週刊文春の亀梨評の後、『ヤマトナデシコ七変化』第3話を見て
『週刊文春』恒例、今井舞の「毒ガス批評」。今週の木曜に発売された、
2月4日号の広告の見出しには、こう書かれてた。「もうドラマは止めたら
亀梨君!」。そろそろ、この種の記事が週刊誌に出るだろうと待ち構え
てた所だったから、早速チェック。さほど読んでる訳でもないけど、この企
画の中ではわりとマシな部類の記事だと思った。
3ページの記事全体は、今年もまた冬ドラマが不振だという内容で、山P
=山下智久&新垣結衣&戸田恵梨香『コード・ブルー2』や、菅野美穂
『曲げられない女』に軽く突っ込んだ後、櫻井翔&堀北真希『特上カバチ
!』を激しく攻撃。で、これが今期ワーストかと思ったら更に下があったっ
ていう前フリに続いて出て来たのが、亀梨和也『ヤマトナデシコ七変化 ♡』
だった。
分量的にはたかが300字くらいで、次のような言葉が並んでる。大人の
見るモンじゃない、下らないストーリー、アダルトビデオのストーリー部分
(=無意味)、ちゃち、ドラマ運がない、まぬけを通り越して哀れ、つっこ
むだけ不毛、明らかにダメ。。一方で、福山雅治の『龍馬伝』だけは、ソ
フィスティケートされてるなどと好意的。キムタク=木村拓哉に対する普
段の攻撃とは、対照的な態度だ。
他のドラマはともかく、『ヤマトナデシコ七変化』に関する批評(?)だけを
良く読むと、本質的にはそれほどけなされてないようにも感じられる。つ
まり、このドラマは完全に、亀梨・内博貴・手越祐也・宮尾俊太郎らのファ
ンのためのものであって、そうでない自分が突っ込んでも不毛だし、腰が
引けてしまうとまで書いてるのだ。ファンの方々、勝手にどうぞと言ってる
わけだから、ファンは勝手に楽しめばいい♪
おまけに、亀梨にはドラマ運がないとか、哀れだと書いてるってことは、
亀梨本人に対する攻撃にもなってない。「もうドラマ止めたら」とは、ドラ
マ運が悪過ぎて気の毒だから、親切に忠告してくれてる有難い言葉な
のだ♪ ちなみに、本文中には「ドラマ止めたら」とは書いてないから、
編集者が勝手に付けた見出しの可能性が高いだろう。。
☆ ☆ ☆
さて、「毒ガス」にしては温かみを含んだ、この今井舞の批評もどき。全
体的に、表現のキツさはともかく、書いてること自体はそんなにおかしい
と思わない。「半ば」その通りの指摘で占められてる文章だ。けれども、
「別の半ば」の部分が重要であって、それに関しては、週刊文春に限ら
ず、週刊誌のツッコミ程度だと触れられることはない。
では、その「別の半ば」とは具体的にどういったものなのか、今夜放映さ
れたばかりの第3話を例にとって考えてみよう。ちなみに、念のためにウ
チの常連さんに伝えとくと、私は『ヤマナデ』も『コードブルー2』も、ここま
で毎週軽くコメントしている。ただ、わざと記事タイトルにドラマ名を入れて
ないので、素通りした人も多少いらっしゃるようだ。実はこの問題は、ドラ
マにとっても本質的なことだと私は考えてる。
今回のサブタイトルは「愛・・・?」で、確かに愛に関して問いを投げかけ
る内容になってた。ただ、その愛に対する疑問は、「顔」をめぐるものが
中心なわけだ。「顔」とは、文字通りの顔だけじゃなく、外見的・表面的な
ものを指す言葉でもあり、代表となる重要なものを指す言葉でもある。
さて、まず文春の記事を思い出しておくと、あれは要するにドラマの「顔」
について語ってるわけだ。パッと見の印象の話で、それなりにごもっとも
な感想ではあっても、「中身」をじっくり考えたものではない。
その点は、ウチのドラマ系読者の一部においても同じこと。つまり記事の
タイトルという「顔」しか見てないから、ドラマ記事が無いなと感じることに
なる。そこで終わりだから、記事の「中身」にドラマの話があることに気付
かないわけだ。実は、ウチのサイトの「顔」とも言うべき、トップページの
「全記事一覧」の「中身」を見れば、記事タイトルの右側に「テレビ」という
カテゴリーが書かれてるから、時期を考えると私が何の番組でつぶやい
てるか、すぐ見当がつく仕掛けになってる。しかし、そうした「中身」には目
が行かなかったりする訳だ。
一方、今回までのドラマの話だと、まり(星野亜希)はひたすら恭平(亀梨)
の「顔」を追い続けてるし、スナコ(大政絢)は「顔」しかない人形=人体模
型に夢中になってる。まりが追うのは、恭平という、手の届かない「他者」
の顔であるのに対し、スナコが追うのは、惨めに放り出された自分自身と
重なる人形の顔だから、「自己」の顔だ。
ただし、他者と自己の差こそあれ、まりとスナコに共通の特徴は、やや
広い意味の愛。それに対して、恭平に特徴的なのは、お金と食べ物へ
の執着。これは、愛=種族保存本能と対比して、自己保存本能と呼んで
もいいし、物欲と呼んでもいい。重要なのは、愛から一番遠いのが、愛
についての請け売り(from 高島礼子)を語ってた恭平だという点だろう。
したがって、このドラマは意外に面白い構図を秘めてることになる。他者
の顔だけ愛するストーカー女と、自己の顔だけ愛する引きこもり女との関
わり合いの中で、愛を知らない美形の男が愛を学んでいくわけだ。その
意味では、「イケメンオトコ七変化」と言えるだろう。
スナコ&オトコの七変化にとって重要なのは、身体の触れ合いだ。とい
うのも、「顔」とは基本的に「見る」ものであって、顔の先の中身に進むに
は、「触れる」ことが大切だから。さらにまた、キスにせよ抱擁にせよ、愛
とは現実的に、身体的な触れ合いなのだから。
こうして、いまや、妙にこのドラマに身体的絡み合いが多いことが納得で
きるだろう。奇妙なほど身体を接触させ合う恭平&スナコもそうだし、喫
茶店「迷宮入り」のマスター・真一と恭平のボクシングもそうだ。したがっ
て、ドラマのラストは既に明白。恭平&スナコの最も深い触れ合いで終わ
ることになる。
ただし、そこは編集でカットされるかも知れないから、視聴者の想像力が
鍛えられることになる。普段から鍛えてる私は、今のままで十分だろう♪
☆ ☆ ☆
という訳で、こういった感じで深く中身を考えて行けば、案外このドラマは
「大人の見るモン」でもあるのかも知れない。文春の記事は、その辺りま
では捉えてないので、ハズレでないにせよ、かなり不十分なのだ。
ただし私自身も、なかなかこのドラマで本格的レビューを書く気にはなれ
ない。それは、時間が無いからとか、ウチが今、ドラマ長期お休みモード
だからってだけじゃなくて、このドラマの「顔」が趣味じゃないからだ。
男だからジャニーズには興味ないし、萌える対象になる女の子が映るこ
ともほとんど無し。おまけに、表面的にはかなり幼稚なストーリー&演出
に見えてしまうし、音楽も安っぽい(主題歌はまあまあかも)。「ブナスコ、
ブスナコ」なんて連呼は、あまりに下らな過ぎてウッカリ苦笑してしまうん
だけど、小学校高学年でも口にしないような言葉じゃないだろうか。こうし
たドラマの「顔」がジャマをして、なかなか入り込むことが出来ないのだ。
その意味で、やっぱり「顔」は重要だなとも言えるし、私もまだまだ修行が
足りないなとも言える♪ ただ、スタッフの側も、もう少しドラマの「顔」に
配慮しないと、視聴率とか世評的に苦しくなるばかりだろう(脚本は今回
も篠崎絵里子、演出は川嶋龍太郎)。
最後に、再び指摘しときたいのは、このドラマの「ヒネリ」だ。私は第1話
ですぐ指摘したけど、このドラマは亀梨ファンとかジャニーズファンに対
する強烈な問題提起になっている。今回の話をよく振り返れば、単なる
私の深読みではないことがすぐ分かるだろう。
問われてるのは、我々自身の愛のあり方。ドラマという虚構ではなく、
生の現実の認識と創造なのだ。
それでは。。☆彡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P.S.『ヤマトナデシコ七変化 ♡』第3話視聴率は、7.6%。前回の9.3
%と比較すると、2割近く下がったことになる。1つの目安と見てた
8%をあっさり割り込んで、『神の雫』との差も1.4%まで詰まって
来た。初回からこれほどの勢いで下がり続けてるドラマは他にない。
これで、今週は裏番組に、大ヒットアニメ『崖の上のポニョ』を迎え
ることになる。7%を割り込むと厳しいけど、果たしてどうなるか。。
(ちなみに、『コード・ブルー2』第3話視聴率は16.2%)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まったりした休日、ボーッとつぶやいてみる♪ (第2話関連)
亀梨和也主演ドラマ、視聴率の推移(野ブタ~ヤマトナデシコ七変化)
(第4話の感想含む)
腰痛ごまかし手抜きラン&つぶやき♪ (第5話関連)
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