お客様は神様か~三波春夫とスカイマーク(朝日新聞「耕論」)
RUN 12km,59分18秒,平均心拍151
昨夜は涼しかったけど雨。今夜は晴れだけど、ランニングするには蒸し暑い。
上手くいかないもんだね。マラソン大会が冬に多いのは正解だな。晴れが多
いし、暑くもない。寒さは、走れば消せるんだから。
さて、ここ最近かなりの文字数を書いてるから、今夜こそ単なるランニング
日誌にしようと思ったんだけど、昨日(9月6日)の朝日新聞・朝刊に面白い
特集記事が載ってたから、コメントしときたい。「耕論」シリーズの1つで、大
見出しは「お客様は神様か」。
何で今頃、三波春夫の名セリフに注目するのかと思ったら、6月のスカイ
マーク騒動に関する内容だった。なるほど、切り口としては面白いね。もち
ろん、ブログ運営(読者は神様か)とかテレビ番組の制作(視聴者は神様か)
とか、いろんな話と関わる広がりも含んでる。『ロンバケ』のミナミ(南=山口
智子)もちょっと思い出す所。。
☆ ☆ ☆
3/4ページで3人の論者が語ってるんだけど、先に目が行ったのは、左上
の妙なイラスト。中央に大きく三波春夫が載ってるのはいいとして、全体が
妙に暗い白黒画像。その下半分には、ニコニコ動画の書き込みコメントみ
たいに、航空会社スカイマークのサービス方針(コンセプト)の抜粋が書か
れてる。しかも、各々の文章には、消費者庁などの抗議を受けて行った、削
除と挿入の跡が示されてるのだ。
例えば、インパクトがあった荷物収納の話は、次のようになってる。挿入
は赤字で、削除はカッコ付きの青字で示しとこう。
1. お客様の荷物はお客様の責任においてご自身で収納を
お願いいたします。(客室乗務員は収納の援助をいたし
ません。) 収納が困難と思われる荷物はチェックインカ
ウンターにて事前にお預けください。
差し当たり、この項目1に限定して言うと、要するに「表現の仕方」の問題で
あって、「内容」の問題ではないと思う。シートポケットで堂々と、突き放した
否定的な文章(特に「いたしません」の箇所)を突き付けたから、一部の人が
オヤッ・・と思ったわけで、航空券予約の際に、修正後のような角の取れた
文章を示していれば、騒ぎにはならなかっただろう。
そもそも、「似たような内容」の文章は、よく読むとあちこちに書かれてるの
だ。スポーツ大会の参加申し込み、保険契約、病院、etc。「内容」的には、
「死んでもあなたの自己責任で、我々は責任取らない」とか、「細かい条件
をクリアしてる場合しか保険金は認めない」といった感じの、厳しくて否定的
ことが、丁寧かつ繊細な表現で示されてる。。
☆ ☆ ☆
で、朝日の記事では、まず三波春夫の長女、三波美夕紀が語ってた。見出
しは、「ゴマすりでない父の言葉」。聞き手は萩一晶記者(執筆者は不明)。
元々がインタビューということもあってか、あまり明確な文章ではないが、要
するに、父の言葉は誤解されてるというのが話の中心だ。「もう完全に、言
葉が独り歩きしてしまっていますね」。では、父・春夫の「真意」とは何なのか。
ポイントだけ引用してみよう。
「・・・・・・お客様イコール神様ではない。『お客様を神様のように
見立て、雑念を払って歌う』という舞台人としての強いプロ意識
を表したのがあの言葉・・・。・・・お客様へのゴマすりでも、へつ
らいの言葉でもなかった」。
しかし、お客様ではない神様の前でニコニコ笑顔を見せるだろうか♪ あの
独特の笑顔について美夕紀は、「『神様』の意味を誤解させる一因だったの
かも」と語ってるが、世間的な解釈を「誤解」と言い切るほどの違いも見当た
らない。「正解」(=正しい解釈)とも言い切れないにせよ。
お客様は神様のように立派な存在とは限らないし(美夕紀はもっと否定的
な表現も使用)、あれはあくまで舞台の素晴らしいお客様を前にした春夫
の側の意識。そう言いたいようだが、舞台というのは客と直接向き合う職
場だし、客も色々だから、サービス業全般に通じる話でもある。
また、「神前に立った時のように」振舞いたいのは、やっぱり春夫にとって、
「お客様は神様」だからだろう。そうでなければ、「マネージャー様は神様で
す」とか、「舞台さまは神殿です」でもいいはずだ♪ マイク様でも、心の内
なる神でもいい。外国人アスリートはよく神に祈るが、観客に祈ってるわけ
ではない。
他の歌手が、お客様を神様扱いするという話も聞き覚えがない(春夫をマネ
たジョークは除く♪)。フツーはせいぜい、お客様は一番大切な存在だとい
う程度。春夫は、「絶対者」という宗教的表現まで使ってるのだ。
☆ ☆ ☆
この「絶対者」という表現は、三波春夫の公式サイトで見つけた(執筆は美
夕紀)。「『お客様は神様です』について」と題するページには、朝日より詳し
い話があって、ますます単なる舞台人としてのプロ意識ではないと感じる。
自分が上手く歌うための意識というより、客が遥か上の存在なのだ。
「演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。
だからお客様は絶対者、神様なのです」。
と言っても、あの笑顔や柔らかい言葉使いを除けば、確かに客にゴマをすっ
たり、へつらったりはしてないのかも知れない。でも、それは面倒な部分を
周囲の人達がカバーしてくれてるからにすぎない。マネージャーや劇場のス
タッフ、大勢の人達が守ってくれてる大スターだからだ。
恐らく無名時代の全国巡業では、客や興行主らにペコペコ頭を下げてたは
ず。別に、だからいけないと言ってるんではなくて、それが当たり前だと言い
たいだけだ。特に、昭和の純日本的な歌手なら。。
☆ ☆ ☆
それに対して、スカイマークの場合は違ってる。あれは、大スターの心構え
ではなく、色んな客と直接、細かく向き合う、スタッフの具体的な対応の説
明なのだ。もっと限定するなら、舞台の警備員だと思えばいい。
客が大きな荷物を持ち込んで、後ろの客が迷惑してたら、注意しなければ
ならない。また、エアコンの温度が暑いとか寒いとか、各人の苦情を受け入
れるわけにもいかないのだ。
飛行機のCA(客室乗務員)にとって、「お客様を歓ばせるということは絶対
条件」ではない。朝日で、碓井真史・新潟青陵大学大学院教授も言うように、
「安全第一」。次が、なるべく予定通りに目的地に着くこと(定刻第二)。これ
ら2つは結局、客のほぼ全員が本当に求めてることでもある。
一部の客に対する接客サービスもそれなりに大切だが、それでは全体の
満足度が低くなるし、コストや料金も上がってしまう。スマイル(笑顔)は0円
に見えるが、それは一般論。ビジネスだと、スマイルの教育に金がかかるし、
十分なスマイルが出来る優秀なスタッフを集めるには、コストがかかるだろ
う。優秀な人間なら、より待遇のいい職場を選ぶのは自然だから。
☆ ☆ ☆
結局、三波春夫にとってはやっぱり「お客様は神様です」ということになる
し、客を遥か上の存在と見て謙虚に仕えるそうした姿勢は、サービス業の
心構えとして、分かりやすくて有効なもの「の一つ」だろう。ビジネスの世界
で、三波の言葉がどの程度使われてるのか知らないが、それほどおかし
い訳でもない。
ただ、時代はいまや平成。日本はパプル崩壊後、「失われた20年」どこ
ろか「失われた30年」に向かいつつある。「お客様は神様」ではなく、「客
は人間」でいいから、値段が安い方がいい。そう考える人が増えてるのだ。
もちろん、富裕層は今でも健在で、高い料金で神様扱いされるのを選ぶか
も知れない。富裕層でなくても、たまにはリッチな気分を味わいたい人だっ
ている。
結局、サービスの多様化が話の核心であって、急速で全般的な多様化の
中、過渡的なトラブルとして生じたのが3ヶ月前の騒動だ。スカイマークの
対応にも不手際があったが、それより我々自身が時代の変化を受けとめ
て行くべきだろう。
ちなみに、朝日のもう一人の論者は、「スーパーホテル」の山本梁介会長。
サービスの絞り込みなどによる安い価格やコスト・パフォーマンスが、ビジ
ネスマンに好評らしい。コスト削減のために「フロントが動かない」という、斬
新なコンセプトに満足できない客には、別のホテルを勧めるそうだ。あらか
じめ情報公開されてるのならOKだろう。
最後に、サービスで一番大切なことは、碓井教授が語ってる、「お互い」の
心遣いだと思う。コストも料金も教育も関係なしに、双方が気持ち良くなれ
る、自発的コミュニケーション。特に、客の側から、サービス提供者に対し
て、「ありがとう」、「お願いします」と声をかけること。
私が毎年、乗鞍ヒルクライムの記事でスタッフに感謝の言葉をかけてること
を書いてるのは、そうゆう理由なのだ。残念ながら実情は逆方向。レース後
の下山中、道路脇のスタッフに声をかける選手は年々減る一方。これが淋
しい現実だ。。
☆追記: 翌日、関連記事をアップ。
☆ ☆ ☆
あぁ、また書き過ぎたから、ランについては一言だけ。今夜は走る直前、ま
さかの超小型雨雲が発生。30分ほど局地的に雨が降った後に走ったから、
すごく蒸し暑く感じた。夜遅くなのに、気温27度、湿度99%!
3日ぶりだから、16kmか18kmのジョギングの予定だったのに、12kmの
ランニングに変更。まだ自転車からランに切り替えて3回目だから、1km5
分切るだけで大変だった (^^ゞ 結局、トータルでは1km4分57秒ペース。
ま、前の2回よりは遥かにマシな走りだったから、良しとしとこう。
ではまた。。☆彡
往路(2.45km) 13分18秒 129
1周(2.14km) 10分53秒 147
2周 10分25秒 155
3周 10分10秒 160
4周(0.68km) 3分19秒 161
復路 11分12秒 163
計 12km 59分18秒 心拍平均151 最大172(ゴール時)
(計 3986文字)
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