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睡眠中に脳は「復習」する~朝日新聞&『現代生物学』

これは嬉しい研究だ♪ 科学的に、学習を怠けることを正当化できるな

んて、全国の受験生も大喜びしそうなニュースだろう。朝日新聞・夕刊

(2009年8月26日)の社会面に掲載された記事(執筆は瀬川茂子)は、

見出しが「『寝る脳は育つ』確認」、「米ボストン大 睡眠中に『復習』」

                

「睡眠学習」って言うと、かなりキワモノっぽくてトンデモ科学に聞こえるけ

ど、「睡眠復習」って言うのは初めて聞いたし、十分あり得ることだろう。

と言うのも、私も日々行ってる身体的トレーニングの場合でも、訓練して

疲れた後の休養時間に機能がアップするからだ(いわゆる「超回復」)。

        

          ☆          ☆          ☆

研究グループの中心は、渡辺武郎(わたなべたけお)教授で、キムタク

=木村拓哉&綾瀬はるか主演の春ドラマ『MR.BRAIN』でもお馴染み

機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を使って検証。新聞記事にもネット

配信記事にも、「米専門誌に発表」とだけ書いてるけど、私がGoogle

で検索した所、5分ほどで出典を発見できた。

     

記事の元になった論文は、『Current Biology』(現代生物学)第19

巻・第15号(2009年8月11日)で発表された「Location-Specific

Cortical Activation Changes during Sleep after Training for Perceptual

Learning」。直訳すると、「知覚的学習のためにトレーニングした後の睡

眠中に、特定の場所の大脳皮質活動が変化する」。

                    

記事によると、7人の被験者に、複雑な画像を素早く識別する訓練をして

もらい、脳の特定の場所が活動するのをまず確認。その後、fMRIの中で

寝ると、その場所が活発に活動したそうだ。しかも、寝た後に同じ訓練を

すると正答率が上昇したけど、寝ない場合は上昇せず

       

新聞では省略されてるものの、朝日のネット記事には最後にこう書き添え

られている。「『睡眠によって疲れがとれるから学習効果が高まるように見

えるという考えもあったが、脳が活動して、学習を固定化していることがわ

かった』と渡辺教授は話している」。実際、睡眠中の脳活動が活発な人ほ

ど、睡眠後の正答率が上がる傾向があったそうで、睡眠中に「復習」して

学習内容を固定してると推測されるとのこと。

            

         ☆          ☆          ☆      

ネットで検索すると、この研究者はかなり前から意識下の脳活動につい

て研究を続けて来たようで、今回の新しいポイントは、睡眠中の脳の活

動をfMRIで調べた事にあるらしい。そのくらい、前からやってても良さそ

うなもんだけど、ようやく予算が下りたのか、あるいは機器使用料が下

がったんだろうか。あと、その脳活動はノンレム睡眠、簡単に言うと深い

眠りの中で行われたらしい。ぐっすり眠ってる間にしっかり復習してる。

ちょっと意外感のある話だ。

                        

研究上の課題としては、すぐ気付くのが被験者の少なさ。7人は流石に

物足りないから、本人たちか別の研究グループが追試を行う必要があ

る。あと、その脳の特定場所の活動が、本当に直前の学習と関連して

るのかどうかは疑問の余地があるわけで、他の場合にはその活動は

起きないことを示す必要がある。さらに、他の種類の学習については

どうなのか、広く調べて行くべきだし、寝た場合と寝ずに訓練し続けた

場合との比較も必要だ。

        

いずれにせよ、私も含めて、楽に学習したい人間にとっては非常に魅

力的な研究だ。早期の実用化に向けて、さらに前進して頂きたいと思う。

ではまた。。☆彡      

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