夏目漱石『心(こころ) 先生の遺書』の題名(タイトル)&自転車
BIKE 30km,1時間11分,平均心拍124
「プリンス」という米国の大物ミュージシャンは20年前、契約トラブルその他
の影響で、自分の名前を捨てて、単なる記号(シンボル)にしてしまった。下
にとがったオス(♂)、メス(♀)、横に開いたラッパマークを組み合わせた記
号(著作権が厳しいので不掲載)で、読み方が決められてなかったから、メ
ディアは困惑。
仕方なく付いた呼び名が、「the artist formerly known as Prince」。
「かつてプリンスとして知られたアーティスト」♪ その後、2000年になって
ようやく、元のプリンスへと名前を戻してる。メディアやファンは、呼び方で気
を使っただろう・・・・・・というのは、長めの前置きだ。
☆ ☆ ☆
今回、ちょうど100年前に書かれた夏目漱石の代表作を記事にするにあたっ
て、私がいきなり躓いたのは、作品名だ (^^ゞ 正式には何と呼ぶべきなのか、
正解が何とも分かりにくい。
今現在、最も普通の名前は「こころ」だろう。これが一番よく見る表記だし、実
際、岩波文庫、集英社文庫、文春文庫でもそうなってる。ウィキペディアは繰
返しを表す特殊記号を挟んで、「こゝろ」としてるが、要するにひらがなだ。
ところが、朝日新聞
の100年前の連載・
第1回を見ると、『心
(こころ) 先生の遺
書』となってる。しか
も、「こころ」は単な
る「心」のふりがな
にも見える。
上がその現物のコピー。著者の死後50年経過、無名および団体の著作物の
公表後も50年経過してるので、デザインも含めて著作権は消滅してると考え
る。ちなみに小説冒頭、「先生」の名前が無いというのも、偶然とは思えない符
合、注目ポイントだろう。
岩波書店所有らしい漱石の直筆原稿を見
ても、やはり『心(こころ) 先生の遺書』。
ということは、「かつて『心(こころ) 先生
の遺書』として知られたアート」なのだ♪
左も著作権は消滅してると考える。上と同
様、直接の出典は朝日新聞デジタルだ。
ちなみにこの原稿用紙の上は「漱石山房」
と書いてる(下図)。特注品で、今もごく一
部で復刻版が「漱石山房原稿用箋」として
販売されてるらしい。当時の朝日新聞が、
1行19字詰めだったから、それに合わせて
作ったと、漱石自身が語ってる(『文士
の生活』)。青空文庫で公開中。
各種の情報を総合すると、おそらく丸善の1行20字の原稿用紙のデザイン
を借用して、字数
を変更、漱石山房
という字を入れた
ということだろう。
デザイン(絵&字
体)は樋口五葉。死後93年経過で、これまた著作権保護期間は終了してる。
☆ ☆ ☆
もう少し、タイトルにこだわってみよう。私はこの小説、恥ずかしながら読んだ
ことがなかったから、朝日新聞4月20日の朝刊でちょうど100年ぶりに連載
が再掲され始めた時、「先生の遺書」という言葉は章か節のタイトルだと思っ
てしまった。その後、各種の情報から、これが小説全体のタイトル、またはサ
ブタイトル(副題)だと分かったから、かなりイメージのギャップを感じた。
『心』、『こころ』と、『先生の遺書』。新聞社や出版社の編集者なら、おそらく
100年前でも、『先生の遺書』という作品名は止めて欲しいと思っただろう♪
実はこの小説、元々は『先生の遺書』が個別のタイトル。『心』という表題のもと
に集める予定だった短編の最初の作品だったと、漱石自身が語ってる(『心』自
序 : 初版本に自身が付けた序文)。ところが、第一作でいきなり時間を取られ
て長編になったので、計画を変更。連載終了直後に岩波書店から出版された
単行本では、単に『心』とか『こころ』とされた。
☆ ☆ ☆
この単行本での題名がまた厄介で、本体の一番目立つ表紙の部分(平積み
にした時の表側)には、漢字で
『心』と書いて、中国『康熙字典』
(1716)の説明が添えられてる。
写真は岩波書店HPより拝借。
下は中国の無料電子書籍サイト
からのコピペで、左下の荀子に
よる説明らしき漢文から64文字
(8文字×8列)引用されてる。
ところが本体の細い背表紙に書いた題名
は、ひらがなで『こヽろ』。にも関わらず、
本体を入れる箱(ケース)の背表紙は『心』
のようだ♪ 箱の表紙は、漱石自身がデ
ザインしたらしい、絵のような「心」。本体
を開いてすぐの扉絵も、象形文字の「心」
だ。左下の写真も岩波書店より。
その一方、書籍化にあたって、小説全体
が3章に分けられて、「先生と私」、「両親
と私」、「先生と遺書」とされたから、
この第3章のタイトル「先生と遺書」
と、元の題名『先生の遺書』とで、ま
た混乱が生じるのだ。助詞
の「と」と「の」をハッキリ区
別する必要がある。
とにかく、調べ出すと非常
に疲れる話で、心=こころ
が折れそうなので、とりあ
えず今日はここまでにしと
こう。本当は、ここから小
説の内容について書くつ
もりだったのに、もう時間
が無くなってしまった (^^ゞ 本来のレビューは、また後ほど改めて記事にし
よう。朝日の連載に合わせて、毎日(月曜から金曜)少しずつ読んで行くつも
りだ。。
☆ ☆ ☆
最後に、昨夜の走りについて。眠くて眠くて、珍しく目の下に大きなクマが出
来てるほどだけど、今月はさっぱり走行距離が伸びてないから、自転車で30
kmだけ走って来た。
全然やる気もないから、お気楽気分で軽く流すつもりだったのに、やたら脚が
疲れてて、序盤でいきなり右膝がピクピクし始めたほど (^^ゞ 一旦、止まるか、
早めに切り上げようと思ったけど、その後控え目に走ってる間に何とか回復
したから、予定の30kmを完走できた。
とはいえ、かなりヒドイ走りだったね。水曜日に13日ぶりのハーフ走をやった
後、木曜が自転車22kmで、金曜30km。う~ん、大した疲れでもないはず
だけどな。お尻まで痛かったから、寝不足&ストレスが溜まってたってことか。
本当は今夜も走るつもりだったのに、自重して休むことにした。
☆ ☆ ☆
それにしても、今日は暑かったね。ちなみに今、私は上半身裸♪ ごく一部の
女性読者の方が、「テンメイさん・・・ハァハァ ♡」と萌えてくれることを期待しよ
う。いや、単に「テンメイ」って名前を無理やり入れたかっただけネ。「テンメイ」
検索でとうとう、3位に落ちてしまったもんで (^^ゞ また馬に抜かれてしまった。
常連さんは、時々「テンメイ」検索でアクセスして頂けると、マジで嬉しいかも♪
「かつて1位として知られたブロガー」としては、本気で悔しいのだ。では、また
明日。。☆彡
(計 2636字)
| 固定リンク | 0
「文化・芸術」カテゴリの記事
- バナナを壁にテープで貼った現代アート、カテラン「コメディアン」、9.6億円で購入してもさらに高額で転売可能&徒歩8km(2024.11.24)
- 谷川俊太郎追悼、生と性と死の詩「なんでもおまんこ」(詩集『夜のミッキー・マウス』)を読んだ感想、意味の解釈(2024.11.21)
- 四角形や丸の「真ん中」に正三角形を配置するデザイン(YouTubeほか)、長さ、重心、三角形分割錯視を考慮した視覚調整(2024.09.08)
- お箸で作れる「レオナルド・ダ・ヴィンチの橋」、出典の文献は『アトランティコ手稿』のスケッチ2枚か(『Believe』第2話)(2024.05.04)
- 「美人局」(つつもたせ)の語源・出典、中国・宋代『武林旧事』第6巻、AIによる翻訳と解釈(ChatGPT4、Google)(2024.03.08)
「自転車」カテゴリの記事
- 次の次の大会は3月の短距離&ずっと休みなしで充実♪、24年11月の全走行距離(2024.12.02)
- 10月の湾岸ナイト・サイクリング、快適だけどまた道を間違えまくり♪、明るくて安いライトはバッテリー弱すぎ!(2024.10.13)
- 走り込みは成功、ダイエットは失敗で体重1kg増加、24年9月の全走行距離(2024.10.02)
- 『雲上を駆ける! 第39回・乗鞍ヒルクライム2024』(NBS長野放送)、YouTube動画で見た感想(2024.09.24)
- 前回のパンクに懲りずに、夜の湾岸自転車リベンジ、今度は道を間違えて、スマホも電池切れ・・(2024.09.16)
コメント