SMAP『世界に一つだけの花』、オンリーワンという歌詞の意味ほか
(☆16年12月27日の追記: 新たにSPの記事をアップ。
『SMAP×SMAP』最終回、
スタッフとFAXのお花畑でさよなら・・「じゃないよな」♪ )
☆ ☆ ☆
RUN 12km,59分19秒,心拍測定できず
昨日(4月7日)の朝日新聞・朝刊別刷beで、大型連載「うたの旅人」が扱っ
たのは、日本人なら誰でも知ってそうな『世界に一つだけの花』だった。ここ
15年以上、芸能界のNo.1クラスをキープし続けてる大御所ジャニーズ、
SMAPの最大のヒット曲で、シングルの売上は275万枚(朝日)。ウィキペ
ディアを見ると、オリコン歴代シングルチャート9位、21世紀だけなら1位
らしい。
今日は、ランニング日誌のオマケとして、この歌詞を考察してみよう。無用
な誤解や反発を防ぐためにあらかじめ書いとくと、私は男だしファンでもな
いけど、SMAPや木村拓哉にはわりと好意的な方だと思う。キムタクその
他のドラマレビューで、冷めた見方を書くことはあるけど、『華麗』や『ロンバ
ケ』、『僕の歩く道』には好意的。SMAPの番組はたまに見て面白がってる
し、『全力坂』なんて企画は特にお気に入りだ。
ただ、この『世界に一つだけの花』(以下、『花』と略記)の歌詞は、「昨日ま
で」あまり趣味ではなかった。アンチというほど嫌いなわけじゃないし、メロ
ディーだけなら心地良い。でも、「No.1よりOnly one」という発想が根本
的に引っ掛かるし、「No.1のグループが、No.1になれなくてもいいと歌
う『花』を、No.1になれない普通の人達が喜んで、No.1ヒットに育て上げ
る」という社会的構図もどうかという気がする。一部の知識人(左派・リベラ
ル)による持ち上げ方(反戦歌、君が代の代わりの国歌扱いなど)にも共
感できなかった。
それが、昨日の朝日の記事をキッカケにして、「まあまあかな」と思えるよ
うになったのだ。相変わらず、いいとも好きとも思わないけど、これまで思っ
てたほど悪くもない歌詞かなって感じだ。ポイントはやはり「オンリーワン」
という言葉=概念の受けとめ方だろう。。
☆ ☆ ☆
恥ずかしながら私は昨日まで、『花』のサビの歌詞を、「もっともっと特別
なOnly one」だと思ってた。正しくは、「もともと・・・」。試しにGoogleの検
索オプションを使って正確に調べると、「もっともっと・・・」と書いてる記事
が約4680件ヒットするから、私以外にも勘違いしてる人は結構いるよう
だ。ひょっとすると、制作サイドでわざと誤解を狙ってる可能性もあるけど、
まあそれは単なる推測として、こだわらないことにしよう。
「僕ら」は「もともと特別な」存在だとすると、オンリーワンというのは一見、
何もしなくていいような気がしてしまう。努力も競争も避ける、非常に怠惰
で甘えた生き方の甘ったるい肯定ソング。そう解釈できなくもないけど、少
なくとも作詞家・槇原敬之としては、そんな事を言いたい訳ではなさそうだ。
朝日には、『花』の作者の「真意」として、次のように書かれてる。「自分に
植えられている種を真剣に見つめて、きちんと水をやろう。そうすれば相
手にもその種があることに気付くはず。競う相手は他人ではなくて自分自
身だ」。さらに、記者(渡部薫)がまとめた形で、「競争を否定もしないし、個
性偏重でもない」と書いてある。ちなみに記事全体の大見出しは、「『オン
リーワン』の真意」だ。
この手短な説明から考えると、自分に植えられてる種=可能性はもともと
オンリーワンだけど、それを現実に十分開花させるには、水=配慮&努
力が必要だということだろう。あくまで、自分の種をキレイな花に育て上げ
ることが一番重要。でも、その過程で、他人の種や花の価値にも気付くは
ず。作詞家としては、そうゆう事が言いたいようだ。
☆ ☆ ☆
ただ、解釈の仕方は各個人の自由だという話は当たり前として、槇原の
意図に従って考えても、別にNo.1を目指そうが他人と比べようが、ほと
んど問題ないはずだろう。
スポーツ、文化・芸術、実業その他、他人と競い合う中で、自分の種の
性質や育て方が分かることもあるだろうし、水のやり方として競争とい
うのは効率が良かったりもするのだ。逆に競争とか比較なしでは、水の
量が足りなかったり、変に甘い水をかけて種をダメにしてしまう恐れもあ
る。競争・比較には、現実的な価値や必要性があるし、人間として自然
でもあるし、面白かったりもするのだ。
そうした点を考えると、『花』の歌詞の中盤で、「比べたがる」ことや「一番
になりたがる」ことをハッキリ疑問視してる点が奇妙に感じる。比べてもい
いし、一番を狙っても取ってもいいはず。そもそも、比較や競争をしたが
ること自体も、ほとんどの人にとって、自分の種の基本性質なんだから。
それぞれオンリーワン(唯一つ)と言っても、共通の性質は多々あるから
こそ、同じ人間なのだ。そして、共通の性質の主要な1つが、他人との比
較や競争の中で自分という存在を生きていくことだろう。比較や競争とは、
種や花にとって余計なものとは限らず、水やりや花そのものかも知れな
いのだ。特に、他人との比較なくして、自分の種や花の認識は難しい。
本当は、槇原もそんな風に考えてると私は思う。ただ、世の中の現実とし
ては、競争や比較があまりに強調され過ぎてるから、それへの一時的で
表面的な対症療法として、自分自身を見つめて育てればいいんだよ、と
温かいエールを送ってみた。みんなに対しても、また、どん底を味わった
自分に対しても。そんな所が「真意」ではないだろうか。。
☆ ☆ ☆
少し視点を変えると、他人との比較や競争より自分を大切に磨こうという
考えは、仏教的なものだ。他人より、ひたすら自分。槇原がSMAPのアル
バム用に『花』を書いたのは2002年。覚せい剤で逮捕されて、執行猶予
3年の有罪判決を受けてからちょうど3年目だから、まだ執行猶予中の身
分で書いた曲かも知れない。
事件後、彼は仏教に傾倒したようで、翌年(2000年)のゴールデンウイー
クには、山梨県の日蓮宗総本山、身延山・久遠寺を訪れたそうだ。朝日
の記事「うたの旅人」での旅先も、その久遠寺。ここで、彼の姿を見た観
光客が騒ぐ中、僧侶は静かにお経を唱え、「芸能ヒット祈願」と書いたお
札をそっと渡してくれたとの事。
そんな風に、ちゃんと他者に接し、寄り添う歌を届けたい。そう考えて、年
末からアルバムを次々に発表。やがて02年に、文字通り大きな『花』が
咲いたわけだ。まあ、現実問題として、7億円の借金を返すために必死
に頑張ったという部分もあると思う。
ところで、その仏教というものが、なぜ他人との比較や競争を必要としな
いのか。そこを具体的に追求すると、悟りの境地とかいうキレイ事ではな
い。ごく一部の聖人を除けば、要するに他人から特別扱いしてもらってる
からだ。
一般人なら、生活していくために必然的に比較や競争に巻き込まれる所
だが、仏教の世界では周りからお金や物が自然に手に入る。しかも、それ
はしばしば相当な金額や量なのに、僧侶たちはそれを普通の事だと考え
てる感がある。
戒名1つ、葬式1回で数十万円~数百万円。法事で10分のお経を唱え
れば1万~数万円。一般社会ではあり得ないくらい効率のいい金儲けを
する一方で、競争より自分を見つめようとか言われても、それは前提が
違うと言いたくなるし、あまりにも浮世離れし過ぎた態度にも感じる。葬式
その他の簡素化が人々に望まれる中、今後は仏教も、比較や競争と無
縁ではいられなくなるかも知れない。
念のために言い添えると、私は数ある宗教の中では仏教に親しみを感
じてる。お寺は好きだし、お経も嫌いじゃない。ただ、現実の仏教のあり
方にはおかしな部分も少なからずあって、その奇妙さがやがて、『花』の
歌詞のやや不自然な競争否定&自分重視につながってるのだと思う。
☆ ☆ ☆
結局、普通はお寺や法事が年に数回で十分なのと同様、『花』も年に数
回程度で十分だろう。迷ってたリ、疲れてたリする時、特別な支えになる
かも知れないが、「もともと特別なオンリーワン」という甘いささやきには、
誤解や中毒の恐れもある。もともと特別であっても、それを育てることの
は大変なことだし、比較や競争を避けたままでは自分の種がダメになる
どころか、周囲の他人の種や花にも悪影響が及ぶ恐れがあるだろう。
という訳で、『花』のメロディーはもともと嫌いじゃないし、歌詞へのネガティ
ブな思いは薄らいだけど、やっぱり私にとっては、微妙な曲のままなのだ。
まあ、槇原も、わかったフリをされるより色々言われる方が嬉しいそうだか
ら、この程度書いとけば喜んでもらえるだろうと信じてる。。
P.S. 11月5日のJASRAC(日本音楽著作権協会)の発表によると、過
去30年間の著作権使用料(カラオケ、テレビ、ラジオ)の第一位は
『花』。日刊ゲンダイは6日、この10年の印税収入を10億円と見積
もってた。
☆ ☆ ☆
最後に、No.1からは程遠い市民ランナーの今夜の水やり=走りにつ
いて♪ No.1ソングの考察に時間を取られて、オンリーワンである自
分のためのランニング時間が大幅に削られてしまった (^^ゞ
僅か10kmずつだけど、金・土と走ってるし、よっぽど今日は止めようか
と思ったけど、汗という水を自分の種に与えようってことで、軽く12km
だけ走ってみた。相変わらず、両膝をかばった不自然な走りだけど、お
かげで痛みはほとんど無し。疲れもそれほどでも無くて、適度なスピー
ドで無難に走り終えて帰宅。
トータルでは1km4分57秒。心拍は高めだと思うけど、落ち込んだ体
力が少しずつ回復してるのは間違いなさそうだ♪ 明日は仕事が忙し
いから、たぶん休むと思う。
ちなみに公園の花=桜は満開に近いと思うのに、夜遅くだったからか、
花見客はごく僅か。一昨年まではもっといたと思うけど、大震災の自粛
の余韻が残って
るのかな。まあ、
流石に昼間の上
野は、大勢の人
で賑わってたと
いうお話だ。
左は、ウチの
「近所に一つだ
けの花」。夜桜のつもりだけど、たとえ他の花でも、「どれもみんなきれい」
だからOKなのだ♪
なお、今週は合
計18885字。
土日の長文で、
まずまずの量に
到達した。では、
また明日。。☆彡
往路(2.45km) 13分10秒 心拍測定できず
1周(2.14km) 10分32秒
2周 10分32秒
3周 10分23秒
4周(0.68km) 3分27秒
復路 11分16秒
計 12km 59分19秒
(計 4192文字)
(追記 74字 ; 合計 4266字)
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