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STAP細胞・小保方さんの記者会見、短い感想

(☆2016年1月29日追記: 関連記事をアップ。

  小保方さんの手記『あの日』、やはり「普通の悪意」は感じない・・ )

 

 

        ☆          ☆          ☆

今日は仕事に追われて、ほとんどブログに回す時間が無くなった。ほんの

一言だけ、理研ユニットリーダー、STAP細胞の小保方晴子さんの記者会

見について感想を書いて、おしまいにしよう。

 

まず、本当に会見が実現したことにちょっと驚いたというか、感心した♪ 30

歳の女性が、2ヶ月以上も大変な状況に置かれて、今は入院中。おまけに

医師は難色を示してたようだから、当日のドタキャン、ドクターストップや途

中退席は十分あり得るなと思ってたのだ。実際、弁護士からもあらかじめ

注意が示されてた。

 

ところが今日、午後1時から3時半頃まで、大勢の記者・ジャーナリストや

カメラ・マイクを前に、たっぷりと会見。私は仕事中、ネット動画で少し見た

程度だけど、固い表情ながら、意外なほどしっかりした口調で臨機応変に

応答。メモも取ってなかった気がする。

 

もう、それだけでかなり感心したのだ。ちなみに、1月末の晴れやかな時期

には、私はテレビも動画も見てなくて、写真と文字報道のみだった。

 

 

         ☆          ☆          ☆

今回、私が見た時はちょうど、2ヶ月間の体調を聞かれた辺りで、5秒間くら

いの沈黙の後、薄い苦笑いを浮かべながら、「・・・・・・絶不調でした」と応答。

フラッシュとシャッター音に囲まれる彼女を見て、大変だったろうな・・・と深く

同情した。表に出てないけど、支えて来た周囲の人達もお疲れ様って感じだ。

 

自分で少し見た印象でも、ネット上の反応を見ても、少なくとも意図的なウソ

や「普通の悪意」は無いなと感じる姿だった。今現在、Yahoo!の意識調査

を見ても、biglobeの気持ち玉を見ても、好意的な反応の方が少し多い。試

しにほとんど見ない掲示板を少しのぞいても、それほど叩かれてなかった。

 

むしろ、彼女1人だけを断罪&処罰する理研の方が守勢に回った感があ

る。社会的な反応としては。。      

 

 

          ☆          ☆          ☆

ただし、科学的にどうかとなると、疑問は大きく残ったまま。ドラマ『ガリレオ』

の科学監修でもお馴染み、リケジョ(理系女子)の代表格でもある東京大学・

大島まりは、「科学論争とは違う場外戦の様相を呈している」、「科学の世界

では明白な不正。研究不正に関する理研の規定の文言を争っているのは違

和感がある」と語ったそうだ(読売新聞HP)。

 

同じ女性科学者として、かなり冷たい態度だけど、しっかりした科学者の立

場で見ると、小保方さんの論文や研究姿勢はあまりに未熟すぎるわけか。

他の報道を見ても、科学者や科学系ジャーナリストの態度は冷淡なもの、

非難調の言葉が目立ってる。もちろん彼女だけでなく、理研や一般メディア、

社会に対しても。割烹着や指輪への注目に対しても。

 

ちなみにこの日の彼女の装いは、清楚な紺のワンピース、真珠(パール)の

ネックレス、巻き髪、ナチュラルなメイク。指輪は無かった。私は素直に可愛

かったと思うし、科学とは別に、そういった外見にも多少注目して、何の問題

もないと考える。科学者も人間、科学に触れる周囲も人間なんだから。科学

だけ見たい人は別にそれでいいけど、それはかなり少数派だろう。

 

話を戻すと、彼女がSTAP細胞を確信してること、自分の実験自体に自信

を持ってるのは、間違いないと思う。ただ、それが彼女の途方もない思い込

みでないことを示すためには、やっぱり他者による再現実験が問題になる。

 

その点ですごく気になるのは、他にSTAP細胞の作成成功者が何人もい

るような応答。ウソには聞こえないから、名乗り出てない理研その他の研

究者が何人かいるという事か。組織による「大きな力」が働いてるのかも知

れないし、保身としては理解できるけど、もし本当に何人も成功者がいるの

なら、1人くらいは「実は私も成功しました」と名乗り出てもいいと思うけどね。

 

ちなみに、理化学研究所は3000人を超える巨大な組織で、彼女が所属す

る発生・再生科学総合研究センターだけでも236人との事だ(2013年4月

1日現在の数字、理研HP)。彼女の細胞リプログラミング研究ユニットのメ

ンバーは公表されてないけど、上司らしい笹井芳樹氏の研究室の研究員は

6人、テクニカルスタッフ数は8人、大学院生3人、アシスタント3人となってる。

丹羽仁史氏のもとにも12人のメンバー名が並んでた。

 

 

          ☆          ☆          ☆

もちろん、過去の成功者が名乗り出なくても、新たな再現実験の成功があ

れば、情勢は一転して、小保方さん有利になる。論文の共著者の丹羽氏

が1年ががりで取り組むと語ってたけど、完全に外部、第三者的立場の人

が成功した方が説得力を持つ。

 

残念ながら、今まで世界で誰一人として成功してない点をどう解釈して、ど

う対処するか。「200回以上」も成功したと語った小保方さんは、コツがある

という話を出しつつ、その具体的内容は今後の論文発表まで秘密にしとき

たいらしい。それでいて、メールでの問い合わせには応じて行きたいとの事。

 

この辺が正直、よく分からない。メールで個別に応答するくらいなら、世界

全体に公表した方が遥かにいいと思うけど。そもそも200回成功するのに

最低数年かかるはず、と理研の研究者は疑問を呈したそうだ(スポニチHP)。

数え方の問題か、言葉のあやなのか。まさか単なる幻想とは思いたくない。

 

あと、体調回復後、自分があちこちに出かけてお手伝いすることにも積極的

姿勢を見せてたけど、それなら理研ですぐ出来そうな事だし、どうして彼女

自身が立ち合わないと実験が上手くいかないのか、不思議に思ってしまう。

意地悪な見方をすれば、何かコッソリ「不正行為」をするんじゃないか。ES

細胞とか混入させるんじゃないか。そう思われても仕方ない。。

 

 

           ☆          ☆          ☆

一方、彼女に対する処罰のポイントだった「悪意」について質問された時は、

室谷弁護士が先に「過失によるものは除く」と答えた後、彼女は戸惑って、

悪意・・・悪意・・・」と言葉に詰まったらしい(産経新聞HP)。

 

三木弁護士が「法律的な話になるので回答は控えさせていただく」と助け舟

を出したようだけど、要するに「普通の悪意」は思いもよらないものだという

事だろう。

 

ちなみに、昨日書いた法律的・道徳的「悪意」に関する記事は、最初2700

字だったのが、追記を重ねて5000字超の本格的内容になってる。裁判所

の判例も12例直接読んだし、米国の基準や英語の邦訳の問題に突っ込ん

だ話まで書いておいた。

 

cf. 法律上の「悪意」は道徳的な悪とは別物か~STAP細胞・小保方さん問題

 

 

          ☆          ☆          ☆

まあ、とりあえずはゆっくり静養して、心身を快復させた後、論文や出張で

科学的に頑張って欲しいと思う。ノートも「4、5冊」と言わず、もっとしっかり

記録して。前から書いてるように、論文の不正とかミスなんて話は些細なこ

とであって、科学的事実だと立証できればそれでもう大勝利なのだ。

 

ちなみに、会見場の30~40万円程度の費用より、弁護士4人と自腹で契

約する方が遥かに大変だと思うけど、経済的に大丈夫なのかね。主任の三

木弁護士、好意でテキパキとお仕事して、彼女を守ってたんだろうけど、早

口で強気の応答を挟んでたから、ちょっと心配になった。

 

あれだと、小保方さんとのコミュニケーションも、法的闘争(or 和解)も、余計

な手間がかかりそうな気がする。科学の世界と違って、人間同士のやり取り

は、語り口や表情・身ぶりが大切だから。

 

 

☆追記: 4月15日の週プレNEWSによると、三木氏の会見の仕切りは

       臨機応変、緩急織り交ぜた絶妙なものだったとのこと。それが正

       しい見方かどうかはさておき、上で私が指摘したのは応答の仕方

       に限ったものなので、念のため。)

 

 

          ☆          ☆          ☆

今後、「実はすべてウソでした」なんて告白が出る展開も考えられなくはない

けど、「再現実験、遂に成功!」というニュースが世界を駆け巡る方が遥か

にいいのは当然。難病患者らの切実な期待もあるし、小保方さんに限らず、

研究者・関係者の方々の努力に期待しよう。ゼロからではなく、「マイナス

100からだと思って」全力で再出発。

 

たとえ失望することになっても、裏切られることになっても、私はしばらく応援

する。社会的にも、温かく見守る雰囲気になって欲しいと思う。特に神戸の

皆さん、よろしくね♪ 

 

短い感想と言いつつ3000字を超えてしまった。では、今夜はこの辺で。。☆彡

 

 

 

 

P.S. 精神科医の香山リカは、「・・・真実をそのまま話したとは思えない。

     時折笑顔や涙を見せており、どのように見られているのかを非常に

     意識し、『未熟だが熱意ある研究者』を演出したのではないかという

     印象も受けた」、と酷評したとのこと(時事通信)。

 

     時々、面白いことや鋭いことも言うけど、口が滑ることも多い人だ。

     ツイッターを見ると、既に1週間前、「パーソナリティー障害」とか

     「自己愛憤怒」という言葉を使ってた。小保方さんサイドから出た

     「驚きと憤り」というコメントを、本人自身の言葉だと思ってるらしい。

 

 

 

cf. 小保方さん、「ここがロドス島だ、ここで跳べ!」

                ~朝日新聞・天声人語のイソップ物語(英語)

   悪女に騙されるための条件♪&マメで走れないから自転車

   小保方さんの上司・笹井芳樹氏の会見の感想&自転車

 

                                   (計 3762文字)

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コメント

確かに、小保方氏は頑張って出てきて、そつなく受け答えができていたけれど、、、

どうなの?  もしSTAPの片鱗でもあったとすれば、理研は、小保方氏を切り捨てられただろうか?

世紀の大発見だよ!  論文の未熟さについては「厳しく指導していきます」と前置きして、

この大発見に理研を上げて取り組むはずだ。

全体の状況からして、何か「架空」の証拠が得られたのではないだろうか!?

投稿: 通りすがり | 2014年4月14日 (月) 23時21分

> 通りすがり さん
  
はじめまして。コメントどうもです。
「STAPの片鱗」くらいは流石にあったでしょう。
  
理研のコメントをよく読むと、STAP自体を
否定してるのではなく、まだ証明できてないという事。
片鱗さえ無いというような全否定にはなってません。
少なくとも、今の所は。
もちろん、おそらく「架空」だろうと
判断してるでしょうけどね。
  
なお、当サイトは基本的に、コメントには
ハンドルネームを求めています。
今回はあくまで例外ということで、宜しくお願いします。。

投稿: テンメイ | 2014年4月15日 (火) 23時07分

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