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がんばる人たちを応援したいだけ~高須クリニック院長、『明日、ママがいない』CMに名乗り

今夜はまだ仕事に追われてるので、時事ネタで軽く書いて終わりにしよう。

     

初回の放映直後から、関係者によって放送中止要請が出された日テレのド

ラマ、『明日、ママがいない』。スポンサー8社の内、残ってた3社(三菱地所・

花王、小林製薬)も昨日(27日)、第3話からCMを見合わせると発表。これ

に対して日テレの大久保社長は、全9話をそのまま予定通り放送するとコメ

ントした。最後まで見てもらえれば理解してもらえる、という態度だ。

   

このままだと、明日(29日)の放送では、CMがACジャパンの公共CMだけ

になってしまう。聞いたこともない異様な事態で、東日本大震災直後のテレ

ビを思い出す所。あの時は、出演者に対するものも含めて、ACジャパンの

CMへの苦情もかなり出たわけだ。

        

この状況で突如、助っ人として登場したのが、美容整形でお馴染みの高須

クリニック院長・高須克弥氏。28日の日中にツイッターで突然、つぶやいた。

「『僕が今からスポンサーになるからしっかりやってくれ』といま日テレと電通

に連絡したぜ。今夜のオンエアに間に合うといいな♪なう」。

   

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         ☆          ☆          ☆

このツイート、『明日、ママ』の中止に反対する立場にとっては、まさに天の

助けだが、いきなりオンエアの曜日を間違えてる辺りがビミョーではある♪

直ちにツイッター上で指摘があって、訂正ツイートを出してた。

       

ここから考えても、高須氏がドラマを見た上でサポートを表明したのかどうか

がハッキリしない。そもそも、ドラマの内容についての話が見当たらないのだ。

代わりにあるのは、「僕はがんばる人たちを応援したいだけ・・・全部買うよ」

という心情的ツイート。

    

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ちなみに全部買うと1話いくらなのか分からないが、制作費が3000~4000

万だろうから、少なくとも数千万円の広告費だろう。第3話から最終話(第9話)

まで7本買うと、少なくとも1億円以上の巨額出費となるはずだ。

        

       

(☆翌日昼の追記: 午前のツイートによると、「大人の事情で難航。多分来週

             から」とのこと。)

         

(☆翌日の晩の追記: デイリースポーツHPによると、「高須氏は以前からボ

               ランティアで児童養護施設を支援しており、施設に光

               を当てた同ドラマに放送当初から『いい番組ができた

               な』と共感したという」、とのこと。また、CM買取額は              

               大体2~3億円らしい。)

    

    

           ☆          ☆          ☆    

私自身は第2話第1話の順に見て、それぞれ3500字、4000字レベルの

記事をアップ。一般視聴者の立場で、ほとんど問題を感じないフツーのドラ

マだったので、放映中止はもちろん、全社CM見合わせという(苦渋の?)決

断にもあまり賛成できない(企業のリスク管理として理解はできるが・・)。

      

だから、高須氏の英断には拍手したいけど、やっぱりどうせなら、ドラマを

見た感想を添えて頂きたかったと思う。別に褒める必要はないわけで、「そ

んなに悪くはない」といった程度の一言でも十分なのだ。

      

「がんばる人たちを応援したい」というメッセージは一見、シンプルで分かりや

すく感じるけど、考えてみると、中止要請を出した慈恵病院の方々も、抗議し

た養護施設・里親団体なども、十分に「がんばる人たち」だろう。だから、この

論争は「がんばる人たち」同士の闘いであって、がんばるか否かでは支援の

理由になってない。

       

要するに、日テレ側・制作サイドは「がんばりを大きく誤解・否定されてる人た

ち」であって、そこが抗議する側との違いだ。そして、慈恵病院もかつては赤

ちゃんポストの運営のがんばりを誤解・否定されて苦労したはずなのに、今

は誤解・否定する側の代表となってる辺りが、非常に残念な所だと思う。。

       

    

          ☆          ☆          ☆

見方を広げると、これは表現の自由の問題でもあるし、「器」の問題、あるい

は共生とか多様性尊重の問題でもある。

   

たまたま今日の朝日新聞・夕刊社会面に、いい話が大きく掲載されてたから

紹介しとこう。見出しは、「おめは敵だがら、潰すわげにはいがね」。東北・秋

田県での心なごむエピソードだ。

   

ジャーナリスト・むのたけじ氏(99歳)は、戦時報道の責任をとって朝日新聞

を1945年に退社した後、地元・秋田で小さな週刊新聞「たいまつ」を創刊。

反戦・平和を前面に出す、左派の活動を続けて、63年には『たいまつ十六

年』という著作を出版した。

     

すると、対抗勢力とも言うべき、地元の保守の有力者たちが、なぜか出版祝

賀会を開いてくれた。なぜなのか、中心となった3人にたずねると、こんな感じ

の答えが返って来たそうだ。

  

  「『たいまつ』は、おらだちの敵だ。敵だがら、つぶすわげにはいがねのだ」。

   

   

          ☆          ☆          ☆

むの氏はこの言葉の重さを50年間かみしめた後、ようやく昨年の著書『99

歳 一日一言』(岩波新書)で語ったそうだ。私にも大きく頷ける話だった。

   

もちろん、世の中には直ちに「つぶす」べき敵もあるだろうが、それは本当にご

く一部のはず。敵を知り、語り合うことは、自分を知り、高めることにもつなが

る。また、そもそも世界は「敵」だらけであって、敵同士が共に生きることを考

えるしかない。そこでは、妥協や尊重=リスペクトが必然なのだ。

    

ドラマに反対するにせよ、そのやり方には色々あるわけだし、「敵」をつぶす

ことの重さというものを考慮して欲しいと思う。相手は決して自分たちを「敵」

視してないという点を理解するだけでも、行動や態度は変わるはずだ。敵視

に見えるものは、単なるドラマ的誇張や健全な遊び心にすぎない。

        

ともあれ、高須クリニック院長の英断が、「敵」をつぶさない方向に作用する

のは間違いないわけで、その意味では素晴らしいと思ってる。

それでは、今夜はこの辺で。。☆彡

            

                                 (計 2319文字)

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