太宰治『走れメロス』軽~い感想&走るテンメイ♪
(☆14年2月11日追記: メロスがどの程度走ったか、新記事をアップ。
歩いて泳いで走ったよ♪~太宰治『走れメロス』の移動速度&距離 )
☆ ☆ ☆
鼻呼吸 RUN 21.1km,1時間43分15秒,平均心拍149
あぁ~、病的な眠気が襲って来た。。もう今日は寝よう!・・・ってわけに行か
ないのが、毎日更新ブロガーの宿命なのだ。宿命じゃないだろ! とにかく、
何か簡単にトッピングできる話を見つけて記事を書き上げないと、眠れない。
とか言いつつ、新聞の折り込みの選挙公報を読んでたりするのだ♪
とにかく、不純な動機から選んだ手軽なネタが、誰でも知ってる太宰治の短
編小説『走れメロス』。要するに、3週間前の記事で「太宰好きがハマる“破
滅”男子」ってコネタを書いた時にちょっと触れたから、思い出したわけ。もち
ろん、著作権が切れてるからネットで簡単に読めるってことも頭にあった。電
子図書館「青空文庫」なら、登録無しに無料ですぐ読めるし、ファイルの保存
さえ可能なのだ。
☆ ☆ ☆
さて、Google検索で一発でヒットする青空文庫の『走れメロス』。スクロール
さえ、さほど必要ないから、5000字くらいかなと思って、試しにWordにコピ
ペして文字数カウントしてみると、10063字もあった! ウチの一番長い記
事レベルだね。そうか。改行が少なめで、1行の字数が多いから、見た目より
長いわけね。ま、話の流れが見えてることもあって、読むのは簡単だったけど。
前にも書いたように、この物語は小学校の低学年くらいに(?)、学芸会で
使った覚えがある。国語の教科書から取って来たのか、先生が用意したの
かは覚えてない。確か、私もメロス役の生徒の1人になったんじゃないかな。
で、死に物狂いで走って、それがこのブログ、「テンメイのRUN&BIKE」に
つながってるわけだ・・・とまで書くと、ちょっと脚色してるかも♪ ま、子供の
頃から、走るのは好きだった。
ウィキペディアによると、小説の初出は1940年。太宰が亡くなったのが48
年6月13日だから、著作権の保護期間は50年後の年末、つまり98年12
月31日までだったらしい。物語の出典とか原型については、小説の最後に
「古伝説とシルレルの詩から」とだけ書かれてる。「古伝説」とはギリシャ神話
の1つで、シチリアの暴君ディオニュシオスと男2人の友情を描くもの(主人
公ピチアス=Pythiasと友人ダモン=Damon)。「シルレルの詩」とは、ドイ
ツの詩人シラー(Schiller)の『人質』という作品のようだ。
この辺りの事情をちょっと突っ込んで調べ始めると、かなり時間がかかるこ
とが分かったから、今夜の所はさらっと先に進んでおこう。とにかく、太宰の
『メロス』には題材が2つ、海外文学にあるのだ(本質は1つかも)。芥川龍之
介もそうだけど、昔はこうゆう原作を改変した小説が珍しくなかったわけか。。
☆ ☆ ☆
では、小説の内容について。以下、ネタバレにご注意あれ。と言っても、誰
でもある程度は知ってるだろう。
私が覚えてたのは、次のようなあらすじだ。悪者の王様に逆らったメロスが
捕まって、死刑宣告を受ける。メロスは友達を人質になぜか故郷へ一度帰
り、また王様の元へ走って戻る。友情に感心した王様は、友達だけでなくメ
ロスも許す──。これは合ってたけど、忘れてた部分もかなり多かった。
読み始めてすぐ気付いたのが、独特の文体。時代の制約とか、作者のクセ
と言うより、この作品向けの文体かも知れない。短くて簡単な文を単純につ
ないでるので、潜在的読者として子供を意識してるのかも。ちなみに初出は
『新潮』だから、大人向けの雑誌だ。漢字も普通に使われてるから、童話で
はない。。
☆ ☆ ☆
文体ではなく物語の方は、何気なく書いてるように見えて、流石に構成がきっ
ちり出来てる。まず、王様は次々に人を殺す悪役だけど、それは残虐な性格
だからではなく、「人を、信じる事が出来ぬ」から。「わしだって、平和を望んで
いるのだが」。この王様の設定が、最後にメロスを許して改心する流れを支え
てるわけだ。ただ、殺す人数が多過ぎるのは、ちょっと引っ掛かる。たまに殺
す厳しい王様といった程度の人物描写で十分だっただろう。
メロスは元々、父も母も無く、16歳の妹と二人暮らしの牧人。妹の結婚が間
近になったので、シラクス(=シラクサ)の市で買い物して、ついでに旧友の
セリヌンティウスに会うことにする。ちょっと笑えるのが、メロスのキャラ設定。
素晴らしい主人公かと思ったら、そうでもなくて、「政治がわからぬ」「単純な
男」。だから、王様の噂を聞いた途端に激怒、「買い物を、背負ったまま、のそ
のそ王城にはいって」、たちまち捕まってしまう。牧人はやはり、体育会系の
単純人間なのだ・・・と書くとちょっと失礼か♪
友達に相談せず、勝手に人質にする辺りもトボけてるし、それをすぐ受け入
れる友人も、シンプルで熱い体育会系た。やっぱり古今東西、万人ウケする
男のヒーローは体育会系が基本だろう。最近の日本の文芸やサブカルチャー
だけ見ると、そうでもないけど、オリンピックは必ず盛り上がるのだ。ノーベル
文学賞受賞のニュースと比べても、遥か上だろう。
そのオリンピックの華はマラソンと言われるけど、実はメロスが走った距離は
片道で十里(=約39km)だから、ほぼフルマラソンに相当。丸3日間だけ猶
予をもらって一睡もせずに急いで、初日の昼近くに村に到着。走ったとは書
いてないし相当よろめいてるから、ビギナーの初フルマラソンって感じだ。
ということは、歩きや休憩込みで7時間くらいのはずだけど、メロスは10時間
前後かかってるから、本当はおそらく仮眠したと思われる♪ あるいはヨーロッ
パの事だから、食事やティータイムが長かったとか。。
☆ ☆ ☆
初日はあわてて準備をする一方、夕方くらいにしばらく昼寝。その後、翌朝ま
で起きてて、2日目の昼までは多分、また寝たと推測する。昼から夜までは、
結婚式&宴会。その間、外は豪雨で、後の苦難を予告する象徴となってる。
3日目は未明に起きて、小降りになった雨の中を元気に走り出す。
「持ち前の呑気」さで、自分の死刑など頭の片隅に追いやったのはいいとし
て、最初の難関が豪雨で氾濫した川。これを何とか泳ぎ切った際に、衣服が
ほとんど無くなったのかも知れない。メロスが最後、裸になってしまってること
が、青春物語の1つのアクセントなのだ。
次の災難は、王様の命令で邪魔しに来たのかも知れない、山賊たち。峠を
登って疲れ切った時に登場して、なぜかメロスの命を奪おうとするものの、
メロスは3人殴り倒して、峠を駆け降りて逃げる。ところが、疲れに加えて、
午後の灼熱の太陽もあり、倒れこんでしまう。「放って置いてくれ。どうでも、
いいのだ。私は負けたのだ。だらしが無い。笑ってくれ」。そもそも、3日目の
日暮までに戻らない場合、友人は殺されるけど、メロスは助かるという甘い
約束になってる。「醜い裏切り者」のメロスは、しばらくまどろんでしまう。
そこで登場したのが、救いの女神の代わりとなる、「水の流れる音」。岩の
裂け目から湧き出る清水を飲んだメロスは、一気に立ち直り、自分に気合
を入れる。「走れ! メロス」。「犬を蹴とばし・・・沈んでゆく太陽の、十倍も
早く走った」彼は、犬に噛みつかれることもなく、ギリギリで死刑場に突入。
ここでも、細かい笑いらしきものが挿入されてる。折角、ヒーロー気分になっ
て、「メロスが帰って来た」と叫んだのに、誰も気付いてくれないのだ♪ そ
こで、磔台の友人の足にかじりついて、ようやくみんなに気付いてもらう。
☆ ☆ ☆
そして最後は、言われれば思い出す、有名なシーン。メロスが、途中で一度
生じた自分の悪い心を詫びて、セリヌンティウスに「私を殴れ」と言う。「殴っ
てくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ」。涙を浮かべるメロ
スの事情を察した友は、思い切り殴って、メロスは死んでしまう。。というパロ
ディがおそらくあるだろうけど、実際は大丈夫だった♪
セリヌンティウスも自分が一度だけ疑ったことを詫びて、殴らせる。あまりに
痛かったので、カッとなって本気の喧嘩を始める。。というパロディもおそらく
あるだろうけど、実際は二人同時に「ありがとう、友よ」と言って、抱き合って
嬉し泣き。感動した王様も言う。「おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実
とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしも仲間に入れてくれまい
か」。しかし、人殺しの王様と仲間になるつもりのなかったメロス達は、2人で
王様に蹴りを入れる。。というコントにはならず、実際は「友達申請」を受け
入れたみたいだ。「いいね」♪
そして最後。ヒーローにお決まりのご褒美が与えられる。裸のメロスに、美少
女が緋(ひ)のマントを捧げる。これを首に巻いたメロスは、夕日に向かって
スーパーマンのように飛び去る・・・わけではなく、ドギマギしたらしい。最後
の友の言葉がなかなか微笑ましいのだ。「この可愛い娘さんは、メロスの裸
を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ」。赤面した少女が、もぉーっ
と言いつつ友を殴り倒すとコントになるので、文学としてはサラッと終わるの
だ。「勇者は、ひどく赤面した」。。
結局、トータルでメロスは、3日間でフルマラソン2本走ったことになる。途中
に山もあったし、氾濫する川もあったから、体力的にはフル3本分くらいだろ
う。村への道が約10時間。市に戻る時のタイムが約12時間くらいか。心拍
数は書かれてないけど、平均心拍140弱、最大心拍180くらいと推測する♪
☆ ☆ ☆
それにしても、単純ながら、物語の基本構造がしっかりしてるね。根はそれ
ほど悪くない悪者の王様と、庶民的な正義のヒーロー&男友達。SM的な
倒錯的設定(十字架)。可愛い妹という肉親への愛、大自然の苛酷なアクシ
デント、仮面ライダーの戦闘員みたいに弱い敵が複数。そして、人間らしい
心の迷い。最後は、悪が善に屈し、友情が輝くハッピーエンドと、美女のご
褒美&微かなエロス。。
おそらく元の神話は、『メロス』の他にも色んな話の題材に使われてるんだろ
う。古代ギリシャだから男性同性愛的な結末でもおかしくないと思うけど、最
後は異性愛になってる。ひょっとすると太宰による当時の日本向け脚色かも。
しかし、懐かしいな。忘れてた部分も、読めばある程度、思い出せた。実家
で小学校当時の資料を探してみたくなったほど。流石に残ってないか。細か
いユーモアらしきものが散りばめられてるのは、新たな発見だった。小学校
だと、そうゆう部分は省略されてたか、あるいは自分が気付かなかったのか
も知れない。
次は、また別の定番のお話を読んで書こうかな。読むのも簡単、字数を稼ぐ
のも簡単だしね。アクセス数はさておき。。
P.S. 13年2月7日、急にアクセスが増えたから何事かと思ったらNHK
の朝ドラ『純と愛』で、『走れメロス』好きの「メロちゃん」って設定が
登場したらしい。スノボ選手の今井メロみたいだな♪
cf. 太宰治『人間失格』、軽~く再読♪
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
☆ ☆ ☆
予想外に時間を取られたから、走るテンメイの完走についてはごく簡単に♪
レース後、9日ぶりに16km走ったのが一昨日で、今夜は18kmにしようか
と思ったけど、走り出してみると脚の疲れはそれほどでもなかったから、ハー
フ21kmへと上方修正。単なるつなぎの走りだから、目安は1km5分ペース
の完走。「完走」と言うほどの距離じゃないけど、ノリで記事タイトルにそう付け
加えちゃったもんで (^^ゞ (追記: 恥ずかしいから「完走」は削除♪)
寒くなると、厚着になるし、身体が温まるまで時間がかかるから、どうしても序
盤は遅めになる。こうゆう時に手助けになるのが、他のランナーとのプチバト
ル。今夜は3、4人の相手と次々に争うような形になって、ペース配分は乱れ
たものの、簡単に目標を達成できた。トータルでは、1km4分54秒ペース。
ま、ちょうどいいでしょ。
明日は忙しいから、通勤ジョギングだけにしよう。それにしても、寒いね。今
夜、走ってる間の気温は4度くらいで、後半は汗が冷えたから、走ってるの
に寒く感じてしまったほど。折角、風邪気味だった体調がいつの間にか治っ
てるから、今後も気を引き締めるとしよう。ではまた。。☆彡
往路(2.45km) 13分02秒 心拍128
1周(2.14km) 10分56秒 141
2周 10分41秒 147
3周 10分23秒 152
4周 9分38秒 161
5周 10分21秒 157
6周 10分35秒 153
7周 10分12秒 156
8周(1.22km) 5分57秒 156
復路 11分31秒 151
計 21.1km 1時間43分15秒 心拍平均149(81%) 最大166(4周目)
(計 5251文字)
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