奇跡のリターンがもたらす輝き~『ロングバケーション』第1話
(☆12年10月9日追記: 山口智子の16年ぶりの連続ドラマをレビュー。
平凡な日常への、非凡な視線~『ゴーイング マイ ホーム』第1話
さらに23日、キムタクの最新の月9もレビュー。
Jumpin’ Jack Flash、あやつり人形の閃き~『Priceless』第1話 )
☆ ☆ ☆
素晴らしい!☆ 感動で寒気がするほど良かった♪ これは文句なしの
傑作だな。キムタク=木村拓哉と山口智子の絶妙のカップルが生んだ、
月9の代表作。ひょっとすると、『Beachboys』と並んで最高傑作かも知
れないね。わざわざ再放送の録画までして見たのは大正解だった。
ロンバケこと、『ロングバケーション~Long Vacation~』は、1996年春
のフジ月9で、平均視聴率29.2%、最終回36.7%の大ヒットドラマ。
単に人気があるってだけじゃなくて、内容的な評価が高いのが特徴だ。
今回の唐突な再放送は、山口の夫・唐沢寿明が主演のドラマ、『不毛
地帯』の番宣っていうか、援護射撃の意味だろう。実際CMが入ってた。
キムタクが若い時期(23歳)でもあるし、山口智子が女優として最も輝
いてた時期でもある(この年と翌年、NHK好きなタレント調査1位)。お
まけに演出家・永山耕三も全盛期を迎えた頃だし、脚本家・北川悦吏子
の代表作でもあるだろう。北川がブログで、再放送を無邪気に喜んでる
のが可愛かった。永山がまだ枯れてないからなのか、萌えシーンも色々
入ってたね。モモちゃんのチャイナドレスなんてものもあったし・・・って言
うか、ミニチャイナの方が好きなんだけど♪
ロンバケ(長いお休み)と言えば、ウチも今、ドラマに関してだけロンバケ
に入ってるので、本格的レビューを書く余裕はない。でも、余りにも素晴
らしいドラマだったし、明らかにドラマ目当てのアクセスも続いてるので、
軽~い記事をアップすることにした。重~い本格的レビューが好みの木
村君ファンには、『華麗なる一族』の最終回記事(ドラマ1本、原作1本)
でもお勧めしとこう。2年半後の今でも、熟読する方がいらっしゃるのよ♪
☆ ☆ ☆
さて、私がロンバケを見るのは13年ぶりで、それだけでも余りに懐かし
くて涙モノだったんだけど、実は初回は見てなかったのだ。終盤だけ見
たような気もするけど、ホントは後の回想シーンか総集編スペシャルで
見たんだろう。少なくとも初回の中盤までは全く知らない展開で、冒頭の
ツカミの上手さだけでも圧倒された。
アドリブがかなり入ってそうな瀬名(キムタク)&南(山口)の軽妙な会話、
南がかつらの文金高島田&角隠しを外してタバコを吸う男勝りの姿、
「セナマン」(瀬名のマンション)の部屋中央の太い柱を軸にしたコミカル
な仕草(ポールダンスのパロディーか)等々、一気に視聴者を引き込む
だけのインパクトとテクニックがある。最近のフジテレビなら、さらに最初
のベッドでキムタクの上半身裸の姿をサービスしてるはずだけど、ここで
はTシャツ姿で十分だろう。
物語のスタートは1996年春、皇居の近くの神社から。花婿・朝倉にドタ
キャン逃亡されたらしい白無垢の花嫁・南が猛ダッシュ。花婿の部屋に
乗り込んで遭遇するのが、たまたま同居してた瀬名(朝倉は既に逃亡)。
ドタキャンの原因となる女(ゆかりちゃん)を朝倉に紹介してしまった負い
目を持ってるし、南の心の痛みを受け止める繊細さと優しさを持った男
でもある。
4年半後の月9、『やまとなでしこ』では、松嶋菜々子がウェディングドレ
スで病院の堤真一のもとへとドタキャン・ダッシュしたけど、ロンバケの花
嫁ダッシュはいきなりだから意外感が強いし、映像もかなり長い。あれは
かなり大変な撮影だったんじゃないかね。脚本家の北川がかなり前から
抱いてたアイデアというお話だ。
その南のダッシュ、当時の山口智子に憧れてた私にとって、萌えカット
の発見にもつながった。どうせロンバケで書くブロガーのほとんどは、連
ドラ初主演のキムタク中心だろうから、私は逆に山口智子の魅力につ
いて語ろう。階段をかけ上がる時、着物から思い切り美脚をさらしてる
んだね♪ 元々、売れっ子モデルだし、結婚後とはいえ、まだ31歳だか
ら全然OK。全体的にかなり肌を露出してて、しかも決して下品じゃない。
健康的なお色気が輝いてた。流石は、自称「anan のモデル」だ。
事件の数日後、南が勝手に引っ越して来る時もミニスカートだし、カメラ
は一番下(ハイカットのスニーカー)から上にパン(or ティルト)していく。
その後、年下の瀬名(キムタク)に太腿を見せつけて大人の色気を誇示
するシーンもあるし、終盤にはパンツ姿でヘソ出し。何気に凄いのは、
柔らかめのソファーに深くゆったり腰かけても、お腹が全くたるんでない
こと。かなりウエストが絞られてないと無理だろう。ギクッとしたそこのあ
なた! 早速、RUN&BIKEでダイエットしなきゃね♪
山口は身長も170cmあるし、スタイルが良くて、とにかく衣装が全てサ
マになる☆ タイトルバック(作者不明)でも、ショートパンツ(or マイクロ
パンツ)かミニスカで、元陸上部のやや筋肉質な美脚を披露♪ 膝上が
太くて、膝下が細いのが特徴だ。ちょっと懐かしいロングヘアも、アッサ
リ系の可愛いタヌキ顔に似合ってる。あのヘアスタイルはロングシャギー
でいいのかな。あるいはレイヤーと言うべきか。個人的にあの髪型が大
好きで、女の子に無理強いしてたほどだ。聞いてない? あっ、そう♪
山口智子からドラマへと話を戻すと、タイトルバックの出来がまた全体的
に素晴らしい☆ 大ヒットした主題歌、『LA・LA・LA LOVE SONG』
(久保田利伸 with ナオミ・キャンベル)のキラキラしたイントロから始まっ
て、いかにも南の島のバケーションって感じの映像が続く。輝く海、青い
空、白い雲、熱帯植物、飛行機。。ヘソ出しの南が、瀬名の前で「エジプ
シャン」(両手広げてクネクネ)を踊る辺り、見入ってしまう。カッコ良すぎ!
物語性もちゃんとあって、一番ハッキリしてるのは、大きな旅行カバン
の使い方。瀬名、南に続いて、真二(竹野内豊)、桃子(稲森いずみ)、
涼子(松たか子)、ルミ子(りょう)もトランクケースを持って歩く。後ろ姿
で統一したのは、尻フェチへのサービスだ・・・って事じゃなくて、カバン
に目線を向けるためだろう。つまり、バケーションで遠出する格好なの
だ。けれども、最後には夕暮れ時の瀬名&南が映って、カバンは瀬名
だけが運んでる。と言うより、南が女王様で、瀬名をアッシー(死語?)
に使ってるようにも見えるほど。
このシーンが物語全体のハッピーエンドを暗示してるのは言うまでもな
い。幸せを運んで来てくれるのは若くて才能溢れるカッコイイ王子様だ
けど、女の側もまったく対等な姿で付き合ってる。170cmの山口がヒー
ルの高い靴を履くと、176cmのキムタクとまさに肩を並べる関係にな
るのだ。この格好良さ、男勝りのサバサバ感と、女としての魅力とが共
存してる点が、山口(あるいは南)の圧倒的人気を支えたポイントだろう。
男性以上に、女性ウケがすごく良かったのだ。。
☆ ☆ ☆
タイトルバックについてはこのくらいにして、ドラマの中身に戻って考える
と、ハッキリと中心的テーマが浮かび上がって来る。それは「リターン」だ。
回帰、戻ること。バケーションからリアルに、お休みから現実に戻って、
しかも前より幸せになること。アパート屋上の「JOCX DAIBA」の看板
も、応援してくれてるわけだ。「DON’T WORRY BE HAPPY」(心配
いらないよ。幸せになって!)。
瀬名で言うなら、大学院に落ちて、憧れの後輩とも遠ざかって、ヤマハ
音楽教室でバイトしながらコンビニ弁当やカップ麺を食べるのが「お休
み」中の姿。でも、森本レオも認めるように、ピアノの実力はあるんだか
ら、後は自分の周りに張り巡らせた「壁」を取っ払えば、夢に向かってた
頃に戻れるし、幸せな光も新たに差し込んで来る。リターン&ハッピー
は、手の届く範囲にあるのだ。
その瀬名のリターンを手助けするのが、突然侵入する南。侵入とは、壁
を越えて領域内に他者が入ることだ。朝倉がいなくなって一人で住んでた
瀬名のもとに、南が侵入する。この時点で既に、壁は1枚破れてる。その
後も、瀬名がコンテストに落ちたことを伝える電話を南が勝手に受けた後、
更に瀬名の部屋に侵入した時点で、また1枚壁が破れる。ただし、侵入
時にガラスが割れるとケガをするわけで、瀬名の心にヒビが入ってしまう
と、侵入者である南の側もケガをすることになる。
そのとき南に刺さったガラスの破片、言い換えると「核ミサイル」は、南
の無神経さに怒った瀬名の、「何で男に逃げられた30女と一緒にいな
きゃいけないのかわかんねぇよ」という言葉だ。「地雷を踏んだ」どころ
じゃない爆発力で、南はアパートの外まで吹っ飛ばされる。荷物を持っ
てスタスタ出て行く南。一方、ブスッと怒ったままタバコをくわえる瀬名。
ここで、2種類の伏線が集結して、奇跡のリターンが生まれることにな
る。まず、南の誕生日には朝倉が電話をくれてたという話。南が置き
忘れた履歴書には、誕生日が4月15日と書いてある。その前、音楽
教室で、メガネ&ワイシャツ&ネクタイ姿の可愛い瀬名先生が付けて
た日誌には、「4/15」という文字がハッキリ記されてた。そうか、逃げ
た恋人・朝倉からの連絡を待ってたから、南は勝手に電話に出てしまっ
たのか。。瀬名はその気持ちをようやく理解する。
そしてもう一種類の伏線は、かの有名なスーパーボール(私の田舎で
はピンポン or ピン球)。元々、朝倉と一緒に南がガチャガチャで手に
入れた思い出の品だから、朝倉との幸せへのリターン願望を象徴する
物でもある。この幸せ願望に別のリターンを与えたのが瀬名だった。
3階から下に投げたボールは、地面で跳ね返って奇跡的に瀬名の手
にリターン。南も大喜びしてマネをする。ところが、一回成功した後の
2回目にはボールが戻らなかったので、南は「諦めた」素振りだった。
そのボールが、南が出て行った直後の部屋で見つかったのだ。つまり、
南はあの後、下へ探しに行って拾って来てたわけで、そのくらい朝倉へ
の思いが残ってるということ。それなら誕生日である今日、この部屋で
電話を待つしかないと考えた瀬名は、他人のために弾いたことがない
というピアノを弾く。透き通ったスーパーボールの輝きを目の前にして。
まずは、「HAPPY BIRTHDAY TO YOU」(ハッピー・バースデー・トゥー・
ユー)。続いてあの懐かしくて美しい、感傷的な曲「CLOSE TO YOU
セナのピアノⅡ」。この「クロース・トゥー・ユー」とはサントラ盤CDにあ
る曲名で、「あなたのそばに」という意味だ。
曲を耳にした南は、屋上の看板と同じ、男女が寄り添う絵が描かれた
壁(バスケットゴールのある空き地の外側)にもたれて、しばらく耳をす
ませる。スタスタ歩いてた南がまだそんな近くにいたのか、なんて突っ
込みをしてはいけないのだ♪ この時、南がほんの微かな笑顔に留ま
る所がいい。部屋にリターンした後も、南も瀬名も決して笑顔を見せな
い。この辺りが渋い演出、あるいは演技で、暗い夜の映像の中で地味
に光ってる所なのだ。
で、結局初回のラストは、部屋に電話がかかって来た所。普通に考える
と弟の真二(竹野内)だろうけど、覚えてないし、意表を突いて別人かも
知れないね。ま、パチンコで500円(とルミ子が足で拾った玉)を5万円
にして、競輪でさらに50万円にした真二が、3度目を狙ってスッカラカン
になって、姉キに泣きつくと考える方が自然かな♪
☆ ☆ ☆
第1話だと、まだ真二は単なるいい加減な遊び人だけど、この後ピアノの
才能を見せてくれることになる。これがまた、男の目で見てもカッコイイの
だ。ピアノと言えば、涼子役の松たか子はホントに上手いらしいね。さす
が、血筋のいいエリートは違う。俳優と歌手だけじゃなかったわけか。
とにかく、このドラマ。まだ見てない人は是非お勧めしたい名作だ。特に
山P=山下智久&北川景子『ブザー・ビート』を見てた人がロンバケを見
ると、アパート、バスケットゴール、看板以外にもかなり色々と類似点を
発見できるだろう。いくつかは既にウチのブザー記事で指摘しておいた。
竹野内豊のファンなら、ロンバケから翌97年夏の『Beachboys』(ビー
チボーイズ)への流れを考えてみるのも面白い。男女の恋愛が展開され
るお休みから、男の友情が育まれるお休みへ(with 反町隆史)。このド
ラマの成功で、山口に続いて反町がNHKの好感度No.1に輝いた。
こうしてみると、私はお休みの物語が好きなのかも知れない。流石にそ
ろそろ、スーパー・ロングバケーションからリターンしないと、そのまま永
遠のおやすみになってしまいそうだ♪
という訳で、ウチはまたドラマのロンバケへと戻るわけ。まあでも、一瞬
ドラマの世界に戻った今夜も、私にとって奇跡のリターンだったかもね。
ではまた、いつか。。☆彡
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cf.完璧な重層的リターンという奇跡~『ロングバケーション』最終回
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起訴か不起訴か、検事の倫理と現実~『HERO 2』第1話
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映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、軽~い感想♪
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コメント
おこんばんは
や~だ~ロンバケ再放送のレビューしてるし(笑)
私も帰宅してから、録画しておいた1話を見ました。
ホント、何回見たかわからない。DVD-BOX持ってるし
昔やった再放送のビデオも持ってるのに
また録画してるし(笑)
ホント、1話にしてどっぷりハマった奇跡のドラマ。
なんで30女の面倒見なきゃいけないのか、わかんねえよ。
あのセリフからピアノ弾いて南が戻ってくるまでは
もうホントうまい演出だ~
いいドラマだな~
ドラマレビューロンバケ中なんだ。
今期はレビューしないの?寂しいな~
ロンバケ再放送1話は単体じゃなくて、お出かけレポに
ちょっと感想書いただけにしといた。
2話以降も楽しみに見る。
多分当分ロンバケモードになります(笑)
投稿: アンナ | 2009年10月28日 (水) 01時02分
> アンナちゃん
おっと、木村君だと反応が早いね
いやぁ、再放送のレビューなんて初めてだけど、
たまに書かないと書き方忘れる気もしてね。
ドラマ目当ての読者へのサービスにもなるしさ。
アハハ DVDも録画も持ってるのに、
また今回も録画したんだ。
じゃあ、カットされてる場所でも分析してよ。
うん。これは1話でハマる出来だわ。まさに奇跡
特にピアノで南を引き戻すシーンは素晴らしい☆
恋愛ドラマの教科書って感じのテクニックだった。
脚本、演技、演出、どれも文句無し!
ウチのドラマ記事のロンバケはかなり長くなりそう
お休みしてる間に、ブログ自体がお休みになるかも (^^ゞ
ま、第2話以降はアンナちゃんに任せるよ。
ひょっとしたら、もう1回だけ書くかも。。
ほんじゃ、またネ
投稿: テンメイ | 2009年10月28日 (水) 01時39分
1話もっかい観たいな。観たことあるけど( -。-)
投稿: 稲次将人 | 2009年11月 5日 (木) 11時11分
> 稲次将人さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
1話は特に素晴らしいので、ビデオかDVDで
もう一度ご覧ください♪
投稿: テンメイ | 2009年11月 6日 (金) 03時32分