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数学甲子園2013予選のポイント、問題15の解説&解答

(☆15年9月19日の追記: 関連する最新記事をアップ。

       数学甲子園2015、全20問の問題、解き方、感想 )

 

 

          ☆          ☆          ☆

公式HPでの公開から既に18日も経ってしまってるが、数学甲子園2013

(第6回・全国数学選手権大会)の予選問題を見たので、軽い記事を1本書

いとこう。去年の数学甲子園2012と同じく、20問中に1問だけ、オヤッと

思わせる問いが入ってた。ジャンルも同じ、整数問題。

 

他の19問は、出場者なら楽勝がフツーだろうから、この1問が勝敗の分か

れ目と言うか、ハッキリ実力差が出る問題だと思う。出典は、日本数学検定

協会が9月10日に公式サイトで公開したpdfファイル。ただし、下の式は一

応、自分でWordで打ち直した。

 

  問題15 次の等式を満たす整数x、y、zの組(x,y,z)をすべて求めなさい。 

130928a_2

 

 

          ☆          ☆          ☆

左辺のx、y、zの右肩にある指数6がもし3であれば、反射的に「左辺-右辺

=0」と変形して、因数分解の公式を使ってみる所だろう。それは自然な発想

だし、その流れでこの問題を解くことも一応可能。

 

ただ、因数分解はさほど効果的ではないから、むしろ

   (相加平均)≧(相乗平均)

の関係を用いた方がスマートに解ける。元の左辺が和(足し算)、右辺が積

(掛け算)の形だから、これも自然な発想だ。

 

いずれにせよ整数問題だから、簡単な解なら見つけやすいし(例えば

(x,y,z)=(0,0,0),(1,1,1))、ある程度、範囲を絞り込めば、後は

1つ1つ数え上げながら調べることが可能になる。

 

予選は1問平均3分で答のみを書く形式だから、おそらくかなりの高校生

は、実際に0とか1といった簡単な数を代入して調べたんだろう。さほど自

分の答に自信は持てなくても、それで(たまたま)正解に到達できた人が

少なくないと思われる。

 

なお、以下の解答例は、何も参照してない私個人のものなので、もっと上

手い解答があるかも知れない。その辺りは、ネットその他にお任せしよう。。

 

 

          ☆          ☆          ☆

(解答) まず、x=0の場合、与式は、「(yの6乗)+(zの6乗)=0」となる。

     よって、y=z=0。 ∴ (x,y,z)=(0,0.0)

     y=0の場合や、z=0の場合を考えても同じ答のみが出るから、

     以下では、x、y,z、いずれも0でない場合を考える。

 

     0より大きい3つの正の整数、xの6乗、yの6乗、zの6乗に対して、

     「相加平均≧相乗平均」の関係より

     {(xの6乗)+(yの6乗)+(zの6乗)}÷3

                                      ≧ ∛ ̄(xの6乗)(yの6乗)(zの6乗)

     ∴(xの6乗)+(yの6乗)+(zの6乗) ≧ 3x²y²z²

 

     よって、与えられた方程式が成立する時、 3xyz ≧ 3x²y²z²

       ∴ xyz(xyz-1) ≦ 0

       ∴ 0 ≦ xyz ≦ 1

     x、y、zは0でない整数だから、 xyz = 1

 

  ∴ (x,y,z)=(1,1,1),(1,-1,-1),(-1,1,-1),(-1,-1,1)

     逆に(x、y、z)がこれらの時、与式は確かに成立する(左辺=右辺=3)。

 

     以上より、は次の5組ですべて。

        (x,y,z) = (0.0.0),(1,1,1),(1,-1,-1),

                 (-1,1,-1),(-1,-1,1)

 

 

          ☆          ☆          ☆

なお、最後から4行目「逆に・・・」という十分性のチェックは、論理的に必

須のものだが、もし「記述試験」なら、非常に忘れがちな減点ポイントだろう

(この予選は最後の答のみでいいから無関係)。

 

「与式が成り立つならば、(x、y、z)は・・・・・・である」と議論を進めたのだか

ら、必要条件を求めたわけで、「逆に(x,y,z)が・・・・・・ならば、与式は成り

立つ」という十分性のチェックをして、ようやく正解(=方程式成立の必要十

分条件の簡単な表現)に到達するのだ。

 

実際には、ほとんどの人は式変形で答が出た時点で終わりにするし、その

辺りの細かい話は教師でさえ省略しがちなこと。それは「教育的配慮」とし

ては、さほど間違ってない。多くの生徒にとっては、厳密な話より大まかな

話の方が有用だし、短時間で済んで、ウケもいいのだから。

 

ただ、あの十分性のチェックさえ行えば、相加・相乗平均等号成立条件

も気にせずに済むわけだ。それでは、今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

cf. 四角形の外接円の半径の求め方~数学甲子園2014予選問題13解説

 

                                   (計 1758文字)

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