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『明日、ママがいない』第1話、有料動画で見た感想

テレビ番組の「有料」動画を見たのは、これが初めてだ。滅多にないほどの

話題になってる、賛否両論真っ二つのドラマ、『明日、ママがいない』。先日、

第2話を見た感想は既にアップしてあるが、放送中止を求める声が出たの

は第1話の直後だし、第2話はやや穏やかな内容だったという情報もある。

     

そこで仕方無く、日テレ・オンデマンドを使ってみた。メールアドレス入力、会

員登録、クレジットカードによるポイント購入。普通のテレビと違って、ずいぶ

ん面倒だし、315円もの投資になったが、これまた見て良かったと思った♪

初回は20分延長だし、コスト・パフォーマンス的にも高いと思う。レンタルD

VDと比較しても、発売を待たずにPCで手軽に見れるから、有用だろう。

   

気になった点と言えば、終盤に映像だけ数回停止したこと。音声は途切れな

かったし、映像もすぐ回復したけど、有料なんだから、もう少し配信を安定さ

せて欲しいと思う。初めての経験だから、こちらの通信環境のせいではない。

     

    

          ☆          ☆          ☆

さて、今回も先に個人的な「結論」を書こう。児童養護施設と直接の関係を

持ってないし、情報も持ってない単なるドラマ好きのブロガーとして、第2話

の後から第1話を見た感想は、2話と同様。「ほとんど問題を感じない」作品

で、十分満足できた♪

         

重い社会的問題を扱ってはいるものの、明らかに娯楽作品、コメディとして

作られてる。慈恵病院の行動が無ければ、ここまで大きい騒動にはならな

かったのではないか。

     

そもそも騒動が起きるまで、私はこのドラマに関心が無かったし、日テレの

水曜22時枠というのは女性向けだから、ほとんど見たことが無い。去年の

夏の『Woman』は、評判の高さにつられて1度チェック。確かに良かったが、

あの時の女の子が、『明日、ママ』のドンキ(鈴木梨央)だとは気付かなかっ

た。私は一度も見てないけど、3年半前の『Mother』には、『明日』の主役

である「ポスト」、芦田愛菜も出てたらしい。

   

ただし、前の2作が芸術的で正統派の坂元裕二の脚本であるのに対して、

今回は脚本監修が野島伸司。極端な表現や展開を好む作家だし、脚本の

書き換えにも応じず、対象の取材もあまりしないという噂だ。坂元らとの比

較で、余計マイナス評価が強まった可能性はある。

    

調べてみると、プロデューサーも変わってるようだ。演出は、『明日』の担当

3人のうち1人(長沼誠)が『Mother』と一応かぶってるが、『明日』の1話と

2話の担当は猪股隆一であって、前2作とは違ってる。

    

    

          ☆          ☆          ☆

では、第1話の内容について。この作品を理解する上で最も大切なことは、

社会派の「コメディ」だという点だろう。

            

それは不真面目という意味ではなく、重い話題を笑いで和らげてるというこ

とだ。別の次元で言うなら、ドラマの物語の中でも、子供たちが重い状況を

笑い飛ばしてた。「21世紀で一番泣けるドラマ」と言うより、「今期で一番ク

スッとできるドラマ」といった感じだろう。

       

ここで思い出すのが、先週行われた大学入試センター試験の国語の問題。

当サイトの記事でもレビューしたように、第2問の小説(岡本かの子『快走』)

には、最初から最後まで、笑い声が溢れてた。それは、戦争の足音も遠くか

ら聞こえて来た昭和初期の生活の重さ、とりわけ女性への重圧を、一気に

吹き飛ばすものとして描かれていたのだ。 

           

話を『明日』に戻すと、第1話の序盤から、半ばコメディになってる。後に「ド

ンキ」とあだ名を付けられる真希(鈴木)のママ(酒井美紀)が、鈍器で恋人

を殴り、警察に連行された後、深夜の大雨の中、杖をついた施設長・佐々木

(三上博史)が車で到着。このお迎えシーンの効果音や稲光、映し方などが

非常に大げさで、社会派ドラマなのにいきなり「B級」サスペンスなのだ♪

    

これは「チープ」という話とはちょっと違う。チープとは、良く見せようとしてる

のに安っぽい(cheap)ことだが、「B級」はわざと安っぽく作って面白さや滑

稽さを狙ったもの。

            

その意味で、私は最初からすぐ頬が緩んだし、その後の施設「コガモの家」

の描き方など、バラエティ番組のコントに近かった。施設はお化け屋敷のよ

うに映されてたし、ナイフを持ったロッカー(三浦翔平)や眼帯をしたオツボネ

(大後寿々花)はお化けそのものだ。

    

    

         ☆          ☆          ☆

だからと言って、ドラマの中の施設が本当にお化け屋敷になってる訳では

ないし、ましてや実在の養護施設を歪めて伝えてる訳では全くない。 

   

B級の極端な誇張は、子ども目線での心象風景でもある。「明日、ママがい

ない」どころか、「今夜、ママがいなくなった」幼い真希にとっては、全てがお

化け屋敷のように見えても不思議はない。衝撃、不安、緊張で、ちょっとだけ

怖い施設長も「魔王」に見えてしまうし、ちょっとだけ冷たい児童相談所の美

人職員・叶(かない:木村文乃)も「アイス・ドール」、氷のお人形に見えてしま

うわけだ。

      

ここで、一番批判を受けてる魔王=施設長について考えてみよう。朝ご飯の

前に、いきなり子供たちを「犬」扱いして、「泣け」と命じる。捨て犬だから、泣

くことで飼い主(里親、養子縁組の親)の庇護欲をかき立てろというのだ。

   

特に関係者にとっては、全く事実と異なる過激で醜悪な描き方のように見え

ることもあるようだが、他のドラマで出て来る数々の悪役と比べた時、私には

むしろかなり甘い部類、十分「いい人」に見えてしまう。「かわいい人」とも見

れる。

        

と言うのも、朝のお説教は結局それほど長くなかったし、ポスト=芦田が抜

群の泣き真似をしてみせると、すぐにOKしてしまった。おまけに、冷蔵庫や

キッチンの飲食物は好き放題に食べられるようだし、夜もお菓子付きで自由

に楽しんでからだ。

         

ある意味、施設に入ってない子より恵まれてるわけで、あれなら、たとえ朝

ご飯抜きでも少しも困らない。もちろん、実際はちゃんと朝ご飯も食べること

が出来て、しかも美味しいのだ。お風呂も入れるし、オシャレも楽しめる。妄

想の世界に浸って楽しむ自由もある♪

      

施設長は足が不自由だし、複雑な過去を背負って孤独に生きてる人間だか

ら、要するに「男のポスト」みたいなものだろう。女のポスト=芦田と同様、辛

い状況の中で何とかリーダーシップを保ってるだけの、哀しく弱い存在。だか

らこそ、2人はまるで対等の立場のように、にらみ合うわけだ。あれは対立を

示すポーズと言うより、むしろリーダー同士の強い連帯と信頼を示してる。実

際、2人とも子供っぽさを見せつつ、しっかりと自分の役割を果たしてた。

  

ポストが落としたお菓子を拾わないという、厳しくて潔い姿勢も見落とすこと

は出来ない。つまり、それこそが「犬」との違いであり、「人間」の誇り、プライ

ドだからだ。。

       

     

          ☆          ☆          ☆

初回を見て、一番納得したのは、あだ名に関する背景。「ポスト」という名前

は、赤ちゃんポスト出身であることを誰かがからかって付けたのではなく、本

人が自分から引き受けてたのだ。母親との唯一の絆である、実の名前と決

別するために(ドキュン的な可愛さらしい・・笑)。つまり、親とか大人になるべ

く依存せず、与えられた運命の中で自らたくましく生きて行くために。自分か

らポストと名乗ってしまえば、他人にからかわれる不愉快さも軽減できる。

   

だから結局、真希も自ら「ドンキ」=鈍器と名乗ったのだ。子どもを捨ててま

で若い男とイチャイチャする、どうしようもない母親=「女」と決別するために。

そんな母親に執着してしまう自分の思いと決別するために。

            

もちろん、そこには当然、かなりの無理があるわけで、自宅のアパートから

帰る途中、ドンキはいきなり号泣することになる。しかし、子どもは泣くのも仕

事の内♪ ママのコロン(香水:Michelle&Lucieのオードトワレか)の瓶を

投げつけて、ママと若い男が楽しむ部屋の窓ガラスを割るシーンは爽快だっ

た。施設に対して差別的な「おばさん」達の自転車を倒したり、子供じみた可

愛い行為で軽くウサ晴らしをする。これでいいのだ。子供だから、社会的にも

許されるだろう。。

      

    

          ☆          ☆          ☆

他に、エピソードや伏線がちゃんとつながってる点も良かったと思う。例えば、

第2話で目立ってたパチ(五十嵐陽向)のシャンプーボトルは、1話のドンキ

のコロンとの対比になってた。やや年上のドンキは捨てたが、幼いパチはま

だ肌身離さず抱き締めてしまう。2話で活躍したハンサム君も、1話で既に

意味ありげに登場してた。施設長がこだわる弁当屋の女(鈴木砂羽)も同様。

   

あと、このドラマ全体をコミカルに味付けしてるのが、明るい音楽(羽毛田丈

史)。重く暗い音楽とのコントラスト(対比)をつけつつ、あくまで明るい方をメ

インにしてある。悲惨で残酷なドラマではないことは、そこからも明らかで、音

楽の軽やかさなら子供の視聴者でもすぐ感じ取れるはずだ。

    

なお、来週の第3話では、エバラ、エネオス、キューピーに加えて、日清食品

と富士重工業(スバル)もCMを見合わせるとのこと。日テレや制作サイドとし

てはますます苦しくなったが、キャストと共に力を合わせて乗り切って欲しい

と思う。芸能人の中からも、ナインティナイン・岡村隆史らの肯定的評価が出

て来たし、私も陰ながら、応援し続けるつもりだ。放送が続く限りは。。

   

ちなみに、芦田愛菜の抜群の演技力や鈴木梨央のせいで目立たないが、

脇役のボンビ(渡邉このみ)のおバカな妄想も、ゆる~いお笑いでお気に入

りだ♪ 実はあのコが、一番可愛いかも。

    

それでは、今日はこの辺で。。☆彡

   

    

P.S. 27日、残ってたスポンサー3社(花王、三菱地所、小林製薬)も、

     CMを見合わせることを発表。すると翌28日、高須クリニックの院

     長・高須克弥氏がCM提供に名乗りを上げた。ただし、院長のツイッ

     ターによると、これまでのスポンサーとの関係もあるので、まだ交渉

     中らしい。この件については、別記事をアップした(下記リンク)。

        

          

cf. 『明日、ママがいない』、第2話だけ見た短い感想

   『明日、ママがいない』、慈恵病院HPの見解&第3話

   フィクションの価値を示した日テレ~『明日、ママがいない』第4話

   『明日、ママがいない』第5話&日テレ番組審議委員会、軽~い感想

   『明日、ママがいない』第6話、つぶやき的な感想♪

   『明日、ママがいない』第7話、つぶやき的な感想♪

   『明日、ママがいない』第8話、一口つぶやきの感想

   芦田、パパがいる♪~『明日、ママがいない』最終回

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   がんばる人たちを応援したいだけ

     ~高須クリニック院長、『明日、ママがいない』CMに名乗り

             

                                 (計 4301文字)

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コメント

こんにちは~

有料動画の感想まで、素晴らしい(笑)

>キャストと共に力を合わせて乗り切って欲しいと思う。
(^^)(--)(^^)(--)ウンウン
土下座させてやる。。。倍返しだー

投稿: mana | 2014年1月25日 (土) 10時22分

> nama さん
  
・・・と書いても、言わなきゃ
綴りに気付かないわけね♪
ま、こないだネットを見てたら、
人妻は nama が好きだと書いてたけど
ともあれ、どうもどうも。
       
いやぁ、わざわざ315円も使って明け方まで
頑張って書いたのに、初日の入りは大ハズレ (^^ゞ
こうなったら、最後まで書いてやろうかな。
倍返しだー
いや、倍にしてもサッパリのアクセス数だけど
20倍返しだーー☆
    
しかし、これだけ話題になっても視聴率が
上がらなかったってことは、やっぱ
初回の印象が良くなかったんですかね。
『Mother』や『Woman』と違って、
女性が感情移入できる主要キャラもいないし。
    
それにしても慈恵病院。自分達が赤ちゃんポストを
始めた時にさんざん批判されたはずなのに、
どうして激しく批判する側に立つんですかね。
新しい試みに対しては、しばらく様子を見る
その事の大切さはよく分かってると思うのに。。
   
とりあえず日用品は小林製薬と花王を買おう♪ 寒っ!
不動産なら三菱地所、女優なら木村文乃 ♡
  
ではマタ。。

投稿: テンメイ | 2014年1月26日 (日) 03時58分

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まあ・・・魔王こと佐々木友則(三上博史)のキャスティングの段階で気がつくべきだよな。 さて・・・冬ドラマの正体も明らかになってきて・・・少し・・・調整が必要になってきた。 (日)「軍師官兵衛」を(月)に回すかもしれない。 (月)未定 (火)未定 (水)「明日、ママがいない」 (木)「僕がいた時間」 ... [続きを読む]

受信: 2014年1月26日 (日) 04時13分

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