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解けない問題、χ(カイ)=愛 ~『ガリレオ 容疑者Xの献身』

(☆14年6月20日追記: 最新長編レビューをアップ。

  真解=深海の光を目指す水ロケット~『ガリレオ 真夏の方程式』 )

   

(☆13年6月23・25・26日追記: 最新数式記事レビューをアップ。

 男子の中で泣く女~『ガリレオXX・内海薫』愚弄(もてあそ)ぶ

 『ガリレオ2』最終回の数式、浄水器と管内の水の乱流&層流

 スイングバイによる軌道修正~『ガリレオ2』最終回・聖女の救済(後編) )

  

  

         ☆          ☆          ☆

(冒頭)  まったく 科学で証明できない事はさっぱり理解不能なくせに・・・

  そんなものがどこにある?

  ありますよ 例えば 愛 ♡

  確かにそれは非論理的なものの象徴だ  (・・・中略・・・) 

  愛などというものについて考えるのは・・・

  もう結構です! 時間の無駄です!

  分かればよろしい♪

  

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(ラスト)  もし石神が 人を愛することを知らないまま生きていたら

  罪を犯すこともなかったのかも知れない

  あいつは それほどまで深く 人を愛することが出来たんだ

  石神は 花岡靖子に生かされてたんですね 

  (・・・沈黙・・・   見上げると空から雪 )

   

  

    ☆     ☆     ☆

素晴らしい!☆ 私のつぶらな瞳に、星屑のような光が何度も浮かんで

しまった。年末の忙しい時に突然放送するのは、全く素晴らしくないけど、

再放送と共にウチへのアクセスも急増している。時間がない中でも、

単な感想記事もどきくらいは書いとこう。ホントは本格的レビューを書き

たい所なんだけど、現実とは常に妥協の産物なのだ。

  

ウチでは、4年4ヶ月の毎日更新を通じて、今まで2000本近い記事を

アップしている。ドラマ関連記事だけだと500本弱。その中でも、『ガリ

レオ』は全くの特別扱いで、本編の本格的レビュー11本、数式などの解

説16本、原作・脚本記事7本、その他3本。計37本もの記事を書いて

いる(この記事末尾のリンク参照)。これが38本目。半ば理系、半ば文

系のマニアック・ブロガーにとって、このドラマはまさにツボなのだ♪

   

今回もまた、ガリレオのテーマ曲「VS.~知覚と快楽の螺旋~」に乗っ

て、やたら分かりにくい数式をダダダッと書き込んでくれると期待してた

んだけど、意外なことに映画では無かった。その代わりを果たしたのが、

花岡靖子(松雪泰子)に対する石神哲哉(堤真一)の「純愛」だ。

   

もちろん、法的にも倫理的にも悪に染まった愛を、純愛と受け止めるの

は、かなり抵抗がある。けれども、ただひたすら相手の幸せを思い、そ

こから自分の幸せを感じ取る、精神的な愛という意味で、純愛と呼んで

いいだろう。見方を変えるなら、愛とは、法とか倫理の彼方に位置する

超越的存在なのだ。精神分析の創始者・フロイトなら、愛とは現実原則

や快感原則の彼岸だと言うだろう。

   

と言う訳で、ここから文系的な解釈を延々書いてもいいんだけど、実はウ

チのガリレオ記事の読者には理系的な方が多いし、大学の理工系学部

からドラマと無関係なアクセスもかなり入ってる(特に共振波動方程式

ナヴィエ・ストークス熱伝導方程式)。テンメイがエレクトーン大会の舞台

に立てたのも、第10話の難解な微分方程式を自力で解いたからなのだ。

   

したがって、やはりまず、理数系の解説からマニアックに入るとしよう。と

言っても、たかが高校1年の教科書レベルに過ぎないから、文系読者の

方もスクロールの速度を緩めてね♪

  

   

     ☆     ☆     ☆

ドラマの冒頭で、湯川学(福山雅治)がいきなり語り始めたウンチクは、

ガウス加速器」の説明だった。これと、19世紀の数学・物理学の天才

ガウスとの関連は、調べてもなかなかいい情報が出て来ないから、差し

当たり後回しにしよう。とにかく、陸上から海の上のクルーザーを攻撃

する手段の説明として、磁力による物体の高速発射を持ち出したのだ。

   

まず最初は、磁力と関係ない鉄球の衝突実験。レール上に並んだ球

4コに対して、左から1コぶつけると、右から1コだけが同じ速度で飛び

  

091229a_3 出すことになる。

 これを湯川は簡

 単に、「運動量

 

  とエネルギーの

保存則」とだけ説明したけど、ここでは正確な議論をしてみよう。

  

並んだ4コに1コぶつける実験というのは、離れた4コに1コぶつける実

  

091229b 験だと考えれば

 よい。つまり、

 「並んだ」とい

う条件は、「距離がほぼゼロの」と読み変えればいいのだ。そこで、重要な

のは、1コと1コの衝突という事になる。

  

いま、質量 m の鉄球を、初速度 v₁で、質量 m₂の鉄球に衝突させて、

それぞれ速度 「v₁´」と「v₂´」になったとしよう。これらの記号は、映画

  

091229d で湯川=福山の

 キャスティング

 を説明する時に、

 画面に映ったも

のだ。金属球は非常に硬いから、反発係数(はねかえり係数)は1と見て

よい。つまり、エネルギーロスが無い理想的な衝突だ

  

この時、まず運動量保存則(変化の前後で質量×速度の総和が一定)から

 

    mv₁+m₂v₂= mv₁´+m₂v₂´

 

ここで、質量m₂の球は最初止まってるから、v₂=0。また、球の質量

は等しいから、m=m₂。これらを上式に代入して整理すると、

 

    v₁=v₁´+v₂´ ・・・・・・①

 

一方、反発係数を用いた衝突の式より、

 

   1 = -(v₂´-v₁´) / (0-v₁) ・・・・・・② (右辺は分数)

 

以上、①②の連立方程式の解は、v₁´=、v₂´=v₁。つまり、最初に

ぶつけた球は止まり(速度=)、ぶつけられた球はぶつけた球と同じ速

v₁はじかれる。同様の計算を連続4回行えば、1コを4コにぶつけ

た場合の結果も導き出せるわけだ。湯川が口にした、エネルギー保存則

は不要だけど、全ての球の動きがあらかじめ大まかに分かってるとする

なら、右端の球の飛び出し速度を求めるのには使える。

   

続いて、「ネオジム磁石」を用いたガウス加速器。湯川は「ネオジウム

 

091229c 磁石」という通

 称で「ウ」を挟

 んで呼んでたけ

  ど、本来の呼び

 

名はネオジム(Neodym)だ。ネットで探すと、2cmの球が税込1200円

ほどで売ってる。小さい球形なのに、ちゃんとN極とS極があるらしい。こ

の場合は、強力な磁力によって急激に加速し、右端の球は高速ではじか

れる。ドラマでは、右端のクルーザーの模型にぶつかって倒してた。

   

この現象は、数量を気にせず定性的に(性質だけ)考えるなら、次のよう

 

091229e な実験と同じだ。

 左上の球は、重力

 に引き付けられて

 右下へと加速、右

 端の1コを強くは

 じき飛ばす。この

 場合、重力による

  

位置エネルギーが運動エネルギーに変換され、加速が生じてると考えら

れる。まったく同様に、ネオジム磁石の場合、磁力による位置エネルギー

の変換から加速が生じてるわけだ。磁石から離れた場所にエネルギー

があるのは、磁石から物を離すのにエネルギーが必要だから、と考えれ

ば分かりやすい。

   

ただし、磁力の場合は計算が遥かに難しいから、ネットを探してもきちん

とした式が(ほとんど)見当たらない。ウィキペディアも含めて、形式的な

公式や定性的な説明を書いてるだけだ。なぜ遥かに難しいかというと、

磁石の場合はN極とS極が必ずペアになってて、反対のような作用を及

ぼすから、それら2つの作用を時間の流れに沿って足し合わせるのが

非常に難しいのだ(特に近距離)。作用の向きも、刻々と変化してしまう。

   

理数系の話は、他にも力学的エネルギー保存則(変化の際に、運動エ

ネルギーと位置エネルギーの総和が常に一定)、プランク&アインシュ

タインの量子論(湯川学やそのモデルの湯川秀樹の専門)があったんだ

けど、それらはこの記事末尾のP.S.に回すとしよう。

   

     ☆     ☆     ☆

はい、文系の人もスクロールを止めてネ♪ ともかく、この冒頭の実験

は色んな意味で上手かった。まず、ドラマ・スペシャル『ガリレオφ』(右

端のギリシア文字は本来「ファイ」と読む)のラストで映ってた、クルーザー

事故の解決とつなげる。また、新しくて面白て簡単な鉄球実験と、ドラマ

第1話のレーザー光線実験を思い出させる超伝導加速器実験(帝都大

学第二実験場)とを結びつけて、視聴者やファンの心をつかむ。

   

さらにその後、内海薫(柴咲コウ)のウンザリした対応とも結び付ける。

 

091229f_2 そして恋愛ストー

 リー的にも、石神・

 靖子・美里(金澤

  美穂)・富樫(長

塚圭史)の4人の関係をイメージさせてたのだ。つまり、強力な磁力を発

する美人の靖子が、不遇で冴えない数学の天才・石神を引きつけ、加

速した石神の動きが、元・夫の富樫(およびホームレスの男)を隅田川

の底へとはじき飛ばし、冒頭の被害者と同じく、水の中に消し去って行く

ことになった。磁力は「論理的でない」強さだったため、石神にはどうす

る事も出来ず、湯川も最初は推測を誤った。

   

ちなみに今、「隅田川の底」と書いた。映画の最後、KOH+の主題歌

『最愛』が流れる中、警察の必死の捜索が映ってたわけだ。その最後、

ちょっと来てくださいとか言って、ダルマ船(?)の上で警察が向こう側

に集まる。手前では、誰も気にとめないガラスの置物がクローズアップ。

美里が最初に元・夫の後頭部を殴った、あの置物の割れた姿だ。した

がって向こう側では、元・夫の死体を調べてたと見るのが自然だろう。

   

叙情的な曲をバックにしたこのラストは、非常に美しく巧みだった☆ ま

ず、置物の中にあった高層ビル群が、東京=都会とか、見果てぬ夢を

思わせる点がいい。その意味であの高層ビルの模型は、高い雪山と重

なり合う。実際、置物の水晶玉(?)にも、雪のような模様が浮かび上がっ

てた。ただし、あくまで「偽物」として。そして、隅田川の映像は一面のは

かない雪。その雪は、湯川&内海のラストの会話からつながってるもの

で、素晴らしい映像美だった☆

   

さらに、分かりにくい関連についても指摘しとこう。それは同じフジテレビ・

月9の大ヒット、『やまとなでしこ』との関連だ。美人スッチーの桜子(松嶋

菜々子)を愛してしまう冴えない数学者&お魚屋さん、中原欧介(堤真一)

は、最後に2人でハッピーエンドを迎えた。その舞台が、魔天楼=高層

ビルがそびえたつニューヨークだったのだ。

   

したがって、『容疑者χの献身』とは『やとなでしこ』のバッドエンド版

あることが、あの割れた置物=凶器から示唆されてることになる。たとえ、

原作者・東野圭吾の考えには、そのつながりが無かったとしても。。

    

     ☆     ☆     ☆

さて、今私は『容疑者χの献身』と書いた。この「χ」は、「カイ」で入力して

ギリシア文字で、アルファベットの「x」(エックス)の元になったものだ。私

は去年、映画と原作の話を初めて知った時、当初は「容疑者カイの献身」

かと思った。というのも、明らかに活字的には、エックスよりもカイに近い

曲線を描いてるし、カイはハイレベルな数学でよく使われる文字だからだ

(カイは慣用の英語読みで、正式な発音はキー)。

  

ところが、ウィキペディアも含めて、あちこちに「エックス」と書かれてる。こ

の根拠は何なのか、調べてみると、なかなか見つからなかったけど、アマ

ゾンで見ると、文春文庫の最後のページに「ようぎしゃエックス」とふりがな

が付いてた。でも、これは明らかに、多義的な効果を狙った東野お得意の

だろう。ネットでも声が上がってるように、単なる「エックス」には見えない。

  

では、なぜ「χ」(カイ)を使ってるのかと言うと、視覚的に目立たせるとい

う意味もあるだろうけど、「容疑者X」が「誰にも解けない問題」の「解」(カイ

=答え)だからだろう。ここで言う「誰にも解けない問題」とは、天才・石神

が組み立てたトリックではない。それなら、別にもう一人ホームレスを殺し

たことまで含めて、湯川がキレイに解き明かしてた。

  

本当に「誰にも解けない問題」とは、なぜ石神があんな罪を犯してしまっ

のか、という事だ。その解(カイ)は、差し当たり未知のものとしてエック

と呼ぶことはできるし、愛(アイ)だと指摘することも簡単だ。けれども、

その愛とは何なのか、また、どうして「献身」的に冷酷な犯罪を犯してしま

うのか、もはや誰にも解き明かすことは出来ない。χ(カイ=解)は愛(ア

イ)だと言って済ます訳にもいかないのだ。

  

「2乗して25になる自然数χ」は5だ。けれども、「殺人の隠蔽を手助け

し、別の残忍な殺人を犯して、自分だけが逮捕されようとする愛」とはど

んなものなのか、どう扱えばよいのか、他人はもちろん、本人にもよく分

かってないだろう。

   

したがって、容疑者X(エックス)、あるいは容疑者χ(カイ)とは、実は愛

(アイ)であって、まだ真相は明かされてないのだ。なお、こうした言葉遊

び的な表現は、実は冒頭の湯川&内海の会話にも表れてた。「円の面

積が半径×半径×愛(アイ)」と湯川が言った時、もちろん「半径×半径

×π(パイ)」という公式を意識したダジャレ、あるいはレトリックになって

たのだ。π(パイ)とはもちろん、円周率3.14・・・を表すギリシア文字だ。

   

  

    ☆     ☆     ☆

残念ながら、年末の忙しい時ではこの辺でもう時間だ。最後に、残った

話をまとめてサラッと書いとこう。ここまで絶賛的な書き方になってるけ

ど、この作品の欠点や不満を挙げるのはわりと簡単だ。

   

数式書きなぐりシーンも含めて、ドラマで顕著だった湯川の活躍ぶりが

地味だし、雪山での転がり方もやや苦しい。わざわざ隅田川の堤防の

ホームレスを見ながら通勤するというのも考えにくい行動だし、最後の

石神の号泣は静かにむせび泣く方がしんみりできた。湯川と内海の親

しさも、たとえ続編を考慮してるにせよ、もう少し突っ込んだ表現が欲し

かった所だろう。その機会も時間もあったはずだ。

  

有名な超難問「リーマン予想」(ゼータ関数の自明でない零点 s の実部

はすべて1/2)に関する論文を、湯川が石神に読ませて天才を再確認

する軽いエピソードはいいとして、1976年、アッペルとハーケンがコン

ピューターで強引に解いた「四色問題」(Four color problem or 四色定理

: 地図は四色で塗り分け可能という話)の使い方がやや甘い

  

隣同士が同じ色になってはいけない」、つまり、隣同士が同じような犯

罪(殺人)を犯してはいけないとか、大学のベンチで隣り合う石神が数学、

湯川が物理学だとか、最低限のドラマへの組み込みは出来てるけど、

公式HPでも強調してるんだから、もう少しこだわりが欲しかった。難し

い理屈はともかく、せめて廊下のお花が4色である事を強調しとくとか。

   

幾何の問題と見せかけて関数の問題」という引っかけも、高校の数学

ではほとんど意味がないはずだ。と言うのも、高校の幾何(=図形)は基

本的に変数を含む計算(=関数)で解くことが普通だから、引っかけに

ならないし、本格的に作ると難し過ぎて、あの不真面目なクラスのテスト

にはならない(ちなみに黒板に石神が書いてたのは、高校・数Ⅱの平凡

な積分計算)。

  

そんな事より一番不満なのは、石神の自殺未遂の動機が非常に曖昧

ことだ。死ぬ瞬間に、素敵な母と娘がやって来たからこそ、石神の特別

な思い入れは過度に増幅したのだから、死に向かう説明がもう少しない

と、なぜあそこまで「愛する」のかもピンと来ない

  

地味な1人暮らしを続ける30代の高校教師なら、経済的にもさほど困っ

てないだろうし、雪山に登るパワーを見ると、健康にも問題はない。研究

に行き詰った様子も特にないし、才能も衰えてない。パソコンがあるから、

ネットで論文投稿して世界にアピールすることも可能(例えばポアンカレ

予想の解決)。なのに、どうして自殺なのか、ピンと来ないのだ。ネットで

見かけた簡単な情報を総合すると、どうも原作の石神はもっと冴えない

男らしい。その屈折した思いの描写が、映画では不足してるのだ。

  

比較的恵まれた定職があり、弁当屋「みさと」でおまかせ弁当600円

(リッチ♪)を買う余裕もあり、住まいもあって、研究資料もたっぷり買い

揃えてある。したがって、仕方なくやってる低レベルの授業のつまらなさ

とか、高価な洋書を買い揃えるのに借金してるとか、論文が何度も学会

誌でボツにされてるとか、婚活で失敗続きとか、寝たきりの親の介護

で疲れ果ててるとか、何かもっと具体的な自殺動機の強調が欲しかった。

   

けれども、そうした欠点を補ってあまりある、切なくて美しい純愛が描か

れていたから、もちろんこの作品は傑作だ。実際、興業的にも大成功

だったらしいし、実は私は時間の関係で、29日の朝にあらかじめDVD

を借りたんだけど、レンタルショップでもいまだに部門別「1位」とされて、

ズラッと並んでた。新作でもなく、地上波テレビ初登場直前なのに、半

分は貸し出し中だったのだ。

   

この作品、色んな意味でドラマとは違うけど、ドラマファンも十分満足

きただろう。草薙俊平(北村一輝)はドラマより遥かに出番が多かったし、

栗林(渡辺いっけい)・弓削(品川祐)・城ノ内(真矢みき)らは相変わら

ずいい味出してたし、「少年探偵団」林剛史・福井博章・伊藤隆太・高山

都・葵らも懐かしかった。石坂浩二と共に特別出演した元フジの女子アナ、

八木亜希子も、『明石家サンタ』の直後だけに、親しみが感じられた。

  

最後に、再び愛について語っとこう。石神の愛の対象は、ずっと数学だっ

た。だから、そこに美を求めたのだ。その愛がいま一つ幸福に結びつか

ない状況で、愛の対象が人間に代わった。最初から美しい女性になった。

数学は、観念的なものを扱う学問だけど、人間への愛は現実的なものを

扱う生の営みだ。あまりのギャップに、数学の天才といえども全く歯が立

たなかったように見える。けれども、非常に屈折した悪の形で、その愛は

一種の至福に到達したと言えるのかも知れない。

   

「数学の美しさを愛する石神」を愛してた湯川にとっては、非常に残念な

思いが残っただろう。刑務所に数学の本でも差し入れするだろうし、死

刑にはならないはずだから、15年後くらいの出所の際には温かく迎える

はずだ。差し当たり、今の暗く傷ついた湯川を支えるのは、内海の愛と、

静かに舞い落ちる粉雪だろう。

  

ともあれ、素晴らしい作品を見せてくれたスタッフ&キャストの皆さん、ど

うもありがとう。特に脚本・福田靖、監督・西谷弘、音楽・菅野祐悟、企画・

大多亮、制作・亀山千広の皆さん、本当にお疲れさま♪ 

   

伏線の張り方(殺されたホームレスのベンチの映像2回、遺体の確認に

時間がかかるという話など)、フェイントの入れ方(アリバイ作り、石神の

ストーカー的扱いなど)、雪山やホームレスのロケなど、グッド・ジョブ(い

い仕事)だった。1人の犯人が2つに分身する代わりに、2人の被害者が

1つになってるという、原作者・東野のトリックもキレイだった。流石、直

木賞、本格ミステリ大賞に輝く作品だ。

   

それでは、不可解なχ(カイ)である人間の愛に、何らかの幸福が結びつ

くことを願いつつ、今日の所はこの辺で。

最後は、石神から靖子への、茶封筒のラブレター後半で締めくくるとしよ

う。缶に大切に入れられたままの様子が、何とも切なかった。。☆彡

   

  

  花岡靖子様

  

 私はあなたに感謝しているのです

 人生に絶望し すべてを投げ出そうとしていた

 私を救ってくれたのは あなたなのですから

 私が何を言っているのか あなたはお分かりにならないでしょう

 それでいいんです

  

 花岡靖子様 美里様 本当に 本当にありがとう

 どうか幸せになってください

 私の事はすべて忘れてください

 決して罪悪感などを持ってはいけません

 あなたに幸せになってもらわなければ

 私の行為はすべて無駄になるのですから

   

   

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.湯川が可愛いギャルだらけ大教室の黒板に書いてたのは、アイ

  ンシュタインの光量子仮説(Einstein's Light Quantum Hypothesis)

  に至る物理学の歴史だったようだ。光のように連続的に見えるも

  のにも、最小単位としての粒子(光量子 or 光子)があるという考え。

   

  アインシュタイン自身に関する説明が右端でわりとハッキリ映され

  て、説明の最初は「begin with Wien's formula and calculate entro-

  py」(まずヴィーンの式から始めてエントロピーを計算)となってた。

  ヴィーンも有名な研究者だけど、それに取って代わったのが、すぐ

  左側に書かれてた研究者・プランク(Planck)の法則(or 式)。

   

  残念ながらそれ以上の事は、あの映像だと読みとれない。いずれ

  にせよ、あの女の子たちには、仮に日本語で話しても難し過ぎる

  だろうから、あとで個人的に研究室へ「質問」しに行くはずだ♪

  

  あと、最初の「内海=柴咲」の文字が浮かぶ所で映ってた式は、

  力学的エネルギー保存則。運動量保存則と並ぶ、根本的な自然  

  法則だ。等式の左辺は、変化の前の運動エネルギーと位置エネ

  ルギーの和( 速度 v、高さ h 、重力加速度 g )。右辺は変化の後

  の和だ( 速度 v´、高さ H )。理想的な力学的変化の場合、前後

  で、エネルギーの和が一定に保たれる。

   

   1/2 mv² + mgh = 1/2 mv´² + mgH

    

  

P.S.2 湯川が、数学の世界における前人未到の山として挙げてたの

  は、ホッジ予想、ヤン=ミルズ方程式と質量ギャップ問題、P

  ≠NP(ピー・ノット・エヌピー)問題。直後に話題になるリーマン

  予想と共に、有名な未解決問題で、四色問題と違って、問題

  の意味さえなかなか分からない。

  

  アメリカのクレイ数学研究所が2000年5月、それぞれの問題

  に100万ドルの賞金をかけて、21世紀における解決を促した

  ことから、「ミレニアム懸賞問題」と呼ばれている(全部で7つ)。

  この場合のミレニアムとは通俗的な意味で、2000年を表す。

  手近な最新の解説書として、例えば講談社ブルーバックスの

  『数学21世紀の7大難問』(中村亨)がある。

   

  なお、解決したとされてる「ポアンカレ予想」については、ウチ

  でも3本の記事を書いてある。例えば、次を参照。

 

  「ポアンカレ予想」の正確な数学的理解を目指して

  

P.S.3 ドッペルゲンガー(Doppelganger:分身,自己像幻視)とか、

  バイロケーション(bilocation:二ヶ所存在)の例として、湯川

  は1854年ラトビアのエミリー・サジャを挙げていた。ネット

  上でもそういった情報があちこち見られるが、英語版ウィキ

  では1845-46年と書いてある。

   

P.S.4 高校数学の数Ⅲから微分方程式が無くなったことを、石神が

  嘆いてた。これがいつからなのか、ネットで検索してもなかなか

  正確な情報が見つからなかったが、1時間以上かけてようやく

  発見できた。大阪府教育センターのサイトによると、平成1年

  (1989年)告示の学習指導要領で外されたそうだ。授業への

  適用は、平成6年(1994年)の高校1年生からになる。

  

  ただし、文部科学省の学習指導要領に無くても、各学校や授

  業で微分方程式を扱うことは一応可能だし、もちろん塾や参考

  書などでも可能だ。大学入試問題まで含めた、実際の高校生

  (及び浪人生など)の状況については、今の所よく分からない。。

   

P.S.5 今回、時間の都合で、放映当日の朝にDVDを借りて見たの

  で、地上波の録画と後で比べて見た。CMや予告、中間のあ

  らすじ紹介といった地上波の特徴以外に、気になったのが、

  終わり方だ。

 

  地上波テーマ曲の1番だけで唐突に終了してるけど、DVD

   2番までちゃんと歌って、おまけにその後、例のラマ版の

  テーマ曲が「ダダダッ」と流れて終了。明らかにDVDの方がい

  い。おそらく、映画館の上映もDVDと同じなんだろう。やはり、

  お金を出して見ると、それなりのメリットがあるってことか。。☆ 

   

P.S.6 『容疑者Xの献身』の地上波の視聴率は17.3%。また、前日

  の『ガリレオSP』の再放送は、15.2%だった。どちらも、まず

  まずの数字だから、ますます『ガリレオ2』の確率が高まった♪

   

P.S.7 冒頭の超伝導加速器と、「レールガン」(Railgun = 電磁加速砲、

  電磁投射砲)と呼ばれる物との関係は、今のところ不明だ。

   

P.S.8 2022年9月24日、13年ぶりにフジテレビで見て、「容疑者xの献身」という題名の恐ろしい含みに気付いた。献身とは、自分を捧げるという意味だけでなく、ホームレスの身体をささげるという意味も含んでるのだろう。

   

   

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     

cf. 宗教、科学、自然と人間~『ガリレオ2』第1話・幻惑す 

  

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   天才・湯川が示した物理学の解読と検証~『ガリレオ』第1話

   サンタと女、揺れる理系の男心~『ガリレオ』第2話

   ブランコとおにぎりでホカホカ~『ガリレオ』第3話

   科学と恋愛、2つの円端具流~『ガリレオ』第4話

   愛と矢、ひねくれた直進~『ガリレオ』第5話

   遠く離れたもののつながり~『ガリレオ』第6話

   つながりの中の細かい事~『ガリレオ』第7話

   結果が語る過剰なプロセス~『ガリレオ』第8話

   過剰な格差がもたらす劇的な出来事~『ガリレオ』第9話

   サンタを信じた科学者へのプレゼント~『ガリレオ』最終回

   操縦ることの巧みさと難しさ~『ガリレオφ(エピソードゼロ)』

   

         ・・・・・・・・・・・・・・・・

   『ガリレオ』第1話、レーザー光線の計算式

   『ガリレオ』第2話、光の屈折の計算式

   『ガリレオ』第3話、共振現象の証明

   『ガリレオ』第4話、超音波による泡の衝撃波に苦戦中・・

   『ガリレオ』第5話、キューピッドの黄金と鉛の矢は流行るかな♪

   『ガリレオ』第5話の数式、波動方程式の導出と一般解

   『ガリレオ』第6話の数式「フーリエ変換」について

   『ガリレオ』第7話、ER流体とトリックについて

   『ガリレオ』第8話の数式、アレニウスの式と2次反応速度式

   『ガリレオ』第8話の数式、2次反応速度式の計算と答

   『ガリレオ』第9話、雷の放電エネルギーの数式か・・

   『ガリレオ』最終回の数式1~熱伝導方程式

   『ガリレオ』最終回の数式2~熱伝導方程式の計算と答

   『ガリレオ』最終回、核爆弾処理シーンの数学的解説

   『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』の数式と図について

   『ガリレオΦ』の数式、ナビエ・ストークス方程式

   

  

     ・・・・・・・・・・・・・・・・

   『ガリレオ』第1話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第4話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第5話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第6話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第7話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第8話、ドラマと原作の比較

   『ガリレオ』第1話の脚本チェック☆

   

     ・・・・・・・・・・・・・・・・

   『ガリレオ』レビュー、香港女性もウットリ♪

   『ガリレオ』民放連賞!スペシャルも映画も接近中☆

   読者&テンメイ、『ガリレオ』でエレクトーン大会出場♪

    

       (計 10648文字)

   (追記108字 ; 合計10756字)

 

 

 

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コメント

そっか、美しい愛の話ってところが受けつけなかったのかなぁ・・・?
全く感情移入は出来ず・・・。
実験で完璧に実証してくれるからスッキリしたのに!!
でも全編こんな感じだとテンメイさんの記事が大変になっちゃいますね。
まぁ、たまには変化球もいいけど、今までのパターンが恋しいです。

投稿: お気楽 | 2009年12月30日 (水) 21時59分

> お気楽さん
    
アハハ 『仁』とは大違いの反応ですネ。
不遇の天才って所がダメだったのか、松雪が趣味じゃ
ないのか、柴咲の出番が少ないからなのか

要するに、この映画自体が『ガリレオ』の作り方の実験なんでしょ。
興業的な大成功で、正しさが実証された訳です(ウマイ♪)
こうした、ゆったりした作りは、映画ならではのもの。
テレビだったら、間が持たない人が多いと思うな。
     
全編こんな感じだと、僕の手間ヒマは変わらないかも。
今までのドラマは、あの数式書きなぐりの意味を
調べるのに苦労してましたからね。
1つの式を0.1秒くらいしか映してくれないし
   
ま、確かにドラマの『ガリレオ2』なら、前の
パターンの方が無難でしょう。
毎回ちゃんと、可愛いコや萌えシーンを入れて♪
今回も、もっと大教室のギャルが見たかったな ^^  
    
それでは、よいお年を。。

投稿: テンメイ | 2009年12月31日 (木) 02時25分

テンメイ様、おはようございます。

こちらの記事のテンメイ様専用ギャグに
反応していただき感謝。
・・・別に。

まあ、キッドは本人が新人だった頃に
会ったことがあるので
昔は本当にかわいかった・・・
と答えてしまうと思いますが。
(お約束をうっかり忘れる年頃)

さて悪魔の戯言はさておき・・・
実に心に沁みる作品でしたな。

キッドの妄想では
介護していた親とは石神の母で
母は死亡。
虚しさに満ちた石神の心に
靖子が入ったということにしています。

石神にとって靖子はマドンナだったのでしょうな。

一方、淫靡に秘められた主人と下僕である
ガリレオと内海の愛。
それは・・・きっとおっ、πか・・・
というような遠慮がちな胸の奥に秘められているのでしょう。

2もまた左右対称のおっ、πに準じるものでしょう。

そして支配階級に属する
ガリレオと草薙の
「美人」という符号の挿入。

それが犯罪の鍵であるという男たちの暗黙の了解。

それもまたおっ、πなのですな。

そして、そのことについてまったく疑問の余地もなく
美人の隣に住んでいたら
必ず犯罪の共犯者になる法則の提示です。

そして愛を美しく証明することでしか
愛を示すことができない数学者の宿命。

その献身。

まあ・・・献身にともなう犠牲について
この作品がスルー気味なのは
まあ・・・雪景色がきれいなのと同じ理由なのでしょう。

なにしろ・・・最後は
わが主の敵の子が十字架にかかり
自己犠牲を示した記念日の模様ですからな。

振ると雪の舞うクリスタルの箱庭玩具は
ロマンチックな娘へのプレゼント。
はたして・・・それを贈ったのは
誰だったのでしょうかね。

メリークリスマス、ミスター・ホームレス。

それでは来年も天使テンメイ様にとって
輝かしい一年になりますように。

投稿: キッド | 2009年12月31日 (木) 08時54分

追記・・・。

うっかりしていますが
生誕の日であるという伝承を
こちらのサイドは
最後の日と考えています。
なぜなら
人の子は皆
死ぬために生れてくるというのが
基本なので・・・。

もちろん・・・死んだものは
復活しないというのも
暗黙の了解です。

一応・・・お断りしておきます。
些細な追記ですみません・・・。

投稿: キッド | 2009年12月31日 (木) 09時05分

ご無沙汰しています。
冒頭の実験シーンに対する解釈、おみそれいたしました。
靖子が強力な磁力で石神を引きつけ、加速した石神の行動が富樫を弾き飛ばした…。
そう取れば、湯川と内海による、愛についての会話で始まり、石神にとっての愛についての会話で閉じられる構図とうまくシンクロしますね。
「すべての現象には、必ず理由がある」ならぬ、「よくできたドラマでは、すべてのカットに、しっかりした意味付けがある」というところでしょうか。
そして、「優れたドラマは、見過ごすことのできない粗があっても、見終えた後には、それを忘れるほどの感動や見応えが残る」と。
来年も、できる範囲で、できるペースで、駄感想を書き散らしていくつもりでいます。
引き続き、よろしくどうぞ。

投稿: 伊達 | 2009年12月31日 (木) 10時54分

テンメイさん、こんにちは!

ほお~突如として挿入された雪山登山が
水晶玉から引き出されたとしたら
凶器としての水晶玉も大きな意味を持ちますね。
実際この時期クリスタルなきらめきは
光とともに殺意のような冷たさもイメージさせます。
致命傷ではなかったにしろ
あの水晶玉が全ての発端になったのですね~。
その水晶玉はもしかして富樫が娘にプレゼントしたものであれば
なおさら意味が深いです。

>別の残忍な殺人を犯して、自分だけが逮捕されようとする愛

ただただこの切なさで泣けますね。
自己犠牲の愛ですが
でも無関係に殺されたホームレスには
何らかの罪があったとか
自分なりに納得して残虐な道へ入ったのかもしれません。
美しさを求めてきたのに
美しくない罪に手を染めてしまったのが
悲しい結末でした。

そして美しくない四色問題が橋渡しした友情が
長い年月を経ながら
全くあせていなかったことが
ただ美しかったです。

ドラマとは違う作りで
重厚な余韻を残していました。
本当にいい映画でしたね。

今年最後にテンメイさんとご一緒できて
嬉しかったです。
来年は早々に話題(笑)のドラマがスタートですもんで
よろしくどうぞでございます♪

投稿: エリ | 2009年12月31日 (木) 15時15分

先に言ってしまえ~~!
あけましておめでとうございます!

失礼しました。
年末年始の挨拶をいただきまして、
ありがとうございました。

ただいま紅白歌合戦、Perfumeの出番直前でワクワクしております。

なるほど~~ 容疑者χの献身 という カイを使うマニアックな記事に惚れ惚れです。

堤さんの演技に惹かれて楽しめた映画。
そのなかで、ミレニアム問題の名前が羅列されるのが心地よかったので、時間も無いのにぎっしり記事を書いてしまいました。

来年もよろしくお願いしますね!
ではでは・・

P.S TBはアメブロとFC2から飛ばしてみますので・・。

投稿: シャブリ | 2009年12月31日 (木) 21時29分

> キッドさん
    
遅まきながら、明けましておめでとうございます。
   
毎日更新ブロガーにとって、正月は難関。
あらかじめ記事を作っとこうと思ったのに、
容疑者Xがらみで間に合いませんでした。
非常に不自由な環境で、悪戦苦闘してます(^^ゞ
絵文字も打てない状況。。
    
で、八木に会ったことがあるんですか!それは凄いな☆
どこが?  別に♪
僕専用のギャグまで記事に入れて頂いて恐縮です。
確かに、サンタガールのコスプレがかなり苦しい
お年頃だけど、検索は結構多かったですよ。
固定ファンがしっかり残ってるんでしょう。
    
さて、不思議なほど心に沁みる作品ですね☆
あらすじだけ考えると、企画段階でモメそうな気も
しますが、やっぱり堤と松雪の好演が大きいのかな。
広い意味での演出も上手かったんでしょう。
福山と柴咲があまり活躍せず、数式ダダダッもなし、
ジャニーズその他もなしでの大成功。
実に素晴らしい快挙です。
    
なるほど。石神の愛は、母から靖子へと転移されたと。
ただ、それなら自殺未遂の代わりに、介護&葬式
シーンを入れるべきでしょう。
主人と下僕、懐かしい解釈ですネ♪
「おっ、π」関連の描写は、秘められすぎ。
もっと「いっ、π」欲しい所です。
     
「2」って、ガリレオ2のことですかね。
「美人」という符号は、もうちょっと
分かりやすく語った方が良かったと思います。
お隣さんとしての映し方に華やかさを入れるとか、
夜の世界での活躍ぶりを少しだけ映すとか。
あれだとむしろ、「隣のいい人」って感じ。
     
案外、「愛の証明方法が上手くなかった数学者」と
いうのが密かなテーマだったのかも。
四色問題にせよ、恋愛(or片思い)にせよ。
なるほど。犠牲が美しく語られる日というのが、
ドラマの初期条件だったわけですね。
ホワイト・クリスマス。
箱庭っていうか、「箱都市」玩具はサンタの贈り物か、
あるいはサタンの贈り物だったのか。。
    
で、追記がキッドさんらしくて笑えますね ^^
生誕が最後の日という発想は、生誕前を重視するって
ことなんでしょう。「最後」の後も気になる所。
「復活」はなくても、転生や存在ならあり得ます。
   
ともあれ、年末に素敵なプレゼントでした。
それでは、今年もよろしくお願いします☆
      
   
   
> 伊達さん
   
遅まきながら、明けましておめでとうございます。
超ご無沙汰ですが、そちらのご活躍は拝見してますよ♪
久々にお話できて、嬉しいです (^^)

冒頭の事件と実験は、何か文系的な解釈を入れないと、
浮きまくってますよね。ドラマSPとしかつながってない。
こうゆう時、僕は浮き浮き・・いや、ウキウキします♪
そこで、理系的な図解と合わせて、文系的に解釈。
気に入って頂けて光栄です☆
    
湯川&内海の冒頭&ラストの会話とシンクロさせて、、
愛の重さと難しさを示す構図。見事な脚本ですね。
カットの意味は、視聴者側で勝手に付けることも可能ですが、
そうした実験や会話に関しては、「論理的」脚本によるもの。
原作は読んでませんが、おそらく映画独特のものでしょう。
     
粗とか短所というものは、何にでも見つけられますが、
感動や見ごたえで一気に帳消しにできる。
特に、エモーショナル(情動的)な長所は強力ですネ。
あらためて知らされた感じです。
     
そちらは、範囲やペースを上手くつかんでる気がします。
ウチはまだ無理し過ぎなので、もっと絞り込むか、
自分がパワーアップするか、今後も試行錯誤でしょう。

お互い、マイペースで頑張りましょうね。
それでは、今年もよろしくお願いします☆
    
   
     
> エリさん
   
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
  
そうそう。雪山登山があまりに唐突なんですね。
ストーリー=物語的には浮きまくってる。
まあ、視覚的インパクトというものはあるし、
キッドさんみたいな雪山遭難フェチの方々も
少なからず(?)いらっしゃるんでしょう♪
   
ただ、映画全体の大きな構図で言うと、雪山は
きらめく水晶玉で作る主旋律の変奏って感じ。
ああゆう小物をよく見つけてくるなぁと、
美術スタッフに感心します。グッジョブ♪
   
ひょっとすると、原作ではあの水晶玉の由来が
説明されてるのかも知れませんね。
確かに、富樫のプレゼントというのは有力です。
まだいい人だった頃の彼でもいいし、
形だけ美里に笑顔を見せる彼でもOK。
    
殺されたホームレスに無理やり「罪」をかぶせると
すれば、歯車的な生き方でしょうかね。
社会からこぼれ落ちそうになってる状況でも、
まだ型にはまった生き方しかできない人間。

そこに、仕方なくつまらない仕事を続けてる
自分の悲しさを重ねたのかも知れません。
そうした生き方を、罪としてではなく、
むしろ美徳として見ることが出来ていれば、
愛の証明方法を間違えることもなかったでしょう。
   
悲しい結末を救ってくれるのは、甘い切なさと、
美しい友情。そして、仄かな愛情。
エンディングの雪と水晶玉、そして主題歌の
余韻が素晴らしかった☆
年末に無理したχ・・じゃなくて甲斐がありましたよ。
エリさんともご一緒できたしネ♪
     
で、しっかり来年の宣伝ね (^^)
ちょうど東京マラソンと重なってることもあるし、
2つ合わせて数回程度でガマンしてください♪
片方は成功が約束されてるからいいとして、
もう片方は個人的に応援しています。
     
それでは、今年もよろしくどうぞでございます
    
   
   
> シャブリ=飯綱遣いさん
    
明けましておめでとうございます。
昨年は刺激的な問題を紹介して頂き、どうもでした♪
   
紅白の Perfume ね。格闘技の合間にしっかり見ましたよ。
スーザン・ボイルの方がワクワクしたけど (^^)
今年の紅白は、個人的には十分楽しめましたが、
果たして40%取れたかどうか。気になる所です。
あと10年くらいは、30%キープして欲しいかも。
       
「χ(カイ)」に着目した記事だと、あまりに
マニアック過ぎるかとも思ったけど、どうしても
あの文字が気になったから書いちゃいました。
あれがカイに見える所が、理数系の哀しい性(サガ)。
でも、同じ理数系の東野が読めば、
微笑んでくれるだろうと勝手に思ってます♪
    
この映画は、堤真一が実質的な主人公でしたね。
見事な演技&存在感に拍手、拍手。
    
ともあれ、今後もお互いマニアックに行きましょう ^^
本年もよろしくお願いします。ではでは。。

投稿: テンメイ | 2010年1月 2日 (土) 10時05分

追記の追記。

しまりのないコメントですみません。

2は

底辺×高さ÷愛の・・・愛=2

でございます。
冒頭で三角形の面積のもじりで
ガリレオがまくし立てていますので。

投稿: キッド | 2010年1月 2日 (土) 17時08分

> キッドさん
   
アハハ(^^ゞ こりゃまた、ご丁寧にどうも♪
「÷2」から「÷愛」への言い換えの説明ですね。
   
 「2」 → 左右対称に2つ → おっ、π → 愛。
  
なるほど、よく分かりました。
流石にちょっと難し過ぎたかも♪

投稿: テンメイ | 2010年1月 3日 (日) 23時15分

どうも、ものすごくお久しぶりです
ガリレオの新情報を引っ提げてパソコンに舞い戻ってきました(笑)

携帯を入手してネットの閲覧は増えたものの、
フィルタリングのせいでHPの類は見れず。。。
数学記事に懐かしさを覚えました。

さて、本題(?)に戻りますが、
2013年初夏にガリレオ「真夏の方程式」が映画公開だそうです!
半ば諦めかけていたこの瞬間がついに…!!
次の映画は「聖女の救済」かな?と思っていましたが、
新しく短編集も出ましたし、ガリレオも新境地ですかねー
ぜひ、ドラマもやってくれることを期待です。ドキドキ

そういえば同じ年の秋にも、ましゃ主演の映画があるそうで。
こちらはガリレオではないのですが、どんな映画になるのやら…(v´∀`*)

蛇足ですが、先日文理選択で「理系・物理」を表明しました。
理系は化学必修で、物理と生物の選択です。
テストの点数でいえば、生物ですが…
探究心に勝るものはありません、目指せ物理クラス1。
ではでは、急に寒くなりましたし、お体に気をつけて。

投稿: ぼこ | 2012年9月24日 (月) 21時54分

> ぼこ ちゃん
   
こんにちは。ものすごく久しぶりだね
ウチだと何と、約1年ぶり。
たぶん、歴代ベスト5くらいだよ♪
ベストじゃないだろ!
ま、女子高生は色々と忙しいってことか。
     
で、相変わらずキャンギャル やってるんだ。
福山雅治&『ガリレオ』の広報担当で(笑)
確かに知らなかったから、早速調べて、
記事にちょこっと書いといたよ。
     
クランクインはしたけど、公開は1年先か。
ひょっとして、映画に合わせて新作ドラマも
同時公開とかやらないかね。SPでもOK。
  
東野圭吾のガリレオ・シリーズって、続いてるんだね。
最新作は12年3月の「演技(えんじ)る」かな。
で、『容疑者X』に続く2作目の長編が
『聖女の救済』ね。「の」の意味が二重なのかな。
「聖女に対する救済」って意味と、
「聖女による救済」って意味と。
英語の「of」の翻訳にも要注意ってことで♪
   
映画化される『真夏の方程式』が、3作目の長編。
最新短編集は、『虚像の道化師 ガリレオ7』。
東野、儲かって・・じゃなくて頑張ってるね(笑)
   
福山雅治も凄いな。もう1本、来秋公開予定ね。
タイトル未定、エリートサラリーマン役で主演か。
分けて欲しいな。収入・・じゃなくてパワーを(笑)  
    
  
一方、蛇足じゃなくて本題でしょ
文理選択。あれ、高校1年の秋からもう決めるんだ。
化学必修・・ウチの学校はどうだったかなぁ。。
まあ、「物理・化学」は僕と一緒だよ。
関係ないけど、「ぼく」と「ぼこ」って似てるね♪
   
目指せ、物理クラス1? まだまだ。
「少女よ、大志を抱け」!
あっ、クラス1って、結構なレベルなのか。
    
ま、ガリレオ湯川の大ファンなら当然、
帝都大学・物理学科を目指すってことで♪
ってことは、京都大・理学部か東京大・理1だね。
何なら、首都大学東京にオマケしてもいいよ(笑)
早くも進路決定☆ 頑張って!!
   
寒いって言えば、そっちの方が2倍は寒いでしょ♪
東北は冬の訪れが早いってお話(by気象庁)。
道路の雪や凍結でコケないように(笑)
ほんじゃ、また。。

投稿: テンメイ | 2012年9月26日 (水) 12時37分

自分では思いつかなかった考察がいくつもなされていて圧倒されてしまいました。石神が泣き崩れるシーンは、牧村に「私も石神さんと一緒に罰を受けます」という想定していなかった言葉をうけ、困惑と共に感情があらわになるシーンととらえているので、静かに泣くよりこちらの方が良いと思います。

投稿: 三船 | 2014年5月23日 (金) 19時15分

> 三船さん
  
こんばんは。コメントどうもです。
ウチのドラマ・レビューの中でも、
最もエネルギーを注いだ部類でしょう。
   
去年の映画『真夏の方程式』もDVDで見たので、
数式記事だけはすぐにアップ。
ただ、時間が経ってしまったので、内容を忘れて、
レビュー出来なくなってしまいました。。

投稿: テンメイ | 2014年5月25日 (日) 01時23分

ちょっと待て。牧村?俺は何を言っているんだ。それはアンフェアだろ。花岡の間違いです。すみません。

投稿: 三船 | 2014年5月27日 (火) 05時42分

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