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「『いちご白書』をもう一度」と、反逆の時~朝日夕刊

朝日新聞の夕刊の面白さについては、今までも何度か記事に書いて来た

けど、今晩はまた特に面白かったから、久々に記事を書いてみよう。ホント

は理数系の記事を用意してたんだけど、それはまた今度ってことで♪

       

夕刊1面下の長期連載「ニッポン人脈記」で先週から続いてる短期企画は

「反逆の時を生きて」。1960年代後半を中心に、全共闘(全学共闘会議)

などの学生運動をめぐって様々な人間を描くシリーズだ。私自身はもちろん

その世代ではないけど、もしあの時代に学生だったら、先頭に立ってやって

た気がする。熱い肉体派で、反抗的な理屈屋♪ フツーの学生でさえ、い

つの間にかデモに参加してた時代だから、私が無関心なはずはない。

                                     

だからどうしても、当時を伝えるメディアの報道とかが気になってしまうし、

一方でオウム真理教の問題もいまだに気になるのだ。学生運動と暴走し

た宗教を一緒にするのはかなり乱暴だけど、似た部分が目立つのも明ら

かだろう。『1Q84』が大ヒット中の村上春樹がオウムとか宗教にこだわり

続けるのも、彼が全共闘世代(68年に早稲田大学入学)であることと関係

してると思ってる。

                       

         ☆          ☆          ☆

話を戻して、朝日夕刊の企画について。ここまで、日大全共闘議長・秋田

明大、東大全共闘議長・山本義隆、学生運動を撮影し続けた女性写真家

などに触れて来て、今日(6月25日)の第5回のタイトルは「『いちご白書』

は僕だった」。話の中心は、音楽プロデューサー・前田仁と、松任谷由実

=ユーミン。他には、早大・反戦連合の高橋公、彼らに差し入れしてた作

家・立松和平、逆にスト解除を提案してた多摩大学長・寺島実郎らも登場。

              

ユーミン(当時は荒井由実)作詞・作曲の「『いちご白書』をもう一度」は、誰

でも一度は耳にした事があるだろう。「君もみるだろうか いちご白書を♪」。

75年にフォークグループ・バンバンが歌って大ヒット。オリコン1位獲得で、

ユーミンにも注目が集まり、最初のヒット曲『あの日にかえりたい』につながっ

たし、彼女自身も後にいちご白書を歌ってる。詞も曲も、何とも物哀しくて切

なく、心に浸み込んで来る名曲だ。

               

でも歌詞の意味は、今日の記事を読むまでいま一つ分かってなかった。普

通に聴くだけで、「いちご白書」が有名な映画だってことは分かるし、学生が

大人=社会人になる時の淋しさや喪失感、あるいは未練を描いてるのも分

かる。ただ、詞のモデルが実在することや、モデルとなった人物も映画も

深く学生運動とつながってることまでは知らなかった。

                            

記事によると、プロデューサーの前田がユーミンに曲作りを頼んだ時、題

材として若い頃の話を聞かせてと言われ、早大時代のことを語ったそうだ。

学費値上げ反対運動、機動隊、前田を含めて200人余りが一斉逮捕。彼

就職活動を始める前に髪を切った。それが歌詞では、僕は無精ヒゲ

と 髪をのばして 学生集会へも時々出かけた 就職が決まって 髪をきっ

てきた時・・・」となり、髪を切るタイミングだけが変えられてるそうだ。

                             

ユーミンが、「仁さん、私、うそを書いちゃった」と謝ったエピソードが微笑

ましい♪ また、逮捕歴が響いたのか、前田は商社の内定を取り消されて

レコード会社に入り、それがこの古典的名曲につながったと言うのだから、

事の巡り合わせの不思議さをしみじみ感じてしまう話だった。。

    

   (2010年1月18日追記: 

    前田氏の訃報が流れてるようで、この記事にも検索が入ってるけ

    ど、信頼できる情報源が見当たらない。

    もし本当に永眠ということであれば、ご冥福をお祈り致します。。)

           

   (1月23日追記: 訃報や葬儀のブログ記事が多少出ている。

              残念ながら、訃報は事実のように思われる。。)

        

          ☆          ☆          ☆

一方、映画について。新聞記事では簡単にこう説明されてた。「ユーミン

は前田の体験と、アメリカの大学を占拠した学生を描いた映画『いちご

書』を結びつけたようだ」。そこで早速、ウィキペディアで調べると、元は

メリカの69年のノンフィクション小説で、映画の公開は70年。ちょうど全

共闘の運動が急速に消滅していった時期だ。

                          

原題は「The Strawberry Statement」。この意味は、日本版のウィキだと

曖昧だったけど、英語版ウィキを読むと正確に理解できた。宇多田ヒカル

が進学したことでも知られる名門・コロンビア大学で、学生の抗議運動と

向き合うことになった経営者・ハーバート・ディーン(Herbert Deane)が、こ

んな感じの事を語ったらしい。「学生の意見は、イチゴの味が好きだと言っ

てるようなものだ」(中立的な翻訳)。

                             

このディーンのいちご発言(strawberry statement)が、いちご「白書」と訳

されたらしい。映画の世界ではよくある「超訳」で、商業的には上手いと思

う。ちなみにディーン自身の説明によると、この発言は誤った引用を受け

てるそうだ。彼の発言には、重要な条件がついていた。「学生たちの意見

が、もしきっちりした理由づけ無しに提案されるのなら・・」。つまり、ちゃん

とした意見なら、学生のものでも重視するということだ。

          

細かい情報や状況が分からないから、これが単なる言い訳なのか、正当

な釈明なのかは何とも言えない。ただ直感的には、アメリカの学生達が半

ば意図的に、誤った引用で敵対心をあおったんじゃないかという気はして

る。それがやがて、日本で名曲を生み出すキッカケになったということか。。

               

         ☆          ☆          ☆

それにしても、当時の世界的な学生運動について見聞きする度に痛感す

るのは、現代日本とのあまりに大きな違いだ。良し悪しはともかく、やっぱ

あれだけの若者のエネルギーが結集されて現実的な形になるというの

は、人々の郷愁や憧れを導くことにつながるだろう。私もこうして記事を書

きながら、あの直接的なパワーがちょっと羨ましいのだ。

                                       

形も時代も大幅に違うとしても、自分たちにも何か出来ないか。いつも、

そう考えてる。ブログを通して、その気持ちだけでも伝えたいと思ってる。

            

どこかで もう一度~ ♫ 」。。ではまた☆彡

                  

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

cf.ユーミンの名曲『あの日にかえりたい」の歌詞の解釈♪

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コメント

はじめまして☆
私は、いちご白書をもう一度も好きだし、昔の学生運動などにも興味があります。
現代の学生(私達の世代なのですが…)はやはり情熱が足りませんよね。
当事者であるのに、まるで他人事のように世の中に関心がない…。
60年代の当時の学生は現代の学生にもどかしさを感じるのでしょうね。

投稿: Yuki | 2009年6月27日 (土) 00時56分

> Yuki さん
   
はじめまして コメントありがとうございます。
まさか今の学生さんの言葉を聞けるとは思いませんでした ^^
    
僕は歌に限らず、ドラマや小説でも現実でも、
切なくて熱いものや、美しくて儚いものが好きなんですよ☆
いちご白書も学生運動も、まさにそう。
           
「美しい」なんて言葉は当時の感覚とはちょっとズレてるかも
知れないけど、そう感じる部分があるのは確かだし、
少しだけ新しい世代のユーミンにもそう感じられたんでしょう。
大ヒットしたってことは、多くの人も魅かれたんだろうし、
Yukiさんの世代まで伝わる普遍的なものも含んでたんですね。
     
昔と今とではあまりに状況が違うから、単純な比較はできないけど、
子供から大人まで、全体的に情熱が薄らいでると思います。
ただ、やっぱり一番元気なはずの学生で目立ってしまう。
       
誰のせいなのか。。何が悪いのか。。
責任問題や原因追究は難しいけれど、やっぱり
何か小さな事から自分たちで始めるしかないと思います。
     
最近になって昔を語り始めた当事者達も、
似たような気持ちなんじゃないでしょうか。
僕はとりあえず、ブログのささやかな記事とか
身の回りから歩き出そうと思ってます。
   
学生さんだと、そろそろ前期の試験かな。
日常的な事にもしっかり情熱を注いでくださいネ!
またヒマな時にでも遊びにいらしてください♪
それでは。。  

投稿: テンメイ | 2009年6月27日 (土) 02時44分

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