お見合いでベストの相手にプロポーズする方法♪~鳩山新首相の専攻「OR」2
初の本格的な理系の首相、鳩山由紀夫の専攻とされる「OR」(オペレー
ションズ・リサーチ=作戦研究)について昨日解説記事をアップした所、
予想よりアクセスが多かった。新たにちょっと面白い例題を発見したこと
だし、早速記事を1本追加しとこう。別に鳩山とか政治とか関係なくても、
興味深い話だ。特に「婚カツ」を頑張ってる方には、「目から鱗が落ちる」
知識かも知れない♪
私は9月11日の朝日新聞・朝刊に触発されて記事を書いたんだけど、
その後ネットで検索すると、すぐに『AERA』2009年9月7日号の記事が
ヒットした。ホント、朝日新聞とAERAと『週刊朝日』は昔から似たような
話を書くね。テレビ朝日の『報道ステーション』も似てるし♪
で、AERAのサイトを見ると、「戦後初の『理系脳』 専門は問題解決学
『数学家首相』誕生」という記事の冒頭部分がそのまま掲載されてた。
AERAは、表紙のキャッチコピーがくだらな過ぎてイメージが悪いんだけ
ど、この記事のツカミは上手くて、すぐ引き込まれてしまった。
「10人の女性と順番にお見合いする。その中で一番すばらしい
人にプロポーズする確率を最大にしたい。どうしたらいいか」
この問題、せっかちな人ならすぐ、「上手い方法なんてあるはずない」と
か、「どうやっても同じに決まってる」とか言いそうだ。逆に、じっくり考え
込むタイプの人なら、問題が曖昧過ぎるとまず感じるだろう。実際、私が
そうだったのだ。では、記事のその後はどう書いてあるか。
鳩山由紀夫が、客員教授を務める同志社大学の特別講義でよ
くする話だ。答えは、「3人目までは見送って4人目以後これが
一番という人にプロポーズすればいい」
というもの。最初の人で決めれば1割、最後の人まで待つとする
とやはり1割の確率でしか、最高の人と出会えない。実はその
間に「行動に踏み切る最少の人数」があって、この場合、3人見
送れば、ほぼ4割の確率で10人中1番の人に結婚を申し込め
る、という。
これは、由紀夫の思考法の原点である、OR(オペレーションズ・
リサーチ)、いわゆる「問題解決学」的思考法だ。
この後はもう、話が変わるから、この問題の説明は以上で終わりだ。お
そらく、執筆者の編集部・内村直之は答えの理由を理解してないだろう。
文体が単なる伝聞調になってるし、理解してるにしては余りにも不親切
な要約だ。そして何より、ウチのこの記事がほのめかすように、上の問
題を正確に解答するのは大変な作業になる。
だから、私は一旦この記事を見捨てたんだけど、そこはやっぱり数学好
きの哀しい性(さが)♪ どうも気になって仕方ないから、問題文の意味
を自分で決めて、簡単な場合に置き換えて解決した。なるほど、これは
面白い問題だと思ったから、OR記事・第2弾として解説してみよう。
☆ ☆ ☆
まず、問題の意味をハッキリさせよう。もし、ある時点までにお見合いし
た全ての女性の中から選んでプロポーズできるのなら、10人全員とお
見合いすればいいのは当然だろう。100%(=10割)の確率で、1番す
ばらしい人にプロポーズできることになる。
ところが、最後の人まで待つと1割の確率だと記事に書いてあるから、
前にお見合いした人にはもうプロポーズできないのだ。これは、昔なが
らのお見合いの慣習を考えれば納得できるルールだろう。
次に引っ掛かるのが、「4人目以後これが一番という人にプロポーズ」と
いうお見合い戦略。前の人にはもうプロポーズできないことを考えると、
次のような意味だと思われる。最初の3人は必ずパス。4人目からは、
その人が今までで最高だったらプロポーズする。そうでなければ、その
人もパスして次の人とお見合いする。もし最後まで、その人が最高にな
らなければ、プロポーズはしないままお見合いを終了。諦めて淋しい独
身生活を送る。。♪
この場合、「定性的」に、つまり計算せずに物事の性質だけを考えると、
この戦略が本当に得なのかどうかはハッキリしない。と言うのも、今まで
で最高だった時だけプロポーズする点だけなら合理的に見えるけど、最
初の3人の中に一番すばらしい人が入ってたら必ず失敗するからだ。そ
こで、「定量的」考察、つまり細かい計算が必要になる。
最初に、問題を極端に単純化して、お見合い相手が2人としよう。順番は
運任せだから、もし1人目ですぐプロポーズする戦略を取るなら、見事に
1番素晴らしい女性を選ぶ確率は 1/2 となる。
それに対して、2人目まで待つ戦略を取るとしよう。1人目に1番が来てし
まった場合(確率 1/2 )には、この戦略は必ず失敗する。でも、2人目に
1番が来た場合(確率 1/2 )には、必ず成功する。したがって、この戦略
においても、1番を選ぶ確率は 1/2 で変わらないのだ。
☆ ☆ ☆
ところが、お見合い相手が3人の問題だと確率が違ってくる。まず、1人
目でプロポーズする戦略を取るなら、1番素晴らしい女性を選ぶ確率は
1/3だ。
それに対して、2人目以後まで待つ戦略を取るとしよう。1人目に1番が
来てしまった場合(確率 1/3 )には、この戦略は必ず失敗する。続いて、
1人目に2番が来た場合(確率 1/3 )。更に2人目に1番が来れば(確率
1/2)、その人を選ぶことになるので、必ず成功する。一方、2人目に3
番がくれば(確率 1/2)、パスして3人目とお見合いすることになり、残り
は1番だから必ず成功する。
では、1人目に3番が来た場合(確率 1/3 )はどうか。更に2人目に1番
が来た場合(確率 1/2 )、その人を選ぶことになるので必ず成功する。
一方、2人目に2番が来れば(確率 1/2 )、1人目よりは上の女性だか
ら、間違ってその人を選んで失敗する。
以上より、2人目以後まで待つ戦略を取った場合に1番を選び出す確率
は ( 1/3 × 1/2 )+( 1/3 × 1/2 )+( 1/3 × 1/2 )= 1/2。 したがっ
て、1人目でプロポーズする戦略の成功確率1/3よりも大きいから、2人
目以後でプロポーズする戦略の方が優れている。
ちなみに、3人目まで待つ戦略だと、3人目に運良く1番が来た場合だけ
成功するから、成功確率は1/3。と言う訳で、結局2人目以後まで待つ
戦略が、今までの中では最も優れてるのだ。
厳密に言うと、これがあらゆる戦略の中でベストかどうか、つまり成功
確率の最大値が1/2であることはまだ証明されてないから、更に考える
必要がある。また、10人の女性とのお見合いだと遥かに大変だから、
パソコンでプログラミングするか、何か上手い方法(数学的帰納法、漸
化式など)を見つける必要がある。
でも、ここでは、お見合いの戦略によって大成功の確率が変わることさ
え分かれば十分だろう。一見バカげた、最初の何人かを見送る戦略は、
意外にも確かに有効なのだ。
(追記: その後、10人とのお見合いについても完全に解明した。
以下の記事をご参照あれ♪)
☆ ☆ ☆
という訳で、OR(オペレーションズ・リサーチ)の4つ目の例として、鳩山
が実際に大学の授業で講義してる問題を簡単に解説した。確率の名作
問題と言ってもいい。ORとか言うより、数学パズルみたいなものだから、
記事を書く作業も気楽なもんだ♪
好評なら、また追加するかも知れないけど、流石に次はしばらく後になる
だろう。毎年、秋は仕事が忙しいし、ランニングのレースも控えてるのだ。
それでは。。☆彡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P.S.13日、14日とイマイチの反応だったこの記事、15日になって
急にアクセスが増えた。どうもどこかで鳩山の「見合いの数理」と
いう論文が話題になったらしい。1981年(昭和56年)、専門誌
『情報科学研究』No.2に5番目の論文として掲載されたことま
では、検索ですぐ分かるけど、内容がまだ分からない。
P.S.2 11月6日の『たけしのコマネチ大学数学科』で、お見合い問
題が話題になったらしくて、番組放送中から検索が次々と入っ
て来た。検索ワードから考えると、どうも7人の場合が出題さ
れたらしい。私は既に10人で解いて記事にしたので、7人の
場合も同様にやればいいだけだろう♪
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コメント
いつもは数学の記事は軽く読み流す文系読者ですが、今日の記事はとても興味深く読みました。というのも、弟が3人見送って4人目の人と婚約することになったからです。弟はこの戦略は知らなかったと思いますが、びっくりしました。これからも頑張ってくださいね〜。
投稿: Corvallis | 2009年9月14日 (月) 14時08分
> Corvallis さん
はじめまして コメントありがとうございます☆
珍しいお名前ですが、オレゴン州の地名でしょうかね♪
「いつもは数学の記事は軽く読み流す文系読者」って、
素晴らしいと思いますよ☆
完全にスルーする人が大部分だから ^^
この記事のタイトルは、文系読者にも取っ付きやすい
ように工夫してるわけですが、逆に中途半端だったのか、
今のところ文系にも理系にもウケが悪いんですよ (^^ゞ
自分では面白いと思うし、折角書いたのになぁと
残念に思ってたら、ありがたいコメント☆
地獄に仏とはこの事でしょう。
ちょっと大げさかも♪
で、たまたま弟さんが似た経験をなさったんですか!
そりゃ、奇遇だなぁ☆
別に同志社大学で鳩山の講義を受けたわけじゃ
ないんですね。ORの天賦の才能があるのかも。
一応、文系的な話も付け加えると、最初の3人をパスするって
いうのは、ある程度の経験の積み重ねが必要ってこと。
あと、一番素晴らしい相手は最初から決まってるんじゃなくて、
これから周囲のみんなで創り上げていくものでしょう。
その意味で、弟さんにもお姉さんにもエールを送りつつ、
幸運をお祈りします☆
僕への声援まで頂き、どうもどうも♪
どこまでやれるか分かりませんが、
何とかもうしばらく頑張ってみようと思ってます。
また遊びに来てくださいネ ^^
投稿: テンメイ | 2009年9月14日 (月) 23時28分
お返事ありがとうございます。まさか、お返事いただけるとは思っていなかったので、毎日読んでいるにも関わらず、今日までお返事に気づきませんでした!(汗)気づいてよかった〜。おっしゃる通り、私のウェブネームはオレゴン州の町の名前を使っています。「イノセントラヴ」の裏ページの行き方を読んで以来の読者です。またドラマレビューも書いてくださいネ。お忙しそうですが、お体にお気をつけて。
投稿: Corvallis | 2009年9月27日 (日) 15時24分
> Corvallis さん
おはようございます 再びコメント、どうもです。
毎日来てくださってるんですか!
それは嬉しいですね。どうも、どうも
僕は、ほとんど全てのコメントにレスしてます。
字数は、元々のコメント以上が基本。
僕がレスしないのは、数ヶ月に1回くらいの
単なる暴言コメントと商業的スパムくらいですよ♪
つまり、一発削除するようなものだけです。
あと、コメントとレスの往復が何度も連続した時かな。
過去、数回しかありませんけど。
ひょっとすると、以前からコメント欄を読む
習慣がないのかも知れませんね。
最近はドラマお休みモードなので別ですが、過去には
コメント欄が本文より長い記事も幾つかあります。
最近では『ブザー・ビート』の第8話記事がそう。
たまに覗いてみるのも面白いと思いますよ。
1人で記事を書く時と、読者にレスする時とで、
僕の文章も違いますからネ。
で、やっぱりオレゴン州の町のお名前でしたか。
意味が分からなくて、ネットで検索しちゃいました♪
『イノセント』の裏ページがキッカケね。
懐かしいなぁ☆ 手書きの鍵盤の図解。。
ドラマレビューは、基本的にお休み期間に入ってるので、
あまり期待に応えられそうもありませんが、
このお見合い記事の続編は書くかも知れません♪
実はその後、あちこちの結婚情報サイトで紹介された
こともあって、地味にアクセスが続いてるんですよ。
一応、相手が10人のお見合いの考え方についても、
自分のノートでは大まかに導いています。
あとは計算すれば答が出るんですが、かなり面倒な
式だから、計算する気がしなくて。。(^^ゞ
ともあれ、何とか色んな記事を書いて行くつもりなんで、
また遊びに来てくださいネ。
頻繁にいらっしゃるのなら、ページ右上の犬
「ココア」で遊ぶのもいいかも知れません♪
お互い、健康には注意しましょう。
それでは。。
投稿: テンメイ | 2009年9月28日 (月) 06時50分