割り算の筆算、世界の書き方~朝日新聞「花まる先生」
(☆13年11月9日追記: 3年半ぶりに続編記事をアップ。
☆ ☆ ☆
雨その他で走れない状況が続いてるし、今も単なる昼休みで時間に追わ
れてるので、今回はサラッと数学の小ネタ記事をアップすることにしよう。
朝日新聞5月22日夕刊に、「外国のわり算に学ぶ」という面白い記事が
載ってた。「花まる先生 公開授業」シリーズの1つで、今回は本当に「花
まる」をあげたくなった。あまり深く考えないように♪
青森・弘前大学教育学部付属小学校の種市芳丈先生は、4年生の授業
で世界の割り算の筆算を材料にしたそうだ。普通に教科書に沿って授業
するよりは、子どもにとって面白いだろうし、「発表の機会を増やし、説明
する力を育てたい」という意図もよく分かる。まあ、子どもの学力が比較
的高いことが前提になってるという点は、多少割り引く必要があるだろう。
学力が低い場合、日本の割り算の習得だけで大変なわけだ。
☆ ☆ ☆
さて、割り算の筆算の方法 and/or 書き方。朝日には、カナダとドイツ
とインドとイギリスについて、結果の図だけ書かれてる(黒板の板書も少
し)。気になるのは、すべて「48÷9」だということ。
ネットで調べても、この計算を使った記事がすぐ2つ見つかった。どうも、
元ネタがあるようだ。ハッキリしないけど、しっかりした情報源として推測
できるのは、日本数学教育学会の雑誌。あとは、ネット上の諸々のサイ
トだろう。いずれにせよ、ソースが曖昧な情報が流布されてる時に、十分
注意すべきだということは、これまでのウチの記事でも度々実証して来た。
まあしかし、算数の書き方なら、各国の小学校の教科書を見るだけで簡
単に決着がつく話でもあるし、種市先生の笑顔が可愛くて笑えるから、差
し当たり良しとしとこう♪ ウチとしては、単なる計算結果ではなく、計算
の過程まで明示しておくことにした。これなら、別の計算でもすぐ応用が
利くだろう。
あと、鳥取大学の学生のレポートがpdfファイルで見つかったので、そこ
からスウェーデンとドミニカの筆算を追加しておこう。該当項目の執筆者
は、入澤・小野・立石・山中・尾崎となってた。地域研究の学部3年生~
大学院1年生のようだ。お疲れさま&ありがとう♪
☆ ☆ ☆
まず、カナダ。日本なら左に書く9が
右に来て、日本なら上に書く5(商、
つまり割った答)が右下に来てる。
プロセスは、次の4段階から成ると
推測される。
画像を横向きにすれば良かったけど、今さら書き直す気になれない
ので、悪しからずご了承を。。♪
続いて、ドイツ。「÷」という記号の代わり
に、日本では比を表す「:」(コロン)が使
われてる。
続いて、知る人ぞ知る理数系の王国
インド。日本なら上に書く5が、右に
書かれてるだけのようだ。
最後に、小学生が一番理解に苦しん
だらしいイギリス。一番キッチリしてる
からこそ、難しく感じられたんだろう。
ちなみに「r」は「remainder(余り)」
の略とのこと。
そして最後。新聞に
は無かったスウェー
デンとドミニカ。
スウェーデンは「÷」
の代わりに「/」(ス
ラッシュ)を使ってる。
この記号をアレンジしたのがドミニカの「Z」型だろう。つまり、「Z」の斜め
線は、もともとスラッシュ、つまり割り算記号ということだ。
では、時間がないので、今日はこの辺で。。☆彡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P.S.鳥取大のpdfファイルには、カナダの「487÷9」(3ケタ÷1ケタ)
が結果だけ書かれてた。私がプロセスを推測して補足すると、次
のようになる。答えの商は右側の54、余りは一番下の1。ちなみ
に、他国の情報は載ってないけど、似たような推測は可能だろう。
P.S.2 自転車ロードレースのTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)、東大生の
西薗良太は結局、個人総合11位、日本人では4位と、大健闘
だった。おめでとう! 学生チーム(学連選抜)は完走15チーム
中14位、お疲れさま。。☆
P.S.3 その後、割り算という計算自体についての記事をアップ。
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コメント
テンメイさん、久々のコメントです。
今日の記事面白かったです。ちょうど下の子が割り算を勉強しているので二人の子どもを呼んで一緒に読みました。
イギリスのが日本の子どもにはわかりにくかったそうですが、私たちには一番日本のやり方に似ているように見えました。日本人が頭の中でする「9x5=45」を筆算の右側に明記するのが違いなんですよね。それを下に写さなきゃいけないのがめんどくさいな。
上の子は日本の小学校に行っていたんですが四年生の時同じような授業を受けたそうです。
語学と違い、数学は数字を使うので万国共通かと思っていましたが、割り算一つとっても世界各国いろいろ違うものですね。お互いを理解するのが難しいわけだわ〜。
またこのレベルの数学の記事書いてくださいね(笑)
投稿: Corvallis | 2010年5月24日 (月) 23時20分
旨く届かなかったので再。
私も気になったのは「48÷9」です。各国の割り算を見せて頂いて凄く良いのですが、頭の中で4の中に9が無いから一桁下げて48の中に9が5個ある。。と言う風にしています。3桁を1桁で÷計算において一桁降ろす手法の各国の違いを見せて欲しかった思いました。
投稿: gauss | 2010年5月25日 (火) 11時51分
> Corvallis さん
コメントどうもです。




こんばんは
プチご無沙汰でした。
この記事を面白がってくださるとは意外でしたが、
そう言えば最初のコメントも、お見合いに関する
数学記事でしたね。
子どもさんまで呼んで(&読んで)いただき、
どうもどうも
なるほど、イギリスが一番日本に似てますか。
確かに、「9×5=45」と長い縦棒を除いて、「r」の
代わりに「・・・」と書けば、日本と同じですからね。
「9×5=45」を書くのは面倒だけど、
イギリス人もマジメに書くのは最初だけなのかも。
45の意味が分かれば、書く必要はないでしょう。
日本でも例えば、「=」(等号)が何個も続く
等式を書く時に、「=」を書かない人が増えてると
いう話を聞いたことがあります。
図形の証明問題の解答でも、どこまでマジメに書くか、
人によって、場合によって、違いますからね。
で、上のお子さんはこんな授業を受けたんですか!
それは優秀ってことですね☆
さすが、ウチの読者のお子さん ♪
世界の違いを知ると共に、理解し合う。
これぞ文字通り、「義務教育」でしょう。
このレベルの数学記事って、需要があるのかな (^^ゞ
ま、新聞から2日遅れのこの記事にも、ポツリポツリと
検索アクセスが入ってるし、ウチの常連さんも
思ったよりは読んでくれてるようです。
また何かネタが見つかったら、書くとしましょう
> gauss さん
こんばんは ♪ コメントが入らなかったんですかね。
たまに環境によって上手くいかないこともあるようです。
やっぱり、「48÷9」だけなのが気になりましたか。
一桁降ろすやり方は、カナダの結果だけならネットで
見つけたので、プロセスを推測して、上のP.S.に
追記しときました。
僕はドミニカのZ型が気に入ってます。
それにしても、この記事にすぐ2つのコメントが
入るとは、まったく予想外。
例のカップ・スタッキングの記事にも、毎日のように
検索が入ってるから、驚いてますよ ♪
投稿: テンメイ | 2010年5月25日 (火) 20時28分
オオオオオオすごい!
投稿: はやと | 2013年10月31日 (木) 16時17分
投稿: | 2013年10月31日 (木) 16時19分
> はやと君&名無しさん

はじめまして。驚きコメント、ありがとう♪
たぶん、小学生のお友達同士だよね。
最後の1人はほとんど意味不明だし、
非公開にさせてもらったよ。
ちゃんと受け取ってるから、よろしく
投稿: テンメイ | 2013年11月 2日 (土) 03時20分