10人とのお見合いで最高の相手にプロポーズする方法♪~鳩山の「OR」3
理系の首相、鳩山由紀夫の専攻であるOR(オペレーションズ・リサーチ
=作戦研究)について、就任直前に2本の記事を書いた所、どちらもな
かなかの好評だ♪ 朝日新聞のOR記事を解説した1本目、『AERA』の
OR記事のお見合い戦略を解説した2本目の記事、いずれも400人ほ
どの訪問を頂いてる(10月3日現在)。
ドラマ記事に比べると人数は少ないけど、お堅い学問系の記事としては
クリーン・ヒットだろう。結婚情報関連、ゲーム関連など、あちこちのサイト
でリンクも貼って頂いた。ゲームというのは意外だったけど、要するに話
の本質は、複数のものを順に1つずつチェックしてベストの選択をする方
法だから、RPG(=ロールプレイングゲーム)などで登場する選択場面に
も応用できるわけだ。
流石に数は減ってるものの、まだ検索アクセスは続いてるし、Googleで
はほぼトップランク、Yahoo!でも1ページ目に入ったままだから、ここで
最後に決定版の記事を書くことにしよう。10人とのお見合いで、ベストの
相手にプロポーズする確率を最大にする戦略の数学的説明だ。ネットを
ざっと見渡す限り、いまだにきちんと説明した記事は見当たらない。
私は前の記事で、2人や3人とのお見合いについては説明したけど、10
人については説明しなかった。その後すぐ、式と考え方は分かったもの
の、あまりに計算が面倒だから今までパスしていた。今朝になってようや
く電卓を使って計算し終えたから、記事にまとめとこう。数学で電卓を使う
ことは滅多にないし、筆算でも可能な単純計算に過ぎない。でも、ちょっ
とやる気がしない面倒臭さだったのだ。。
ちなみに、私はいまだに鳩山の「見合いの数理」という論文は読んでない
し、ORや確率の専門的知識も持ってない(下のP.S.参照)。単に高校
数学の基本的知識を地道に使って考えただけだから、多くの読者にとっ
て理解可能だろう。ただ、よほど実力がある人は別として、あらかじめ前
の記事で2人や3人の場合の説明を理解しとかないと、下の説明は難し
く感じると思う。その点はご了承頂きたい。もちろん、大まかに話の流れ
だけ見るのなら、そういった準備作業なしでも可能だ♪
(追記 11月6日の『たけしのコマネチ大学数学科』で、お見合い
問題が話題になったらしくて、番組放送中から検索が次々
と入って来た。検索ワードから考えると、どうも7人の場合
が出題されたようだ。番組では「法則」という言葉が使わ
れてたのかも知れない。
私は以下、10人で解いてるので、7人の場合も同様にや
ればいい。一応、記事末尾のP.S.2で、2人見送って3
人目から選ぶのが正解だと示す略解を掲載しておいた。)
☆ ☆ ☆
まず、10人とお見合いする際の条件とかルールを確認する。前にお見
合いしてパスした人にはもうプロポーズできない。最初の何人かは必ず
パス。その次からは、その人が今までで最高だったらプロポーズする。
そうでなければ、その人もパスして次の人とお見合いしてみる。もし最後
まで、その人が最高にならなければ、プロポーズはしないままお見合い
終了。
さて、最高の相手にプロポーズする確率を最大にするには、何人見送
ればいいのか。『AERA』によると、鳩山は3人見送るのが正解だと言っ
てるらしい。その作戦の成功確率は約4割とのこと。ちなみに、私の計
算でも同じ結果に到達してるから、下の解説は合ってると思う。
では、まず比較の対象として、最初の0人を見送る戦略、つまり誰もパ
スしないやり方を考える。すると、1人目は必ず「今までで最高」だから、
すぐプロポーズするとして、成功確率は当然1/10=1割。あるいは、
10人からまったくでたらめに1人選ぶと考えても、同じ確率になる。
次に、最初の1人を見送る戦略。その1人が1番素晴らしい人なら失敗。
逆に、2番目に素晴らしい人(確率1/10)なら、それ以降で「今までで
最高」なのは1番しかいないから、プロポーズは必ず大成功となる(確率
1/1)。さらに、最初が3番目に素晴らしい人(確率1/10)なら、それ
以降、2番の人より1番の人が先に登場(確率1/2)すれば成功する。
したがって、1人見送る戦略の成功確率は次のように約0.28、つまり
3割弱となる。たった1人見送るだけでも、かなり有効なのだ。
続いて、2人見送る戦略については省略して、3人見送る戦略について
説明しよう。これが分かれば、2人見送る戦略も、同様の考えでより簡
単に求めることができる。また、4人以上見送る戦略についても理解で
きるだろう。ポイントは、高校数学の教科書に太字で載ってた「組合せ」
(記号C=Combination)を利用することだ。
最初の3人の中に、1番素晴らしい人が入ってたら当然失敗に終わる。
次に、最初の3人の中で最もいい人が、2番目に素晴らしい人だったと
する。その確率を計算すると、3人の選び方の組合せは全部で 10C ₃。
つまり、(10×9×8)/(3×2×1)=120通り。その内、最もいい人
が2番になるような選び方は、残りの2人を3番以降の8人から選ぶ方
法の数だから、 ₈ C ₂=(8×7)/(2×1)=28通り。よって確率は、
28/120。
さらにこの時、4人目以降で「今までで最高」の人は1番しかいないから、
必ず成功する(確率1/1)。結局、最初の3人の中で最もいい人が2番
の場合の成功確率は、(28/120)×(1/1)。
以下、同様に考えて、最初の3人を見送る戦略の成功確率は、次のよ
ように約0.399、ほぼ4割となる。ちなみに小数第3位まで求めないと、
4人見送る戦略との優劣がつかないのだ。
さらに、全く同様の考えで、最初の2人、4人、5人、6人を見送る戦略の
成功確率は次のように、それぞれ約0.37、0.398、0.37、0.33と
なる。4人見送る戦略は、3人見送る戦略にほとんど劣らない確率だ。
式の分母にある45は、10C ₃。210は10C ₄。252は10C ₅ だ。
なお、最初の7人を見送る戦略は、その中に1番素晴らしい人が入ってし
まってる確率だけで7割もあるから、成功確率が3割以下になってしまう。
したがって、最善の戦略のはずはない。最初の8人、9人を見送る戦略
については、更に論外となる。10人見送る戦略は、単なるギャグだ♪
☆ ☆ ☆
以上より、最初の何人かを見送る戦略の中では、3人見送る戦略が最
善で、成功確率がほぼ4割(0.399)であることが示された。ただし、こ
れがあらゆる戦略の中でベストかどうかは、まだ議論の余地がある。お
そらく鳩山も、そこまでは論じてないだろう。一般に科学的な研究は、た
とえ明示してなくても、考える範囲をある程度絞り込んで行ってるわけで、
すべてを考察することは不可能だ。
数学的な研究なら一応可能だけど、ORというのは科学と数学の間に位
置する学問だから、理論的にすべてを計算しなくても許されるだろう。と
もかく、鳩山由紀夫が面白いことを考えてる本格派の理系の首相である
ことは間違いない。
なお、おそらく一般に、複数の相手とお見合いする場合は、半分より少
し少ない程度の相手を最初にパスする戦略が最善なんだと思う。ただ、
その数学的証明は、私にはしばらく出来そうにない。ま、お見合いする
相手の数は多くても50人だろうから、その程度の実用的範囲なら、電
卓ですべて計算することは可能だろう。
一般に n 人とのお見合いで m 人の見送る戦略の成功確率は、数列
の和を表す記号シグマ(Σ)使って、次のように表せる。
どなたか、お試しあれ♪ パソコンでプログラミングできる人なら、簡単な
作業のはずだ。もちろん、50人までなら人力でも可能だけど、丸1週間
くらいかかるかも知れないし、計算ミスする恐れが十分あるだろう。あっ、
結婚情報サイトの方、お仕事として頑張ってみては如何? 上の数式を
利用する場合は、参考サイトとしてウチを紹介してネ♪
それでは、この辺で。。☆彡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P.S.『週刊文春』10月15日号でも、鳩山のお見合い論文が話題になっ
てた。宿敵・朝日の後追いをするなんて珍しいね♪ 記事内容の
小見出しは、「助教授論文『何人目にプロポーズするべきか』数式
で分析」。
読んでみると、鳩山の論文の冒頭はこうなってるそうだ。「結婚にも
ルールがある。日本では、典型的な結婚のパターンは恋愛結婚と
見合い結婚である。恋愛に理屈をつけてこね回すのは野暮である
から、ここでは見合い結婚を取り上げる」。
う~ん、理系の中でもかなり堅苦しい文章だね。普通なら、例えば
「恋愛」と「見合い」の後の「結婚」という言葉はくどいから省略する
所だろう。ま、野暮って言い回しは可愛いけど♪
あと、この話には元ネタがあるという事も書いてあった。「secretary
problem」(秘書を選ぶときの問題)と呼ばれてるそうで、英語のウィ
キペディアで調べると難しい一般的説明が載ってた。日本のウィキ
にも一応「秘書問題」という項目があるけど、内容がかなり似てるし、
参照とかが英語のものばかりだから、おそらく英語のウィキを参考
にして書いたものだろう。。
P.S.2 上に掲載したΣ(シグマ)の式を用いると、『コマ大数学科』で出
たらしい、7人との見合いの最善策もすぐ計算できる。
有力候補だけ成功確率の計算結果を書いておくと、1人見送る
場合は0.35、2人見送る場合は約0.414、3人見送る場合
は約0.407(他は省略)。よって、2人見送る戦略が最適解だ。
ちなみにこの答は、ウィキペディアの「秘書問題」の項目に書い
てある答の一覧表とも一致している。私よりも少しシンプルな
式を使ってるが、証明はない。英語版ウィキを引用&翻訳した
だけだろう。そこでは、人数 n が無限大へと増加するにつれて、
最初にスキップ(=パス)する人数が n/e に近づくことが記さ
れている(n=ネイピア数=自然対数の底=2.718・・)。成功
確率は、1/e (約37%) に近づくそうだ。。
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コメント
お久しぶりです!
TB&コメントありがとうございました。
鳩山総理のORが話題になっていたんですね。
竹内薫先生が今回のコマ大のネタにしたのも、
そういった流行を察知したからかもしれません。
(最近、ネタに困っていたようですので・・)
お見合いやナンパでは、1000人を対象にしたとき、368人まで観察して、その後に決めると良いというお話。それでも良いお相手は4割弱しか望めないとは・・。世の中うまい具合にはいきませんね。
投稿: シャブリ | 2009年11月 6日 (金) 14時15分
> シャブリさん
お久しぶりです。こちらこそ、どうも♪
この記事で接点が出来るとは意外でした。
って言うか、ず~っとコマ大は続けてるんですネ!
鳩山のORは、総理就任時にメディアでそこそこ取り上げ
られたから、ウチの記事3本もロングセラーになってます。
当然、スタッフもお見合い論文は知ってたでしょう。
難易度も解く時間も手ごろですしね。
1000人で368人っていうのは、
1000 ÷ 2.718の計算結果ですね。
人数が多い場合は、e(=2.718)で割った数だけ
パスすればいいってお話。
「良いお相手」が4割弱って物足りないですか♪
これ、「最良の相手」を選ぶ確率だから、
僕はかなり高い確率だと思うけど。
ちなみに、「1番か2番の相手」を選ぶ確率なら、
同じ戦略で5割を超えることが多そうです。
4人と5人なら既に計算しましたが、7人の途中で
ダルくなって挫けちゃいました (^^ゞ
また後で気が向いたら、追加記事を書くかも。
とにかく、やっぱり数学は面白いってことで ♪
それでは、また。。
投稿: テンメイ | 2009年11月 6日 (金) 21時16分
テンメイさま
> この記事で接点が出来るとは意外でした。
> って言うか、ず~っとコマ大は続けてるんですネ!
こちらこそ!!
コマ大記事は、偶然ブログをはじめることになって、
最初に書いた番組だったこともあって続けております。
番組監修と講師をされている竹内薫先生からも認知されたこともあって、
やめる訳にはいかないという事情もちょっとあります。
kaoru.txt-nifty.com/diary/
(コマネチ人としてリンクを貼っていただいているので・・)
> ・・当然、スタッフもお見合い論文は知ってたでしょう。
> 難易度も解く時間も手ごろですしね。
マス北野の相手が東大医学部の2人の週なので、
この程度の難易度が必要で、確かに手ごろだったかもしれません。
最近、高橋洋一氏と「鳩山「理系」政権を解剖する」本を
一緒につくっているとのことで、その過程でこの問題をコマ大に
使おうとしたのかもしれません。
> 「良いお相手」が4割弱って物足りないですか♪
> これ、「最良の相手」を選ぶ確率だから、僕はかなり高い確率だと思うけど。
そういわれてみると、物足りないというのは贅沢かも、と思えてきました。
考えるに、いままでどれくらいの人に会ってきたんだろう。
そのなかでGETした人の良し悪しは、確率的にどうだったんだろう。
と、ちょっと考えたり・・・(笑)
これは余談ですが、
探偵Xからの挑戦状(NHK)で、論理パズルの問題が出されました。
chablis2.blog75.fc2.com/blog-entry-2036.html
頭の体操にいかがですか?
答えは、11月11日深夜24:10(NHK)で放送されます。
ではでは~
投稿: シャブリ | 2009年11月 8日 (日) 20時52分
> シャブリさん
こんばんは☆ 再度のご登場、どうもです♪
あっ、最初に書いた番組がコマ大ね。
それは思い入れがあるでしょう。
僕も、ドラマレビューにハマるキッカケになった
『野ブタ』には、特別な思い入れがあります。
今もトップに、3話を意識した写真を貼ってるほど。
山Pや亀梨を特別扱いしてきたのも、要するに
野ブタの主演2人だったからだし。
で、竹内薫氏のブログにリンクがあるとのお話。
早速、チェック。なるほど、コマネチ人☆
何と、ココログ仲間だったんだ。。
肝心のお見合い関連の記事は見当たりませんね。
コマネチ人達にお任せってことなのかな。
番組HPも、ほとんど情報がないし。。(^^ゞ
ほら。最良の相手を選ぶ確率4割弱って十分でしょ♪
僕なんて、高過ぎて納得できないほど。
3割弱くらいなら、そんなもんかなって感じだけど。。
ちなみに実体験だと、全体の数が不特定だから
まったく別の話になっちゃいますよね。
常識的に考えて、量が増えると質は下がるような気も
しますが、ある程度の量がある方が質は高いかも。
要するに、量が多いというのは、何らかの意味で、
選ぶ側の優秀性を表すでしょうからね。。
さて、余談なんて書くからハマっちゃったでしょ!(^_^;
挑戦状とか論理パズルとか言われると、自称マニアック・
ブロガーとして、解かなきゃマズイ気がするもんで。
それにしても、超ややこしいですネ。。
一応、2時間の試行錯誤で答えはほぼ特定
できましたが、まだ自信がありません。
チャンプ=犯人は芳賀じゃないかなぁ(確率5割程度・・)。
8通りの場合分けをしたんだけど、何か忘れてる
気もするし、それぞれの考察もまだ整理できてない状況。
(追記&訂正: 確率6割で女の新海がチャンプ=犯人)
この種の問題は、条件の曖昧さも日常茶飯事ですしね。
たとえば、新海が女子の中で一番上位って条件は、
他の女子と同格の場合も含めるのかどうかが気になる所。
僕は一応、含めて考えました。
あと、得意技同士の優劣関係は考えなくていいのかどうか。
僕は完璧に無視してます♪
もし自信が持てたら、記事にしますが、
こんなマニアックな話、読む人いるのかな。。(^^ゞ
テレビを見るだけで、問題は分かるんですかね。
携帯の問題は、また別の話で。。
それにしても、この「解決編」がたった30分の
番組でできるのか、ちょっと気になります。
詳しい話はまた、「コマネチ人」みたいな
「探偵X人」にお任せするのかな♪
ではまた。。
投稿: テンメイ | 2009年11月 9日 (月) 04時26分