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福田辞任を生んだのは我々の情緒性~佐伯啓思(京大)の問題提起

小雨がパラつく日曜の朝、ちょっと刺激的な文章を見かけたので、簡単に記事

にしとこう。専門の経済学の枠をはみ出して積極的に主張し続ける、京都大学

教授・佐伯啓思の政治批判で、昨日・2008年9月13日の朝日新聞・夕刊に掲

載されたものだ。見出しは、「福田首相の唐突な政権放棄 政治の漂流 端的

に示す」

      

この題名だけだとインパクトが弱くて、既に流行遅れの聞き飽きた話に感じてし

まうけど、彼の文章は昔から好みだから試しに読んでみた。相変わらず、シャー

プでラジカルで面白い人だ。説得力、精密さ、多角性などはともかくとして、非常

に刺激的な所が彼の最大の長所だと思ってる。刺激をどう活かすかは、読み手

の側の問題で、それなりの能力や努力は必要だろう。

          

政治の「漂流」というのは、もっと普通の言い方にすれば、「フラフラと流されてし

まってる」ということだ。しっかりした流れに乗ってるわけでもないし、自分の側で

強い方向性を打ち出すこともできない。「ほんと、今の政治はそうだよなぁ」と思っ

た、そこのあなた。実は、漂流してしまってるのはあなた自身、一般大衆なのだ♪

       

佐伯の議論を、私なりにまとめ直してみよう。福田辞任の基本的な理由は2つ。

衆参のねじれ現象から来た政治運営の行き詰まりと、総選挙対策だ。前者のね

じれも、選挙から来たものだから、結局、辞任は選挙、つまり民意がもたらして

ることになる。その民意とは、「著しく情緒的で短絡的な」ものであって、三年前

の衆議院・郵政選挙では「小泉劇場」のパフォーマンスに流されて、自民党大勝

を生んだ。一方、昨年の参院選では、「消えた年金」がらみの反・安倍ムードに

流されて、民主党の大勝を生んだ。だから、人気者の麻生太郎を新たに首相

にした方が次の総選挙で有利だと考えるのは、政治家として自然なことだ。

          

したがって、福田首相の唐突な政権放棄は、情緒的な民意、つまり我々の感情

的ないい加減さが生んでることになる。国民が周りの雰囲気であちこち流されて

しまってるからこそ、総理大臣がこうゆう事態になったのだ。

      

もちろん、これは二重の意味で極論だ。まず、私のまとめ方が意図的に極端な

ものになってる。佐伯は、民意を動かしたのが政治やマスメディア(特にテレビ)

であることも当然指摘している。つまり、漂流には民意の他にも共犯者が色々

いるのだ。でも、明らかに全体の論調が、情緒的な民意の批判だから、そこに

焦点を絞ってまとめたわけだ。

     

もう一つの極端さは、私ではなく、佐伯自身によるものだ。福田辞任の理由はも

ちろん、選挙の要因なんてものは、非常に複雑で曖昧なもののはずなのに、バッ

サリと単純化してしまってる。また、民意が仮にそれほど情緒的だとして、それが

悪いことなのかどうか、これまでの歴史の中で飛びぬけた程度にまで達してるの

かどうか、そういった厄介な議論は抜きにして、ひたすら表面的にシャープな議論

を構成してるのだ。

      

それでも、やっぱりこの種の主張は価値があるし、それをブログで伝達し直すこ

とにも意義はある。新聞の読者、ネットの閲覧者、一人一人が、他人事のように

政治を嘆くのではなく、自分自身もいい加減な当事者として批判する視線こそが、

「政治の漂流」への現実的対処の第一歩だからだ。

それでは。。☆彡

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

こんにちは
うふっ!
今おっしゃてた政治に無関心で 
周りに流されるおろかな一市民が
のこのこやって来ました(笑)

テンメイさんはご存じないかもしれないけれど
昨年の阿部総理に辞任も
今回の福田総理の辞任も 私たち<活動家>には
とても大きな問題だったんですよ

なぜなら わたしたちの<彼>の
ベストジーニスト受賞のお知らせの日と
2年とも 見事重なっていたんですもの(笑)
なんで わざわざ この日にと
怒りの声でいっぱいでした(笑)

ということで 私たちにとっては
この出来事は 忘れられないほど印象的な出来事になりました

一国のトップの辞任より 
アイドルの方が 大切なんて 
なんて嘆かわしいことでしょう

だけど 阿部さんが 福田さんが 私たちに
いったいどんな直接的な影響を与えてくれたでしょう
一介のアイドルの方が 
生きる喜びをもたらしてくれるのが 悲しい現実よ (笑)

投稿: 彩花 | 2008年9月15日 (月) 17時24分

> 彩花さん
   
こんばんは
うふっ!と嬉しそうに言われても困りますよ(^^ゞ
ちなみに、僕はもちろん、筆者の佐伯も、
「おろか」とは書いてませんけどネ。
まあでも、「阿部」総理とか書いてちゃマズイけど
        
<活動家>の方々の様子は、そちらでも読んでます。
僕自身は、タレント個人にはほとんど関心ないけど、
活動家の皆さんにはある程度関心持ってるんですよ。
ドラマレビューの読者にはそうゆう女性が多いし、
僕の周りにも数人いますからね。
全国どころか、海外まで遠征してるほど。。
        
国のトップの辞任よりアイドルが大切っていうのは、
さほど問題ないと思いますよ。少なくとも、僕はね。
ただ、トップ「も」それなりに大切ってこと。
活動の方が大切だけど、政治の理解や投票「も」大切。
   
直接的・短期的な影響は感じにくくても、
間接的、長期的な影響がかなりあるのは確かなこと。
アイドルから生きる喜びを思う存分受け取れる社会の
ありがたさ(有難さ)を考えると、社会を動かす人や行為の
ありがたさも分かってくるでしょう。
      
すぐ辞めるのは、まさに「有難い」ってことなんですよ

投稿: テンメイ | 2008年9月16日 (火) 01時11分

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