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PISA2009~国際学習到達度調査で一番難しい問題

(☆3年後の追記: 最新の関連記事をアップ。

  PISA2012(国際学習到達度調査)~数学の2問(マンション、富士山)

     

      

          ☆          ☆          ☆

RUN 12.8km,1時間02分54秒,心拍147

     

ピザと言えば、先日ドミノピザの超高額バイトが話題になったが、あれは

英語でも元のイタリア語でも、「pizza」と書く。それに対して、これから軽く

話題にするのは「PISA」。「Programme for International Student Assess-

ment」の略だ。

     

直訳するなら、「国際的な生徒評価のためのプログラム」。実際に話題に

なるのは、プログラムの中心であるテストで、日本では「OECD(経済協力

開発機構) 生徒の学習到達度調査」と呼ばれてる。ただ、この文科省の

翻訳はミスリーディングな(=誤解を招きやすい)もので、まるで教科書の

理解度を測定するような気がしてしまうが、実際の問題は全く違うのだ。

                      

むしろ、より深い意味での「学力」調査で、計算とか漢字とか、単純な勉強

だけやって来た生徒には、かなりの難問に感じるだろう。型にはまらない思

考力・読解力・探究力が試されるから、正直な話、大人にやらせても、それ

ほど出来ないと思う。内容を手近な例でたとえるなら、文科省の全国学力

調査の「国語B」問題に近い。と言うか、PISAの成績を上げるために真似

したのが国語Bだというお話だ(朝日の解説)。

      

日本の学力調査と違って、PISAは3年ごとの実施。詳細な結果と分析の

報告は翌年で、2009年度の結果は先週発表された。新聞各紙は社説で

取り上げたし、朝日新聞・朝刊(12月8日)でも詳しく報告されている。

解力(Reading)、数学、科学の3分野の内、今回重点的に調べられたの

が読解力で、日本は15位から8位まで回復。その内、携帯電話の安全性

に関する問題の問2が面白かったので、それだけを見てみよう。

        

          ☆          ☆          ☆

まず、「携帯電話は危険ですか?」という仮想的な質問に対して、「はい」と

「いいえ」の両論併記の形で主張が与えられる。どちらの主張も、全体だと

かなり長いけど、問2が扱ってる箇所(大きな表の中の項目4)だけを取り

出すなら、次の通りだ。

           

    「はい」  携帯電話を使っていると、電話を当てる耳の側に、がん

          が2.5倍もできやすくなります

    

    「いいえ」 研究者によれば、がんができやすくなることが、携帯電

          を使うことと関係があるかどうかは明らかではないそうです。

     

これに対する設問は、次の通り。

     

     「あることが、明らかにほかのことの原因になっているかどうかを

    証明するのは難しい」という意見があります。

      上の意見は、「携帯電話は危険ですか?」という表の項目4に書

    かれている「はい」の主張、あるいは「いいえ」の主張とどのような

    関係がありますか。

   

    A. 「はい」の主張を支持しているが、その正しさを証明していない。

    B. 「はい」の主張の正しさを証明している。

    C. 「いいえ」の主張を支持しているが、その正しさを証明していない。

    D. 「いいえ」の主張は正しくないことを証明している。

      

この問題に世界の15歳がチャレンジ。日本だと、高1の約6000人(0.5

%)が挑戦。正答率は、日本が39%世界の平均が36%で、pisaの英語

の公式サイトでチェックすると、選択問題の中ではこれが一番出来が悪かっ

。選択肢は4つしかないのだから、全くの勘とか偶然でも、正答率は4分

の1、つまり25%になる。だから、今回の39%とか36%という結果は、見

た目以上に悪い成績なのだ。

             

         ☆          ☆          ☆

さて、読者の皆さんは当然、簡単に解けただろうか♪ 私自身は、これを

読んでかなり驚いた。「支持している」ことと「証明している」こととの違い

んて、15歳が習ってるとは思えないからだ。そもそも、少なくとも日本語

で、こうゆう文脈に「支持している」なんて表現を使うのは、大学生以上だ

けのはず。しかも、科学とか哲学とか、ガチガチの理屈の分野だけだろう。

        

私はすぐ、元の英語を確認しようと思ったんだけど、どこを探しても見当た

らない。どうも、諸々の事情で、英語の問題文はまだ発表されてないよう

だ。ただし、まだPISAの公式サイトしか探してないので、どこかの英語圏

の国が、日本みたいに問題を発表してるのかも知れない。おそらく、支持

する「support」、証明する「prove」だろう。

      

で、最大の問題は、「支持する」という言葉の意味だ。これは、辞書だけ見

ても分かりにくい。要するに、「支える」こと、つまり、「倒れないように手助け

する」ことで、「多少、味方をする」ことを言うわけだ。「証明する」と比べると、

かなり意味が弱いけど、プラスの働きではある。足元が不確かなお年寄り

を小さな孫が支えるイメージを描けば、当たらずとも遠からずだろう。

             

設問の冒頭にある意見は、まるで科学論とか科学哲学のように一般的

な形で書かれてるけど、この文脈で具体的に言い直すならこうなる。

    

   「携帯電話が、明らかに耳のがんの原因になっているかどうかを

   証明するのは難しい

    

これは、「はい」の側(携帯は危険だという主張)に疑問を示すと共に、「い

いえ」の側(携帯は危険ではないという主張)に味方している。ただし、「い

いえ」の側のきっちりした証明には全くなってないから、答はC。つまり、「『い

いえ』の主張を支持しているが、その正しさを証明していない」となるのだ。

                 

この問題、きちんと理解して正解した生徒がどの程度いたか、私は怪しい

と思ってる。原因というものに関して与えられた意見は、「・・・難しい」とい

う形の文章だから、BとD(=証明している)は何となく間違いだと感じるだ

ろう。残るは、A(=「はい」を支持)とC(=「いいえ」を支持)。内容的にも

そうだけど、常識的に、「はい」を支持するというのは変だ。がんになるの

なら、世界中で使ってるはずはないし、こんな中立的問題を出してる場合

でもない。だから、消去法的にCを選んだ生徒が多いんだろうと想像する。

                     

ともあれ、具体的なトラブル(病気、事故など)の原因を考える議論は厄介

で、実際の世の中でもしばしば論争になるのが実情だ。学力低下、公害病、

認知症、地球温暖化、等々。それらについて考える時、「支持」と「証明」

いう2つのレベルを一応分けることは、確かに重要だから、これは非常に

教育的でいい問題だと思う。

          

もちろん、「支持」と「証明」を本当にハッキリ分けられるかどうか、また、そ

うした議論がトラブル解決に役立つかどうかは、微妙な話ではあるけど。。

        

 (cf. PISA2006のアンケート調査について。

          物理学の人気は生物学の3分の2しかないのか・・ )

     

          

         ☆          ☆          ☆

おっと、たった1問だけでも、ずいぶん時間と字数を費やすハメになってし

まった。今夜の走りについては、もう簡単に。本当は16km走る予定だっ

たのに、自宅で仕事関連の作業をやってたら遅くなって、結局僅か12.8

kmしか走れなかった。おまけに、走ってる途中から古傷の右脚付け根が

痛んでて、走り終えた後は足を引きずる状態。不思議なもんだね。遥かに

速いスピードで快走した川口マラソンの時は、ほとんど痛まなかったのに。

靴の違いだけじゃなくて、遅く走ると余計に痛む気がする。

          

トータルでは1km4分55秒ペース。遅っ! まあ、最初の「用事」の1.7

kmが遅すぎたせいもあるね。周回終盤は1km4分30秒を切るペースま

で持って行ったから、それほど悲惨でもない。ただやっぱり、レース後は

一気に調子が落ちちゃってるのは事実。気にせず、ボチボチ頑張ろう。

        

関係ないけど、漫才日本一決定戦「M-1グランプリ」が、10回目の今年

終了とのこと。最後は、常連の笑い飯に花を持たせるのかね。私として

は、昨日書いた格闘技のK-1の今後の方が心配かも♪ ではまた ☆彡

         

  用事(1.7km)   10分39秒   心拍125

  往路(1.15km)   5分57秒      129      

  1周(1.1km)   5分26秒      141                 

  2周           5分19秒      147       

  3周           5分08秒      151     

  4周          5分06秒      154 

  5周          5分01秒      156

  6周          5分03秒      158      

  7周          4分54秒      160

  8周          4分48秒      161

  復路             5分33秒      152

計 12.8km   1時間02分54秒   心拍147 最大163(ゴール時)

             

                                  (計 3356文字)

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コメント

こんにちは
覚えてないかもしれませんが お久しぶりです

僕自身16歳でほぼ対象年齢なので勝手に解いてみました。
間違えたくなかったので5分ほどにらめっこしてなんとかCを選べました。
中国や韓国がこのテストでは上位みたいですね
学校の勉強の知識は全く使えないので、意識的に点数を上げるのはむずかしいですね。

どうでもいいことですが、これは2009年度の結果で、今僕が16歳だから当時15歳なんですね。
自分の地域ではこのテストはなかった気がします。
それでは!

PS宝くじはバラで買わせていただきました(笑

投稿: ES21 | 2010年12月13日 (月) 14時38分

> ES21 君
    
こんばんは。ちゃんと覚えてますよ。
名前がマイナーチェンジしてるけど。
21世紀型にヴァージョン・アップしたわけね。
     
一部の内容しか公開されてないとはいえ、難しめの
国際テストに自主的に挑戦するのは素晴らしい。
中国の場合は地域参加で、上海は断トツ1位、
香港も4位だけど、マカオは28位。
中国全土だと、もっと低いかも。
それに比べて、韓国の2位には負けたって感じ。
とはいえ、世界の得点差は意外なほど小さい気がします。
    
このテスト(読解力)の点数を上げるには、
国語の授業改革が必要だけど、事の良し悪しは別。
例えば上の問題。社会人の僕はかなり感心したけど、
18歳で出来れば十分の内容。20歳でもOK。
15歳の授業なら、もっと基礎的レベルでいいでしょう。
    
漢字の読み書きはもちろん、PCや携帯、あるいは
ネットの使い方とか、義務教育でトレーニングしとくべき。
もちろん、一部の進学校や私立はハイレベルでもいい。
ま、受験者に選ばれた生徒達には、いい刺激でしょう。
話のネタにもできるし、変わった思い出にもなるしネ。
     
宝くじの記事は、意外なほどアクセスが多くて、
僕も久々にバラで買おうかなと考えてる所です。
小市民としては、前後賞が当たるだけでも十分嬉しいから♪
それでは。。

投稿: テンメイ | 2010年12月14日 (火) 20時48分

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