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嵐・櫻井翔が主人公の小説、『フェニックスのリア王』(by平野啓一郎)

(☆1月15日&2月5日&2月18日&3月28日追記: 続編記事を4本アップ。

  嵐・二宮和也が主人公の小説、『Eの874』(by伊坂幸太郎)

  嵐・松潤が主人公の小説、『僕たちは、抱きあったことさえ』(by川上未映子)

  嵐・相葉雅紀が主人公の小説、『僕は駿馬』(by山崎ナオコーラ)

  嵐・大野智が主人公の小説、『追跡者』(by阿部和重) )

         

      

          ☆          ☆          ☆

7日遅れで「嵐」関連の記事なんて書いても、検索アクセスは少ないだろう

し、ウチの常連読者さんにもスルーされそうな気がする(笑)。まあでも、私

が面白かったし、ローテーション的に文学系の話を書きたい気持ちもあるか

ら、サラッと短めに書いてしまおう。

    

朝日新聞の元日特番の一つに、嵐の5人をそれぞれ描いたショート・ストー

リー(短編小説)が載ってたのだ。作家の方も、気鋭の人気者5人を揃えた

企画で、単なる新聞記事としては気合が入り過ぎだなと思ったら、やっぱり

広告特集だった(笑)。要するに、1ページずつ嵐の1人に割り振って、上側

の3分の2が小説、下側の3分の1がメンバーそれぞれを起用した広告なの

だ。他に、グループ5人全員が登場する広告も付いてる。

     

メンバーと作家の組合せと小説タイトルは次の通り(掲載順)。

            

   二宮和也&伊坂幸太郎、『Eの874』 (「いい、はなし」というダジャレ♪)

   櫻井翔&平野啓一郎、『フェニックスのリア王』

   松本潤&川上未映子、『僕たちは、抱きあったことさえ』

   相葉雅紀&山崎ナオコーラ、『僕は駿馬』

   大野智&阿部和重、『追跡者』

           

ちなみに、最初の二宮の小説では本物の嵐(激しい風雨)が出現。最後の大

野の小説では、本物の嵐に加えて、災害調査チーム「嵐」も登場。全5編を通

じた構成もきっちり出来てるわけだ。

      

今回は櫻井&平野の小説に絞って感想を書くけど、万が一、反応がいいよ

うなら、他の小説についても書く用意はある。まあでも、それはないだろう♪

以下、もちろん小説のネタバレ的内容になるので、ご注意あれ。。

          

    

           ☆          ☆          ☆

まず、『フェニックスのリア王』というタイトルについて。フェニックスとは、もちろ

ん不死鳥を表す言葉であると同時に、アメリカ・アリゾナ州の地名(州都)で、

櫻井が飛行機で向かう場所とされてる。ちなみにこの広告特集の最初のペー

ジは、下側がJAL(日本航空)の広告になってた♪

     

一方、リア王はシェイクスピア4大悲劇の一つで、私も小学生の時に読んだ覚

えがある。やたら暗くて重い話で、3人の娘を持つ王が長女と次女に国を譲っ

たのに追い出され、精神を病んでいく。末娘は一旦、王とケンカした後、王と共

に長女&次女に闘いを挑んでいく(以下は後ほど)。

           

よって、『フェニックスのリア王』というタイトルは、櫻井がフェニックスという場所

に向かう飛行機で出あったリア王みたいな男性を指すもので、おそらく、不死

鳥のように生き伸びるという意味も込めてるのだろう。元の悲劇と違って。。

     

    

           ☆        ☆        ☆

短編小説のあらすじは、次の通り。櫻井が飛行機で初老の男性に話しかけ

られる(おそらく英語で)。「君は実に人が良さそうだ・・・一つ頼み事があるん

だが・・・」。その男性はかつて、ラスベガスのスロットマシンで24億円を手に

入れた。ところが長女と次女に裏切られて、やがてホームレスまで転落。す

ると、ケンカしてた末娘が連絡をくれて、一緒に住もうと言ってくれた。

         

そこで今から、フェニックスの空港で会うのだけど、20年ぶりだから、顔が分

からないかも知れない。それは父として避けたいから、先に櫻井が末娘を見

つけ出して、こっそり自分に教えて欲しい・・・。そう頼まれて、櫻井は本当に

相手を探し出す。用事があったのに、時間ギリギリまで頑張って。御礼はロト

くじ3枚で、実は後で100ドル当選。櫻井は彼に電話して、くじを返そうとした

けど、思いとどまって、100ドルは寄付することにした。。

     

        

          ☆          ☆          ☆

小説の至る所に、平野から見た櫻井の姿が現れてる。まず、いい人という

外見的イメージと人柄。これは末娘も認めたことで、実際、櫻井は頼み事を

引き受けたし、ラスベガスの儲け話も疑おうとしない。それはギャンブル好き

の父のホラ話だと末娘に聞いても、脱力するだけで怒ることもなく、むしろ父

と末娘の幸せを素直に願う。

            

だからこそ、僅か100ドルの当たりクジを返そうなんていう、人のいい行為

も止めたわけだ。それでは、また男性=父をギャンブルの世界に誘うような

形になってしまうから、まさに『リア王』になってしまう。『リア王』の最後は、

父のために頑張った末娘が殺されてしまい、王は悲しみのどん底に突き落

とされてしまうのだ。

          

実は飛行機で、櫻井が男性に「リア王みたいな話ですね」とうっかり語った

時、男性は『リア王』を知らなかった。という事は、身の上話を聞いてすぐに

シェイクスピアと結びつけることが出来るくらい、櫻井は頭のいい青年だとさ

れてることになる。その上、実は『リア王』が悲劇だということは男性に伝え

ず、曖昧にごまかすのだ♪ 何ともいい性格で、可愛げさえ感じられる。

          

    

           ☆          ☆          ☆

頭が良くて英語もペラペラ、性格も良くて周りから信頼され、行動力も伴って

る純粋な青年。非の打ちどころの無いイメージが、平野の描く櫻井で、ほと

んど櫻井を知らない私が見ても、確かにそんな感じはある。

       

この櫻井の特徴は、二宮や松潤(マツジュン)の小説と比べるとさらにハッキ

リするけど、もう時間が無いから止めとこう。正直、平野と言うと難しい話をし

そうなイメージを持ってたけど、この小説に関しては恐ろしく読みやすかった♪

    

正月のジャニーズ広告に使う軽い小説だということを十分考慮した上で、文

体と内容を吟味してるのだろう。さすが、京大在学中に芥川賞を受賞しただ

けあって(『日蝕』)、実践的な才能の持ち主のようだ。ちなみに櫻井は慶応

大、その父は東大卒の官僚という話がある(未確認のネット情報)。

      

    

          ☆          ☆          ☆

なお、櫻井本人による小説の感想は、次の通り。──僕はそれほどお人よ

しではないけど、その場にいれば同じ事をしたかも知れない。平野さんは、

自分が「外交官みたいに世界で刺激を受けたい」と言ったのを生かしてくれ

た。作家の想像力はすごい・・──。

      

末娘と再会したフェニックスのリア王が、不死鳥のように甦ることを祈りつつ、

今日はこの辺で。。☆彡

     

                                    (計 2587文字)

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コメント

テンメイさん、今頃やっと元旦の新聞読みました。
読み応えありましたね。5人の作家の短編集!

>正直、平野と言うと難しい話をしそうなイメージを持ってたけど、
この小説に関しては恐ろしく読みやすかった♪
本当に難しい話を難しく描かれる人のイメージがあります。私もこれ本当に
平野さん?と驚きました。読みやすかったですね。「決壊」は心に残っています。

「嵐」5人だからこそいろんな広告があるのですね。あの5人の並べようというか、
小説も繋がっているようで面白かったですね。前もって、嵐と作家の方とは話し
合っているからこそ、人となりが活かされるているようで興味深かったです。

阿部和重さんの「追跡者」も印象深かったけれど、なによりも好き嫌いは別として、
川上未映子さんの「僕たちは、抱きあったことさえ」の1.5センチ(私の想像)の
長さをカットする女性の話・・・鏡に映る女性の顔が浮かび、映像、情景(妄想?)
が浮かび、なんとなく怖かったです。

>この櫻井の特徴は、二宮や松潤(マツジュン)の小説と比べるとさらにハッキリ
するけど、もう時間が無いから止めとこう。
テンメイさんの違いも聞いてみたい気もするけれど、無駄に時間をとらせそうなので、
この辺で失礼します。すみません。毎日更新の記事があるのに、ずいぶん前記事に
反応してしまいました。

投稿: orugann | 2014年1月14日 (火) 01時11分

> orugann さん
    
こんばんは
「今頃やっと」ってことは、
僕より更に1週間遅れですね♪
  
まあ、お正月のやたら内容の濃い新聞を、
三が日に読める人なんて、ごく僅かでしょう。
そもそも自宅にいない人も多いし。
ちゃんと読めば面白いんですけどネ。
   
この5人の人気作家、エッセイとかなら
読んでましたが、実は小説を読むのは初めて(^^ゞ
短くて簡単で面白い連作小説の形で並んでたから、
すごくいい機会になりました
  
       
平野と言うと、デビューの時に難しさが
騒がれてたけど、エッセイはごくフツーの文章。
この短編も、親しみやすい文体と内容でした。
『決壊』って、ちゃんと読んでるんですネ☆
   
広告として見た時、感心したのは相葉の扱い。
と言っても、この特集を見るまで相葉と大野の
名前と顔は覚えてなかったけど♪
   
相葉だけ、下側の広告が単独じゃないでしょ。
大野と一緒なんですよね。
これって、フツーなら避ける事態のはずですが、
それを敢えてやってる。
メンバーとスタッフの風通しの良さを感じるし、
相葉も大人だと思いました♪
  
嵐と作家の話し合いは、「お会いした」とか
書いてないから、おそらく編集者の仲介でしょう。
企画全体として、きっちり出来てますね。
どれだけ巨額のお金が動いたのか、気になるかも
   
  
なるほど、川上未映子の「1.5cm」ね
僕は、1ヶ月の髪の伸びだから1cmだと
思ってましたよ(笑)。美容室でよく聞くから。
確かに、1cmよりちょっと長いかも。
   
で、あの女性 が怖いと、
同じ女性として思ったわけネ♪
なるほど。松潤も言ってたけど、情景の描写が
濃密なのかも知れませんね。
僕は実は、サラッと一読した時、エッセイの
面白さと比べてビミョーだなと思ったんですよ。
読み返すと、印象がアップしました。
  
    
リクエストがあったので(笑)、
二宮の記事もアップしちゃいましたよ。
ウチの以前からのジャニーズファン読者に
どう思われてるか、不安で夜も眠れないほど
    
とか言いつつ、アクセスがそこそこ続けば、
5本全部書いてもいいんですけどネ。
流石に今の通信環境と荷物の片付けを考えると、
しばらくは無理でしょう(^^ゞ
   
毎度コメントどうもです♪ ではまた。。

投稿: テンメイ | 2014年1月15日 (水) 21時51分

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