共に歩むもの、ドッペルゲンガー(分身)~『流れ星』第7話
サイト名からも分かるように、ウチは元々、ランニング&自転車(RUN&
BIKE)好きのテンメイのブログだ。その後、分野を問わず、マニアックな理
屈を展開する記事を書き続けてるけど、元々のスピリット(精神)を忘れてし
まった訳じゃない。
・・・とか書き始めてみたものの、自転車に関しては忘れがちなのが事実♪
ここ3年ほどは、一番人気のレース、夏の乗鞍ヒルクライム(山登り)のため
だけに乗ってるような感はある。
ただ、テレビドラマのレビューを書く時にも、ふと自転車好きの目線が出る
ことはある。4年前の『僕の歩く道』では、輝明(草なぎ剛)のロードバイク
(レース用)に注目したし、2年半前の天海祐希&藤木直人『Around40』
では、私と同じイタリアブランド・ビアンキの自転車に注目。オマケ情報とし
て、同じ時期に放映してた『ラスト・フレンズ』瑠可(上野樹里)の自転車の
車種も書いといた。去年の夏は『ブザー・ビート』第1話で、山P=山下智久
(直輝)の自転車の車種を素早くチェック、かなりのアクセスを頂いた。
実は『流れ星』でも、たまに自転車関連の検索アクセスが入ってたけど、レ
ビューし続ける気が無かったこともあって、今までは記事で扱ってない。で
も、そもそも初回の冒頭に、健吾(竹野内豊)が自転車で走るシーンを見て
『ビーチボーイズ』SPを思い出さなければ、毎週視聴し続けることにもなら
なかったと思う。ただし、『ビーチ』での自転車は、広末涼子が乗ってたもの
で、主演の反町隆史はルノーだし、SPの竹野内が乗ってたのはバイクだっ
た気がする。自信はないが、少なくとも自転車ではなかった。
2005年の秋まで遡ると、ウチがドラマをレビューするキッカケになった、
亀梨和也&山P&堀北真希『野ブタ。をプロデュース』でも、修二(亀梨)の
自転車が目立ってたのは確か。こうしてみると、ドラマの小物として自転車
が活躍するようになったのは、ここ5年くらいの事かも知れない。。
☆ ☆ ☆
あらためて、ドラマで自転車を使うメリット(長所)を考えてみると、まず流行
というものがある。ここ5年くらいの自転車ブームは、エコとか健康志向以
外に、ファッション、つまり外見的流行という側面が強い。『僕』の輝明は、
レース用車に乗って本当にレースに出場したけど、『素直になれなくて』で
瑛太が乗ってたピスト(特殊な競技用自転車)なんてものは、明らかにファッ
ション。実用性は非常に薄くて、要するに現代の男のこだわりなのだ。元々
の英語「fashion」の意味を考えれば、「やり方」とか「流儀」と言ってもいい。
続いて、撮影のしやすさというのはあるだろう。車と違って、俳優の全身が
映るし、電車・バス・飛行機などと違って、一人の人間だけをクローズアップ
できる。スピードも比較的遅いし、歩道や公園でも使えて、停止や発進も自
由自在。スタッフが好むのは当然だ。
さらに、もっと本質的な自転車の意味 or 意義を考えるには、『流れ星』第
7話でかなり目立ってた健吾(竹野内)の自転車、「ドッペルギャンガー・
701RPM」に注目するのが好都合だ。こだわりあるオシャレなアウトドア
用品を、リーズナブルな価格で作る大阪の会社、「DOPPELGÄNGER」の
公式サイトTOPを見てみよう。ちなみに、Aの上に並ぶ2点は、ドイツ語の
発音記号ウムラウトで、独語的には「ゲンガー」と読むが、社名は英語的
に「ギャンガー」となってる。
TOPページ中央の「information(情報)」欄には、赤字で「フジテレビ系テ
レビドラマ『流れ星』に協力しています。(ドッペルギャンガー701RPMが主
人公の愛車としてレビュラー出演中です)」と宣伝されてる。その上側、つま
りサイト全体の最初には、会社の基本コンセプト(考え)がこう書かれてた。
”ドッペルギャンガー”はドイツ語の”分身”より由来します。
現在において、「モノを持つ」ということは、自分が「モノを選ぶ」
基準を、周囲にアピールすることとも考えられます。たとえば、
人とは違ったモノを持てば、「人とは違うところを目指している」
自分をアピールでき、流行に沿ったものを持てば、「流行に敏
感な」自分をアピールすることが出来ます。自ら意識せず、無
意識に選んだ「モノ」であっても、それは自分自身をあらわす代
弁者なのです。そのような意味においては、自分の「持ちもの」
はまさに自分自身の分身であると考えます。
ちなみに、独語の「ドッペル」は英語の「double」(二重の)、独語の「ゲン
ガー」は英語の「goer」(行く人)。という事は、ドッペルゲンガーという言葉
の語源的な意味は、「自分と共に歩むもの」。この言葉は、福山雅治『ガリ
レオ』でも、霊的かつ物理的な存在に関するコネタとして登場してた。確か
『容疑者Xの献身』だと思う。
英語版ウィキペディアによると、ドイツの作家ジャン・パウル(Jean Paul)
が1796年に書いた小説『ジーベンケース』(Siebenkäs)に出たのが、言
葉の最初の使用らしい。ドッペルゲンガーという言葉だけ有名で、作品とし
ては相当マイナーだが、実は内容的にもなかなか興味深い。
主人公の男性・ジーベンケースが不幸な結婚をした後、友人に相談。する
と、死んだフリをして新しい人生を歩めとアドバイスされる。主人公はこれ
に従って、「死んだ後」に美しい女性と結婚。実は、貴重なアドバイスをくれ
た友人は、彼にとってアルター・エゴ(alter ego=もう一つの自分)、つま
りドッペルゲンガー(分身)だった、という幻想的な話なのだ。アルター・エ
ゴと言えば、亀梨&田辺誠一『神の雫』第4話が思い出される所でもある。
☆ ☆ ☆
いまや、『流れ星』との本質的関連は明らかだろう。健吾にとってあのドッペ
ルギャンガーの自転車は、自分をアピールする分身。リア・サスペンション
(後ろのバネ)付きだから、激しいショックにも耐えるし、軽量の折り畳み自
転車だから、フットワークも軽い。
マウンテンバイクの頑丈なタイヤは、どんな障害にもパンクしないはずだし、
標準装備のLEDライトは環境に優しくて明るい。ワイヤーロックのおかげ
で安全だし、26インチタイヤはスピードも出せる。前後のフェンダー(泥除
け)は、自分も他人も汚れから守ってくれる。非常に実用的で、しかもカッ
コイイのだ。
一方、ドラマの筋立てのポイントである肝臓移植とは、他人の臓器を自分
のものにする手術だ。その場合、もらった肝臓は、自分でありつつ他人で
もあり、その後の人生を共に歩む、ドッペルゲンガーのような存在だろう。
今回、マリア(北乃きい)は、梨沙(上戸彩)、あるいはその肝臓を、ドッペ
ルゲンガーとして受け入れることにしたわけだ。上手くいけば、アドバイス
も貰えるし、星型のネイルストーンも再び付けてもらえるだろう。
さらに考えると、録画が無いから確認できないものの、健吾が自転車で一
生懸命にダンシング(立ちこぎ)するシーンは、梨沙(上戸彩)に会う前とか、
探してる時が多い気がする。前に、修一(稲垣吾郎)から梨沙を取り返す時
のダッシュもそうだし、今回、家を出て行った梨沙を探しに行く時もそうだ。
梨沙が健吾の分身だと考えるなら、第7話の梨沙の寝室では、分身との会
話があったと見ることも出来る。常に真実を求める私としては、もちろん親
密なボディー・ランゲージ(身体言語)だったと見てる。サブタイトルも「二人
きりの夜」だから、事実は大人にとって明らかだろう。まあでも、そこは女性
ファンのために、仮に譲っても構わない♪
直接、分身と考えるのではなく、2人の関係を、元の小説と重ねて考える
ことも出来る。例えば、小説の不幸な結婚が、ドラマでは美奈子(板谷由
夏)との婚約。小説の偽の死が、梨沙の自殺未遂。そして、最後は幸せな
結婚に至る。あるいは別の考えとして、不幸な結婚が偽装結婚。偽の死が
移植後の梨沙とか。ただし、来週・第8話の予告を見る限り、梨沙は身体
的には元気そうだったから、前の方の解釈の方が有力かも知れない。。
☆ ☆ ☆
最後に、先週に引き続いて、ドラマやタレント好きの女性が目を逸らしがち
な国際軍事情勢、安全保障問題にも触れとこう♪ 沖縄・国家・東アジア
の話は、安心して日常生活を楽しむための前提条件とつながってるのだ。
1週間前、北朝鮮の砲撃ニュースが世界を驚かせたのに続いて、28日に
も別の強烈な攻撃が現れた。民間の内部告発サイト、「ウィキリークス」に
よる、大量の米外交文書の暴露だ。
公開された情報をどこまで信頼できるのかはともかく、そこには北朝鮮関
連の重要な情報も含まれてる。東アジアの短期的な情勢、あるいは北朝
鮮の安定的存続にとって、明らかなマイナスだろう。ただし長期的にみれ
ば、プラスかも知れない。10年後とかの、新たな安定的秩序の成立につ
ながる可能性は、一応ある。
情報をバラしたウィキリークスという団体には、かなり怪しい香りも漂って
て、命がけで戦う正義の味方のイメージは、正直言ってあまり無い。ただ、
情報公開の形は怪しいものじゃなくて、スマートでかなり堂々とした態度だ。
修一が病院に送り付けたFAXも、自分の身分を一応認めたわけだから、
堂々としてなくもない。ただ、露骨に怪しげなFAXの外観が、まるで犯罪
者の稚拙な文書のように見えた。修一を悪者のまま終わらせるつもりか
ないのなら、あれはもっと普通の文書で良かったと思う。内容的に正しい
し、行為としても必ずしも悪くはないんだから。
ドラマ視聴者にとっては悪役としても、妹が臓器を金で売るのを止めさせ
る行為は、確かに自然なものだ。もちろん、結果的に金をゆすり取ったの
は論外とはいえ、健吾が訪ねて来ても真正面から応対してたし、金を妹が
取り返した時にジャマしなかった点にも注意する必要がある。
あのFAX、たとえ脚本(臼田素子&秋山竜平、伴一彦監修)がそうなって
ても、演出の並木道子が何とでもマイナーチェンジできたはずだ。そう言え
ばフジの月9は、今年・春クールの『月の恋人』でも、キムタク=木村拓哉
を無意味にイヤな奴として描いてた。悪役の使い方が古くて紋切り型になっ
てる点は、修正した方がいい。『流れ星』では脇役のエピソードにすぎない
けど、一応軽くダメ出ししとこう。いいものはいい、ダメなものはダメ。是々
非々ということだ。
それにしても、先週に続いて今週もウルウルさせられたのは、私だけじゃ
ないだろう。マリアが移植を受け入れた時とか、梨沙がクラゲのストラップ
を再び携帯に取り付けた時とか。地味に光る純愛ドラマなのは間違いない。
クラゲの水槽を前にした健吾と梨沙のやり取りも、ドラマ的な説明過剰の
部分はあるけど、しんみり味わい深かった。
「今でもクラゲになりたいって思ってる?」
「どうだろ・・」
「何も考えずに漂っていたい?」
「結構いいかもね 色々面倒なこと考えるのも♪」
「うん♪」
竹野内はベテランだから当然として、上戸の演技が予想外の出来栄えだ。
サラサラのロングヘアと太腿サービスで、点数が多少甘くなってることを差
し引いても、ここまで健闘だろう♪ 今回も微妙な感情の起伏を上手く表
現できてた。
最終回情報を求める検索アクセスが増えてるけど、20日の第10話で終
了かな。下手に視聴率を取りに行ったりせず、このままの流れで上手く
完結させてくれることを期待しよう。なお、第7話視聴率は13.6%でほ
ぼ変わらず。昼休みには、視聴率記事のグラフとデータを更新してある。
ではまた。。☆彡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
cf.主役と演出家が再会、『ビーチボーイズ』の変奏~『流れ星』第1話
(計 4941文字)
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