもあるだろうけ

ど、最大の理由は広告収入その他で利益を増やしたいからだ。つまり、視聴率

とは金、マネーの問題なのだ。業績のいいテレビ局の株価は上がりやすいから、

株主の資産価値上昇、配当収入増加にもつながることになる。

        

でも、これは企業の問題、資本の論理というものだ。それに対して、実際に番

組を作ってるのは、お金じゃなくて人間だ。制作サイドの人間全体、特に番組

に直接関わるスタッフ&キャストの問題。その中でも、リーダーシップを取れる

中心人物がいるわけで、スタッフならプロデューサー・演出家or監督・脚本家・

音楽担当者。キャストなら、主要な出演者5人~10人程度。

   

この人たちの大部分は、現在それなりの収入を得てるはずだし、今後しばらく

も大丈夫なはずだ。そうゆう人たちが、目先の視聴率や収入の変動にとらわ

れることなく、いいもの、新しい番組、やりたい企画を実現していけばいいだけ

のことなのだ。たとえプロデューサーが上層部からの圧力をはね返しきれない

としても、現場の人間全体で圧力の効果をうやむやに吸収してしまえばいい。

    

もちろん、そのためには、周囲のフォローも必要だろう。たとえば、自分の意識

でしっかり仕事してる人間が、残念ながら仕事で窮地に追い込まれた時に、救

いの手を差し伸べる映像関係者。これは、現実社会の中で一般に起きてること

のはずだ。視聴率取れなくて干された人の仕事ぶりをしっかり見つめる視線は

確かにあるし、もっと増えるべきだろう。いまや転職&キャリアアップの時代、

終身雇用制度が揺らいでる時代でもあるのだから。

   

また、視聴率が落ちても内容に問題が無ければCMを提供し続けるスポンサー

の姿勢も必要だ。『あしたの、喜多善男』第5話で言うと、LION、TOYOTA、 

ヘーベルハウス、KDDI、DHC、エースコック、DAIHATSU、VISA。もちろん、

番組スポンサーがその番組を評価してるとは限らず、単にCMの量を確保した

くてたまたまスポンサーになってる可能性もある。CM続行も、単なる契約上の

ことかも知れない。でも、事実としてその番組に多額のCM料を払ってるわけだ

し、少なくともCM打ち切りより継続の方が番組作りにプラスなのは確かだ。

         

そして最期は、視聴者のフォロー視聴率は低くてもこの番組は素晴らしい

いう思いを、何らかの形で制作サイドに届けることが重要だ。例えば、毎回見

続けること、満足度調査で高く評価すること、公式サイト等の書き込みでの応

援、満足度調査で高いポイントを付与すること、DVDの購入やレンタル。そし

て、ブログなどの個人的情報発信。一つ一つはちっぽけなこうした行動は、や

がて視聴率とは別の力を、確実に制作サイドに与えていくはずだ。テレビ番組

の応援に限らず、何に関しても、一般市民が出来ることはこうゆうことだし、実

際これらは無視できない力を発揮してきたわけだ。

               

制作サイドの意識とか、それに対する周囲のフォローとかで視聴率に対抗でき

るなんていう考えは現実離れした机上の空論にすぎない、とかいう反論は、当

然あるだろう。でも実は、この反論の方がむしろ現実離れした虚構なのだ。増

殖するブログや動画投稿(YouTube、ニコニコ動画など)を見てみよう。これら

のほとんどは、全く儲からない表現、あるいは赤字の作品なのに、私も含めて

非常に大勢の人が世界中でエネルギーを注ぎ込んでいる。人間が生きるとは

こうゆうことだ。

       

生きるために、最低限の金は必要だ。でも、生きるとは金を増やすことでは

いし、貯めた金は死後には紙くずになる。財産は一気にゼロ円の価値になっ

てしまうという事実から目を背けた生き方の方が、遥かに現実離れしたものだ。

遺産を家族が分け合った時点で故人の存在はほぼ消えるし、そもそも金や土

地などの財産は、当人が集めただけのものであって、創り出したものではない。

      

それに対して、しっかりした作品を創り出しておけば、死後も社会の中で、人々

心の中で、その創造は生き続けるし、本人の存在も消えることはない。「最期

は笑って死にたい」という言葉の意味をよく考えてみよう。魂の永遠性などとい

うものは認めない人でも、自分が死んだ後のこの世について気になる人は多い

だろう。だからこそ、人は生命保険に入るのだし、ある種の覚悟をもった自殺も

無くならない。現代科学が宇宙の最期について語るのを思い出してもいいだろ

う。全員いなくなった世界でさえ、人は気になるのだ。自分の死後の数十年、数

百年にわたって、社会の中で自分の生きた証が愛され続けることの凄さを考え

てみよう。。

                            

という訳で、ウチは今後も、『あしたの、喜多善男』を支援し続ける。内容の質

が急激に悪化しない限りは、たとえ視聴率が低くても、金にならなくても、目先

のアクセス状況が悪化しても。だから、スタッフ&キャストにも、今まで通り優

れたドラマを作り続けて欲しいもんだ。

あなた方がやってる仕事を理解し評価してる人間は、確かに存在している。

とりあえず、ここに1人。そして私も、数百年後まで価値を持ち続けるようなレ

ビューの創造を目指して歩んでいこう。。☆彡

    

cf.テレビの視聴率について(上)

  テレビの視聴率について(下)

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コメント

テンメイさん こんにちは

「たかが視聴率 されど視聴率」って感じで捉えています
振り回されて欲しくはないけど
無視することもできない

テンメイさんのおっしゃるように
数字にこだわらず いいものを作りたいという信念は失わずにいて欲しいし
それを見極め 後押しできる視聴者でいたいですね

興味深い 記事でした

p.s.
ファン活動以外の活動を薦める お言葉
ありがたく頂戴いたしました(笑)
ちょっと ズキンときました(笑)

投稿: anan | 2008年2月12日 (火) 15時34分

> anan さん
  
こんばんは 毎度どうもです
たかが視聴率、されど視聴率ってことは、後ろの
されど視聴率の方が強調されてるわけですね。
  
実は僕の場合、この記事に書いてない思いがあるので、
低視聴率とか少ないアクセス数っていうのはかなり
引っかかるんですが、それはまた別の機会に書きましょう。
視聴率にこだわってもこだわらなくてもいいから、
とにかく良いものを作って欲しいし、良いものは応援したい。
とりあえず自分が出来る一番のことといえば、
良いレビューを書き続けることだと思ってます。
僕自身も、良いブログや善いブロガーを目指したいですしね!
   
ファン活動以外の活動のお勧め、出過ぎたこととも
思いましたが、思い切って書いちゃいました ^^
ズキンときたってことは、期待していいんですかね。
「ちょっと」だから、まだプッシュが足りないか。。♪

投稿: テンメイ | 2008年2月13日 (水) 01時03分

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