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新型インフルエンザ予防にマスクは有効か☆

近所の複数の店で先月末には売り切れだったマスク。先週には結構な品揃えに

なってたのに、週末の関西の感染ニュースを受けて、昨日(5月18日)はまた売

り切れ状態に戻ってた。メディアでもマスクの着用や購入、増産の話が盛んに伝

えられている。その一方、首都圏ではいまだにマスクをしてる人は僅かだ。私自

身も買い置きしたまま使ってないから、みんな備蓄してるってことなんだろうか。

             

さて、この新型インフルエンザ対策用マスク日本だと、着用を勧める姿勢でほ

ぼ一致している。厚生労働省は明確に勧めてるし、国立感染症研究所も一定の

予防効果を認めるアナウンスを示してる。朝日新聞の大量の報道も、ほとんど

はマスクを勧めるものだし、私が買ったマスクにも「抗ウイルスマスク」と、大きく

効果が表示されている。読売新聞HPの5月1日付けの記事でも、「マスクで100

%の予防はできないが、正しく使えば少なくともしないよりはましだろう」とある。

              

ところが昨日(2009年5月18日)の朝刊2面の特集「時時刻刻」では、わりと控

え目な形で、全く違う話が書かれていた。英国の保険相や米疾病対策センター

(CDC)が、マスクの有効性には科学的な証拠がないとしてるらしいのだ。

追記: 21日の朝日新聞朝刊・社会面では、同種の話をより大きく掲載。)

                                     

欧米は新型インフルへの社会的反響も控え目だし、「日本などアジア諸国でよ

見られるマスクに対する考え方も違う」とのこと(追記:20日の夕刊ミニコラム

「素粒子」にも似た小話あり)。これではまるで、マスクなんてアジアの奇妙な風

習にすぎないようにも感じられる。そこで早速、欧米の公的医療機関HPを

チェックしてみた。以下、あくまで自己責任で読んで頂きたい☆ 気になる方は、

直接ご自分で英語の文章を読むことをお勧めする。

                                                               

         ☆          ☆          ☆  

まず、米疾病対策センター(CDC)へ。なるほど確かに、有効性に関する情報が

極端に少ないから、街中での予防に関する有効性を評価できないといった暫定

的情報が書かれている。もう少し詳しく言うと、患者の外出にはマスクが勧めら

れてるし、患者の周辺とか抵抗力の弱い人に対しても、非常に遠回しにマスク

が勧められてるようだ。でも、それ以外の一般人には勧められてない。ただし

Pandemic Flu.gov」=大流行インフルエンザ機関へのリンクがあって、そ

ちらでは新たな情報に基づき、CDCを批判してマスクを勧めていた。

                                                                                                     

欧州疾病対策センター(ECDC)でもCDCと似たような消極的姿勢。世界保健

機関(WHO)も同様で、病気でないならマスクは必要ないとハッキリ書かれてる

(英語版)。イギリス政府の姿勢も同様。僅かなチェックにすぎないものの、朝日

が伝えた通り、確かに欧米では今のところマスクに対して消極的な議論が優勢

のようだ。

                                                              

けれども、マスクの有効性の医学的根拠(エヴィデンス)が現在無いことは、有

効性の否定とは違う。有効でないことも立証されてないのだし、今後新たな科学

的データによって支持される可能性も十分あるわけだ。日本などでの使用データ

を元にした検証も行われるだろうから、CDCも暫定的情報だと強調している。ま

たWHOは、ヘルスケアの場においてはマスクを勧めてるし(証拠の論文も1つ

提示)、の家族などに対しても控え目に勧めてる感じだ。欧米と日本では、

人口密度も違ってるし、特に首都圏や関西の人込みの密集度は非常に高い。

                         

それらを総合的に考慮するなら、今のところやっぱり、日本の人込みでは一般人

もマスクを着用すべきだろう。あるいは、付けた方が無難と言う方が適切か。。

                                           

          ☆          ☆          ☆  

ちなみに、欧米で強調されてたのはマスクの使い方。使った後は慎重に処理す

るとか、手洗いや換気、人込み回避などと合わせて使うべきだとか、ハッキリ指

示されていて、これは明らかに重要で納得できるアドバイスだろう。ウイルスの

付着したマスクを不適切に扱うなら、全くの逆効果になってしまう。

                               

ともあれ、今週中には首都圏でも感染者が発生するだろうから、私も気をつける

としよう。手洗い用の消毒液が無くなりかけてるから、買って来ようかな。

ではまた。。☆彡   

     

         

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.米国のCDC(Centers for Disease Control and Prevention)

    は、朝日が使ってる「米疾病対策センター」という訳語以外にも、色んな

    訳語が共存してるようだ。ウィキペディアの項目名は「アメリカ疾病予防

    管理センター」となってるけど、直訳するなら「疾病管理予防センター」だ。

    一方、欧州のECDC(European Centre for Disease prevention 

    and Control)はウィキに載ってない。直訳すると、「欧州疾病予防管理

    センター」だ。「Center」ではない所がオシャレかも♪

          

P.S.2 上では簡単に「マスク」とだけ書いたけど、「N95」(ろ過率標準95%)

      と呼ばれる高規格の医療用マスク(=レスピレーター)も同様の扱い

      だった。ちなみにこの高性能マスク、ネットで50枚4200円(税込)と

      なってたけど、今は売り切れとのこと。ま、ちょっと大袈裟かな♪ でも

      不思議なほど安いね。私が先日買ったのもN95と書いてるけど、3枚

      で1000円近かった。

      なお、ろ過率99%のものは米国規格でP99、EU規格ではFFP2

      99.97%のものは、米国でP100、EUでFFP3と呼ばれるらしい。

        

P.S.3 CDC、ECDC、WHOいずれも、新型インフルの基本的な呼び名は

      インフルエンザA型(H1N1)となってる。ただ、豚インフルエンザとい

      うような、豚(swine)を使った言い方も一応見かけた。イギリス政府は

      21日早朝の時点で豚インフルと呼んでいる。

    

P.S.4 5月23日の朝日新聞・朝刊文化面に、東大特任准教授・神里達博

      のマスク論が掲載された。題して、「マスク着用と世間の目」、「真の

      『冷静な対応』とは」。高名な歴史学者・阿部謹也の「世間」という概

      念を用いて、日本のマスク着用は衛生上の理由によるものではなく、

      世間の目が怖いからではないかと主張している。

                

      けれども、こんな話をいきなり単純かつ大まかに持ち出すだけなら、

      「科学史・科学論」専攻の学者でなくてもいいわけだ。彼がすべきこと

      はむしろ、「世間の目が怖いからマスクをする」という自らの主張を実

      証的に裏付けること。あるいは、マスクの効果に関する最新のデータ

      をまとめて、独自の暫定的結論を導くことだろう。それこそが、学者の

      「真に冷静な対応」なのだ。。☆彡

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