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うつ病の診断基準4~双極Ⅱ型障害 (軽い躁うつ病)

NHK『ためしてガッテン』の特集を機に、うつ病に関する記事を4本書い

てから、1ヶ月半以上経ってしまった。自転車レース、ブログ力コンテスト

その他に追われてたんだけど、そろそろ5本目を書かないと中途半端

になってしまう。

            

つまり、前回「双極Ⅰ型障害」について書いたから、「双極Ⅱ型障害」

についても書く必要がある。簡単に言えば、Ⅰ型が重い躁うつ病、それ

に対して今回のⅡ型が軽い躁うつ病だ。「軽い躁うつ病」というのを、精

神医学マニュアル・DSM-Ⅳ-TRの考えに即してもう少し細かく言う

と、「重いうつ病」+「軽い躁病」ということになる。

        

        ☆          ☆          ☆        

これら2つの要素のうち、重い(あるいは典型的)うつ病の診断基準が、

「大うつ病エピソード」と呼ばれる症状群で、一番最初の記事に既に書

いたことだけど、久々に再掲しとこう。ただし前にも書いたように、マニュ

アルはかなり厳密で長い基準を示してるので、ここではNHKが放映し

た簡略ヴァージョンで済ませておく。専門家が複数参加してる番組だし、

内容的にも大きな問題は無い。とはいえ、本当はもっと厳格な基準で

あって、そう簡単に適用できなくなってる点は改めて明記しとこう。

        

   以下の症状のうち5つ以上が、同じ2週間に存在する。

   1. ほとんど毎日、抑うつ気分(ゆううつ)が続く。

   2. 何に対しても楽しいと感じることができず、興味がわかない。

   3. 食欲が低下している。体重が減った。

   4. よく眠れない。

   5. イライラする。

   6. 疲れやすく、だるさがとれない。

   7. 自分を責めてばかりいる。自分には価値がないと思う。

   8. 集中力が低下し、考えることができない。

   9. 死んだ方がよいと思う。

       

          ☆          ☆          ☆

一方、双極Ⅱ型障害(=軽い躁うつ病)のもう一方の要素である、軽い

躁病の診断基準は、「軽躁病エピソード」と呼ばれる症状群(A~Fの6

種類)になっている。こちらについては、私の判断で要約してみよう。C、

D、Fについては省略した。

                

   以下のA、B、Eすべてを満たしていること。

   A.持続的に高揚した、開放的な、またはいらだたしい気分が、

     少なくとも4日間続くはっきりとした期間がある。

   B.以下の症状のうち3つ以上がはっきり持続している。

       1.自尊心の肥大、または誇大

       2.睡眠欲の減少

       3.多弁、あるいは喋り続けようとする心迫(=強い欲求)

       4.観念奔逸(=いくつもの観念が現れてまとまらない)

       5.注意散漫

       6.目標に向かう活動、または目標を意識した焦燥

       7.まずい結果になりそうな快楽への熱中

   E.日常や仕事にそれほど大きな障害はなく、入院も必要ない状態。

             

       ☆          ☆          ☆

以上、大うつ病エピソードと軽躁病エピソードの両方を満たせば、双極

Ⅱ型障害という診断になる。なお、DSMではなぜかⅡ型だけ、診断名

にカッコで補足が付いていて、「双極Ⅱ型障害 (軽躁病エピソードを伴

う反復性大うつ病エピソード)」となっている。

                                     

ただし、「~~障害」と「~~エピソード」とは、根本的に違うものだ。「~

~障害」は全体的な疾患名だが、「~~エピソード」とは、時々変化する

一つ一つの時期とか期間(またはその特徴)を指す言葉。だからこそ、

エピソードに関してだけは、1回とか1つといった数を示す言葉がよく使

われるし、英語でも複数形(Episodes)になったりするのだ。上に書いた、

Ⅱ型のカッコによる補足でも、英語は複数形になっている。

                  

あと、双極Ⅱ型の性別による違いに関しては、「男性よりも女性に多い

かもしれない」と控え目に書かれている。また、男性だと躁病の時期が

多いけど、女性だとうつ病の時期が多いとのこと。何となく納得しやすい

違いだと思う。

         

さらに、生涯有病率はおよそ0.5%とされ、双極Ⅰ型障害の0.4~

1.6%と比べると少なめになっている。常識的に考えると、軽いⅡ型の

方が遥かに多い方が自然だろうけど、Ⅱ型の場合はわざわざ病院に行

かずに済ませる人が多いということなのかも知れない。

                                    

次回は、最近話題で、特に若い女性に目立つとされる、「非定型うつ病

について書く予定。かなり誤解や曖昧さが目立つ概念だから、きっちりと

精神医学マニュアル・DSMを参照しつつ、話を論理的に整理してみよう。

ただし、自己責任といえども、ネットや本の情報だけで自己判断してしま

うのはもちろん禁物。あくまで、医師やカウンセラーなど、専門家の診察

を受けるのが基本だ。

    

ではまた。。☆彡

        

                      

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

cf.うつ病の診断基準と抗うつ薬~NHK『ためしてガッテン』

  うつ病の診断基準2~気分変調性障害

  うつ病の血液診断と遺伝子変化

  うつ病の診断基準3~双極Ⅰ型障害(躁うつ病)

  新型うつ病の一つ、非定型うつ病について

  統合失調症の診断基準、統計、および歴史的経緯

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  心理療法を無料で全国民に~朝日新聞「欧州の安心 イギリス」

  大胆かつ繊細な試論~香山リカ『雅子さまと「新型うつ」』

  ネット依存とうつ症状~朝日新聞「やさしい医学リポート」

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コメント

初めまして、他のサイトのリンクから気になりきてみました。
とても分かりやすい説明でなるほどと納得するばかりです。
ちなみに自分は「大うつ病エピソード」に該当するかと思います。治療中ですが・・・なかなか日常生活を取り戻せない状態ですが、医師と相談して色々薬を試してみたりしています。

為になる記事や興味のある記事が沢山あるようですのでゆっくり拝見させてもらいます。

投稿: べに | 2010年1月10日 (日) 00時31分

> べに さん
  
はじめまして。コメントありがとうございます☆
ウチの中ではやや手抜き気味の記事なので、
褒められるとちょっと恥ずかしいですネ♪
     
うつ病の治療中なんですか。
時間も相当かかるようだし、色々と大変でしょう。
僕自身は、精神科や心療内科などに行ったことは
ありませんが、日常生活にさほど支障がない程度に
沈んでた時期ならあります。
    
でも、ここ5年ほどは心身共にそこそこ好調で、
一番の要因はスポーツのような気がしてます。
特に、昼間の軽い運動は効果があると思いますよ。
    
実際、「冬季うつ病」の治療には、光を浴びる
ことが勧められてますし、身体を動かしてると
余計なことを考えなくて済みますからね。
散歩なら、景色を見ながらひたすら前に進むだけ。
好きな音楽を聴きながらでもOK。
    
明るくて広い屋外で、規則正しい運動と呼吸を行い、
お腹を空かせて美味しくご飯を食べる。
こういった基本的な生の営みはすごく大切だと思います。
     
まあでも、自分に合う薬が見つかれば差し当たりは
助かるわけで、お医者さんと一緒にじっくり探して
みてください。心の病は人それぞれですからね。
上手く行かなければ、心理療法その他もありますよ。
   
いずれにせよ、陰ながら完治をお祈りします。
ちなみに、ウチには2000本ほどの記事があるので、
またゆっくりとご覧ください♪

投稿: テンメイ | 2010年1月10日 (日) 11時37分

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