07年映画界を支配した東宝&テレビ局
昨日(2008年2月1日)の朝日新聞文化欄トップ記事は、「圧勝・東宝、TV
が主導」、「’07興行収入、上位10本『独占』」という見出しで、映画界の現状を
伝えてた。1月31日に日本映画製作者連盟が発表した全国映画概況から、
07年に公開された映画の興行収入ベスト10をまとめると、すべてが東宝系
(配給or製作)で、大半がテレビ局主体の製作だという記事だ。
朝日掲載の表を参考に、ウィキペディア情報を加味して書き直したのが上の表
で、映画とテレビの関係は予想以上に複雑だったので、単純化して書いてある。
1位、『Hero』(木村拓哉,松たか子)。2位、『劇場版ポケットモンスター』。3位、
『ALWAYS続・三丁目の夕日』(吉岡秀隆,堤真一)。4位『西遊記』(香取慎吾,
深津絵里)。5位、『恋空』(新垣結衣,三浦春馬)。6位、『ドラえもん』。7位、
『どろろ』(妻夫木聡,柴咲コウ)、8位、『マリと子犬の物語』(船越英一郎,松本
明子)。9位『アンフェア the movie』(篠原涼子,瑛太)。10位『名探偵コナン』。
「テレビ局主体」かどうかはともかく、すべてがテレビ局と深く結びついたものだっ
た。ちなみに、07年興行収入5位の松竹『武士の一分』は、06年末の公開なの
で、この表には入ってない。キムタク人気、恐るべしってことは感じるね。。
東宝はテレビ局とのつながりが非常に強いようで、「いい企画があれば、まず東
宝に持ち込むのは今や業界の常識」なんていうテレビ局幹部の言葉も引用され
ている。松竹や東映と比べて、東宝の抜きん出た力が示された格好だけど、実
は東宝主体で製作された07年の映画に大ヒットはない。結局は、テレビ局が邦
画界の実権を掌握してると言っていいだろう。
この状況に対して、映画業界紙『文化通信ジャーナル』の指田洋編集長は、「テ
レビドラマの延長のような企画ばかりが映画になって、それでいいのだろうかと
いう思いはある。他の2社も東宝のように、自前の映画製作に力をあまり注がな
くなると、日本の映画文化の衰退につながりかねない」と懸念を表明してるようだ。
私自身は、ここまで映画界がテレビ化してるのには驚いたものの、今の日本の
メディア状況を考えると当然かなって思いはある。映画よりも本よりも、まずテレ
ビ。ネット(PC,携帯)やDVD・ビデオも、テレビにはまだ勝てない。宣伝力もプ
ロダクションやスポンサーとのつながりも圧倒的だ。だから、映画がテレビ化す
ることは自然だし、「必ずしも」悪いことでもない。
ただ、テレビの「現状」を考慮すると、やっぱりマズイなという気はする。その多
くは無料だし、自宅や職場で見れるから、視聴者の見方もまったく気軽なもの。
途中でチャンネルを変えたり席を立ったり、携帯やパソコンをいじったりなんて
こともできるし、本気で見る人間もごく少数。アイドルや人気タレントの姿に萌え
たりして、その場だけちょっと楽しめれば十分という姿勢は、ドラマの世界から
も強くうかがえる。上で映画紙編集長が暗に示してるように、テレビドラマの現
状を全体的に見ると、大衆化しすぎてる、あるいは通俗的すぎると感じてしまう。
だから、映画界の水準をキープするためにも、テレビ界の「現状」が変われば
いいわけだ。と言うか、今や衛星テレビやネット、さらにDVDによる視聴も一般
化してるから、テレビとか映画とか言わずに、映像メディア全般の現状が上が
ればいいってことだろう。ただしその際、これまでの長い歴史でテレビを引っ張り
続けてきた映画界があまりにも急速に廃れるのは危険のような気はする。
いずれにせよ、とりあえず私個人ができることは、映像文化を本気で見る姿勢
を示すことしかないだろう。つまり、映像メディアに関して他人事のように、ある
いはコメンテーターのようにあれこれ口出しするよりも、自分が作ってるブログ
というメディアを向上させるしかない。ささやかながらも、自分が作り手の立場
に立って、記事という作品の製作に力を注ぐしかない。
ってことで、ウチは今後もマニアックな路線を貫いていく。ただし、あまり視聴率
(=アクセス状況)が下がるのもマズイし、時間もパワー限られてるから、多少
は妥協せざるを得ない。読者の人数を確保するとか、検索サイトのランクを維
持するとかってことも考えざるを得ない。
結局、現実を生きていくのは大変だなっていうのが、平凡な真実なんだろうね♪
それでは、また。。☆彡
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