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街の雨、心の涙、ビーチの水飛沫~『SUMMER NUDE』第10話

「水飛沫」を、「みずしぶき」と読むとは知らなかった。今まで「みずひまつ」と

読んでたかも♪ 何となく、紅白歌合戦を思い出すわな。そりゃ「ハナミズキ」

だろ・・・って、似てないわ!

       

という訳で、眠くて頭がボーッとしてるから、妙なハイテンションなのだ。まる

で、「夏の子供」みたいに♪ いや、香澄派の私としては、ここまで真心ブラ

ザーズの『サマーヌード』(作詞・桜井秀俊、倉持陽一)っていう1995年の

曲はスルーして来たけど、第10話が終了していよいよ最終回ともなると、

歌詞をスルーし続ける訳にもいかないだろう。

      

何しろ、この曲をイメージして作ったドラマという公式発表になってるし、山P

=山下智久が歌う主題歌も、この曲の新ヴァージョンなんだから。。

     

     

          ☆          ☆          ☆

香澄(長澤まさみ)のテーマ曲とも言うべき、フジファブリック『若者のすべ

て』(2007年)は、別れの後を歌う曲だ。「何年経っても思い出してしまう」

「僕」が、遂に彼女と再会する。思い入れのある、「最後の花火」の時期。

それが本当の最後か、あるいは再スタートかはボカしたまま、

  

   最後の最後の花火が終わったら

   僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ

   

という含蓄や広がりのある歌詞で、曲全体が終了。曲発表の2年後には、

作詞した主要メンバー・志村正彦まで「最後の最後」を迎えて伝説となった。

     

いずれにせよ、この曲が「再会」を示してるという点を、香澄は朝日(山P)に

力説してたはず。それなのに、彼女は花火の夜に再会した直後、「結婚しま

す、ごめんなさい、さようなら」宣言ですぐに再び消えたまま。電車のホーム

で待つ姿はしっかり映してるのに、電車に乗って去る姿は映さず、朝日が撮

影した香澄の大看板もあっさり消えただけ。曲の象徴としてのアンティーク・

ラジオも自然消滅。いつの間にか、ドラマは最後を迎えようとしてる。

            

ちなみに昨日、ウチには、「香澄 どうなった」という検索アクセスが入ってた

ほど♪ これだと、平成少年ブロガーといえども、特殊な大人の事情を想像

せざるを得ない。まあ、礼(長澤)&ケンゾー(山P)の『プロポーズ大作戦

続編であることを匂わせる、1対3の四角関係の構想に、元々無理があっ

ただけかも知れないけど。公式サイトのトップ写真は、最初から香澄抜き、

1対2の三角関係になってた。。

           

    

         ☆          ☆          ☆

一方、『サマーヌード』という曲には、「最後の最後の花火」という技巧的な歌

詞は無いし、「最後の花火」という言葉もかなり違う意味で使われてる。この

場合の「最後」とは、2人が「波打ち際」(ビーチ)で過ごす夜の、最後の花火

という意味であって、夏の終わりどころか、夏の始まりの象徴に近いものだ。

2人だけの熱い夏、あるいは、「真夏の夜」の夢の始まり。

       

曲全体は、「花火が消えた瞬間」、「波打ち際」で「Tシャツのままで泳ぎ出」

す所からスタート。その後、「神様にもバレない」ように、暗闇で「胸と胸 か

らまる」様子を表現してる。特徴的なのは、「君」(=女)の方だけが、「いつ

かの誰か」を思い出してるということ。「僕」の方は、それを「包む」ように受け

止めるのだ。「心のすれ違う瞬間でさえも」。

     

こうした歌詞を読んでみると、今回の第10話も含めて、ここまでの展開がよ

り良く理解できるだろう。要するに第9話までが、花火や波打ち際の「はしゃ

ぎすぎてる 夏の子供」を表してる。で、第10話から、こっそり胸と胸がから

まる局面に入ったのだ。

     

    

           ☆          ☆          ☆

それは、アパート前で待ってた波奈江(戸田恵梨香)と光(窪田正孝)の、レ

ストランに行くまでの間を考えてもそうだし、レストランから2人で帰った後も

そう。男から突然キスした後、今度は女から突然、夜道でキスすると、その

後の流れは決まってる。単に、編集でカットされるかどうかの問題なのだ♪

       

一方、コンビニに寄るとか、バレバレの可愛いウソをついた朝日は、夏希

(香里奈)と2人でこっそり、相合傘を楽しむ。ここで夏希が正直に、元カレの

ことを思い出してたと告白したのにはちょっと驚いたというか、感心したけど、

要するに『サマーヌード』の歌詞を再現してたわけだ。

          

当然、男の朝日は、「心のすれ違う瞬間でさえも包む」ように受け止める。

その様子を眺めてるのは、「灯台のピンスポットライト」の代わりの街灯だけ

なのだ。撮影スタッフと、心眼で見抜く視聴者は別として♪ あっ、「ついて

くるお月様」も、夜空で微笑みながら見守ってるのかも。雨雲を透かし見す

るようにして。。

        

    

         ☆          ☆          ☆

主題歌の歌詞との対応はこれで一応、終わってるけど、フジ月9的には、何

か最終回辺りで軽い波乱を描いて、更にハッピーエンドに持ち込むことにな

る。その辺りは既に、公式サイトの予告に書いてあるから、もう来週の放送

は見なくてもいいだろう。コラコラ♪    

     

後は、カメラマンとして再び成長し始めた朝日が、「全てを見届け」、「フィル

ムに焼」けばいいのだ。フィルムの代わりに、メモリーカードでもOK。エンディ

ングか、その少し前には、渋谷のスクランブル交差点に掲げられた夏希の

写真の大看板か、あるいは花婿が写した花嫁・夏希のウエディング・ドレス

姿の写真か。。

  

   

          ☆          ☆          ☆

いずれにせよ、優しくて飛び抜けた存在である「美青年」が、女性を素敵な

ヒロインにして終了。こうした、型にハマった甘いシンデレラ物語こそ、月9

に限らず、恋愛ドラマの女性視聴者が永遠に求め続けるものなんだろう。

        

脚本訂正後の『ロンバケ』、『ブザービート』、『はつ恋』、『リッチマン』、『ラス

ト・シンデレラ』・・・etc。世界的ベストセラーとなった、女性作家によるSM

小説『フィフティ・シェイズ』にしても同様。

   

ただし、現在の世間一般では、つまり視聴率的には、もっと強力な物語の

型が存在するのだ。「勧善懲悪」と「事件解決」。『半沢直樹』、『家政婦の

ミタ』を始めとして、『ガリレオ』も含めた事件もの、刑事ものはすべてそう。

コード・ブルー』も含めて、医療ものの多くもそうだろう。要するにこれらは、

視聴者の心に溜まったものを吐き出して浄化する、カタルシスだ。何なら、

カタルシス療法と呼ぶことも可能かも。

      

こうしてみると、同じ「美青年」ドラマと言うか、山Pドラマでも、『野ブタ。を

プロデュース』が独自の魅力を放ってるのが分かるだろう。元々、原作小説

が暗い物語だし、少なくとも彰=山Pは、W主演にも関わらずヒーローとは

程遠いキャラだった。まあ、実は「ヒロイン」だったのかも知れないけど♪

   

そう解釈するなら、愛の逃避行による、型通りのハッピーエンドってことか。

実は野ブタ=堀北がおジャマな役だったと考えると、その後の『クロサギ

で氷柱(つらら=堀北)に冷たい風が吹いてたことも理解できる気がする。

ある種の趣味をお持ちの方々なら、「今さら、そんな当たり前の事を・・・」と

思う所かも(笑)。いや、男にとっては縁遠い世界なもんで。。

      

      

         ☆            ☆           ☆

では、この辺で・・・と書くと、記事タイトルの意味が無くなるね♪ 今回、制

作サイドとしてはもちろん、「雨」というものを中心に押し出してたわけだ。そ

れは、冒頭の朝日のモノローグ(独白)でもそうだし、公式Facebook「みさ

きちゃん通信」にもそう書かれてる。

   

と言うより、ドラマを見るだけで明らかであって、スタッフさんが一生懸命ま

いた水道水・・・じゃなくて、突然降り出した「街の雨」とは、直接的には2つ

の比喩になってたのだ。波奈江の涙と、夏希の心にひそむ元カレへの複雑

な思い。どちらも、「心の涙」という点では同じと言える。

      

波奈江の場合、ずっと大好きだった朝日が夏希のもとへ向かうのをじっと

見届けた後、自分は光のもとへ向かう。悲しいとか、嬉しいと言うより、心の

中の色んな想いが絡まって、目から溢れ出したわけだ。もちろん、朝日との

出会い、雨と傘の思い出も含めてのこと。自分から「フった」からと言って、

そう簡単に割り切れるもんじゃない。光にとっても同様で、私が彼なら、この

夜はワイルドに「攻める=責める」かも。結果的にますます上手くいくのだ♪

         

夏希の場合はもっと直接的に、朝日との現在が、元カレとの過去と重なっ

てる。雨の夜、優しく迎えに来てくれて、2人仲良く相合傘。。口に出すかど

うか、口に出すべきかどうかはともかく、思い出すのは自然なことだろう。ド

ラマ全体を通じて、元カレと雨と傘というのは結びつけられて来たから(スマ

ホのメールの絵文字)、流れ的にも自然だ。 

       

    

          ☆          ☆          ☆   

さらに大きく見るなら、何度も書いて来たように、「水」あるいは「美しく透明

な流れ」という物は、『プロポーズ大作戦』第1話から一貫してる素材。スプ

リンクラーとヤカンから始まる、水が主役の物語という解釈も可能になる。

             

ドラマというのは、特定の人間を表面的な主人公として作った作品がほと

んどだけど、例えば中国の山水画なら、大自然が主人公で、人間は小さく

描かれた脇役。何なら、日本の浮世絵、西洋の静物画を思い出してもいい。

        

130911

 左は葛飾北斎の「富嶽

 三十六景」の1枚、「武

 州玉川」。富士山と多摩

 川が主役であって、人・

 舟・馬はアクセントになっ

 てる。ウィキメディアで公

 開されてるパブリックドメ

 イン(公的所有)の絵画。

         

 この観点で『サマー』を振り

返ると、「陽」の水として、「ビーチの水飛沫」(波打ち際、水鉄砲、水ロケット)

が強調された後、「陰」の水として、「街の雨」や「心の涙」が描かれたことに

なる。そうなると、陰・陽のリズム的には、最後に再び、「陽」の水が来るは

ず。陽、陰、そして陽。たとえば、お日柄の良い大安吉日、教会の噴水のそ

ばで、純白の花嫁の瞳からこぼれる嬉し涙とか。

    

もちろん、『サマー』の元になってる作品の一つ、『ビーチボーイズ』も、プー

ルの水飛沫から南の島の海に至る、壮大な水の物語と読み直すことも可

能だろう。心地良く響いてた、民宿のウインドチャイムも含めれば、水、風、

音、「美しく透明な流れのシンフォニー」なのだ

    

エッ? 美青年の恋物語しか目に入らない? あっ、そう♪ 親戚の女の子

(小学生)にキレイな景色を見せたら、「景色なんて、どうでもイイ!」と怒られ

たのを思い出すね (^^ゞ それに対して、クマ牧場は大好評、人気女優がデ

ザインした可愛いTシャツや、ジャニーズは大好き。ある意味、いい社会勉強

をさせて頂いたのだった。。

    

       

           ☆          ☆          ☆ 

最後に、完全な脇役(失礼♪)にも目を向けると、今回、『あまちゃん』の「前

髪クネ男」としても有名になった、孝至(勝地涼)がちょっと持ち上げられてた

ね。ひょっとして、『ロンバケ』の桃ちゃんみたいになってた、あおい(山本美

月)と急接近するのか。

      

で、あおい&孝至、夏希&朝日、波奈江&光、清子(橋本奈々未)&春夫

(千葉雄大)、4組同時にゴールインの激甘エンディングとか♪ もちろん披

露宴で歌うのは、エステー・消臭力CMの妙な男女ユニットだろう(笑)。

        

ちなみに清子&春夫の妙なシーンのロケ地は、私のお気に入りでもある、

100505a

 潮風公園。フジテ

 レビやお台場のす

 ぐ西側に隣接する、

 都会のオアシスだ。

 このシンボルは「夕

 陽の塔」という名

 前で日時計らしい。

       

という訳で、最終回の人間の物語はほとんど決定してるから、水・風・光の

流れに注目しよう。まぶしい光がちょっと「霞ん」でるシーンがあったら、それ

が「香澄」の象徴表現ってことで♪ ブーケの「香」りや「澄」みきった青空も、

実は「香澄」なのだ。長い水の流れも、長い澤だから、香澄の化身と言える

(笑)。もはや、超越的な存在。これこそ、当初から香澄に与えられてたポジ

ションだろう。

     

とか言いつつ、最後に香澄がテーマ曲と共に登場するのを待ち構えてたり

する。「ないかな ないよな きっとね いないよな」 ♫ 果たして、結末や如

何に。。それでは、今日はこの辺で。。☆彡

   

    

     

cf. 水・風・指輪、再びきらめくケンゾー♪~『SUMMER NUDE』第1話

   若者のすべて、最後の花火(HANABI)~『SUMMER NUDE』第2話

   幻想的な装置としての写真・看板・海~『SUMMER NUDE』第3話

   水ロケットの向こう側まで跳躍する視線~『SUMMER NUDE』第4話

   帰ろうとするイルカ~『SUMMER NUDE』第5話

   第二幕、香澄vs夏希の始まりか~『SUMMER NUDE』第6話

   朝日の送別会、夏希の結婚写真~『SUMMER NUDE』第7話

   どこでもある、どこでもドア(奇跡の扉)~『SUMMER NUDE』第8話

   そこしか無い、電車のドア(現実の扉)~『SUMMER NUDE』第9話

   この夏、裸になったもの~『SUMMER NUDE』最終回

              

                                    (計 5100文字)

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恋愛のび太かっ。 結局、おめかしのファスナーをあげるドラえもんと海苔屋のドラえもんが恋愛モードをあげまくるのである。 蒼穹のファスナーあげ子さんか、縁結びの世話やきノリ男くんかよっ。 お前が・・・意味不明になってるぞ。 それにしても・・・挿入される春夫(千葉雄大)と清子(橋本奈々未)のコントのような... [続きを読む]

受信: 2013年9月11日 (水) 14時36分

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