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山下達郎『クリスマス・イブ』&JR東海CM『X’MAS EXPRESS』~朝日新聞

去年、一昨年と、クリスマスの時期に、『さんま&SMAP!美女と野獣』

『明石家サンタ』、2本のテレビ記事をアップして来た。今年もそのつも

りでいたのに、『さんま&SMAP』がなぜか13日に早々と終了(副題は

~絶対に触れてはいけない~禁断の都市伝説)。代わりに何か、クリス

マスっぽい記事を書きたいなぁと思ってたら、ピッタシのネタを発見。

     

プレゼントしてくれたのは、朝日新聞・朝刊(2009年12月19日)の別刷、

「be on Saturday」。最初の全面2ページを使った大型連載企画「うたの

旅人」で、10月末の唱歌『ふるさと』の際には、ウチで記事をアップした。

今回の「うた」は師走の定番、山下達郎の名曲『クリスマス・イブ』。「旅」

の目的地は名古屋市だ。「イヴ」ではなく「イブ」が正しいので、念のため。

     

             

        ☆          ☆          ☆

達郎の『クリスマス・イブ』を使った、JR東海(本社・名古屋市)のCM

「クリスマス・エクスプレス」(88~92年)は、バブル全盛期から終焉に

かけての名作として、その後も度々色んな番組で再現されているから

(録画やコント)、平成人間と称する私でさえ知っている♪ ただ、諸々

の詳しい情報については、今回の朝日の記事や、ウィキペディアの説

明を見るまでは全く知らなかった。 

             

まず、朝日の記事でなるほどなと思ったのは、87年の国鉄分割民営化

だったという話。CMを担当した、入社6年目の坂田一広や電通の

三浦武彦らには、古臭くてお堅い国鉄のイメージを変えたいとか、社内

アイデンティティーや士気を強化したいという意図があったようだ。

       

その結果は、「まれに見る大成功」☆ JR東海には曲名の問い合わせ

が殺到。83年のアルバム『メロディーズ』に収録されてた『クリスマス・

イブ』は、6年後の89年に音楽チャート1位を獲得。名古屋駅を中心に

撮影されたCMは、数々の広告賞を受賞、JR東海は89年春の人気就

職企業ランキング1位に躍り出たとのこと。社史に残る大成功を収めた

だけでなく、「社会現象になった」とまで言われるらしい。

                                     

と言うのも、イブの夜、20代の若者カップルが、バブル(=泡)のよう

に美しく儚い一夜を高級ホテルで過ごす流行とCMとが、時期的に重

なってるからとの事。コラムニストの堀井憲一郎によると、クリスマス

が恋人たちのものと宣言されたのは、83年12月の雑誌『an・an』の

クリスマス特集とのこと。その流れが頂点に達した80年代末、クリス

マスのイメージを見事に演出したのが、JR東海のCMと、達郎の曲

ということになる。

     

            

       ☆          ☆          ☆

ただ、曲とCM自体は、決してバブル的な内容ではない。だから、朝日

の記者・中島鉄郎(「鉄ちゃん」か?♪)は、ほぼ20年ぶりにパソコン

でCMを見て、拍子抜けしたんだろう。「映像の2人はけなげ、感じが

よくて応援したくなるほどだった。バブルの気配はみじんも感じられな

かった」。

      

けれども、このCMにはさらにヒネリがある。バブル期の代表的CMなの

に、内容的には純粋で真っ直ぐ。ところが、そこにはやはりバブル的な

要素も少し加味されてたのだ。それが、新幹線のホームで彼氏を待つ女

の子の、「真っ赤な口紅」。バラの花束や高級シティーホテルの一夜を連

想させる、「きらびやかな妄想に誘う色」。

      

当時15歳の深津絵里を、「どこか気の強そうで、ちょっぴり遊び人風、

いわゆる清純そのもの風の女のコではない」感じに演出する口紅につ

いては、コンセプト担当・三浦と演出担当・早川和良の間で論争があっ

たらしい。

                             

結局、早川が押し切ったものの、三浦は最後まで納得してなかったよ

うだ。けれども、2人が一致してたのは「CMのあと」の2人。会えなかっ

た寂しさをホテルで埋め合わせすると考えておきながら、依頼主のJR

東海には「2人は家に帰りますよ、当然」とキレイ事を提示。JRの坂田

は「だまされました♪」と、懐かしく回顧していた。。

      

           

        ☆          ☆          ☆

肝心のCM内容については、朝日の記事はわりとあっさりした記述で

終わってる。88年の第1作CMから4枚の静止画を紹介。最初の2枚

は、いかにも無理したっぽい派手な化粧の、深津の顔のアップ(正面

と横顔)。タートルもイヤリング(or ピアス)も、アイシャドーも赤。

       

続いて、現れた彼氏の胸を、深津が俯いたまま両手で押しつける姿。

深津のロングスカートは赤い花柄、彼氏のパンツも赤、手に持ったプレ

ゼントも赤。2人とも、ファッションがおそろしく古い♪ 当時の感覚でさ

え、意図的に懐かしさやフツーっぽさを狙った感がある。最後は、2人と

は関係なく、大勢の一般客が新幹線を見送る姿。手前には、子ども連

れの奥様が旦那さんを見送るように手を振る姿が置かれてる。明らか

な演出だろう。

          

これでは名作CMに対する解説として物足りないので、私がウィキその

他の情報を交えながらマニアックに補足してみよう。まず、そもそもJR

東海のCMシリーズ「クリスマス・エクスプレス」(X’mas Express)は、

正確には89年の牧瀬里穂のヴァージョンが第1作。深津が出演した

のは、「ホームタウン・エクスプレス」(HOME-TOWN EXPRESS)

の「X’mas編」とのこと。

            

そうは言っても、もちろん88年の深津版が、「実質的には」第1作だ。

このCM、15秒から1分までいくつかヴァージョンがあるようだけど、フ

ルの1分版を細かくチェックしてみたい。

           

まず新幹線が到着。ところが、彼氏が見当たらなくて、深津がしばらく

スネたような怒るような、寂しげな様子を見せる。当時から演技派だっ

たようだ。無情にも、新幹線は発車。赤い(or オレンジの)ヘッドライト

がホームの端をく縁取り、数メートル離れた柱の列も同じ色の点で

彩る。狙い澄ました構図だ。歌詞は、「きっと君は来ない ひとりきりの

クリスマス・イブ ♫」。

                                       

スネた深津が、足で軽く蹴る仕草と共に、そっぽを向く。そこへ柱から

現れるのが、赤い包装紙のプレゼント。気付いた深津のしばらく先の

柱から、彼が、マイケル・ジャクソンでお馴染みのムーンウォークで後

ろ向きに登場。プレゼントで顔を隠したまま、ロボットダンスを踊る。全

身の各部分をカクカクと動かす懐かしのブレイクダンスの技だ。この辺

りで曲は、「心深く 秘めた想い ♫」というサビっぽい盛り上がりになる。

              

わざと彼女を心配させたイタズラ好きの彼に対して、深津がプイッとい

じけて顔を背けると、彼はムーンウォークで再び柱の陰に消えて行く。

「もぉ~~っ・・」という感じの深津を映した後で、例の写真の通り、彼の

胸を彼女が押しつける姿に切り替わる。プイッとまたソッポを向く彼女

を彼が後ろから抱き締め、クルクルとメリーゴーランド。熱いね♪

            

重なるナレーションは、渋い男性(おそらく有名なナレーター)の声で、

   「帰って来るあなたが、最高のプレゼント」。

        

白いロゴは、右上に横2行で「会うのが、いちばん。」。最後は、女性の声

でインパクトをもたせて、「JR東海」。新幹線が走り去り、オレンジ色の光

を長く残していく。画面中央には、企業イメージのオレンジ色で「JR東海」

のロゴ。

                            

う~ん、完璧な内容☆ 試写で見た電通の社員やスタッフの何人か

泣いてたそうで、特に年配の方の涙が驚きだったようだ。やはり、駅で

の再会や別れの情景には、紋切り型だからこそ世代を超えた普遍的な

力があるんだろう。私もこうして書いてるだけで、ウルウルするほどだ♪

                     

なお、ウィキによると、深津の厚化粧には高熱の体調をカバーする意

味もあったらしい。男性は2人使ってるそうで、顔の出てる方鶴田

史郎。ダンスはジュニーズJr.出身の武口明。ダンスシーンで顔を隠

してるのは、そうゆう事情もあったわけか。撮影の大部分は名古屋駅

だけど、乗客が降りて来るシーンは岐阜羽島駅とのこと。要するに、空

いてて撮影しやすいってことね。じゃあ、アレは全員エキストラなのか。。

     

         

       ☆          ☆          ☆

さて、ウチに初めて来た方は、記事の長さに驚いてるかも知れないけ

ど、まだ延々と続けるのがマニアックサイトというものだろう♪ 今度は、

正式(形式的)には第1作。牧瀬里穂の「X’mas EXPRESS ’89」

を解説してみよう。

            

いきなり、真っ赤なジャケットを来た牧瀬がプレゼントを持って走る。プレ

ゼントを持った女のコが動くのだから、要するに深津ヴァージョンの逆に

なってるわけだ。ウィキによると、故郷へ戻って来る彼氏を迎えに行く所

らしい。到着した新幹線から、まず彼の足だけが映り、やがてバンダナ

を頭に巻いた、童顔のイケメン・長沢幸男の顔も映る。

    

その後は、彼がゆっくり歩いて改札口に向かう様子を間に挟みながら、

懸命に走る牧瀬の様子が映し出される。途中で年配の男性にぶつかっ

て、頭を深々と下げて謝る姿は、印象的で好感持てるショットだ。ここ

でアニマル柄の帽子とプレゼントを落とす辺りも芸が細かい。素朴な誠

実さや、慌てん坊の可愛さと共に、プレゼントを抱き締め直す姿を入れ

てるわけだ。

       

改札に着いた後、牧瀬は不安そうにキョロキョロして、改札内側の階

段を降りてくる彼を発見。一気に笑顔になって、柱の陰にイラズラっ

ぽい表情で隠れ、手に持った帽子をかぶり直す。アニマル柄のバッグ

とお揃いで、精一杯のクリスマス用のオシャレ。カメラはやや引いて、

画面左には、柱で目を閉じた笑顔の彼女。右には短いムートンのジャ

ケットと淡いブルーのジーンズを履いた彼が歩いてやって来る姿。

    

ここで、前年と同じ声の男性ナレーションが入る。

  「ジングルベルを鳴らすのは、帰って来るあなたです。

                          クリスマス・エクスプレス」。

   

なるほど、それで牧瀬のプレゼントには、珍しくベルが3コ付いてるわけね。

ベル、アニマル柄、タートル、ジャケットのボタンが、すべてゴールド=茶系

にまとまってる点も見逃せない。

          

画面には白いロゴで縦書き2行に、「X’MAS EXPRESS」。縦書きに

してる理由は、大文字で強調されて横に並んでる「X」から想像できるだ

ろう。「X」’masとE「X」press(新幹線)を分かりやすく結び付ける、やや

サブリミナル(潜在的)な効果を狙ったデザインなのだ。縦に並べるより、

横の方が分かりやすい。他にも、「鉄ちゃん」の方々には「XX」が線路と

か鉄道関連の記号に見えるのかも知れない。

                      

CMの最後は、これまた前年と同じく、女性の声で「JR東海」。走り去る

新幹線を上から俯瞰で映し、左下から右上へと車両全体が曲線を描く。

その右下に、車両に囲まれるような形でオレンジ色の「JR東海」のロゴ。

左下には、オレンジ色のヘッドライト。これまた完璧な出来栄えだろう。。

       

         

       ☆          ☆          ☆

その後、JR東海のCM「クリスマス・エクスプレスは、90年に高橋リナ

(or 理奈)で第2作(深津からだと3作目)を制作。これまでより年齢を

少し上げた設定だ。いきなり新幹線が映り、強烈なヘッドライトのオレ

ンジを目に焼き付けた後、コンビニの中の彼女を外から映し出す。

     

1人で外に出て、白いため息を吐く。ビニール袋を提げたまま、トボトボ

ときらびやかな街を歩いてると、ショップのウインドウには黒と白で着飾っ

た男女のマネキンが抱き合おうとしている。見とれた後、緑の公衆電で

連絡しても、彼にはつながらない。また、ため息。暗いガード下では、酔っ

払いがクラッカーを鳴らして騒ぐ。団地(or アパート)に帰っても、304号

室のポストには何も入ってない。

                   

淋しく部屋に帰ってみると、ドアには1枚の絆創膏でメモ用紙が貼られて

いる。小首をかしげた彼女が見ると、「Merry X'mas! ○○で待ってる

」といった感じの内容が書かれてる。大きな口を一気に横に広げて喜

び、ダッシュで街へ逆戻り。誰かが誰かにプレゼントする(?)様子と赤

いバラのショットが一瞬入った後、笑顔の彼女がダッシュし続ける。

    

その途中には、さっき淋しく見とれてた白い(ウエディング?)ドレスのマ

ネキンが、祝福するかのように映る。やがて、またあの渋い男性の声で、

 「どうしてもあなたに会いたい夜があります。クリスマス・エクスプレス

とナレーション。白いロゴは横2行で「X’MAS EXPRESS」。前年は左

右だったが、この年は上下に太字の「X」を重ねてる。

                          

ライトアップされた歩道を彼女が走る時、画面左端にはショップのウ

インドウ、その右脇には後ろ姿のやや年配のカップルが歩いてる。

年齢層を上に広げようとする狙いは明らかだ。並木のイルミネーショ

ンをボカす形で映すことで、まるで星か雪が降るようなイメージを作り、

冒頭と同じ新幹線の顔へと持って行く。

         

最後は再び女性が「JR東海」。オレンジ色のロゴが真ん中。その右下

と左下には、オレンジ色のヘッドライト。それまでの2年と比較すると、

やや地味な印象だけど、年齢層を上げてることだし、バブルも末期。そ

の意味で、負けず劣らずの研ぎ澄まされた秀作だと思う。

        

                 

       ☆          ☆          ☆

さらに、91年のCMは「XMAS EXPRESS」となってて、「X」と「M」の

間のアポストロフィー(省略記号)が無くなっている。女優は溝渕美保

全体的に、光量を落とした独特の芸術的映像になってて、過去3年と差

別化されている。駅の雑踏をボカして映す映像で始まって、ゴールドの

円形イヤリングがチャリンと落ちる。余韻が響く中、微笑んだ彼女が耳

にしっかり取り付ける。

         

おじいちゃんから、さらには駅員さんまで、前年より更に間口を広げ

た、普通の人々の楽しげな様子を映す中、真剣なまなざしの彼女だけ

はずっと1人きり。アップに耐える、美しい顔だ。さすがに顔がくもって

来た所で、そのままラストへ。そこで、今までと違うやや高めの男性の

声で、

   「あなたが会いたい人も、きっとあなたに会いたい。

                          クリスマス・エクスプレス」

とナレーション。

        

まずツリーが映り、つぎのショットで彼女の顔が左にボケて映る。ズーム

レンズ(?)の焦点はやや遠くに合わせられていて、イヤリングの輪の中

に彼の笑顔がぼんやり映る。どうやら、彼女はガラスに映った様子を見

て振り返ったらしい。最後に白い横2行のロゴで、「XMAS EXPRESS」。

上下に並べられた「X」はまるで光輝く星のよう。。

                   

駅のホームからは新幹線が走り去り、手で合図する駅員を左に映した

状態で、右には赤っぽいオレンジのヘッドライトが4つにボカされて映る。

最後は女性の声で「JR東海」。右下にオレンジのロゴ。美しい。。☆

この芸術的な柔らかい映像には、スモークが使われてるため、撮影の

ほとんどはスタジオで行われたらしい。ちょっとストーリー性は弱いもの

の、映像美という観点ならこの年が最高だろう。

        

          

        ☆          ☆          ☆

そして、普通に見るならラストとなる92年のCM。女優は吉本多香美

マウンテンバイクも愛する行動派で、ウルトラマン・黒部進の娘である

のは有名だろう。CMの最初は「チーズ!♪」。プリクラではなく、駅の

免許写真撮影室(?)で、両手のピースサインで白黒写真を撮った彼

女は、牧瀬のように走った後、新幹線に乗って彼のもとへ。これまた、

新しい構想だ。

                    

車内でもコンパクト・ミラーや洗面所の鏡を使って、「チーズ」と笑顔の

練習。到着先の駅のホームで彼を探すと、遠くからゆっくり彼がやって

来る。僅かに傾いたショットが非常に効果的だ。ウィキは「彼に会いに

行く」と書いてるけど、実は彼とどこかで待ち合わせしたようにも見える。

つまり、彼も別の新幹線で同じ駅に到着したのかも知れない。

     

彼を見た彼女は、「チーズ」と口にするものの、練習と違って笑顔を作

れず、涙顔になってしまう。満面の笑みの彼とのコントラスト(対比)が

鮮やかだ。抱き合う2人にかぶせられるのは、おそらく前年と同じ男性

の声。

   「会えなかった時間を、今夜取り戻したいのです。

                          クリスマス・エクスプレス」。

    

彼女のモノクロ写真が入ったフォトフレームが映り、写真と共に、上側の

「Merry Christmas」の文字へとズームイン。

    

ラストは走り去る新幹線の顔とオレンジ色のヘッドライト。中央に白い

横2行のロゴで「Xmas eXpress」。「X」だけを大文字にすることで、

2つのXを強調。さらに、右上から左上へと、2つのXの斜線がつなげ

られている。右下には例のJR東海のロゴ。やっぱ、上手いね。。☆

     

        

      ☆          ☆          ☆

結局、「バブルの記憶の由来」(新聞記事の大見出し)は、経済バブル

やクリスマス・バブルとの時期的な重なり合い、バブル的ではないけど

曲やCMが持つ独特の輝きに加えて、制作者が巧みに考慮・加味した

バブル的要素の香りだと言っていいだろう。

     

その後、7年間の空白期間を経て、2000年に(1日だけ?)再登場

メイン女優の星野真里に加えて、懐かしの深津と牧瀬も共演。まず、

部屋で準備して待ってる彼女の元に、携帯でドタキャンの電話らしき

ものが入る。「ウソでしょ・・・」。暗い部屋に1人坐る彼女を遠くに移し

て、カメラは手前の深津を映して行く。「雨は夜更け過ぎに・・♫」

    

会社では、彼が携帯を手にして「仕方ないよ・・」。それを受けて今度

は牧瀬が手前に登場。「雪へと変わるだろう・・♫」。つまり、毎度お馴

染み、淋しい光景が美しい光景へと変わる流れを歌い上げる。彼女

を映した後、真っ暗な画面の真ん中に横1行で白い文字。「ひとは、

きっと、ひとりじゃない。」。駅に新幹線がやって来て、オレンジ色のラ

イトが光る。

                   

そこで暗転した直後、昔のCMの深津(彼をにらむ横顔)と牧瀬(柱

で待つ姿)が挟まれる。新幹線がホームに到着。深津と牧瀬が見届け

る。先頭がくちばし型になった新幹線を強調した後、コツコツと音を鳴ら

して、星野が階段を駆け上がって来る。牧瀬のように真っ赤なコートと、

ゴールドの包装紙のプレゼント。

      

間に合った彼女を深津と牧瀬が微笑んで見送る中、深津か牧瀬の

声で

    「何世紀になっても、会おうね

とナレーション。走り去る新幹線のヘッドライトは真っ赤。その下に

Xmas EXpress 2XXX」。少なくとも2999年までの約10世紀間は、

JR東海の新幹線が恋人たちを演出してくれるようだ♪ 次はリニア

ヴァージョンのクリスマスCMを見せてくれることだろう。。

     

              

        ☆          ☆          ☆

と言う訳で、CMを解説してたらとんでもない時間が経ってしまった。長

い記事は毎度のことだけど、こんなに楽しく書いたことは珍しい。そのく

らい素敵なCMだし、素敵な曲だと思う。本来なら、達郎の曲の歌詞も

もっと深く解説したい所だけど、著作権の問題があるから止めとこう。

    

一言でまとめるなら、曲も歌詞も絶妙なのだ。淋しさや切なさの中に、き

らめきや輝きを織り込んでて(特にイントロ&編曲)、聞きようによっては

ハッピーエンドのようにも受け取れる美しい曲。冷たい「雨」が美しい「雪」

へと変わることを期待させる歌詞で、「何世紀になっても」残るだろう。

        

ちなみに、制作の三浦&早川コンビがCMについて語った『クリスマス・

エクスプレスの頃』(日経BP社)には、DVDが付いてて、深津と牧瀬の

CMも見れるそうだ。表紙は、柱で待つ牧瀬の大きな写真。手袋のデザ

インまで、バブル的に凝ったオシャレだという事が分かる。

         

名古屋駅のJRセントラルタワーズでは、「タワーズライツ」と呼ばれるイ

ルミネーションが、1月上旬まで輝いてるとのこと。クリスマスには、駅前

の恋人たちや家族連れを、達郎の名曲が祝福するのかも♪

ではまた。。☆彡   

     

     

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.たまたま今日(12月19日)の朝日新聞・夕刊には、鉄道と旅を

    愛する首都圏の女子大生&OLが作った「鉄旅ガールズ」なる

    ものが紹介されている。彼女たちは、「鉄子」ほどのマニアでは

    ないものの、気軽に鉄道を楽しんでるらしい。

    それなら、JR東海の名作CMも皆さんで楽しんでは如何?♪ 

        

    

P.S.2 この記事執筆から4年後のクリスマス前、遂に『クリスマス・イブ』

      の公式MV(ミュージック・ビデオ)が公開された。クリスマス当日ま

      で、GyaO!(ギャオ)で無料公開中。

    

      基本的には今時の高校生カップルの物語だが、あの牧瀬理穂が

      赤い服でゲスト出演するサービスが嬉しい。ちゃんと、ぶつかって

      物を落とす演出もあって、かつてのCMへの控え目なオマージュ

      (敬意を込めた模倣)になってた。

       

      主演・広瀬すず、相手役・小関裕太。監督・村松亮太郎、脚本・

      桑原裕子。主なロケ地(牧瀬も登場)は、神奈川県・川崎市のLA

      CITTADELLA(ラチッタデッラ)。簡単な感想記事をアップしてある。

       

     山下達郎『クリスマス・イブ』MV(ミュージック・ビデオ)、軽~い感想♪

     

       

cf. 大好きなクリスマス・ソング♪~LOFT(ロフト)2000~2004年

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コメント

テンメイさん、youtube を見ながら読みました〜。どれもみんなよかった。新幹線で会いに行けるなら会いに行きたいですよね。それにしてもバブルって赤かったんですね!(笑)

投稿: Corvallis | 2010年11月22日 (月) 04時21分

> Corvallis さん
   
おっと! ここにいらっしゃるとは嬉しい驚き
しかも、熱心に読んで頂けたようで嬉しいです☆
   
アハハ  新幹線で会いに行けるなら。。
上手い☆ ザブトン1枚
ホント、会いに行きたいですネ。
CMも含めて、みんな輝いてた時代
   
ま、実際に会いに行ったら、アレッて感じもあるだろうけど。
バブルだけあって、金と時間がかかる時代だし♪
でも、ネットや携帯に時間を費やすこともなかったのか。
ブログの更新に追われる必要もなかったはずだし (^^ゞ
     
バブルが赤いって指摘は面白いですね
クリスマスの色ってこともあるけど、
女性や街が華やかにアピールしてたのかも知れません   
時代の色=カラー。調べてみると面白いかも。
   
それにしても、ネタも古いし1年前の記事なのに、
24時間で100人のアクセスとは意外!
フジテレビならともかく、視聴率が低めのテレビ東京の
番組で、少し扱われただけですからね。
やっぱり、心に残る名作CMだったんでしょう。。

投稿: テンメイ | 2010年11月23日 (火) 02時12分

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