宝くじの買い方、連番よりバラの方が当選確率が高い~朝日新聞・be
(☆追記: 7ヶ月後の2011年6月3日、続編記事をアップ。
宝くじは連番よりバラの方が当選確率が高い(2)~具体例の数学的証明 )
☆ ☆ ☆
今日は早起きして朝ランの予定だったのに、起きれなかったから、代わりに
ややお遊びモードの数学記事を書くことにしよう♪ 夜は脚を休ませるため
に、走らないと決めてたのだ。別に、手抜きつぶやき記事でお茶を濁しても
いいんだけど、寝坊して起きたら、たまたま手頃なネタを発見。これ幸いと、
飛び付くことにした。
朝日新聞(11月20日)の朝刊・別刷beで、ニコリのパズルコーナーの右
側に見つけたのは、「今さら聞けない プラス」シリーズ。今回のテーマは
「宝くじの買い方」だ。24日に年末ジャンボ宝くじが発売されるし、買い方の
戦略が気になってる人はわりといるだろう。記事の見出しは刺激的で、「期
待額同じだが確率違う」。当然、どうやれば当選確率が上がるのか知りた
くなる。あるいは、天下の朝日がトンデモ理論を書いてるんじゃないかと、
チェックをしてみたくなるわけだ♪
☆ ☆ ☆
確率というのは、数学の中でもちょっと特殊。歴史的に賭け事と結びつき
が強くて、妖しい香りが漂ってるし、それなりに実力のある人でさえ、とんで
もない初歩的ミスをおかしがちな分野でもある。
天才数学者エルデシュが間違えたことで有名な「モンティ・ホール問題」に
ついては、去年記事を書いて、そこそこのアクセスを集めて来た。また、
私の周囲で、自他共に認める数学のプロが、「福引は先に引く方が有利
に決まってる。当たりが沢山残ってるんだから」なんて事を言った時には、
流石にのけぞって爆笑しながら突っ込みを入れた♪ もちろん、福引は先
に引いても後に引いても同じなのだ。簡単な設定なら、高校数学の教科書
レベルにすぎない(一般的に証明するのは大変)。
では今回、朝日新聞の鍛治信太郎記者がどうだったかと言うと、まあ無難
にまとめてあるとは思う。ただ、2ヶ所気になる点があって、その内、後ろの
方はかなりミスリーディングな(=誤解を招きやすい)だし、少し不正確な
「気がする」。
宝くじのバラ売りシステムに関する情報が詳しく分からないし、余りに計算が
面倒だから、「気がする」とだけ書いとくけど、いずれ後で完全な議論を組立
てたいと思ってる。ひょっとすると、説明が不十分なだけで、結果的には合っ
てるのかも知れない。。
(追記: やはり反例が見つからないから、合ってるのかも。ただし、証明
するのもあまりに面倒なので、先延ばし中・・・。)
☆ ☆ ☆
一ヶ所目の気になる点、些細な方は、冒頭の文だ。通し番号の連番で買
う方法と、離れた番号のバラで買う方法について、こう語ってる。
「『どちらの買い方の方が高額当選の確率が高いか』という質問
をよく見かけます。『どちらでも確率は変わらない』という誤答
が多いのですが、実際には同じではありません」
気になるのは、「高額当選」という言葉だ。そもそも、普通の人が日常的
にこんな言葉を使うことは少ないはず。「1等(当選)」とか「2億円」と言う
方が自然だと思う。これなら、連番もバラも当選確率は同じなのだ。もちろ
ん「1等と前後賞」合わせて3億円なら、連番でないと当選できない。
ただ、前後賞も各5000万円だから、「1等か前後賞」が当たれば嬉しいの
は確か。そこで記事では、この少なくともどれかが当たる確率の話にスルス
ルッと持ち込むのだ。これなら、バラの方が遥かに有利という、面白くてやや
意外な結論を導けるからだろう。ポイントは、1等と前後賞の番号が3つつ
ながってること。冷静に考えれば、連番で買う方が全部外れになりやすいの
は、何となく予想できるだろう。
☆ ☆ ☆
さて、ここからが本題。朝日の記事では、1枚100円、0番から99番まで
100枚のくじで、1等が5000円1本、前後賞・計2本が各1500円となって
る。これだと、総売り上げが1万円、合計賞金が8000円だから、「還元率」
が80%にも達してしまうけど、実際のジャンボは47.3%とのこと。まあ、
計算を分かりやすくするための工夫だから、良しとしとこう。
(1) まず、連番で買った時の当選確率について。こちらは簡単だ。仮に50番
~59番の連番で買ったとすると、
(1等または前後賞の当選確率)=(1等が49番~60番になる確率)
=12/100
=0.12
もちろん、他の数字の連番でも同じ確率、12%になる。これについ
ては、何も異論はない。
(2) 続いて、「バラバラに10枚買ったとします」(元の記事の表現)。
「買った10枚のどれかが1等になる確率は0.1です。同じく
前後賞のどちらかにあたる確率は0.2。バラだと二つ以上
同時にあたることはないので、どれかにあたる確率は単純
に0.3。・・・・・・バラで買うと・・・確率は2.5倍高くなります」。
つまり、0.1+0.2。あるいは前後賞の2つを分けて、0.1+0.1
+0.1。いずれにせよ、足し算して0.3(30%)というわけだ。よって、
連番の時の確率0.12の2.5倍。正確に言うなら、「2.5倍高くなる」
と言うより、「2.5倍の高さになる」か、「2.5倍に上がる」だけど、そこ
はこだわらない事にしよう。
☆ ☆ ☆
上の(2)の説明、納得しただろうか。あるいは、私が引っ掛かったもう一つ
の点、重要な方に気付いただろうか♪ そう。問題は、上の引用文で私が
赤色を付けてる部分、「バラだと二つ以上同時にあたることはない」だ。
もしこれが正しいのなら、確かにバラの時の当選確率は0.1+0.1+0.1
で0.3になり「そうな気がする」。つまり、「単純に」足し算して「良さそうな気
がする」だろう。複数の出来事が「排反」、つまり「同時に起きない」時には、
少なくともどれかが起きる確率は、それぞれの確率を足し算したものにな
る。大げさに言うなら「確率の加法定理」の特殊形だ。
けれど、二つ以上同時に当たることはないように10枚のクジを選ぶと、意
図的に大きめにバラすことになるから、どれかが当たる確率は少し変化し
ても不思議ではないし、直感的には少しアップするような気もする。実際、
朝日の記事自体が、連番よりバラの方が当選しやすいという内容なのだ。
試しに、3番おきに10枚、例えば「00、03、06、09、12、15、18、21、
24、27」と選ぶことにしよう。これなら、二つ以上同時に当たることはない
し、末尾1ケタも0~9の間でバラけてる。この時、
(1等または前後賞の当選確率)=(1等が00~28か99の確率)
= 30 / 100
= 0.3
なぜか単純に計算した時の値0.3と一致した。他にも、「00、05、11、
16、22、27、33、38、44、49」と選んでも、やはり当選確率は0.3に
なった。とはいえ、10枚選ぶ方法を色々考慮した時、本当に常に0.3の
ままかどうかは曖昧だ。特殊な反例が少数あるかも知れない。。
☆ ☆ ☆
一方、バラの宝くじだと「同時に2つ以上当たることはない」(=排反)とい
うことについては、少なくともネット上に根拠が見当たらない。実際、10枚
バラ売りの規則は、末尾1ケタを0~9にすることしか無さそうだし、この規
則さえも、お店によっては避けることが出来るようだ。予約すれば、希望す
る番号で買えるとかいう話がネット上にある。
あるいは普通の店でも、1枚の購入を10回別々に行う、手作業で臨機応
変の「バラ」なら、「二つ以上同時に当たることはある」し、奇跡的に三つ同
時にあたることさえあるだろう(ただしおそらく、同じ店でほぼ同じ時間帯
の時のみ)。
例えば、たまたま連番になる時も含めて、全く自由に10枚買う場合なら、
「余事象の確率」公式と、「組合せ」(Combination)の記号Cを用いて、
(1等または前後賞の当選確率)
=1-(どれも当たらない確率)
=1-(引いた10枚すべてが、ハズレ97枚の中にある確率)
=1-( 97 C 10 / 100 C 10 )
=1-(97×96×95×94×93×92×91×90×89×88
/ 100×99×98×97×96×95×94×93×92×91)
=1-(90×89×88 / 100×99×98)
≒ 0.27
これが0.3より小さくなってるのは、わりと自然だろう。二つ以上同時に当
たるのを認めた代わりに、当選確率が下がるのだ。
☆ ☆ ☆
以上より、「バラだと当選確率0.3で、連番の2.5倍」という計算は、必ず
しも正しいとは言い切れない(今現在)。でも、バラの方がかなり有利だと
いうだけなら、一般に言えそうだ(厳密な証明は面倒)。
ただし、獲得賞金の「期待値」はバラでも連番でも同じ「だろう」。これまた、
バラの選び方が分からないし、完全な計算による証明は面倒だから、断
言までは出来ないけど、常識的に考えて正しいと思う。実際、もっと単純
な設定なら同じだと確認できるし(朝日の記事にもある)、もしどちらかが
有利なら、当然マニアか数学者が研究発表してるはずだ♪
とりあえず、今日の所は時間が来たので、この辺で。。☆彡
P.S.冒頭に追記したように、7ヶ月後に続編記事をアップした。
宝くじは連番よりバラの方が当選確率が高い(2)~具体例の数学的証明
P.S.2 翌年の年末、「縦バラ」買いについての記事を追加。
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10人とのお見合いで最高の相手にプロポーズする方法~鳩山の「OR」3
(計 3915文字)
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コメント
宝くじを買いに行くまえに、ググってたどり着きました。
一般に売られているバラ10枚の仕組みは、末尾0~9以外の組み合わせが無作為抽出ではありません。
まず、××組の「××」が10枚すべて重複しないように選ばれています。
次に1ABCDEの6ケタの数字部分上2ケタ目のAも、重複しないように
0~9の10枚が割り当てられています。
以下、BCDEも同様に割り当てられて売られています。
バラ10枚の例
09組 190817
18組 181726
27組 172635
36組 163544
45組 154453
54組 145362
63組 136271
72組 127180
81組 118099
90組 109908
したがって、1等の当選本数が1つしかない場合に市販のバラ10枚を購入すると
1等+前後賞(3億円)、1等+前賞(2.5億円)、1等+後賞(2.5億円)、前賞+後賞(1億円)
の組み合わせで当選することはありません。
末尾0~9以外、完全無作為抽出でないので、バラにはバラのデメリットを考慮しなければなりません。
投稿: | 2011年6月 2日 (木) 15時17分
> 名無しさん
はじめまして。コメントどうもです。
同様の指摘はネット上で見かけましたが、
オフィシャルな根拠が欲しいと思います。
みずほ銀行HPとか、日本宝くじ協会HPとか。
ただ、要するにバラだと二つ以上同時には当たらないと
いう事なので、朝日の記事とは整合的ですね。
市販の普通のバラなら、おそらくそれで正しいんでしょう。
あらためて、バラの特性を考慮した続編記事を
アップしたので、宜しければご参照ください。
二つ以上当てたい人には、バラの選び方は致命的デメリット
ですが、一つだけ当たればいい人には、逆にメリットです。
トータルの期待値は同じはずだから、どれか一つが
当たる確率は、無作為抽出と比べると上昇します。
なお、丁寧で中身のあるコメントを頂いて恐縮ですが、
もしまた機会がありましたら、今度は名前の記入をお願いします。。
投稿: テンメイ | 2011年6月 3日 (金) 02時35分