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つながり合う心と心~『あしたの、喜多善男』第10話

 あなた 保険金殺人されかけたんですよ

 違います 生命保険に入ったのは 僕から言い出したんです

 ホントです 2人はそんな事しなくていいって言ったんですけど僕が入りますって

 とにかく お話聞きたいんで署まで来て頂けます? 長谷川リカは逮捕しました

 それは何かの間違いです 僕 命狙われた覚えないし 平太さんもリカさんも

 そんな事するような人じゃありません 平太さんは いい人です

 あの どこにいるか ご存知ですか?

 ・・・知りません

 探せ!

 あっ 平ちゃん! 警察よ 早く逃げて!

 平太さん さよなら

 平ちゃん!

 喜多さんは?

 あっち! あっちあっち!

    

       ☆          ☆          ☆

実に素晴らしい! 何回見ても、私のつぶらな瞳から星屑のような涙がこぼれ

落ちそうになるな・・・と書き始めると、熱心な読者には、第7話レビューからの

コピー&ペーストがバレちゃうかも♪ 美しさでは前回の方が上だけど、感動

ではいい勝負。ホントに涙が一滴流れ落ちてしまった。いや、真珠のようなとは

あえて言わない。ダイヤモンドのような涙☆ やっぱ、下山天の演出が一番いい

のかな。一気にひき付けられた最初の2回も、感動の第7話もそうだもんね☆

     

今回、雪遊び&温泉ツアーの間の録画ミスで、レビューは断念しかけたんだけ

ど、友人に頼んで録画を入手したのは大正解だった! これを見逃してたら、

感動する機会を損してただけじゃなくて、最終回がピンボケになってたかも知れ

ないな。ただ、もう時間がないし、レビューの準備段階で時間を使ってしまったか

ら、今週は軽めの記事で済ませよう。男たるもの、ナパ=三波貴男(今井雅之)

に言われなくても、現実と向き合って生きていかねばならないのだ。いや、女も

だけどさ♪

     

以下、先に軽めの一般的な話をして、後で重いマニアックな話をすることにしよ

う。ではまず、一番軽い小ネタ的なことから。私が色んな意味で面白かったもの

を、放送順に列挙してみよう。

    

喜多善男(小日向文世)の手のひらの傷を見た矢代平太(松田龍平)「だい

 ぶ薄くなって来たじゃん」と言った時、善男が髪の毛を触った所。あそこは、大

 げさにやられると逆に引いちゃう部分で、あっさりした軽さが良かった。

    

②平太が「何だ、あれ!」と指差したこと。再び登場したことで、この妙な台詞&

 仕草の意味はもうハッキリしただろう。第1話ですぐ指摘したように、これはファ

 ザコンのヒネッた表現なのだ。つまり、第二の父・善男と息子・平太の関係を、

 「何じゃ、こりゃ!」で有名な父・松田優作と息子・松田龍平の関係に重ね合わ

 せるパロディだ。

    

③保険調査員コンビ、杉本マサル(生瀬勝久)与田良一(丸山智己)の、「犯

 人、お前か?!」「オレっすか?」っていう、ナンセンスな古典的会話。あまりの

 無意味さと、サラッとした表現が笑えた。

   

④テレビ番組『オンリーワン インタビュー』の企画、「2000万女優 宵町しのぶ

 (吉高由里子)の魅力に迫る!!」で、インタビュアーの女性がしのぶに、「もっ

 と繊細な方なのかなと勝手に思ってた」とか、失礼な発言をした直後、突っ込み

 を入れるかのように、善男&平太のタクシーがブワーッと走ってくる映像に切り

 替わった所。こうゆう大人向けの抑えたギャグ表現は、他ではなかなか見られ

 ないもので、思わずクスッと笑ってしまった。

    

⑤三波の会社の前で、善男が逃げ出した途端にまたコケッ。その時、後ろに「通

 り抜けできません」と2つも表示があった所。このお遊び映像のくどい強調が笑

 えた。

   

三波の会社、(株)サームクルーン貿易。オンエア中から、絶対に意味がある

 なと思ってたから、さっき検索してみると、タイ語でサーム=三、クルーン=波

 合わせて、サームクルーン=三波なのだ。ちなみに、今現在、「サームクルーン

 三波 タイ語」で検索すると、Yahoo!もGoogleもゼロ。ってことは、2日後に

 はウチだけがヒットして、マニアックな小市民的喜びに浸れるわけよ♪ ま、実

 際にドラマで検索する人は3人いるかいないかって所だろうけど、ドラマと無関

 係のタイ語の検索が入って来たりするのが面白いわけよ。『ガリレオ』のレビュー

 だって、ドラマと無関係な数学や物理の検索がかなり入ってるもんね。

    

鷲巣みずほ(小西真奈美)「今日のあなたが一番魅力的ね」と皮肉っぽく言

 われた時の、森脇大輔(要潤)「あなたへの接し方を読み違えてました」って

 いう応答。これは、ぶっちゃけた言い方をすれば、MからSへと接し方を変えたっ

 てことだ。マゾヒスティックな従順な態度から、サディスティックな攻撃的態度へ

 の変更。秘書から反逆者へ。これは、第9話の森脇が、社長室の椅子に座っ

 てみずほを迎えたことと整合的だ。また、第8話のしのぶが、みずほと小指噛

 めおじさん・館道(平泉成)に対して「どM」と言った時に、森脇がジロッとみずほ

 を見てたこととも筋が通ってる。さらに、新しいタイトルバックの森脇の攻撃的

 なアクション(飛び蹴り)とも合ってるし、要潤の鋭い精悍な顔つきにもピッタリだ。

    

⑧善男のことが気になったしのぶが、仕事を抜け出そうとして、マネージャーの

 矢井田(吉家章人)にズルズルと廊下を引っ張られるシーン。あれって、子供の

 頃に遊びでやってた覚えがあって、懐かしかったし可愛かった。

    

⑨キャバレーの控え室で、キャバ嬢のプー(渡辺万美)まーくん(片山瞳)の「あっ、

 平ちゃん!」「警察よ! 早く逃げて!」っていう白々しいウソにあっさり引っか

 かった刑事2人(井田國彦、樋口靖)。録画を見直すと、あらかじめプーとまーくん

 が相談して、部屋の出口の方にスタンバイしてるんだね。なかなか賢いじゃん!

 まあ、犯人隠匿罪とか公務執行妨害の可能性まで考えてはないだろうけどさ。

    

        ☆          ☆          ☆

軽~い面白ポイントの羅列に続いては、私の涙の解説をしよう。エッ、いらない?

あっ、そう♪ ほんじゃスクロールして、この後の重い話へどうぞ。さて、今回のレ

ビュー冒頭に引用した会話が、ジーンと来た箇所で、上の⑨と同じくキャバレー

の控え室シーンだ。心理学者・三波の罪滅ぼしのアドバイスのおかげで(?)、ネ

ガティブ善男と1つになった善男が、最後に一目、キャバ嬢のエロカッコイイ衣装

を見に来たシーン。いやいや、そうじゃなくて、平太に別れを告げに来たシーン♪

    

まず、第6話の新宿中央公園と同じく、善男が缶コーヒーを渡す。ただし、前とは

逆に、冷たいのを渡して怒られて、温かいのに替えた。これはテクニカルだ☆ 

第6話の時点では、平太は温かい人間に見えて、実は冷酷な保険金殺人計画

犯だった。だから、温かいコーヒーが却下されて冷たいコーヒーになったのだ。

それに対して今回のあの時点での平太は、現実と向き合った善男にとって、冷

酷な男に見えつつも、やっぱり温かい人間だ。だから今度は、冷たいコーヒーが

却下されて温かいコーヒーになる。だから、平太が6話でも10話でも口にしてた

「こうゆう時は」っていう言葉は、非常に正確なのだ。

     

その後、距離を隔てた心のつながりの象徴としての携帯を、善男は平太に返却

する。つまり、最後の別れの象徴表現だ。この時、平太は改めて自分の悪だくみ

を告白して、「全部ダメになっちまった。もう喜多さんが生きようが死のうが・・」

言う。ところがここで、そんなの関係ねぇっていう去年の流行語の代わりに語尾

に続いたのが、「どこで死ぬつもりなんだよ。教えてくれよ」。つまり、関係ねぇの

はいまや金の方で、逆に喜多の生死は関係あるのだ。この辺りの平太の微妙

な心理は、ドラマ全体を通じて非常に上手く表現されている☆

    

特に繊細なのは、みずほとの取引の表現だ。今回も含めて、平太の悪だくみと

して保険金殺人の方は何度も強調されてた。でも、平太が善男を「殺すのを止

めて」、みずほから2000万受け取る約束をした後、善男に「死んで欲しくねぇん

だよ」と言ったことの罪に関しては、遠回しの表現しかないのだ。つまり、あれは

単なる金目当ての言葉じゃないわけで、だからこそ平太は、「全部ダメに」なって

も、善男がどこで死ぬのか教えて欲しいのだ。

    

その後、善男が、みずほとの思い出の場所に行くことを話しながら、「ほんの一

瞬だったけど心がつながった瞬間があった・・・初めてそんな幸せな気持ちにな

れた」と言った後、平太が善男への思いを告白しかける。「喜多さん。オレも喜多

さんとさ・・・」。この瞬間、恋愛ドラマにありがちなパターンで、キャバ嬢が告白を

妨害して来る。さらに刑事まで登場。ロッカーに隠れた平太の前で、善男は平太

長谷川リカ(栗山千明)をかばうのだ。彼らの悪だくみと自分の怒りをしっかり認

識した上で、それでも優しい部分、「いい人」の部分の方を見つめる善男。

     

そして、刑事が帰って善男も別れを告げた直後、ミュウ(桂亜沙美)の合図でロッ

カーから出て来た平太はすぐに、「喜多さんは?」と尋ねて、ミュウに「あっち」と

急かされるとすぐ探し始めた。リカが逮捕されたと聞いた直後だし、「あっち」に

は刑事がいるのに、平太は善男を探すことしか、善男を生かすことしか頭にない

ミュウも善男と平太のつながりしか考えてない。

     

この瞬間が泣けたのだ♪ 『ホタルノヒカリ』で高野部長(藤木直人)と雨宮蛍

(綾瀬はるか)が離れる時にも書いたように、切ない別れってだけでも私は弱い。

そこへさらに、自己犠牲による他人の救済っていう弱点まで突かれてしまうと

もう負けだ。騙された(or 利用された)自分の愚かさや怒りを乗り越えて、平太

とリカを救おうとする善男。逮捕される危険を顧みず、善男を救おうとする平太。

逆説的なことに、2人が別れた瞬間、心はつながったのだ。しかも、ドラマであり

ふれてる男女の恋愛話じゃなくて、親子のような男同士の人間的なつながり。

偶然から生じた深い絆。この美しさに、私は涙したのだ。。

    

        ☆          ☆          ☆

さて、もう時間が無いけど、最後に重いマニアックな話をしよう。上に書いたのは、

他人同士の心のつながりだけど、今度は自分の中での心のつながりだ。驚いた

ことに、偽装結婚&暗示催眠で保険金殺人を狙った極悪心理学者の三波が、

罪滅ぼしとして、フツーの善男とネガティブ善男を1つにした。

    

「ネガティブが見えてんのか。それは、暗示催眠のせいじゃない。喜多さんが自

分で作ってるんだよ、嫌なものを見ないために。見つめるんだよ。ネガティブと向

かいあうんだ・・・そうだ。しっかり見つめろ。・・・そして、1つになるんだ」

これだけで、あっと言う間にネガティブはフェイドアウト。善男は「いい人」から「フ

ツーの人」になった。周囲への不満や絶望を吐き出し始めたのだ。

    

これは、ウチが第3話から指摘してたことと一致してる。つまり、喜多善男とは、

善人なんかじゃなくて「着た善男」だったのだ。「善」人の外見を「着た」フツーの

「男」。だから、1つになるとは、キレイな上着の前ボタンを開け放して、インナー

の暗い色をも前面に出すことだ。他人の前にも、自分の前にも。

    

「ネガティブ」(=否定的)で表面的な見方をするなら、こんな簡単な人格統合が

あるとはとても思えない。幻覚と妄想が一瞬で治るなんてのは、少年マンガでさ

えないような話だ。そもそも三波は心理学者(=心の研究者)であって、精神医

学者やカウンセラー(=心の病気の治療者)とは微妙に異なる存在だし、11年

も研究から遠ざかって貿易商人をひっそりやってる人間にすぎない。たとえ元・

天才心理学者でも、できる事とできない事がある。先週のみずほへの言葉くらい

が限界のはずだろう。

    

ただ、もう少し突っ込んでポジティブに見るなら、ドラマとして必ずしもおかしな事

ではないかも知れない。誰だって、心の中のぶつかり合いくらい経験するはずだ。

たとえば、仕事や勉強をしたくない自分と、するべきだと主張する自分。あるいは、

もう相手(恋人、夫or妻、友人)とは別れようと思う自分と、別れたくない自分。あ

るいは、他人(特に親)を愛する自分と憎しむ自分(対立する2つの思いの共存=

アンビバレンス)。だから、ネガティブ善男による「迫害妄想もどき」を、それほど

精神病的に重く特別視する必要はないかも知れない。

    

一方、幻覚、つまりネガティブ善男が見えてしまってることについては、テレビ向

けの過剰表現として受け流すのが一番簡単だ。実際、ネタバレに注意してまだ

半分ちょっとしか読んでない原案小説『自由死刑』(島田雅彦、集英社)のp.176

~p.179に登場する「あいつ」は、善男に口出しして強い影響を与える存在だけ

ど、「自分とそっくりだが、全く違う成分でできている」と書かれてるだけ。目に見

える存在(=幻覚)とは書かれてないのだ。

     

もっと根本的なことを言うなら、心理学や精神医学の領域で一番基本的なことは、

「よく分からない」ということだ。だから、ドラマの喜多善男や三波について、現在

の全く発展途上な精神医学から見てどうのこうのと文句をつけることには、大した

根拠があるわけじゃない。専門家でさえハッキリした事は言えないのだから、まし

てや聞きかじりの素人視聴者の批判も、単なるボヤき程度のものだと思っていい

だろう。

    

実際、人間の心は学問に合わせて出来るんじゃない。その逆に、学問が人間の

心に合わせるべきなのだ。現在の精神医学を使って、ドラマの中だけで善男を

診断した時、病名に困るはずで、それは学問の側の不十分さを示してる。1人の

医師でも診断に困るし、複数の医師なら診断が分かれてしまうだろう。まるで、か

の有名な連続幼女殺害犯・宮崎勤に対する3人の専門家の精神鑑定のように。

    

一応、善男に対してすぐ頭に浮かぶ代表的な2つの病名(=疾患名)は、解離性

同一性障害(DID:Dissociative Identity Disorder)統合失調症(Schizophrenia)

だろう。前者は、大ざっぱに言えばいわゆる多重人格のことで、多重人格障害と

いう用語は今でも国際的基準の1つ、ICD-10(国際疾病分類第10版)に残っ

てるけど、現在では一応、米国精神医学会の最新の基準であるDSM-Ⅳ-TR

(精神疾患の診断・統計マニュアル第4版・解説改訂版)に従って、解離性同一

性障害と呼ぶのが普通とされている。

    

DSMによると、「成人女性では、成人男性の3~9倍」で、「1つの同一性からも

う1つの同一性に切り替わるのに必要な時間は通常数秒」というお話だ。病名

は難しく感じられるけど、超訳するなら「バラバラに心が分かれる障害」ってこと。

ちなみに、かなり市民権を得てきた「性同一性障害」なら、「性に関して心が分か

れる障害」ってことだ。

      

で、善男がどうかというと、解離性同一性障害とは診断しにくいと思う。ポイント

は、「バラバラ」とまでは言えない点と、幻覚だ。つまり、2つの人格が1分前後も

まともに会話してるし、お互いが相手の過去の状態を記憶してるし、普段は圧倒

的にフツーの善男が支配的だ。これではあまり診断基準に合ってないし、幻覚と

いうのもマニュアルにおいては目立つ症状とされていない(否定はされてない)。

    

一方、統合失調症(2002年夏までの訳し方だと精神分裂病、英語は不変)は

どうか。妄想と幻覚が特徴的な障害で、個々のケースも千差万別だから、善男

に対して診断できなくはない。一番軽症な「妄想型」なら、可能性はある。ただ、

DSMというマニュアルの判断基準の特徴として、「他の疾患ではないこと」とい

う厄介な要求がある。つまり、妄想と幻覚があって、仕事とかが上手く行ってなく

て、半年以上も症状が続いてるとかいう条件に加えて、感情障害、気分障害、

薬物、発達障害などの疾患ではない、という要求をみたさないと、統合失調症と

は言えないのだ。

      

ともかく、最新の精神医学を用いても、キレイに1つの病名を与えるのは難しい

し、病名が決まった所で、その中身が明確になってるわけでもない。まして、治療

なんてのは難解な話だ。という訳で、喜多善男の中で分裂した心が1つにまとまっ

てしまったのを、ハッキリおかしいと断定するのは難しい。おそらく、「解離性同一

性障害とか統合失調症とかよりも軽度の状態を、ドラマ的に誇張表現してるだけ

だから、あっさりと心が1つになっても許容範囲かな」、といった辺りが妥当な見方

だと思う。

    

       ☆          ☆          ☆

はい、読み流した人、スクロールした人、ここで戻ってきてネ♪ ともかく、善男

と平太、善男とネガティブ善男の心と心がつながり合って、めでたし、めでたし

てことよ☆ さらにそのつながりが拡がって、自殺は阻止されるってこと。ちなみ

に、上でやった「精神医学ごっこ」は、実在の人間に対してならやりたくないこと

だ。メディアはよくやってるけど、相手に失礼でしょ。技術的・能力的な問題と言

うより、倫理的・礼儀的な問題だ。

        

でも、喜多善男は架空の人物だから、失礼も何もないだろう。それに、書いた

内容に対してはそれなりに自信を持っている。ネットだの通俗的なマニュアル本

の受け売りに頼った話じゃなくて、元の専門書や英語の原文を参照して語って

るのだ。と言っても、所詮は素人のドラマファンだけどさ。マニアックだけど♪

     

で、ともかく善男は1つになった。大きく見れば、個人的には、不要なエピソード

がやっと無くなったってこと。いくら何でも、ネガティブ善男は目立ちすぎだった。

原案小説みたいにちょっとした味付けにすべき所を、サスペンス絡みでずいぶ

ん引っ張ったから、ますます身近に感じにくい話になってたのが、やっと普通の

自殺の話になったってこと。結婚に失敗、職場でも上手く行かず、知人の保証人

になって借金に追われる。ごくフツーの話だろう。平太やしのぶは、要するに新

たな知人ってことだ。キャバレーとか元アイドルとか、大した問題じゃない。

    

来週は、このドラマの一番重要な部分だ。自殺をどうやって止めるのか。今週は

もっぱら平太が活躍したから、いよいよ来週はお待ちかね、しのぶの出番だろう。

三波でさえこれだけ目立つ動きを見せたんだから、しのぶが最後を締めないと

全体のバランスが崩れたままになってしまう。平太は、リカほどの罪じゃないだろ

うけど、警察に追われる身のはず。それに対して、しのぶは芸能レポーターに追

われる身にすぎない。活躍しやすいでしょ♪

    

もちろん、みずほの動きも重要ではある。何しろ、いまだに善男はみずほ、みず

ほって感じで、平太に嫌そうな顔をされるほどだもんね。でも、みずほは、善男が

来週行く場所(箱根彫刻の森美術館か「クリスティーナの世界」に似た場所か?)

との関連だけでも十分存在をアピールしてるし、これまた余計なエピソードの鷲

巣英人殺害でも、ちゃんと決着をつけなきゃなんない。やっぱ、しのぶでしょ。個

人的に、吉高の活躍を見たいしネ♪

    

ま、結局は先週書いた通り、女性(しのぶ、みずほ、母)と「偶然」が最後に活躍

すべきだってこと。平太や男の友情を手助けする形でね。予告では、善男とみず

ほの楽しそうな食卓が映ってたけど、まさか真犯人逮捕&復縁で、結婚してハッ

ピーエンドなんてことにはなんないでしょ。月9や土9じゃないんだから♪  

    

予想と言うより、私が中心的スタッフ(脚本家 or 演出家 or プロデューサー)

ら、しのぶと母と偶然を前面に出して、善男は結局生き延びるけど、心のモヤモ

ヤは少し残るって感じで終わりにする。映像的には、善男が高い所から落ちる

か落ちそうなシーン(想像も可)を入れて、手のひらにはかすかな傷跡を残すだ

ろう。明るい色の洋服や、小曽根真のジャズピアノも当然入れたいな。再三登場

してる電車の映像は、1台(1編成)にするか2台(2編成)にするか。2台なら向

きをどうするか、迷う所。

    

真犯人はあんまし興味ないっていうか、本質的に重要じゃないけど、もう1人の

みずほ(ネガティブみずほ)か、全くの脇役(例えばウェイシスの幹部とか利害関

係者、英人の自殺も含む)か、どちらかじゃないかな。森脇は止めて欲しいね。

調査員の与田は絶対ないだろうし♪

    

ただ、どうも脚本家の飯田譲治は、みずほに劇的な活躍をさせたがってるよう

な気はしてる。今週、また黒づくめに戻ったみずほの服が、来週は真っ白な服

(ひょっとすると花嫁衣裳)になって、無愛想な顔が可愛い笑顔になって終了っ

て感じ。これだと、私は卓袱台をひっくり返すかも♪ ま、見てのお楽しみだ。

    

ともかく、2日後に迫った最終回に期待しよう♪ スタッフ&キャストの皆さん、

最後までよろしくネ。ではまた。。☆彡

    

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.また出てたね。パンダのデザインになってる、しのぶの小物入れか何か☆

    これがイケメン主演の月9とかなら、女子高生の間でヒットしても良さそう

    なもんだけど、ずっと視聴率5%台だもんなぁ。第10話は5.6%。

    山崎まさよしのCD『真夜中のBoonBoon』やサントラ盤も、苦戦しそうな

    感じ。明後日の視聴率くらい、7%まで上がってもいいと思うけど、むしろ

    5%キープを願う方が現実的かも。。

    

P.S.2 前から気になってるウェイシスの女性従業員、田中多枝子(水谷妃里)。

      ちょっと古風な美形で、暗いかげりがあるから、イメージ的には真犯人

      に出来なくもないんだけど、ストーリー的にはもう無理だね。与田と密か

      につながっちゃってるし。隣によくいる男性社員も無理。予告の映像に

      は、久々にカウンセラーの江端(岩松了)が出て渋い表情をしてたけど、

      まさかね。。

    

P.S.3 あんしん円満リースの丸山(眞島秀和)ともこれでお別れか。彼、イン

      パクトあったし、意外に検索が入るんだよね。熱狂的ファンが付いてる

      のかも。あの顔と声は完全に頭に焼きついたな☆

    

P.S.4 善男の診断として、ここ10年ほど話題になってる「ボーダーライン」

      (境界性パーソナリティー障害)の可能性も一応なくはない。でもマニュ

      アルを読む限り、いくら広大な領域を含む疾患とはいえ、苦しいと思う。

   

P.S.5 今回も、極度の不人気番組を支えてくれたスポンサーに感謝しとこう。

      TOYOTA、LION、VISA、ヘーベルハウス、KDDI、DHC、FUJIFILM、

      DAIHATSU、hoyu。どうもありがとう☆ 短縮で打ち切りにしなかった

      関西テレビにも拍手、拍手☆彡 

    

cf.パンドラの箱に残されたもの~『あしたの、喜多善男』第1話

   母を抱擁するマゾヒスト~『あしたの、喜多善男』第2話

   服のない人生はない~『あしたの、喜多善男』第3話

   魂の道の永遠性~『あしたの、喜多善男』第4話

   善悪の混沌への誘い~『あしたの、喜多善男』第5話

   父殺しへと向かったファザコン~『あしたの、喜多善男』第6話

   偶然という名のふれ合い~『あしたの、喜多善男』第7話

   束縛された愛の喜び~『あしたの、喜多善男』第8話

   死ぬ自由より、生きる不自由~『あしたの、喜多善男』第9話

   『あしたの、喜多善男』最終回、原作『自由死刑』との比較

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   『あしたの、喜多善男』第9話をサラッと見終わった直後・・

   吉高由里子のドラマ『紺野さんと遊ぼう』に期待☆

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

手作業TBあしたの、喜多善男 第10話 (アンナdiary)

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コメント

雪と遊んでて遅くなっちゃったの?(笑)
遅いよ。。。いや、フツウだよ。
テンメイさんだと思えば

>私のつぶらな瞳から星屑のような涙がこぼれ

私のこと?(爆)

このシーン良かったね~私も何回も見直して
しまった。。。こういうシーンがあるからみ続けた
のかもしれないな~私は。
ピアノのBGMもいいしね。
哀愁の漂う喜多さんが歩くシーンもいいし。

三波さんは、もうどうでもいいけど
結構好きなタイプ(爆)

今回、警察から平太と喜多さんを助けた
キャバ嬢が良かった。
キャバ嬢だからとバカにしてゴメンネ
。。。って言っておこう(笑)

でも、最後にスポンサーにお礼を言うところなんか
最高のスタッフだね、テンメイさん

投稿: アンナ | 2008年3月17日 (月) 13時02分

>アンナちゃん
  
雪遊びは楽しいよ!
アンナちゃんも、木村君に回す時間をちょっと
削って、雪ダルマ君に回しなさい 
遅れたのは、雪遊びだけじゃなくて録画ミスもあったのよ。
でも考えてみれば、丸5日遅れのレビューって、
前期の『ガリレオ』だとザラにあったことなんだよな。
って、開き直ってる場合じゃないか♪
1年前にはほとんどなかったことだもんね。。^^;
   
それにしても、アンナちゃんとは感動の場面がよくかぶるネ
オレも、3回目でもウルウルしちゃったわ。
やっぱ、凄くいいシーンがたまにあるだけで、
作品全体の印象が全然変わっちゃうよな。
このドラマ、BGMを小曽根真のピアノにしたのは大正解
小日向の歩き方は味があるね。前のめり気味でスタスタと。
   
どうでもいい三波さんがタイプ? 何じゃ、そりゃ!♪
暗示催眠にかかったとしか思えない。
いやぁ、アンナちゃんもキャバ嬢をホメてるとは驚いた。
って言うか、キャバレーのシーンにハマッたら自然なことか。
やっぱ、芝居慣れしてるらしいミュウが一番安定感あるね。
キャバ嬢、バカにしちゃダメよ。時給高いんだから。
って、そうゆう問題じゃないだろ!♪   
   
おぉ、スポンサーへのお礼に注目してくれるとは嬉しいな。
実はオレ、本当にスタッフなのよ。(ウソ♪)
桜の絵文字、ありがとう! もう花見の季節なのか。。

投稿: テンメイ | 2008年3月17日 (月) 23時15分

テンメイ様、こんばんは。

雪遊びからの無事生還よろしゅうございました。

ふふふ・・・まあ・・・
スリルを楽しむ遊びというものが
もちろん・・・
どういうものであるか・・・
天使テンメイ様が知らないはずは
ないわけですが・・・。

そういうわけで・・・
すでに悪魔としては敗北が明白に
なってしまったこの時点での
コメント・・・。

気の抜けたサイダーか・・・
とは思いますが・・・まあ・・・悪魔だけが
悪いとは言えませんからーっ。

さて・・・キッドはパンダ仮面と
連想するしのぶの小物。

もちろん・・・連想的には
女王様の蝶の仮面が背景にありますから・・・
仮面舞踏会とかでおなじみのアレです。

まあ・・・しのぶにそれを
かけてもらって
その図案がパンダならば
爆笑と・・・悪魔めは今でも思っています。

狂人とは
空想と現実の区別がつかないもの
という単純な定義がございますが
二重人格が鏡の中の自分との対話という
独り言によって発症する可能性は
かなり高いのではないかと考えます。

そういう幻視的な多重人格は
まあ・・・映像化しやすいのですね。

キッドは大林監督の映画「ふたり」で
かなり実感的な刺激を受けました。

これは一人なのに二人ですので
善男とネガティブ善男と同じ趣向なのです。

まあ・・・本題とは微妙にズレが生じているような
気もいたしますが・・・ドラマですからね。

それでは最終回のレビューの完成を
お待ちしております・・・。

投稿: キッド | 2008年3月22日 (土) 03時06分

>キッドさん
  
こんばんは 雪遊びは早起きが辛くて。。^^;
  
あれ、悪魔ともあろうものが、スキーやスノボの
危険に敏感になってるんですか♪
幸い、これまでケガはゼロだし、始めは無茶もして
ましたが、最近は適度なスリルを安全に楽しんでます。
広いスキー場を選ぶし、スポーツ保険も入ってるし。
    
アハハ (^^) 敗北は潔く認めて頂けましたか。
サイダーって表現が、何とも昭和の香りですね♪
悪魔だけが悪いんじゃない。。それは、僕の記事の
遅さと、メンテナンスと、墓参りを指してるわけか。。
なるほど、そりゃ、ごもっとも☆
  
あっ、パンダ仮面って、そうゆうニュアンスなんだ!
ハハァ、そりゃまた凄い想像力ですな。。(^^ゞ
あの僅かな映像からそこまで楽しめるとは♪
しかし、パンダじゃ可愛くて刺激が少ないでしょ。
やっぱり蜂とか、怖いものじゃないと。
   
鏡の中の自分って、主として文字通りの意味ですよね。
鏡と対話するなんて、僕は一度もありませんが、
そう考えると多重人格が女性の方に目立つってのは
多少理解しやすいですね。女性は鏡が友達の生き物。
ただ、独り言まで言うのかなぁ。。
女性読者の方、コメントどうぞ♪
   
ま、ともかく多重人格が映像化しやすいのは分かります。
大林の『ふたり』ね。前にもどっかで書いてましたか。
僕はPVか何かでチラッと見ただけなもんで。
本題とは微妙にっていうか、大幅にズレてると
思いますけど、多重人格ファンのキッドさんには
全然OKってことですか♪
  
ともかく、またしても徹夜で何とか最終回レビューを
仕上げましたんで、そちらでもお待ちしてます
   
   
P.S.そちらのレス。ノイズと呼びたがる理由が
    ちょっと納得できましたよ。なるほど。。♪

投稿: テンメイ | 2008年3月22日 (土) 21時03分

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