ゲーテの格言「人が旅するのは、到着するためではなく、旅するためである」、ドイツ語出典
最近、こんなマニアックな記事を連発してるから、疲れて仕方ないよな (^^ゞ
その中でも、これは難しかったと言うか、面倒だったと言うか。世界中のネッ
トで、あやしい情報が拡散してるから、本物になかなか到達できなかったの
だ。英語ならまだしも、ドイツ語だしね。
さて、突然どうして、ドイツを代表する文豪ゲーテ(1749~1832)が登場
したかというと、「美青年」のラジオのクロステーマが旅で、番組の終盤に
(おそらく)台本の格言を読んだからだ。
「人が旅をするのは、到着するためではなく、旅をするためである」
こうゆう格言を聞いた時、「いや、到着するためにもフツーに旅するでしょ♪」
とか、突っ込んではいけない(笑)。素直に、いいねボタンを押す方が一般ウ
ケするのだ・・・・・・という私の見方に賛成の方は、いいねボタンを押して頂き
たい。無いだろ!
ま、アメリカ横断旅行の番組『ルート66』の話とか、テーマ曲『愛、テキサス』
とか、懐かしかったね・・・というのは一部読者へのご挨拶だ。ここで早めに
書いとかないと、読み飛ばされそうだから♪
☆ ☆ ☆
軽口はさておき、前から指摘してるように、このラジオの放送作家は誰か知
らないけど、ほとんど調べずに表面的なネット情報をそのまま引用するクセ
がある。まあ、どうせファンは美青年の声を聴きたいだけだから、内容なんて
大した問題じゃないかも知れないけど、一般人マニアック・ブロガーが聴くと、
すぐに調べ直したくなってしまうのだ♪
で、今回は結果的に、正しいとは言いにくいけど、間違いとも言いにくい。先
に結論を書いとこう。まだ確率も完成度も80%くらいの情報だけど、少なく
ともあちこちに拡散してる情報よりは正解に近いはず。
上の格言は、ゲーテ自身が書いたものではなくて、彼の友人・ヘルダー夫婦
の間でやり取りした手紙に書いてあるのだ。夫のヘルダーは詩人として有名
な大物。1788年9月12日に、妻のカロリーネが夫に書いた手紙の引用が、
ゲーテ関連情報をまとめた本に書いてある。Google booksで発見した。
ゲーテが最近ある時、語ってました。
「人が旅するのはもちろん、到着するためではなく、旅するためなのだ」
(Man reist ja nicht,um anzukommen,sondern um zu reisen.)
このドイツ語が拡散する内に、少し形が変わってたリする。書名は、『Goethe
Begegnungen und Gesprache BdⅢ 1786-1792』(ゲーテ 出会
いと会話 第三巻)。
文脈が分からないから意味も確定できないけど、例えば、「人が生きるのは、
天国や極楽にたどり着くためではなく、この世で生きるためなのだ」と解釈す
ることは可能。もちろん、普通の旅の意味だと考えて、「旅は旅すること自体
が楽しいのだ」と解釈してもいい。
☆ ☆ ☆
私は自力で上の文章にたどり着いた後、確認のためにこの情報を検索。す
ると、東京ゲーテ記念館のQ&Aで、ほぼ同じ説明がされてた。ただし、記念
館にしては、それほど長くない説明の中に、入力ミスらしき間違い(?)が3箇
所もあるのが気になる。ヘルダーのミドルネームと、ドイツ語2つのつづり。答
えた人は専門家だけど入力した人が一般人、ということかな?
だから、そこに書いてある、「ゲーテ自身が書いた言葉ではありません」とい
う説明の信頼性もやや微妙だけど、私もあちこち調べて同じ本の同じ箇所に
たどり着いたから、正解に近いとは思う。
少なくとも、ゲーテの『格言と反省』(Maximen und Reflexionen)に書いて
あるとかいうネット情報については、かなり探し回ったのに、現物や詳しい情
報がまだ確認できてない。この本の書籍内検索がGoogleで出来るし、現物
もインターネット・アーカイブで見れるけど、該当箇所が出て来ないのだ。信頼
できる解説もまだ発見できてない。
日本の高名なドイツ文学研究者、高橋健二の『ゲーテ格言集』や『ゲーテの言
葉』と組み合わせて検索しても、実質的な情報は見当たらなかった。
☆ ☆ ☆
ただし、この本は1833年だから、前のまとめ本からの引用が入っていて
も不思議はない。いずれにせよ、ヘルダー夫人の言葉の方が50年近く古い
から、やはり夫人の手紙の言葉だろう。実際、別のドイツ語の研究書にもそ
れが出典とされてた。
そしてもちろん、ヘルダー夫人の説明が正しい可能性は高いから、例の格
言はゲーテ自身のものとしても間違いではないと思う。正確ではないけど。
ちなみに、英語やドイツ語のウィキクォート(引用の電子百科事典)には載っ
てなかったので、念のため。オランダ語らしきウィキクォートで、たまたま発見
しただけだ。ドイツ語の検索で疲れ切ったたから、今日はこの辺で。。☆彡
(計 1980字)
| 固定リンク | 0
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 近代ロケットの父・ゴダードの名言「昨日の夢は、今日の希望であり、明日の現実になる」、英語出典(『ROCKET MAN』)(2023.03.08)
- 戦場の男性(彼)への思いをのせた乙女の軍歌『カチューシャ』、ロシア語から英語への直訳で意味を解釈(2023.02.25)
- 円盤型ロボット掃除機(ルンバ他)がイスの脚に閉じ込められる理由♪&岩穴に幽閉された『山椒魚』(井伏鱒二)(2023.02.23)
- 梅崎春生『飢えの季節』(23共通テスト)、全文レビュー~戦後の日常・欲望・幻想をユーモラスに描くエッセイ私小説(2023.01.21)
- パズル「漢字抜け熟語」の解き方2、三字・四字・五字熟語(難易度5、ニコリ作、朝日新聞be、23年1月14日)(2023.01.16)
「芸能・アイドル」カテゴリの記事
- 水卜麻美アナが電撃結婚!、馴れ初めは中村倫也のアプローチ、知人に「紹介してほしい」♪&第2回・1500m測定(2023.03.26)
- AKB48に14年間・2000万円を費やしたファンがグッズを大量破壊してお別れ・・という話に思うこと、色々♪(2023.01.09)
- NHK『紅白歌合戦 2022』(第73回)~LOVE&PEACEをシェア、初司会の橋本環奈は堂々たる強心臓♪(2023.01.02)
- 『明石家サンタ 2022』~八木とフジ港社長ができてる?&廃業サクマ式ドロップス社員&可愛い新サンタガール保﨑麗♪(2022.12.26)
- 放送作家・鈴木おさむの実録(?)「小説『20160118』」、SMAPのいちばん長い日~『文藝春秋』2023年1月号(2022.12.20)
コメント