シーベルト、グレイ、ベクレル~放射線・放射能の単位について
(☆5月13日、8月26日追記: 少し突っ込んだ記事を追加。
外部被曝におけるベクレルとシーベルトの計算式(by IAEA) )
☆ ☆ ☆
(20日) RUN 12km,59分18秒,心拍144
雑用JOG 1km,6分程度
流行語大賞に選ばれるかどうかは微妙な所だが、この1週間ですっかり
一般的になった言葉が「シーベルト」(Sv)だろう。最近、話題になってる範
囲で言うなら、要するに、ある場所が人間に与える放射線の影響を表す
単位だ。場所という話は、文脈を考えて私が補ったもので、外してもいい。
専門的な用語を用いると、様々な放射線の影響を統一的に換算する「線
量当量」や、線量当量による人体全体への影響を合算した「実効線量」を
表す単位という話になるが、これらの用語は普通にニュースを見てる分に
はあまり必要ない。実効線量を縮めた「線量」という言葉と、その単位であ
るシーベルトを知ってるだけで、かなり話が理解できる。
「J/kg」(ジュール・パー・キログラム)と同じだから、体重1kgあたりの放
射線の影響をエネルギーで考えてる。ジュールは仕事量や熱量の単位で、
4.19で割ればおなじみのカロリー(cal)へと変換可能。一方、1時間あた
りの放射線の影響量なら「Sv/時」(シーベルト毎時 or 毎時シーベルト)だ。
環境科学技術研究所の「ベクレルとシーベルト」と題するpdfファイルを
読むと、シーベルトは「実効線量」だと書いてある。つまり、「実」際に人間
に「効」果をもたらす放射「線量」ということだ。元々はスウェーデンの科
学者の名前(Sievert)で、放射線防護で功績があったとのこと。
1シーベルト=1000ミリシーベルト=100万マイクロシーベルト。原発と
環境関連では、マイクロシーベルト(μSv)に統一して考えればいいと思
う。あるいは、毎時マイクロシーベルト(uSv/時)。日付け変わって昨夜、
パソコンをいじりつつNHKの震災番組を流し見してたら、解説者がミリシー
ベルトとマイクロシーベルトを言い間違えて、しばらく後に訂正してた。私
は先日、放射線の年間総量の計算記事を書いたこともあって、聞きなが
らすぐ間違いに気付いたが、解説者がミスするくらい紛らわしい。
すべてマイクロシーベルトで考えればいいのだ。そして、年間総量なら数
千マイクロ、毎時(1時間あたり)なら0.5マイクロくらいまでは健康に問
題ないと考えればいい(屋外の値)。今現在、福島県を除いて、どの都道
府県も毎時0.2~0.03マイクロ程度だから、まったく問題ない。
☆ ☆ ☆
一方、放射線量に関しては、たまに「グレイ」(Gy)という単位も使われて
る。英国の物理学者の名前(Gray)で、「今回の原発事故関連ではグレ
イとシーベルトは同じだと考えていい」、というような記述があちこちに書
かれてる。
あえて説明すると、グレイとは「吸収線量」、つまり物体1kgあたりが吸収
する放射線のエネルギー量を表す単位で、シーベルトと同じく、J/kg と
書き換え可能。一方、吸収した放射線が人体にどの程度の影響を与える
かは、放射線の種類によって違うから、グレイの数値に荷重係数(影響
の大きさを示す数字)を掛けて、シーベルトの数値を求める。
ただ、問題とされる放射線はベータ線とガンマ線で、どちらも係数が1だか
ら、掛けても数値は変わらない。だから、グレイ=シーベルト。結局、シー
ベルトだけで考えればいいのだ。
ちなみに、手元の教科書『改訂版 高等学校 物理ⅠB』(数研出版,平
成13年)をみると、グレイは本編に載ってるけど、シーベルトは末尾の補
足的説明にしか載ってない。これは、物理学が物質一般を扱う学問であっ
て、人間という特別複雑で重要な生物を扱う学問ではないからだろう。
☆ ☆ ☆
最後に、数日前から被災地の農産物に関して話題になり始めたのが、ベ
クレル(Bq)。フランスの物理学者の名前(Becquerel)で、放射線の発
見でノーベル物理学賞を受賞したとのこと(英語版ウィキペディアより)。
グレイと共に、前述の教科書に載ってて、「原子核が毎秒1個の割合で
崩壊するときの放射能の強さを1ベクレル(記号Bq)という」と書かれてい
る(p.280)。「個/秒」、あるいは単に「 /s」と同じこと(個数というの
は物理の基本単位ではない)。
ただしこれは、正確に「放射能」(=放射線を出す能力)を与える数値とは
言いにくい。つまり、2ベクレルの物が1ベクレルの物より2倍の放射線を
出すとは限らないのだ。というのも、原子核の種類によって、1個崩壊する
ごとにどんな放射線をどれだけ出すかが少し異なるから。
ただし、今話題になってる範囲だと、ヨウ素131やセシウム134,137
に限られてるから、ヨウ素2ベクレルのホウレンソウが1ベクレルのホウ
レンソウの2倍の放射線を出すと考えるのなら、問題ない。ベクレルの数
値は、やや大まかな意味では、確かに放射能の強さを表してる。
あるいは、「1kgあたりヨウ素9ベクレル、セシウム(どちらか一方)12ベ
クレル」の飲料水は、「各3ベクレル、4ベクレル」の飲料水と比べて、3倍
の放射線を出す。こう考えるのも正しいわけだ。
ちなみに、今現在の飲食物からの検出量は、規制値を上回ってる物に関
しても大丈夫とのこと(日経HP・20日)。消費者がどう感じるかは別として。
あと、野菜類の暫定規制値は、1kgあたりでヨウ素2000ベクレル、セシウ
ム500ベクレル。飲料水なら、それぞれ300と200(朝日HP・20日)。水
は野菜より基本的なものだから、数値が低めに設定されてるのだろう。。
☆ ☆ ☆
結局、シーベルト(毎時)は場所の危険度、ベクレルは放射性物質の危険
度を表すわけだが、この両者の間に単純な関係式は成り立たない。という
のも、そもそもベクレルの数値と放射線量の関係は単純ではないし、同じ
ベクレル、あるいは同じ放射線量の放射性物質であっても、そこからの距
離や時間、遮蔽物(壁、水など)によって、シーベルトの値(=人体への影
響)は変わって来るからだ。
ただ、何を何ベクレルの量だけ食べると何マイクロシーベルトになるのか
は、大まかに計算可能らしい。理解できたら、また別記事にしたい。
(☆追記: 下のP.S.で少し考察した。)
最後に、私自身も含めて、どうもピンと来ない人のために、簡単な比喩を
思い付いたので、書いてみよう。単なる手助け用の喩え話であって、あく
まで正確な話は上に書いた通りなので、念のため。
ベクレル = (敵の)大砲の発射数
グレイ = (自陣に)当たる砲弾の数
シーベルト = (自陣の)ダメージの度合い
説明すると、ベクレルとは大砲の発射数みたいなもので、大砲の砲台の
種類や砲弾の種類は考えず、ただ何発撃ってるかを表す数。一方、味方
の側では、砲弾を何発浴びるかがポイントの一つになる。当然、敵の大砲
から遠ければ、浴びる弾の数は減るだろう。さらに、相手の砲弾の種類に
よって、味方のダメージは異なってくる。ゴムボールをぶつけられても大し
て痛くないが、石をぶつけられるとケガするだろう。つまり、ゴムボールが
何個、石が何個飛んでくるのか、ダメージの総量を表すのがシーベルトだ。
P.S.ベクレルと、シーベルトやグレイとの関係を求めるアクセスが多数
入ってるが、あたらめて解説しておくと、単純な換算は出来ない。た
とえ、同じベクレル数の飲食物を1kg摂取する単純な仮定でも、放
射線のエネルギーが一定ではないし、人体への吸収率も問題にな
るからだ。
P.S.2 一応、目安となる話では、朝日HP・20日に、茨城県・原子力安
全対策課の談話がある。1キロあたり24000ベクレルのヨウ素
131と、同690ベクレルのセシウムが検出されたホウレンソウ
を、日本人の平均的な年間摂取量で1年間食べ続けても、被曝
(ひばく)量は胸部CTスキャン検査1回分の3分の1程度。「人体
に影響を及ぼす程度ではない」そうだ。つまり、6900掛ける1/3
で、2300マイクロシーベルト以下になるという意味だろう。
農畜産業振興機構の「生鮮野菜の家庭内消費量変化」という
pdfファイルを見ると、2006年のデータで1人あたり1ヶ月120g
ほど消費してるようだ。つまり年間1.44kgくらいだから、35000
ベクレル程度のヨウ素と、10000ベクレル程度のセシウムを摂
取しても、2300マイクロシーベルトに到達しない計算になる。
他には、原子力資料情報室HPに、10000ベクレルのヨウ素
131を経口摂取するとベータ線が220マイクロシーベルトにな
るという説明がある(原文ではミリシーベルト)。期間が書かれ
てないから、トータルの値だろう。これで計算すると、35000
ベクレルなら770マイクロだから、さほど危険ではない数値に
なる。上に引用した朝日の説明と、一応整合的だ。
P.S.3 朝日新聞22日・朝刊には、「ベクレルをシーベルトに換算する
には放射性物質の種類や、飲食や吸入など体内に入るルート
などで異なる係数をかける。水や牛乳の規制値にあたる300
ベクレルの放射性ヨウ素が出た物を1キロ食べると、人体影響
は6.6マイクロシーベルトになり・・・」とある。
よって、上の原子力資料情報室HPと合わせて考えれば、「ヨウ
素の飲食(=経口摂取)」の場合、変換式は
ベクレルの値×0.022 = マイクロシーベルトの値
と考えていいだろう(☆下のP.S.5参照、係数0.016が最新)。
ただし、「 」内の条件が付いてることを忘れてはいけない。他の
場合には、他の係数(例えば0.5とか)をかけるのだ。ベクレル
からグレイへの変換式も当然同じだけど、飲食物の人体への影
響を考えるのだから、シーベルトが自然。
P.S.4 上の変換式で掛けた0.022のような係数を(預託)実効線量係
数と言うようだ。預託とは「deposition」の翻訳のようで、「蓄積」
「沈殿」という意味だろう。気になるのは、この係数の数値がネッ
ト上で必ずしも統一されてないこと。ヨウ素131なら、0.022で
はなく0.016になってる。原子力安全委員会が、ICRP(国際放
射線防護委員会)のデータに基づいてpdfファイルに書いてるも
ので、出典が他のサイトと同じだから、ますます意味不明だ。。
P.S.5 4月5日の朝日新聞・朝刊では、ベクレルからシーベルトへの
変換式の係数(=実効線量係数)が0.016へと変更されてる。
調べてみると、食品安全委員会が原子力安全委員会の説明を
採用したようだ。一応、P.S.3の式に訂正文を挿入しておいた。
なお、セシウム137の経口摂取の係数は0.013。
P.S.6 旧・単位(ラド=rad、レム=rem)と今の単位の間の換算について。
1rad=0.01Gy=10mGy : 1mGy=0.1rad
1rem=0.01Sv=10mSv : 1mSv=0.1rem
cf.原発から各地までの距離と、放射線の年間総量(by文科省データ)
放射線(放射能)の危険性と距離~2つの逆二乗法則(情報源明示)
雨の長距離ランニングで浴びた放射性物質の計算(by定時降下物データ)
原発事故評価レベル7と、セシウムのヨウ素換算値の計算(by INES)
福島原発レベル7の基準を読む~INES(国際原子力・放射線事象評価尺度)
原発事故はみんなが無責任、だけどね・・~東電社員の息子・ゆうだい君への応答
被曝する全放射線量の計算方法 (自然・医療、外部・内部、屋外・屋内)
セシウム牛肉、食後1年間での内部被曝線量の計算方法(定積分&実効半減期)
放射性物質の半減期、壊変定数、質量(重さ)~微分方程式の初歩など
外部被曝におけるベクレルとシーベルトの計算式(by IAEA)
朝日の甲状腺被曝87ミリシーベルト報道の意味~実効線量と等価線量
WHO(世界保健機関)による被曝線量の推定(全国、年代・経路別)
義務教育における放射線・放射能~中学校・理科の教科書&副読本
文科省が10都県で確認、ストロンチウム(Sr)90の実効線量係数など
日本人の自然放射線と医療被ばく線量(『新版 生活環境放射線』2011)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
テレビ業界に精通するキッドさんによる、ヒネった震災番組レビュー♪
☆ ☆ ☆
一方、今夜の走りについて。ホントは休む予定で、明日久々に女友達と長
距離を走るはずだったのだ。ところが、夜の時点で全国的に雨の予報が
出てたから、明日の約束をキャンセルして、仕方なしに疲れた身体でちょっ
とだけ走ったわけ。ちなみに、友達は雨でも走りたそうだったけど、私がパ
スした。たまに傘ランとかやってるけど、基本的に雨は嫌いなのだ。ってい
うか、それが当たり前だろう。実際、雨の日の公園を走ってる人間はほと
んどいない。友人が元気良過ぎるのだ♪
単なる積極的休養ランだから、頑張る気はまったく無し。ただ、少しだけス
トライド(歩幅)を大きめにして走った。レースで記録を狙うには、ストライド
が重要なのだ(女性ランナーは別)。トータルでは1km4分56秒ペース。
うん、こんなもんでしょ。以前なら、お休みランだと1km5分を超えてたの
に、最近はあんまし超えなくなって来た。やっぱり、地道な努力が実ってる
のだ、と考えとこう♪
明日は休んで、明後日は長距離を走りたいけど、雨がどうなるか微妙な所。
ダメなら傘ランでお茶を濁して、水曜に長距離としよう。ま、強い余震とか、
激しい放射能漏れとかが無ければね。ではまた。。☆彡
往路(2.45km) 12分57秒 平均心拍129
1周(2.14km) 10分57秒 139
2周 10分39秒 146
3周 10分30秒 150
4周(0.68km) 3分21秒 151
復路 10分53秒 149
計 12km 1時間03分29秒 心拍147(78%) 最大158(ゴール前)
(計 5874文字)
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コメント
とても、興味深く数学的検証、具体的計算の解明・根拠を明確にされ、有難く感心拝見致してます。さて、教えて下さい。1)放射性物質は何故、安定化する為、放射線を発する?2)夫々の半減期の異なる意味?3)素粒子の構造が解明できれば、放射能をコントロールできる? 物理学者の研究を待つばかりでしょうか?4)放射能拡散防止が見えず、工業や技術をウリの日本が原子炉をコントロール出来なかった事実は世界に恥ずかしい?
投稿: | 2011年4月28日 (木) 12時05分
> 名無し さん
こんばんは。コメントありがとうございます。
今の私に可能な範囲で、簡単に応答させて頂きます。
1.これは、「放射線を発するとなぜ安定するのか」という
ご質問だろうと思います。
どこかに書いてあった気がしますが、思い出せません。
私も興味があるので、いずれ分かったら記事を書くでしょう。
すごく大まかに言えば、大きい集団(=原子核)より
小さい集団の方がまとまりがいいという話ですけどね。
2.これは、1の質問と結びついた話だと思います。
要するに、原子核の不安定さが異なるわけでしょう。
3.それは物理学の問題ではなく、人間学とか社会論でしょうね。
自然を解明することと、人間によるコントロールとは
かけ離れた営みだと思います。
人間は神ではないし、神もわりと気まぐれみたいなので。
特に問題なのは、「神はサイコロを振る」ということ。
無数の面を持つサイコロなので、それぞれの目すべてに
人間が対応するのは、現実には不可能でしょう。
4.「恥ずかしい」と言えば恥ずかしいんですが、世界各国も
日本の無能さを批判する余裕はないはずです。
自分たちの無能さがこの先に露呈することのないよう、
対策を取るので精一杯でしょう。
とりあえず、日本の原発を輸出しにくくなった事だけは
確かでしょうね。まあ、輸出する気も起きないでしょうが。。
なお、ご丁寧なコメントを頂いて恐縮ですが、ウチは
コメントの際に、名前のご記入を求めています。
もし再びコメントの機会がありましたら、
今度はお名前(ハンドルネーム)をお願いします。。
投稿: テンメイ | 2011年4月29日 (金) 02時54分
Bq,Gy,Svの大砲を例にした記述、とても分かりやすかったです。
息子(小6)の夏休み自由研究に引用させてもらってもよろしいでしょうか?
よろしくお願いします。
投稿: sakura | 2011年8月18日 (木) 22時22分
> sakura さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
大砲というオリジナルのたとえ話は、自分でも
気に入ってるので、褒めて頂いて嬉しいです♪
息子さんの自由研究への引用は、光栄ですね☆
もちろんOKです、とか言うより、ぜひ引用してください(笑)。
小学校6年でしたら、「テンメイのRUN&BIKE」という
サイト名を明記するだけで、たぶん大丈夫でしょう。
あるいは、「ネットで調べると」でもOKかも知れません。
「シーベルト ベクレル 大砲」で検索すると、
ウチが1位でヒットしますしね♪
ちなみに、何も書かずに引用するのは、
いろんな意味で止めといた方がいいです。
簡単にバレちゃいますしね。
なお、正式には、記事名とURL(アドレス)と
閲覧日を書き添えたりします。
この記事の場合には、例えば次のように引用元を
書いとけば、完璧です。
日付けを書くのは、ネットだと変更や削除があるからです。
「シーベルト、グレイ、ベクレル
~放射線・放射能の単位について」
(『テンメイのRUN&BIKE』)
https://tenmei.cocolog-nifty.com/matcha/2011/08/post-3f67.html
2011年8月18日閲覧
私は専門家ではありませんが、この記事だけでも
2万人ほどの訪問者がいますし、あちこちに
リンクも張られてます。
今まで間違いを指摘されたことは、
すべての放射線記事で一度もありません。
したがって、信用して頂いていいと思ってます。
また機会がありましたら、いつでもどうぞ♪
わざわざご連絡頂き、ありがとうございました
投稿: テンメイ | 2011年8月19日 (金) 01時46分
ありがとうございます。
引用元明記の件、了解です。
今まで息子の夏休み宿題の手助けはしませんでしたが、自分が放射線技師であることもあり、今回の福島原発のこととを息子や息子の友達、学校の先生方にも理解して欲しく、頑張っているところです。
夏休みもあとわずか、息子も野球の試合、練習で忙しくしていますが、頑張らせたいと思っています。
投稿: sakura | 2011年8月19日 (金) 23時15分
> sakura さん
どういたしまして♪
こちらこそ、再びコメントありがとうございます。
私が引用の話にちょっとこだわったのは、
最近、明らかに増えてそうだからです。
特に、いわゆる「コピー&ペースト」が目当てのような
検索アクセスが増えてるもんで。
検索フレーズ(言葉の組合せ)から想像がつきます。
それとは別に、重要な事柄に関して、広い意味で
「根拠」を示さずに語る傾向も強まってます。
軽い話ならいいのですが、放射線とかエネルギーとか、
重要な問題でもその傾向が目立つのは残念です。
そこで、この場を借りて、引用の仕方について、
つまり根拠の提示について、語らせて頂きました。
悪しからずご了承ください。
ところで、sakuraさんは放射線技師の方でしたか。
Bq,Gy,Svとか書いてらっしゃるのを見て、
普通のお母さんではないなと思ってました♪
特に、Gy(グレイ)という言葉は、
一般にはまだまだ知られてませんからね。
その意味でも、ベクレル・グレイ・シーベルトの
正しい理解を小学校で目指すというのは、
素晴らしいことだと思います。
小学生には、大砲のたとえが分かりやすいでしょう♪
最も重要なのは、ベクレル&グレイという物理学的概念と、
シーベルトという物理・医学的概念の違いだと思います。
論争の多くは、本質的にシーベルトをめぐるもの。
より正確に言うなら、実効線量をめぐるものですよね。
言い換えると、人間についてのお話です。
やはり、人体に関する医学が関わると、実験も難しいし、
データも少ないし、急に話が複雑かつ繊細になって来ます。
放射線について「正しく恐れる」ためにも、
基本的な知識は共有すべきでしょう。
私も、第1種放射線取扱主任者試験の
参考書まで買ってしまいました♪
息子さんは、野球をやってるんですか。
私は、ブログ名の通り、ランニングと自転車です。
知性と身体、どちらも大切にしたいものですね。
そのためにも、色んな面で、安心して生活できる
国にして行く必要があります。
あくまで、自分たちの力で。
それでは、今日はこの辺で。。
投稿: テンメイ | 2011年8月20日 (土) 14時26分
テンメイ氏、名無しさん、(sakuraさん)放射線技師さんなら多分、放射線物理学の教科書、放射線生物学の教科書にも記述があると思いますが、放射性物質は何故安定化するために放射線を放出するか?テンメイ氏からの回答もあろうかと存じますが、簡単にご説明します。原子は太陽系に例えられますが、重い核が太陽で、軽い軌道電子遊星です。太陽系では最初の条件により様々な種類の運動が可能です、位置エネルギーと運動エネルギーの両者を加えた全エネルギーは不変でそれが負となったときに電子は楕円軌道のような周期的な運動をする事が知られています。更に可能なエネルギー値は連続的です。即ち、エネルギーは連続スペクトルを形成していることになります。しかし、原子の場合はこの点が全く異なっているのです。全エネルギーが負の場合、ある特殊なエネルギーの状態だけが現実に存在し得るのです。この両者の相違は原子のように質量が軽くなると古典的なニュートン力学が成立せず、量子力学の範囲に入って来ることによるものです。即ち、原子においてはエネルギーEが負の場合、Eのスペクトルは連続でなく線スペクトルとなると言って良いのです。このように特に量子力学的に可能な状態をその系の定常状態と言い、Eをその固有のエネルギーと言います。可能なEの値のうちで一番低い値をE0とし、それより順にE1,E2,E3・・・と書きます。E0が基底状態であって原子は通常この状態にあり、安定状態を保っていることを我々は知っています。そしてE1,E2,E3・・・を各々第1第2第3・・・、励起状態と言いますね。
最も簡単な水素原子の場合E=ーR/n^2と表されますね。ここでR=リュドベリ定数、n:正の整数。
原子は通常基底状態にあるわけです。
ところが、光とか他の粒子の衝撃を受けるとそのエネルギーを受け入れて励起状態にエネルギーレベルが跳ね上がってしまうのです。(励起される)原子の状態は軌道電子の配置と極めて大きな関係があることは当然ご存じでしょうから省きます。
ここで、常に原子は安定状態を保とうとしていることを覚えておいて下さい。
さて、ここから本題です、原子核を構成する核子には陽子と中性子が有ります。陽子をP中性子をNとし、原子番号=陽子の数=Zとします。
PとNを合わせて核子と言いますが、核子相互間には引力が作用しますね、それを核力と言いますが、その結果原子核が合成されます。核力は核子相互間に分け隔て無く働きます。陽子と陽子の間には核力の他に電気的に同性質であるから斥力が働くことは言うまでもありません。
さて、先に進みますが、ここでPとNとの組み合わせはいくらでも与えられますが、核力の性質によってその組み合わせのものが安定な核として自然に存在するのです。核力の性質はまだまだ不明瞭な部分が多く、詳細に分かっていませんので、理論的に安定な組み合わせを算出することは難しいのですが、今日では逆に安定な核を作るZ,Nの組み合わせから核力の性質を研究していると考えて下さい。
陽子の数=Zを横軸にとり、縦軸に中性子の数を取って、ZーN平面を考えると、軽い原子核の領域では安定な核はZとNの数は大体等しいのですが、重い原子核(N+Z=質量数Aが大きいこと)になるとNがZに比して大きくなってきます。N-Zの事を余剰中性指数ともいいます。原子番号が中程度の原子では
(N-Z)/A=13%で、一番重いウランですと20%程度になります。これから考えてみると本来ZとNが
等しいときに一番安定になるところであるが、クーロン斥力のためにNの多い方がより安定になるらしいことが解ります。つまり、陽子が過剰になっていたり、中性子が過剰になっていたりする原子核の場合は不安定であって、それらは陽子や中性子を調節し、安定な定常状態に落ち着こうとするのです。その時、
P(陽子)から+を放出して陽子を中性子に変化させたり、中性子からーを放出して陽子に変化させることで安定原子になろうとするのです。自然に存在できる形になろうとするために余剰のエネルギーを放出すると考えて下さい。自然界に存在する原子はその殆どが安定原子であるけれども、自然界の安定元素の中にも数%の不安定な原子が含まれていますね。これを同位体存在比と言いますが、この中に僅かながら放射性の原子も混在していることがあります。自然放射線とか地球線とか言われ、一般にはバックグラウンドとして大昔から我々は共に過ごして来ています。
各々の半減期の異なるわけですか?
先ず原子核の種類により、崩壊定数 λが異なります。
放射性核種は各々異なった崩壊定数を持っています。それに従って崩壊(α崩壊でも、β崩壊でも良い)するのですね。基本はこういうことです。
素粒子の構造が解明できれば原子炉のコントロールは可能かとのご質問ですが
人に放射能をコントロールすると言うことは困難で有ろうと考えます。放射能を持つ元素はそれが安定になろうと余剰エネルギーを核外に色々な形で放射線を放出しているのですが、その放出を核外から何らかの方策を用いて止める、即ち非放射性にすると言うことは中々困難ではないでしょうか。先ず、TDSの基本からと考えています。しかし、我々が放射性同位元素を用いて何らかの行為を行おうとすれば、必ず放射線によるリスクがついて回ります。放射能の恩恵に預かろうとすれば、リスクを何が何でも最小にするようにしなければなりませんね。
放射線技師さんとのことで、物理屋の私も心強く思っています。テンメイ氏のブログをも拝見させて頂いております。テンメイ氏のブログ欄をお借りして拙い私見を申し上げました。sacraさんもどうか頑張ってください。私も何らかのお手伝いが出来ればと考えてはおりますが・・・・。失礼しました。
投稿: 窓際の物理屋 | 2011年9月23日 (金) 22時00分
> 窓際の物理屋さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
お名前と内容からして、ご専門の方でしょうが、
これだけの内容を書くのは大変だったでしょう。
この種の理数系の書き込みをする方の中で、これだけの
人間的な気配りを織り交ぜる方も珍しいですね。
その意味でも、トップクラスの「コメント」だと思います。
ただ、この長さと内容のお話であれば、ご自分のサイトで、
10倍前後の詳しさの「記事」を書いた方がいいとは思います。
ウチは、ごく一部を除くと、高校卒業レベルで十分
対応できる内容を心がけてるサイトです。
つまり、基本的には、普通の人を相手にしてるわけです。
多少の意欲や関心さえあれば十分という姿勢。
たとえばこの記事は、シーベルトとベクレルの違いや関係が
分からない人のための初歩的説明です。
つまり、高校1、2年の物理のレベルですね。
だから、記事を書く時、僕の手元には高校の教科書が
置かれてるし、計算も比喩も小学生レベルで行っています。
他の情報も、ネットや大新聞、つまり身近な情報源を使ってます。
別記事で微分方程式を扱う時にも、高校生の
微積の知識で理解できるように書いてますし、
セシウム牛肉の時の定積分も、高校教科書レベルでした。
窓際の物理屋さんのお話は、私はそれなりに「理解」できますが、
高級な話があちこちに挿入されています。
それは、別に構わない事ですが、それなりの筋立てで、
具体的なデータや計算と共に、それなりの方に向けて、
ご自分で情報発信すべきだと思います。
なお、内容的な応答は、あえて差し控えさせて頂きます。
管理人としては、読者の方々の参考になれば幸いです。
もちろん、私自身にとっても参考や刺激になりましたけどね。
いずれにせよ、放射線リスクを「正しく恐れる」ことが出来るよう、
今後も一人一人が出来る範囲で努力すべきでしょうね。
微力ながら、私も継続的に記事を書いて行くつもりです。。
投稿: テンメイ | 2011年9月24日 (土) 23時26分
とてもわかりやすかったです!
来年か再来年の自由研究に使わせてもらっていいですか?
投稿: フォルト | 2012年11月12日 (月) 20時29分
> フォルトさん
はじめまして。コメントどうもです。
自由研究ということは、高校生か中学生の方ですかね。
使って頂くのは嬉しいし、もちろんOKですが、
これは震災後まもない時期に書いた記事だから、
説明不足な点も色々とあります。
その後、かなり多くの記事を追加してるので、
余裕があれば、いくつか目を通してみてください。
あと、学校に提出するのなら一応、当サイトの名前、
「テンメイのRUN&BIKE」は明記して欲しいと思います。
いかにも個人サイト的な名前で、書きにくいと感じたら、
厚生省、文科省、放射線医学総合研究所とか、
もっと聞こえのいいサイトを参照してください♪
再来年もその先も、まだまだ放射能と放射線は残ります。
この国で生きる者として、お互い考え続けて行きましょう
投稿: テンメイ | 2012年11月13日 (火) 03時59分