« 制服でニーソックスの女子高生は実在するのか♪ | トップページ | D・モリスの「自己親密行動」(self-intimacy)など »

センター試験の『ゴジラ』と、『ウルトラセブン』第12話欠番問題

どうも最近、平日のランニングをさぼる悪いクセがついたようで、今夜も全

く走る気はなし♪ そうなると、他にブログ毎日更新用のネタを探すことに

なるが、先日のセンター試験記事がヒットしたから、またセンター・ネタでい

いやと考えた。

    

前のは狙った記事で、お堅い哲学的内容にも関わらず、3日間で300人以

上の訪問者を集めた。特に、大学とか教育関連からのアクセスが目立つ。

でも、これから書く記事は正直言って、手抜き気味のつぶやき系記事だか

ら、常連さんと一部のマニアの方々がサラッと目を通してくれる程度で十分

だ。まあ、今年に入って手間ヒマかかる記事を連発して来たから、軽い日を

もっと増やす方が、毎日更新の社会人ブロガーとして正解だろう。。

     

          ☆          ☆          ☆

さて、元々は、2011年センター試験ゴジラプリプリ(=プリンセス・プリ

ンセス)が登場したというニュースを見て、その2つに軽くコメントするだけの

つもりだった。ところが、実際に「現代社会」の問題を読んでみると、プリプ

リのミリオンセラー・シングルCD『Diamond』(1989)ほんの前置きと後

書き程度に使われてるだけで、記事を書くほどのこともない。

      

それに比べると、「日本史A」のゴジラの方は、やや扱いが大きくて、多少の

中身もあった。近現代の戦争とメディアに関する第6問のBは、後半の段落

が次のようになってる。

             

   戦後になると、メディアは大衆娯楽の担い手となった。なかでも、

   1954年11月に全国で公開された特撮映画は、核兵器をめぐる

   事件に関する報道や社会の関心をきっかけとして制作され、多く

   の観客を動員した。このように、この時期の大衆娯楽は、悲惨な

   戦争の記憶を背景に、戦争と平和の問題を取り上げることが少な

   くなかった。

      

この文章の少し後、問8では、新たに『ゴジラ』の宣伝ポスターを提示して、

ポスターを参考にしながら、1950年代の核兵器をめぐる出来事に関し

て述べた」文を2つ選ばせる。ハッキリ言って、ポスターは問題作成者の

趣味だろう♪ 問題を解くのに必要ではない。とはいえ、無関係でもない。

     

ポスターの中から、わざわざ「水爆大怪獣映画」、「ゴジラか、科学兵器

か、驚異と戦慄の一大攻防戦! 放射能を吐く大怪獣の暴威は日本全

土を恐怖のドン底に叩き込んだ!」という文字が抜き出されている。要す

るに、「ゴジラ日本を攻撃する水爆や放射能原爆投下&水爆実験

という構図が暗示されてるのだ。結局、b「アメリカの水爆実験により、日

本の漁船が被爆した」と、d「被爆国の日本で、第1回原水爆禁止世界大

会が開かれた」が正解となる。。

      

          ☆          ☆          ☆

上の問題を読んで、久々にふと思いだしたのが、『ウルトラセブン』第12話

問題だった。『ウルトラQ』、『ウルトラマン』に続くウルトラシリーズで、ゴジラ

と同じく、特撮の神様・円谷英二(つぶらやえいじ)が関わった人気作。いま

だに、かなりの人気を保ってる所は素晴らしい。

     

ところが、その『セブン』全49話の内、1つだけ「欠番」として封印されてしまっ

てる。その点は、私も一応知ってたけど、詳しい事情を知ったのは、2001

8月3日の朝日新聞・朝刊の記事がキッカケだった。

     

短期シリーズ「幻紀行 2001夏」の第4回で、見出しは「封印の理由

セブンに込めた願いは」、「『差別』で論議 12話欠番に」。やや長いが、

マスメディアによる経緯の報告として、引用しとこう。

     

   ・・・・・・第12話「遊星より愛をこめて」67年12月17日に放映さ

   れた。<宇宙で爆弾がさく裂した。放射線に血液を侵されたスペル

   星人は、地球に潜入して新鮮な血を集めようとする……>

   日曜日の夜7時、視聴率は30%を超えた。中国が初の水爆実験

   し、原爆被爆者実態調査の結果が初めて発表された年の瀬だった。

   

   3年後、東京都内の女子中学生が、弟の持っていた雑誌の付録に、

   スペル星人のカードを見つける。目と口しかない顔、体中にケロイド

   状の傷。「ひばく星人」と書いてあった。 「この『ひばく』って、原爆の

   被爆以外に考えられないよね」。女生徒は、都原爆被害者団体協

   議会専門委員だったにたずねた。「被爆者を怪獣扱いするなん

   て」。父が出版社に送った抗議の手紙新聞で報道され、広島や

   長崎の被爆者団体も立ち上がった。

      

   「ひばく星人」という字幕やセリフは番組では使われていない。だが、

   雑誌や怪獣図鑑から次々と「被爆」の文字が見つかり、抗議と釈明、

   謝罪が繰り返された。そんな中、番組をつくった円谷プロダクション

   は70年10月、12話を封印した。 ・・・・・・

                                   (引用終了)

       

          ☆          ☆          ☆

最初のカードは、『小学二年生』の付録だから、正確には大部分ひらがな

で、「ひばくせい人」(“じん”とふりがな付き)と書かれてた(ネット情報)。そ

れはさておき、朝日の記事では、ネットで事情を知った男性が、ファンか

ビデオを入手。ウルトラマンティガが好きな長男と共に見たが、「何がいけ

ないのか、よく分からなかっ」と語る所から話が始まる。この男性は、母

子感染によるB型肝炎のウイルス保持者で、差別や偏見には敏感な人だ。

                       

三浦宏記者は、関係者にも事情を聞く。脚本佐々木守は、「若かったし、

稚拙だったかもしれないが、原爆反対を訴えた」。監督実相寺昭雄は、

「声高でなく叙情的に核兵器の怖さを描いた作品だと自負」。ウルトラ警備

隊のアンヌ隊員としてヒロインを演じたひし美ゆり子は、問題の経緯を説明

したうえでDVD化、収益は被爆者団体などに寄付することを提案。

       

さらに、元・広島平和記念資料館長の高橋明博にビデオを見せても、「被

爆者が怪獣になる話ではない。31年前に見ても差別されたとは思わなかっ

たはずだ。核兵器廃絶の強いメッセージは感じないが、ラストでは平和を願

う気持ちが伝わってきた」と語る。こうして、朝日の記事全体が、第12話の

欠番扱いに疑問を投げかけてるのだ。

         

当時、まだネットの個人取引というものが一般的ではなかったこともあって、

私は早速、自分でも検索、ビデオの入手にチャレンジしてみた。赤信号で

さえ滅多に渡らない人間としては、違法な取引が気になったのは確か。で

も、30年にわたって、実質的には黙認されて来たようだし、朝日の記者も

手に入れて使用。私は買う側だし、まず問題は生じないだろうと考えた。

     

ネットで調べると、10年近く前の当時でさえ確かに、マニアによる詳しい情

報がすぐ手に入った。悪質ではなさそうな個人サイトを選んで注文。4000

ほどの値段は、今考えるとかなり高いけど、当時は稀少品の取引だから

そんなもんだろうと感じてた。日本と違って、第12話が(まだ)放映されてる

アメリカの映像もプラスされてたのだ。

       

          ☆          ☆          ☆

で、実際に見てどうだったか。何事も、他人から聞くのと、自分の実体験と

では違うもんだけど、この場合もちょっと違ってた。朝日の記事も、ネットに

あふれるマニアの情報も、大まかにまとめて言うなら、第12話には問題な

しという見方だ(今現在に至るまで)。

       

ところが、ダビングを重ねて荒れた映像を見た私の感想は、「これは当時

だと、欠番も仕方なかったかも・・・」というものだった。話の筋立てには、

さほど問題を感じない。確かに、理屈ではなく叙情的に、核兵器反対を訴

える内容で、ラストシーンも心にしみるものだった。全体的な雰囲気も、子

ども向けの怪獣ものというより、大人向けの落ち着いたドラマに近い。

               

ただ、いわゆる「怪獣」扱いの、スペル星人の外見がつらいのだ。あらかじ

めネットの静止画像で見てたにも関わらず、ビデオの印象は強烈だった。

包帯を巻いた状態を意識してるのだろうか、全身が基本的に真っ白で、あ

ちこちにケロイド。頭部には小さい目と口のみ。何とも異様な外見は、監督

の指示によるもので、デザイン・成田亨造形・高山良策は気が進まなかっ

たとかいう話だけど、もう少し配慮することは出来たんじゃなかろうか。

      

だからと言って、欠番のままでいいとは思わない。もう40年も封印したのだ

から、謹慎期間としても十分だろう。あらためて、被爆者側の人達を中心

映像を広く見てもらい、意見や感想を集める所から始めてはどうか。セ

ブン全体が古典的名作として評価されてることだし、今さら問題視する声

も小さいだろうと思う。

                 

それを確認した後で、経緯の説明と共にDVD化する。ただし、しばらくは

テレビ放送には使わず(特に地上波)、ネットの動画も禁止。限られたファ

ンの間で見れるようにすればいいと思う。そして、5年か10年後くらいに、

放送や動画も解禁。慌てずに、少しずつ正常な状態に戻せばいい。

   

ゴジラやセブンに限らず、テレビや映画のフィクションには、時代背景が少

なからず反映されてる気がする。あまり、そっちの方向に行くのも気が引

けるけど、今後また機会があれば、昔のヒーロー物とか漫画を本格的に

レビューしてみたい現代社会や歴史の再考にもつながるし、社会思想史

の勉強にもなるだろう。案外、最近の新しい作品を見るよりも、新鮮な思い

を味わえるような気がするのだ。

                   

結局、今夜もかなり長くなってしまった♪ では、そろそろこの辺で。。☆彡

           

                                 (計 3727文字)     

| |

« 制服でニーソックスの女子高生は実在するのか♪ | トップページ | D・モリスの「自己親密行動」(self-intimacy)など »

映画・テレビ」カテゴリの記事

社会」カテゴリの記事

教育」カテゴリの記事

コメント

 おっしゃる通り、そろそろ解禁に向けて動いた方がいいと思います。現状では、被爆星人の部分がかえって目立ち、本来なら全くセブンと関係のない被曝された方々がかえって注目されているように思います。

 ただ、ファンの側はかなり待たされていることも事実で、今でもこの問題について語る時、まれに被爆者を邪魔者であるかのような不謹慎な発言(たとえば「解禁されるのは、被爆者全員が死亡してからだ」とか)をするものも出始めておりますし、ましてや本放送を見ることができなかった平成世代のウルトラファンにとってはかなり苛立ちがあるようです。あまりネット上の動画の削除ばかり繰り返していると、彼らからの反発も募るし、円谷様に頑なな印象を持つ者も出てくるでしょう。

 そこを考慮するのであれば、地上波は無理でも、とりあえず画質が悪い12話に関しては、ユーチューブとかメジャーなところは避けるとしても、マイナーな動画サイトとかコミュニティーサイトくらいでは黙認すると。その上で意見を募り、解禁のタイミングをはかったほうがいいと思います。完全に見られなくするのではなく、とりあえず非公式ではあれ、誰もが(見ようとすれば)一応は見られるような状態だけは保持しておくと。その上で視聴した人すべてに判断してもらい、解禁賛成派、反対派の意見をまとめてもいいと思います。

 まあただこれ以上封印を続けても、あまり配慮にはならないと思いますね。かえって被爆者が注目されている。彼らだって事あるごとに自分達の話が勝手に第三者に語られるのは気分のいいものではないでしょうから、なるべく早期に「12話と被爆者を切り離す(完全には無理でも)」方向で動いた方がいいかもしれません。まあ製作サイドの考え方次第ではあるのだけど。

投稿: ぽぽ | 2011年2月 9日 (水) 22時47分

> ぽぽさん
    
はじめまして。コメントありがとうございます。
   
月日が流れ、被爆者の方々が減り、原爆の記憶も
薄れる中、ウルトラセブンの問題だけが40年も
そのまま封印されるのは、不自然ですよね。
むしろ、マイナスの効果の方が気になる所。
   
不謹慎発言というものを直接見たことはありませんが、
容易に想像できることではあります。
むしろ被爆者の前で、正々堂々と解禁すべきでしょう。
      
ただ、一般に、あまりにこじれた歴史というのは、
解決に膨大な時間と労力が必要です。
ボトムアップ、つまりみんなで議論して解決策を
模索するよりも、トップダウン。
円谷プロの上層部の変化の方が、現実的かも知れません。
政財界の大物にも、セブンのファンはいるはずだから、
鶴の一声的アドバイスが欲しい所。
   
動画の「公の黙認」というのは、
円谷プロのキャラから考えても、難しいと思います。
「部分的な実質的黙認」なら、今が既にそうでしょう。
黙認ではなく、有料の動画配信ならいいと思いますけどね。
代わりに、非合法的な動画はハッキリ禁止してもいい。
広く意見を募るのなら、そのためだけに
期間限定で無料の公認動画を流すとか。
   
もちろん、あらかじめ被爆者団体に伝える。
おそらくもはや、強い反対はごく一部だけでしょう。
全員一致というのは理想論に過ぎないから、
大体の意見の一致でゴーサイン。
反対意見の存在ということなら、今でもありますからね。
     
映像の最初に、30秒ほど説明を加えて、
終了後には被爆者への深い心配りを示すと共に、
あらためて平和への祈りを捧げる。
収益の一部は、被爆者団体や平和運動に寄付する。
     
いずれにせよ、円谷プロの内部に変化が必要です。
自然発生とか偶然の幸運を待つか、
あるいは子ども達の意見を集めて提示するか。
外部から、大人の一般人のファンが問題提起する
だけでは、難しいでしょうね。
     
最近は、子ども達自身がネットを使って行動する時代。
マスコミでもいいですが、納得できる形で誰かが有力な
動きを見せれば、ウチもバックアップするつもりです

投稿: テンメイ | 2011年2月11日 (金) 01時29分

 今回の原発事故でますます12話の解禁が遠のいた気持ちがします。今回の「被曝」と原爆による「被爆」は違うものだといってもやはり説得力はないでしょうか。

 もちろん、今放射能による被害が拡大している以上、今すぐの解禁はさすがに不謹慎だとしても、このままだと原発事故終息後も永久封印のまま終わってしまいそうです。

 ただ、個人的にいえば、今こそ12話と被爆者は直接関係がないんだ!と堂々と主張してほしい気もします。12話で本当に訴えたかったことは何なのか、誠意を見せれば、きっと世間の理解も得られると思うのですが……。

 最後の手段として、版権切れ後(現行法では27年後か?)のファンによる自主的な解禁というのも話としてはあるそうですが、それにしか望みはかけられないのかな?

投稿: ぽぽ | 2011年3月25日 (金) 06時02分

> ぽぽさん
  
こんにちは。
流石にしばらく、セブン12話どころじゃないでしょう。
数十年に1回あるかないかの、世界的な大惨事です。
   
大昔の特撮番組の放送自粛どころか、
実社会の活動が大幅に制限されてる状況。
しかも、放射能の影響は何年も残ってしまう。
「被曝」と「被爆」も、別物とはいえ、
無関係でもないですからね。。
   
    
たとえ永久封印になったとしても、
熱心なファンならもう見てる人が多いだろうし、
情報もかなり出回ってます。
社会的に封印されても、ファンにとっては部分解禁。
そのくらいで我慢すべきでしょう。
少なくとも、もうしばらくの間は。
    
ウルトラセブンが本当に世界の平和を祈る番組
だったのなら、そのファンとしてもまず、
本物の安らかな生活を目指すべきだと思います。
   
例えば、円谷プロの公式ウルトラマン・ツイッター
とかは、空想と現実をつなぐ試みの一つとして、
微笑ましいと思います。。

投稿: テンメイ | 2011年3月27日 (日) 15時54分

 さすがに近未来での解禁は無理かもしれませんが(原発がこの状況なので)、ただ、それでも何十年後かの解禁はあるのでしょうか……不安になってきます。

 このまま封印され続けることは、絶対後でファンと権利者側との軋轢につながると思うのですけどね。特に後世のファンにとっては。

 おそらく、ある時点では解禁する可能性はあると思うのですが、それが相当先の未来なのか、あるいは結局解禁されることなく終わってしまうのか…。なんだか悲しくなってきましたが。
  
 やっぱり50年後とかでも無理なのかな……まあ生きてはいないと思うけど。

投稿: ぽぽ | 2013年11月30日 (土) 00時44分

> ぽぽ さん
   
こんばんは。
   
何十年後かの解禁というのは、「あり得る」と思います。
著作権切れになるし、円谷の経営陣も変わるし、
被爆や被曝関連の団体も変わりますからね。
   
ただ、実際に「ある」かどうかはもちろん不明。
「ないかも」という可能性に少しずつ
心を慣らして行く方が現実的だと思います。
  
そもそも、二度と取り返しのつかない(かも知れない)
物事は、世の中に色々とありますからね。
   
例えば、一番大切な自分自身の昔に関して。
記憶・日記・記録・証言・写真・映像、
どれも全く不十分なものばかり。
それでもみんな、気にせずに生きてます。
   
セブンの12話はダビング映像や写真・資料などが
出回ってるわけだし、そこそこ恵まれてる方かも。
かすかな解禁の望みもありますしね。。

投稿: テンメイ | 2013年12月 1日 (日) 23時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 制服でニーソックスの女子高生は実在するのか♪ | トップページ | D・モリスの「自己親密行動」(self-intimacy)など »