『明日、ママがいない』第5話&日テレ番組審議委員会、軽~い感想
今週は臨時の帰省直後でもあるし、五輪ウイーク、レース・ウイーク(青梅
マラソン)でもある。既に3日で1万字近く書いてるし、今日は3000字程度
の軽い感想で済ませよう。
あれほど話題になってた『明日、ママ』騒動も、日テレから養護施設協議会
への回答が公表された2月5日以降は、すっかり静かになった感がある。
ちょっと視聴率が心配になるほど。たまたまソチ五輪の開幕と重なったこと
もあって、「明日、ママがいない」でGoogleのニュース検索をかけても、め
ぼしい記事はほとんどヒットしない。
そんな中、唯一目立ってるのは、『明日、ママ』批判に奇妙なほどの情熱
を燃やす元・日テレディレクター、水島宏明がハフィントンポストで執筆した
記事だろう。「日テレが『明日ママ』で“有識者の意見”や“会社の見解”を
自社で初めて『釈明』放送」。
☆ ☆ ☆
2月9日(日)午前5時10分~20分の「日テレアップDate!」で、『明日マ
マ』問題が取り上げられたとのこと。20分の自局批評番組の前半10分と
いう意味だろうか。水島は「“会社の立場”を放送内で詳しく釈明」したと書い
てるが、彼の報告を見る限り、「詳しく釈明」と言うほどのものではない(私は
番組は見てない)。あの程度なら、今までの広報のコメントや公式HP、「回
答」などで既に分かってた内容だ。
ただ、1月28日の放送番組審議会のやり取りが簡単に紹介されたらしい。
審議委員は、日テレHPによると現在9人いるそうだが、水島によると、番組
では7人の意見が紹介されて、温度差はあっても、大部分が批判的コメント
だったようだ。その中で、彼は自分と同じく『明日ママ』を強く批判するG委員
(根拠が不明だが増田明美との事)を持ち上げた後、珍しく日テレを評価す
る好意的な言葉で記事を終えている。
つまり、社長のコメントまで紹介されたし、「このタイミングでこの番組を放送
した日本テレビは、一連の問題を真剣に、深刻に受け止めていると言ってよ
い」という肯定的評価だ。
しかし、これはドラマ・ファンとして、頷いて聞き流す所ではない。日テレが「真
剣」なのは「このタイミング」など無関係で、最初からずっとだし、「深刻に受け
止めている」という言い方はかなりミスリーディングな(=誤解を招く)ものだ
ろう。というのも、水島はどうも、不誠実だった日テレがようやく深く反省して、
悪しき番組を改善する方向にある、と見てるらしいからだ。
私には状況がかなり違って見える。日テレも番組スタッフも、ほとんど今まで
通りの番組作りをしてるだけ。もしそれで、日テレが改善されて来たと感じるの
なら、ようやく番組を理解出来てきたというだけのことだろう。ウチでは最初か
ら全く態度を変えてない。初回の冒頭からほとんど問題のない、フツーにいい
物語、フツーに面白いドラマなのだ。「万人向け」ではないにせよ。
なお、1月の審議会の様子は、近い内に日テレHPで公開されるようなので、
確認した上でまたコメントすることにしたい。
☆ ☆ ☆
では、例の「回答」から1週間後、第5回の内容を見てみよう。その気になれ
ば、「ポスト」(赤ちゃんポスト)、「ドンキ」(凶器の鈍器)、「ボンビ」(貧乏)、
「パチ」(パチンコ狂い)と言った、毒のある名前を呼ぶ回数をもっと減らせた
はず。ところが前回同様、ほとんどフツーにそれらの名前が使われてる。今
回の冒頭からラストまで、批判に配慮して「改善」した様子は見られない。
もちろん、「改善」する必要など、少なくとも今現在はあまりない。というのも、
やや不思議なことに、自傷行為などの実際の被害データ(実名、施設など)
がまだ日テレに報告された形跡がないからだ。
一般公開は、プライバシーの観点から論外だが、ごく僅かの当事者間での
情報伝達は必要だろう。少なくとも、番組中止を強く要請するのであれば。
20人ほどの子どもに悪影響が生じたらしいといった、決して多くはない上
にかなり大まかな情報では弱過ぎるのだ。改めて確認するなら、視聴者の
数は1000万人前後、50万倍もいるのだから。。
☆ ☆ ☆
もう一つのポイントである、魔王(施設長:三上博史)の態度もほとんど同じ
だ。子ども達、特にドンキ(鈴木梨央)に対する威圧的な態度、乱暴な言葉
や振舞いはそのままだし、ピア美(桜田ひより)と父親(別所哲也)の大切な
写真もビリッと破り捨てた。慈恵病院、協議会、里親会の見方では、相変わ
らずひどい描き方だということになるのかも知れない。
ところが、よく見ると事実はかなり違ってる。魔王が写真を破る時、父と娘の
間をキレイに破ってるだけであって、これはかなりセルフ・コントロールされて
ないと出来ないこと。だから、「忘れろ」というメッセージを強く伝えた後、捨て
られた写真はちゃんと拾ってつなげられるし、コンクールにも持って行ける。
それをまた魔王が取り上げたり破ったりすることも無いのだ。
ピア美のコンクール(ティエナ・ピアノコンペティション 横浜東地区予選)の
時にも、ピア美の父親をめぐって魔王とポスト(芦田愛菜)はぶつかるが、結
局ポストは、魔王や父親の側の意見に納得してた。要するに、今の父親の元
にいるのはピア美にとって良くないという話だ。ピア美のことを考えてるから
こそ、コンクールでのピア美のステージ衣装もちゃんと可愛い服になってた。
他にも魔王は最後、施設を出るパチ(五十嵐陽向)に、似顔絵付きのあめ細
工を貰って微笑んでた。里親になる夫婦(松林慎司&高橋かおり)が営むあ
め工房で、パチが心を込めて手作りしたものだろう。非常に幼いパチでさえ、
魔王という人間の本質が良く(or善く)分かってるわけで、爆笑問題・太田に
言わせれば「見え見え」過ぎるくらい、いい人なのだ。
☆ ☆ ☆
一方、批判とは直接関係ない、ドラマの構成の面でも、相変わらずなかなか
上手く出来てる。一応、一話完結的な作りでありながら、ちゃんと前の話を受
け継いでるのだ。こうゆう作り方は当たり前に思えて、実は少ないものだ。脚
本監修の野島伸司と言うより、脚本家の松田沙也がしっかりしてるからだろう。
例えば前回の主役・ボンビ(渡邉このみ)は、相変わらず幻想や過去に浸り
がちだけど、現実を見る大切さも分かって来た。だから、ジョリピー夫婦(城田
優&Mailys Robin)には実は子供がいないという情報を聞いても、その場
では平然と聞き流す余裕がある。自分が養子にしてもらえるかどうかは別問
題なのだ。
ところがそう言いつつ、大チャンスだという思いも非常に強いから、ついジョリ
ピー屋敷へと向かってしまう。何とも子供らしくてカワイイ姿だった。ボンビ専
用のBGMも、コミカルでいい。
一方、ポストとピア美の描き方もよく出来てる。前回、誤解と衝突があった
後、大切な友達だと再確認。それを受けて今回は、2人が仲良くしてたけど、
ちょっとだけ誤解の元(蓮=藤本哉汰)の話も入れてあった。
更に、ドンキが以前、逃げ出した里親候補(大塚寧々&松重豊)がまた登場
して来たし、パチのシャンプーボトル(Hervance)も再登場。ちなみに先日、
私が実家に戻ったら、お風呂のシャンプーがHerbal Essencesだった♪
このドラマが無ければ、全く気付きもしなかったはず。
話を戻すと、里親候補やシャンプーは再登場しただけでなく、ちゃんと話が進
んでる。つまり、ドンキは里親候補と素直に仲良く過ごせるようになったし、パ
チも母親の匂いのシャンプーをかなり卒業できた。
もちろん、第5話の中での統一感もあるわけで、今回は、「親子」の別れの切
なさがメインだったのだ。一つは、ピア美と父、二つ目は、ポストとパチ。そして
三つ目は、魔王と子ども(流産?)。そして、別れは次の出会いへとつながって
行く。。
☆ ☆ ☆
物語の大きな展開を考えると、目立たないオツボネ(大後寿々花)の扱いが
ポイントだと思う。と言うのも、魔王の妻(鈴木砂羽)と仲良くなって身の上話
も聞いてるから、やがて妻と夫の「かすがい」(つなぎ役)になりそうだからだ。
もし今後、妻が魔王の施設にやって来ると、得意な料理で働くことになるか
ら、ロッカー(三浦翔平)の立場が浮いてしまう。だから、ロッカーはアイスドー
ル(木村文乃)と同居すればいい。アイスドールが今まで通り児童相談所で
働いて、ロッカーが主夫として家事や子守りをするのが自然だろう。それな
ら、高卒とか全くハンディにならない役割だ。
結局、オツボネとポストが魔王夫妻の養子になれば丸く収まるけど、丸過ぎ
るかな。ボンビはジョリピー夫妻の養子ってことで。ジョリピー(アンジェリー
ナ・ジョリー&ブラッド・ピット)の経歴や慈善活動についても一応調べたけ
ど、もう時間がないからまたにしよう。
ラストシーン、パチが一生懸命作ったポスト似のあめ細工に付けられた、
ハートが印象的だった。バレンタインデー直前に、男が女に飴を贈ったか
らといって、ホワイトデーの頃に女(ポスト)が男(パチ)にチョコを渡す可能
性は少ないだろう♪ 飴は単に、甘い思いの象徴なのだ。パチ自身にとっ
ては、おしゃぶりの代わりでもあるし、母親の乳房の代わりでもある。ちな
みにロッカーの手作りケーキのプレートはチョコレートとの事(公式HP)。
最後に、今回一番心に残ったのは、ピア美が弾くピアノを魔王が真剣に見
つめるシーン。妻がオツボネに身の上話を語るシーンと上手く重なってた。
あぁ、結局4000字か。。(^^ゞ それでは、今日はこの辺で。。☆彡
P.S. 第5話視聴率は予想通り過去最低、11.6%となった。裏番組で、
日本人選手が銀メダルを取ったソチ五輪競技の放映があったようだ
し、むしろこの数字(第4話から1.5ポイント低下)は健闘と言えなく
もない。裏の『僕のいた時間』も10.4%→9.2%と低下、下落率
で考えるとほぼ同じ、11/100だった。
フィクションの価値を示した日テレ~『明日、ママがいない』第4話
(計 4229文字)
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