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『ハーメルンの笛吹き男』と『もう一度君に、プロポーズ』第8話

ほぼ1週間遅れのアップとなるが、周回遅れになる直前に、『もう一度君に』

第8話「関連」の記事を書いとこう。内容的には、ドラマレビューとドラマ関連

記事の中間くらいだろう。ちなみにこの遅れの期間は、過去最高ではなく、

たぶん二番目の記録だと思う。大記録を達成できなくて残念だから、次にま

た狙うとしよう。コラコラ♪

    

さて、まず前置き的に書いておきたいニュースがある。もともとスポーツ系

ブログとして始まった当サイトが、ドラマレビューを書くようになったのは、亀

梨和也&山下智久『野ブタ。をプロデュース』が大きなキッカケだった。この

秀作ドラマ、視聴率的には16.9%で、6年半前としては凄く高いわけでも

ないだろうが、『もう一度君に』と同様、途中の回の視聴率がほとんど下がら

なかったドラマだ。原作ものだけど、脚本家の木皿泉という名前は、私の心

にしっかり刻みこまれた。

    

それ以来、その2人のジャニーズ・アイドルには注目して来たが、亀梨のド

ラマは視聴率的に苦戦を続けて、2年ちょっと前、『もう一度』と同じTBS・

金10ドラマ『ヤマトナデシコ七変化』では、平均8.2%。現在、低視聴率

が気にされてる『もう一度』(ここまで8.5%)とほぼ同じ数字に終わった

し、私の評価も冷めたものだった。

       

ところが、その亀梨の俳優としての評価を一変させたのが、去年の秋ドラ

『妖怪人間ベム』。平均視聴率15.6%だから、亀梨ファンと子どもを捕

まえただけじゃなく、普通の大人を大勢魅了したのだ。私も第1話終了直

後からすぐに高く評価。この時の脚本家・西田征史の名前も、心に刻み込

まれることになった。分かりやすい面白さと深み、感動などを共存させ、俳

優(亀梨・杏・鈴木福ら)の特徴も活かしてる脚本で、キャストと共に色んな

賞に輝いてる。

       

最終回の終わり方とか、前年のドラマ『怪物くん』の扱いから考えて、当時

から私は「映画化決定」と明言してたが、先日正式に映画化決定。今年の

年末、公開予定らしい。同じく日テレ・土9だった『野ブタ』から6年後のヒッ

トで、おめでとうと祝福しとこう。。☆

    

    

          ☆          ☆          ☆

一方、『もう一度君に』のファンの心に刻まれたのは、謎の脚本家・桐野世

樹の名前。第5話の9.0%、第8話の8.8%と、桐野の単独脚本の回だ

け少し視聴率が上がってるのは、偶然ではないと思う。

       

桐野の脚本は、西田征史とかとは違って地味だが、大人向けのまったりし

た味わいに富んでるし、小技を挟んで、それを回収する力もある。例えば、

赤い車、2個つながった鯛焼き、ツバメといった要素を、その場限りで出す

のではなく、しばらく後の回へとつなげて行くわけで、当たり前のように見え

て、今の連ドラ界ではわりと貴重なことだろう。

        

こうなると、既に前から登場してる、紙芝居みたいな童話朗読会、古いハト

時計(or ツバメ時計)、そして特に第4話で目立ってた「子ども」の話の回

収も期待される所だ。第9話以降のドラマが、実際にどうやって回収するの

かは読めないが、波留(竹野内豊)の義父(小野寺昭)や実母の話を考え

ても、「子ども」というテーマは大きなポイントと思われる。

   

そこで今回は、「子ども」に焦点を当てて、第7話から登場した童話とドラマ

について考えてみよう。。

    

    

          ☆          ☆          ☆

その童話、ドラマ内でのタイトルは、『ハーメルンの笛吹き男』で、6月の朗

読会のタイトルに選ばれてる。7話、8話と登場したから、当然この後も登

場するだろう。形としては、第9話で朗読して、最終回(第10話)では初回

『いばら姫』に戻るのがキレイだが、『ハーメルン』という童話の内容その

ものが「6月」と深く関わってることを考えると、最終回に読むかも知れない。

    

さて、ここまで「童話」と書いて来たが、調べてみるとこれは、古くから受け

継がれてるドイツの民間伝承で、しかも13世紀末の何らかの史実に基づ

いてるらしい。

          

ただ、それが何だったかは曖昧だし、その後のお話の変化も大きい。お

まけに、ドイツ語(現在、中世、方言)、ラテン語、英語が入り乱れてるか

ら、情報を集めて解釈するのにものすごく時間を取られた。原文もなか

なか発見できなかったし、残念ながら、定評ある阿部謹也の研究書『ハー

メルンの笛吹き男』も手元にない。日本どころか、頼みの英語や独語の

ウィキペディアでさえ、それほど当てに出来ない状況。

                

120615a

 ただし左の画像は、

 ウィキの一般公開作

 品で、ありがたく引

 用させて頂こう。ハー

 メルンの教会のステ

 ンドグラスから模写

 された、現存する最

 古の水彩画(1592,

 Augustin von 

120615b

 Moersperg)とのこと。中央下部はハーメルンの

 街の家で、右上辺りは山に連れて行かれる子供た

 ちを描いてる。左のトリミング画像で確認して頂き

 たい。わざわざ細かい説明を入れたのは、ネズミ

 の群れと間違えないように、という配慮。話のポイ

 ントは、ネズミではなく子供たちなのだ。

      

日本に伝わってる『ハーメルンの笛吹き男』は、悲惨な結末を改変して、無

難な子供向けの内容にしてることが多いようだが、話の骨格はほぼ同じだ

ろう。ハーメルンに大量発生したネズミを、突如現れた笛吹き男が集めて

退治する。ところが、街の人達が約束の報酬を払わなかったから、笛吹き

男は仕返しとして、街の子供たちを笛で連れ出してしまう。

      

この話の前半部分、つまりネズミ退治の部分は、どうも当初(16世紀半ば

くらいまで)は無かったらしい。英語のウィキでも参照文献なしで書いてるか

ら、いま一つ信頼できないが、諸々の情報を総合的に判断すると、おそらく

本当だろう。つまり、笛吹き男のターゲットはネズミではなく、もっぱら子ども

たちだったのだ。。

        

    

          ☆          ☆          ☆

その点は、例の『いばら姫』も含まれてる、19世紀初めのグリム童話でも

推測できる。日本では『ハーメルンの笛吹き男』だし、英語では『Pied Piper

of Hameln』(ハーメルンのカラフルな笛吹き)。

     

それに対して、ドイツ語版ウィキの該当項目のタイトルは、『Rattenfanger 

von Hameln』、つまり「ハーメルンのネズミ捕り男」で、これが一般的な呼

び名のようだから話はややこしいが、グリム兄弟(Bruder Grimm)の童

話のタイトルは『Die Kinder zu Hameln』(ハーメルンの子供たち)だ。

下は、有名な電子図書館グーテンベルクからのコビー&ペースト。もちろん

著作権の問題はない。

           

120615_2

    

この短い物語の終盤、補足部分を読んでも、やはり当初は子供が130人

いなくなった(or 連れ去られた)という話なのだ。1284年という日付けを一

応持ってるこの事件は当然、街の人々にとっては悲劇だろう。しかし、全く

別の見方もあるようで、物語的にも歴史的にも、子供たちの「旅立ち」とか

「新天地での挑戦」という解釈が可能だ。

      

つまり、死んだとか殺されたという話ではないから、子供たちのある場所

での不在は、別の場所での存在を意味する。時間、場所、見方を変えれ

ば、単なる哀しい話ではなく、ポジティブな内容も読み取れるのだ。。

     

     

          ☆          ☆          ☆

ここで、ドラマ『もう一度君に、プロポーズ』に戻ってみると、まずヒロイン

の可南子(和久井映見)にとって、童話『ハーメルン』とは、波留(竹野内)

への無意識の不満を表してる。つまり、彼女の本音としては、夫・波留の

協力がないので大好きな子供が不在となってるのだ。

        

更に突っ込んで考えるなら、山に連れ去られた小さくて大勢の子供たちは、

夫婦生活の無さ、あるいは少なさを表してるとも考えられるだろう。実際、

セックスレスというのは、現代の夫婦の大きな問題の一つになってるし、

性的欲望は人間にとって普遍的な核心の一つだ。

       

しかし、子どもの不在は、やがて別の状況での登場にもつながる。したがっ

て、可南子の願望的にも、ドラマの展開的にも、やがて子どもたちは出現

するだろう。それは、「もう一度君に、プロポーズ」して成功した後の、新た

な結婚生活(or 恋愛ライフ)iにおいての事だと思われる。

      

そう考えると、修理工場で波留の作業ツナギだけ青くて、妙に「カラフル」な

理由も納得できる。単にドラマの主人公だからというのではなく、民話『ハー

メルン』ではどの言語でも、笛吹き男の外見はカラフルだからだ。

      

英語「pied piper」の「pied」は、「多彩な」という意味の形容詞。そして、少

し上に掲載したグリム童話のドイツ語原文(2行目の左)で斜体字(強調表現)

となってる「Bundting」とは、古語か方言かは分からないが、英訳その他を

参照すると、どうやら「カラフルさん」といった感じのあだ名のようなのだ(す

ごく時間を取られた・・)。ちなみに普通のドイツ語なら「カラフル」は「bunt」

であって、t の前に d は入らない。

       

     

           ☆          ☆          ☆

こう考えて来ると、波留の義父が奇妙なほど波留に関わって来る理由も納

得できる。義父とは、奇妙な若々しさを持ちつつ、波留の存在場所を変え

た人間。つまり、もう一人の「カラフルさん」なのだ。このカラフルさんの最

後の仕事は、波留という子どもの存在場所を変えること。つまり、自分の元

から実母のもとへ、そして、一人暮らしから再び可南子との生活へと、妙

に饒舌(おしゃべり)な言葉という笛によって誘うことだろう。

    

更に言うなら、可南子の母(真野響子)が最初から、息子・裕樹(山本裕典)

や娘の一人立ちを勧めて来たのも理解できる。これも形式的には、子ども

の存在場所の変化だからだ。  

              

なお、波留にとっての笛とか笛吹きとは何なのか。これは微妙な所だが、

笛ではなく、子どもへの手助け的な関わりこそが本質と考えれば、気には

ならない。精神分析的には、「笛吹き」という自動詞的な表現を、「笛吹か

せ」という他動詞的な表現に変える解釈が可能だが、分かる人だけ軽く

笑ってくれれば十分だ♪

      

それでは、今お仕事中なので(コラコラ・・)、そろそろこの辺で。。☆彡

       

   

   

P.S. 阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』(ちくま学芸文庫)を読むと、16

     世紀辺りに起きたと思われる「鼠捕り男」への変化には、2つの事

     情があるようだ。まず、ハーメルンで実際に鼠の被害があったらし

     い。また、各地に鼠捕り男の類(動物被害の対策を行う者)が実在

     したようだ。。

            

      

cf. 「眠れる森の美女」ではなく「いばら姫」

                  ~『もう一度君に、プロポーズ』第1話

   いばら姫としての波留(竹野内豊)~『もう一度君に、プロポーズ』第2話

   本気になったら時間なんて関係ない~『もう一度君に、プロポーズ』第3話

   退屈な作品とはどのようなものか~『もう一度君に、プロポーズ』第4話

   『もう一度君に、プロポーズ』第5話、軽~い感想♪

   意外とマトモな25km走♪&『もう一度君に、プロポーズ』第6話

   宮沢賢治『蛙のゴム靴』と、『もう一度君に、プロポーズ』第7話

   父の死、海への旅立ち

          ~『ビーチボーイズ』と『もう一度君に、プロポーズ』第9話

   波で留まったビーチファミリー~『もう一度君に、プロポーズ』最終回

            

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   

   なぜ『もう一度君に』最終回は最低視聴率7.9%に沈んだのか

   竹野内豊主演ドラマ、視聴率の推移&『流れ星』第6話

           

                                  (計 4531文字)

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コメント

おはようございます。
俳優亀梨と評価してくださってありがとうございました。
昨日は欝絶好調で、1日中ベットの中でした。
雨の日は全くダメです。
先日の6÷2(1+2)=の記事も何度も読み返しては
頭に入ってこなくて・・・
バカなわけじゃなく心が頭についていかなくて。
薬が変わって少しふわふわしてて・・・
落ち着かないのですが、カメを褒めて下さった事には
瞬時に反応します。
嬉しいです。

投稿: みに子 | 2012年6月17日 (日) 09時15分

> みに子さん
   
こんばんは
このドラマの記事は、やっぱり竹野内ファンの読者が
多そうですが、多少の亀梨ファンも読んでそうだから、
ご挨拶のサービス文章を入れときました♪
   
で、うつ絶好調?(^^ゞ 雨でダメなら、台風だと大変でしょ
僕は、前に何度か書いた気がするけど、実は
台風だとテンション高めになるんですよ
子どもの頃、学校も仕事も休みになって、家族で
テレビの前に集まってるイメージが焼き付いてる感じ♪

昔話はさておき、「6÷2(1+2)」の記事が頭に入らない? 
数学記事の中だと、超易しいサービス問題なのに(笑)
薬が変わったって、何でだろう。
ちゃんと「自己申告」してないからですよ(^^ゞ
    
本来、亀病にクスリは要らないはず♪
亀柄の枕で、夜眠るだけで十分じゃないかな。
昼間はなるべく眠らず、寝そべる程度にしましょうネ   

投稿: テンメイ | 2012年6月19日 (火) 02時31分

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今回、言えるのはダミーというかミスリード・パートの回収と修正である。 一哉(袴田吉彦)はともかく、裕樹(山本裕典)はかなり遠くまでいっちゃったからなあ・・・連れ戻すのはかなり荒業だな。布石としては志乃(市川由衣)の妊娠かあ。可南子が妊娠しないまま終わるとなるとこちらがその手にくるかな。 とにかく、今... [続きを読む]

受信: 2012年6月15日 (金) 23時16分

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