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カーリングの初歩的説明~なぜ石をはじき飛ばさないのか♪

昨日35km走った直後だから、今日はランニングはお休み。気分的には

また数学記事を書きたいんだけど、あまり多いのもどうかという気はする。

そこで、バンクーバー五輪の注目競技の一つ、カーリング(Curling)に関

する、ちょっとマニアックな記事を書いてみよう。いや、正直言うと、私自

身が気になったから色々調べちゃったわけ♪ 折角だから、記事にまとめ

とこうってことだ。

       

さて、カーリングなんてスポーツは日本では超マイナーで、長野五輪の正

式種目になるまで、ほとんど話題になることはなかった。今でも、競技人

口はもちろん、ルールや試合内容を理解できてる人は少ないだろう。もち

ろん私も、今日までほとんど知らなかった。

       

その特殊性について、まず他の似た競技と比べてみよう。例えばサッカー

というのは、目指すことは基本的にただ一つ。ゴールにボールを蹴り込む

だけだ。また、もっとカーリングに似てるビリヤードも、要するに球を穴に

入れていけばいい。早い話、ビリヤード(9ボール)の先攻なら、ただひた

すら順番に球を穴に入れるだけで勝ちになる。さらにボーリングなら、要

するに多くのピンを跳ね飛ばせばいいわけだ。

           

ところが、「氷上のチェス」とも呼ばれるカーリングは、ひたすらハウス(=

円)に石を入れるわけでもないし、相手の石を跳ね飛ばすとも限らない。

素人目には意味不明なほど、複雑なプレイを続けてる。チェスどころか、

囲碁よりも複雑な気がしてしまうほどだ。どうも、チーム青森の新人・近江

谷杏菜のはじける可愛さとか、目黒萌絵の地味な味わいとか、有名選手・

本橋麻里のタヌキ系の顔だけ見てたんじゃ、折角の高度なゲームを味わ

えないらしい♪

                     

半ば理数系で、体育会系も混じってる人間として、一番気になったのは、

なぜガンガンと石をはじき飛ばさないのか?」ということ。以下、その点

に絞って、理由その他を考えてみる。

          

         ☆          ☆          ☆

上の疑問について、なまじカーリングを知ってる人なら、「2点、3点を狙

から」とか、「先攻・後攻の交替が絡むから」とか、説明するかも知れな

い。「心理的プレッシャーを与えるため」とか、「複雑にして、技術差を利

用したり、流れを変えたりするため」とも言えるだろう。

    

それらは間違ってはないけど、根本的な説明にはなってない。と言うの

も、要するに試合に勝つことが戦略の最も大切な目標であって、もし

ンガンはじき飛ばすだけで勝てるのなら、最も単純で有効な戦略になる

からだ。逆に言うと、実は石をはじき飛ばすだけでは勝てない理由があ

るんだろう。

                   

そこで、手始めに見たのは朝日新聞・朝刊(2月18日)の記事で、次が

毎度おなじみ、ネット百科事典のウィキペディア。一通りの説明が手際良

く書かれてる。まずルールについて、朝日の記事を補足して引用すると、

    

    1チーム4人でプレー。両チームが交互に8投ずつストーン(石)

    を放ち、「ハウス」(=円)の中心に近い石を置いたチームが勝

    ち。勝ったチームは、相手チームのどの石よりも中心に近く置い

    た石の個数だけ、得点できる。

   

    これが「1エンド」(=1回の勝負)で、試合全体は10エンドの合

    計得点で争う。各エンドでは、最後に石を投げられる後攻が圧

    倒的に有利だけど、勝って得点すると、次のエンドでは不利な先

    攻になってしまう。だから後攻は、わざと引き分けにして、次のエ

    ンドでまた後攻になることを狙ったりもする。

           

まあ、この程度の事なら、テレビを少しマジメに見てる人には分かるだ

ろう。非常に不真面目に流し見してた私でさえ知ってたほど。ただ、ウィ

キにある「叫び声」の説明は知らなかった。例えば、「ヤー!」(yeah)とい

うのは、「スウィープ」(=スウィーピング : 投げた石のすぐ向こう側の氷

をこする微調整)をしろ、という意味らしい。「ブラシ!」じゃ、カッコ悪いっ

てことね♪ 

                

それはともかく、朝日と日本版ウィキだけでは、私の疑問は全く解決しな

かったので、英語版ウィキ日本カーリング協会東京都カーリング協会

(細かい☆)の説明を読み、英語の公式ルールも取得(日本語版は売り

物だからか見当たらない)。さらに自分の頭で考えて、やっと納得した。

          

        ☆          ☆          ☆

五輪のようなトップレベルの試合だと、最初の1投の石をハウス(=円)

真ん中辺りに置くのは簡単だし、相手の石1個をはじき飛ばして、自

分の石だけハウス(=円)に残すのも簡単なことだ(ヒットアンドステイ)。

    

もしこれを先攻、後攻がずっとやり続けると、そのエンドは後攻チーム

の石が最後に1個だけハウスに残って、1点獲得する。で、次のエンド

では先攻と後攻が入れ替わり、今度は相手チームが1点獲得する。

              

この単純なはじき合いを10エンド繰り返すと、5-5の同点になるわけだ。

この後どうなるのかが、なかなか分からなかったけど、英語版ウィキと英

語の公式ルールを読むと、説明があった。そのまま延長戦(エキストラ・

エンド)に入って、最初に得点したチームが勝ちなのだ。そうすると、延長

戦の最初のエンドで後攻になるのは、試合の最初に後攻だったチーム

から、そのチームが6-5で必勝ということになってしまう(下図)。

     

100218b

             

だから、試合の最初に先攻だったチームは、ガンガンはじき飛ばす戦

略は避ける必要がある。そうなると、試合の最初に後攻だったチームと

しても、対応策として色々な技を使うことになる。こうして必然的に、複雑

な試合展開になっていくわけだ。。

                   

        ☆          ☆          ☆

では、はじき飛ばす代わりに、どんな戦術があるかというと、これはルー

100218

 ルと物理の理解が必要になる。まず、ハウ

 ス(=丸)手前の「フリーガードゾーン」(図

 の水色部分)に石を置く(=ゆっくり投げて

 止める)と、ルール上、相手はそれをはじ

 き飛ばすことが出来ない(互いに2投ずつ

 終えるまで)。図は「ウィキメディア」で公開

 されてるものを借用した。    

         

       

また、ハウスの中で、相手(Bチームとする)の石の手前にわざと自分(A

100218c

 チームとする)の石を止めるのも有効

 だ。この場合、Bチームは次にかなり上

 手く投げないと、目障りなAチームの石

 をはじき飛ばすことが出来ない。

 『ガリレオ 容疑者Xの献身』のレビュー

 で解説した、連鎖的な完全弾性衝突

 ようになって、下手すると、前からあったB

チームの石(図の下側)だけはじき飛ばしてしまい、Aチームの石(図の

上側)を残すハメになってしまう(摩擦が無くても衝突で止まり得る)。

         

いずれの場合も、自分の石を止める、あるいは相手の石をはじき飛ば

さない戦術であって、ここからは一気に複雑な展開になるわけだ。そう

すると、細かい技術の差、思考力の差もハッキリ出てくるようになる。

       

という訳で、カーリングは面白い「マインド(精神)スポーツ」だってお話だ。

ちなみに今度のアジア競技大会(中国開催)では、同じく互いに石を置い

ていく囲碁が、「スポーツ」として採用されるとの事(ドーピング検査付♪)。

それなら、妙に静かな展開で、運動量の少ないカーリングが、冬季五輪

に採用されてるのも自然だろう。そもそも「スポーツ」という言葉の元々の

意味に、運動とか身体は入ってなくて、気晴らしとか遊びという意味だ。

               

結局、カーリングを見る男性視聴者としては、知的ゲームで頭を遊ば

せつつ、チーム青森の美女の映像で気晴らしすればいいんだろう♪

ともあれ、今後はもうちょっとマジメに見てみたい。ちょっとだけネ。

ではまた。。☆彡

    

       

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

P.S.日本vs中国戦の影響なのか、意外なほどアクセスが多い。中で

    も、「ブラシでこするとどうなるか?」というような検索が続けざま

    に入ってる。上では単に微調整と書いたけど、補足しとこう。

    

    ブラシでこすると、氷との摩擦が減って、石は真っ直ぐスピードを

    保って進む。それに対して、石を曲げたい(=カールさせたい)時

    は、ゆっくり投げてブラシもなるべく使わず、曲げたい方への回

    転を僅かに石に与えるのだ。

     

P.S.2 英国戦の第9エンド終了後、11-4でイギリスがギブアップし

      たのはなぜか?、というような検索が入りそうだから、先に書

      いとこう♪ カーリングはゴルフと同様、フェアプレーとかスポー

      ツマンシップが重視されるスポーツだからという理由もあるけ

      ど、実際問題ほとんど追いつく可能性がゼロだからでもある。

              

      もし第10エンドを行うとすると、イギリスは最低でも7点取る   

      必要がある。日本がこれを防ぐには、ハウスの中のイギリス

      の石をたった2コ思い切りはじき飛ばすだけで良いわけで、

      ほぼ100%成功する。したがって、ギブアップしないと非常に

      見苦しいし、後味も悪い。

               

      ちなみにプロの将棋や囲碁でも、論外の形勢になった時には

      途中で負けを認める。たまに逆転の可能性がある時でさえ負

      けを認めることがあるほどで、勝負師=プレイヤーとしての姿

      勢の問題なのだ。。☆彡

      

P.S.3 スイス戦の第8エンド終了時に、なぜ日本がギブアップしたか。

      スコアは4-10で6点差。まだ2エンド残ってるから、理論的に

      はちょっと早過ぎる。少なくとも、次の第9エンドの後攻には

      チャレンジして良かったはずだ。もちろん、ギブアップはルール

      上の行為ではない。

              

      でも、試合展開が悪過ぎで、点差が拡大する一方だったから、

      早めに潔く気持ちを切り替えたんだろう。と言うか、むしろ気

      持ちが切れたと言うべきか。阿部晋也監督によると、第4エン

      ドで4点取られた際にはショットの選択ミスもあったようだ。

      

      また、あそこでギブアップしないということは、スイスの大失敗

      連発を待つということだから、カーリングのフェアプレー精神

      にはそぐわないし、逆転勝ちの可能性も非常に低いのだ。。

            

P.S.4 NHKのカーリング解説者・小林宏の熱い語りが人気らしい。

      それに対して、近江谷杏菜の父・好幸の解説(民放)はちょっ

      とメリハリがなくて地味だね。まだ慣れてないのかな。娘の試

      合だから控え目って理由だけじゃないだろう。ちなみに、選手

      としての実績は近江谷パパの方が上だ(長野五輪・5位)。

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