『Frozen』(アナと雪の女王)の主題歌『Let It Go』の意味&右膝痛ハーフ走
(3日) RUN 21.1km,1時間51分36秒,平均心拍154
ブルブルッ、寒っ!(笑)。昼間暑かったから、深夜まで待ってTシャツと短パ
ンで走ったら、気温17度まで下がって強風が吹きつけて来たから、凍死し
そうになった。まさに、Frozen(フローズン)♪ 仕方なく、無意味な腕振りで
体温を上げたのだ。
さて、今日は別のコネタを使う予定だったけど、「ラリホー」・・・じゃなくて「レ
リゴー」にハマってしまったので、それで書いてみよう♪ いや、5月2日の
読売HP・大手小町で、レリゴー病とかラリホーとか書いてて笑えたもんで。
確かに、何度聞いても「レット・イット・ゴー」には聞こえない。せいぜい、「レリッ
ゴー」か、「レリット・ゴー」だろう。まあ、平成ブロガーにとって、「ラリホー」にも
聞こえないけど(笑)
ちなみに「ラリホー」と言うと、大昔の米国アニメ『The Impossibles』(邦訳
『スーパースリー』)で使われてた掛け声「Rally ho」がメジャーらしい。直訳
するなら、3人のヒーロー仲間が、「集まれ、おーい!」と呼びかけてることに
なる。これが最初の出典かどうかは不明だけど、その後、人気ゲーム『FF』
(ファイナル・ファンタジー)とかでも使われてるようだ。
☆ ☆ ☆
さて、世界的に意外なほどの大ヒットになってる、ディズニー映画『Frozen』。
邦訳はメルヘンチックな甘口タイトル『アナと雪の女王』で、Wヒロインを強調
してるけど、主題歌『レリゴー』の公式動画を見る限り、雪の女王と凍った
(Frozen)世界が中心。実際、アンデルセンの童話『雪の女王』が原案だ。
私は正直、最初は興味なかった。でも、ニュース系の記事をネットのあちこ
ちで目にするから、試しに、松たか子が歌う日本語ヴァージョンの主題歌、
『Let It Go』のPV(プロモーション・ビデオ)をYouTubeでチェック。「第一
印象は」、あまり良くなかった。最初の雪の尾根が、奥志賀高原スキー場の
ダウンヒルコースに似てて滑りたくなるな、と思った程度だ(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=cvj3-MZO9Tw
ヒロインのエルサには萌えにくいし、メロディーラインも大げさでありがちな
ミュージカルっぽいもの。日本語の歌詞も平凡。サビの部分を引用させて頂
こう。
「ありのままの 姿見せるのよ
ありのままの 自分になるの
何も怖くない・・・」
これだけなら、公平に見て、どこにでもありそうな「キレイな」歌詞だろう。他の
部分の歌詞も、意味的には普通のものだった。
(☆翌日追記: 原曲の作詞・作曲
Robert Lopez ロバート・ロペス
Kristen Anderson-Lopez クリステン・アンダーソン=ロペス
日本語訳詞 高橋知伽江 )
☆ ☆ ☆
これに対して、たとえば7年半前の秀作ドラマ『僕の歩く道』では、「ありのまま」
というキレイな概念を揺るがす問いかけを行ってた。第8話の印象的な台詞
を再掲しよう。脚本家は実力派の橋部敦子だ。
「ありのままの息子さんを受け入れる事が出来なかった
古賀さん自身は、少なくともありのままだった訳でしょ」
「ありのまま」の自分が、「ありのまま」の他人を受け入れられない。ここでは、
ありのままの自分になれば何も怖くない、なんてキレイな話より数歩先に進ん
でる。だからこそ、このドラマは小ヒットに留まるわけだ。「ありのまま」の現実、
「ありのままの、『ありのまま』」を見ようとする視聴者がさほど多くないという
のも、ありのままの社会だから。。
☆ ☆ ☆
話をディズニー・アニメに戻そう。第一印象は冴えないものだったけど、曲も
アニメも大ヒットしてるし、何度も聴いてる内に耳が曲に馴染むという経験は
珍しくない。その後、歌唱力豊かな日本人歌手、May J.の『Let It Go~
ありのままで~』を聴いて、さらにDemi Lovato(デミ・ロヴァート)が歌う英
語の原曲を聴く内に、ようやく私も「レリゴー」と口ずさみたくなって来たのだ♪
原曲はYouTubeで、再生回数1億5000万回に近づいてる。
ここで、英語と日本語のサビを比較してみよう。
Let it go, let it go
あ り の ま ま の
どちらも3音節+3音節で、各3音節の最後が長母音の「オ」。もちろん、ビー
トルズの名曲『Let it be』は「ありのまま」と訳されることが多いし、「ありの
ままで」というのは、誰でも受け入れやすい言葉、発想でもある。こうした事
情を考えると、「ありのまま」という日本語訳はベストかも知れない。
ちなみに『THE PAGE』の簡単な事情説明を読むと、「ありのままで」と訳さ
れた理由の一つに、「レリゴー レリゴー」と口の動きが似てるという点が挙げ
られてる。3音節のラストに関してはその通りだが、他は「リゴー」と「りの」が
似てるだけだから、それほど強い理由にはなってない。「レリ」と「まま」は全く
似てないだろう。。
(☆翌日追記: 最後のサビの日本語歌詞、「これで いいの」の場合は、
「いの」と「リゴー」が上手く重なってる。)
☆ ☆ ☆
さて、ビートルズの『レット・イット・ビー』の歌詞でも話題になって来たけど、
英語の「it」は日本人にとって、ちょっと分かりにくい。
英語と日本語の、言語体系の違いも大きく影響してるだろう。英語は主語
や目的語をハッキリ書くのに対して、日本語はよく省略する。実際、「あるが
ままに」をキッチリ表現するなら、例えば、「私は自分をあるがままに表した
い」となるけど、キッチリ過ぎて滑稽な感さえ出てしまうのだ♪
逆に、英語で「レット・ビー」や「レット・ゴー」だと、単語も音も足りなくて、変
だろう。やはり、軽い「イット」を挟む方がいい。「Rally ho」(ラリホー)の場
合は、単語が2つしかないけど、「レリビー」や「レリゴー」と同じく3音節にま
とまってるのだ。
☆ ☆ ☆
「Let it be」の場合、作詞家の個人的背景とかは別にすると、「it」は一般
的な状況全体、世界の存在と変化を漠然とさす言葉になってる。
それに対して、「Let it go」の場合、「it」はそれぞれの人間の個別的なも
のを表してる。私はまだ映画を見てないし、ネタバレ的な情報もほとんど仕
入れてないけど、英語の歌詞とビデオ映像だけで、エルサの内なるものだ
と分かる。雪のようなプラチナ・ブロンドの髪をなびかせる女性。
歌詞に忠実に分析するなら、「it」が指すのは、「swirling storm inside」
だ。「渦巻く 嵐 内側の」。つまり、「私の心の中で激しく動くもの」。もっと限
定するなら、「storm」(嵐)。
程度の差こそあるものの、誰でも心の内側に抑えつけるものくらい感じるだ
ろう。例えば、他人と関わると、ものすごく腹が立ったり不愉快だったりするも
のだけど、物心ついた人間が「それ」を表に出すことは滅多にない。もちろん、
内なる激しいものは、ネガティブとは限らず、ポジティブなエネルギーや意欲
のようなものも含む。両面持つのはエルサの魔法の力。
さらに、ネガティブなものが外に出るのを抑えつける努力のエネルギーも、
it=stormに含めていい。激しい心を抑えつける努力も、激しいのだ。英語
の歌詞だと、「keep it in」(内側に保つ)とか、「conceal」(隠す)、「hold
it back」(心の奥に留める)など。
しかし、必死に「tried」(努力した)けど、もう限界だし、努力する必要もない。
と言うよりむしろ、そんな努力はしない方がいい。レリゴー、もう解放しよう。
自由になろう。
もちろん、周囲から「The cold」(冷たいもの)が私に降りかかるだろうけど、
そんなものは、「never bothered me anyway」(どうせ全く何ともなかっ
た)。だって私は元々、雪の女王、凍った世界(Frozen)の主だから♪
☆ ☆ ☆
もう少し突っ込んで考えると、たとえばフロイト派精神分析における「エス」と
いう概念を思い出す。心の奥底、無意識で、本能的に私を駆り立てる様々な
動きのことで、無意識の欲望というより、もっと生物学的で根源的なものの集
合。(追記: 「インナー・チャイルド」、内なる子供と比べても、遥かに広くて深
い概念)
これをフロイトは、ドイツ語で「Es」(それ)と名付けた。英訳は「id」(イド)となっ
てるが、これはラテン語で「それ」を表す。
この「エス=それ」に目を向ける努力は大切だが、それを「レリゴー」すれば
いいというような単純な話ではない。解放が良くて、抑圧がダメ。こんな簡単
な話なら、そもそも抑圧など生じないわけだ。実際は、解放と抑圧の間で、あ
るいはエスと超自我の間で、自我による現実的妥協や調和が必要になる。
ここで興味深いのは、レリゴーや映画の1つの解釈として、同性愛の肯定と
みなされてることだ。日本語のウィキペディアは、産経新聞の報道を元にその
話を書いてるが、産経の記事に実質的な内容はほとんど無い。
それより、英語で例えば「let it go frozen lesbian」と入力して検索すれば、レ
ズビアン(女性同性愛)との関連を指摘する海外の反応が具体的に分かる。
当事者の側でも、積極的にそうとらえる動きがあるようだ。カミングアウト応
援歌ということか。
「Let it gay」(レリゲー)という指摘が象徴的だろう。「gay」に動詞的用法は
ないから、形容詞として補語になってる。この場合、「それを同性愛的にせよ」
という意味だから、大国アメリカといえども、「それ」が何なのか、議論が生じ
るだろう。特にディズニーの観客、視聴者層を考えると。
こうしてみると、やはり『僕の歩く道』の台詞は核心を突いてた。様々な「あり
のまま」同士の葛藤、衝突、不調和。デリケートな問題だし、今日はもうここ
までにするけど、もし私がこの作品を見る機会があれば、また具体的にそ
の件も考察してみたい。まあ、日本では今現在、それほど話題にされること
もないのかも。。
(☆15年2月10日の追記: 映画と原作のレビューをアップ。
永遠の子どもへの旅~映画『Frozen』(アナと雪の女王)&原作童話 )
☆ ☆ ☆
もう時間が無くなかったから、昨日のランニングについては一言だけ。再発し
た軽い右膝痛のせいで、ギクシャクした走りになったけど、何とかハーフを完
走。ただ、右足をかばい続けてると、負担がかかる左足までおかしくなりそう
だから、気を付けないとヤバイ。
トータルでは、1km5分17秒ペース。遅いけど、平均心拍が154だから、
JOGではなくRUN扱いにしといた。心拍計は電池交換だけで直ってくれた。
なお、今週は計2万字。ではまた来週☆彡
往路(2.4km) 13分20秒 心拍141
1周(2.14km) 11分42秒 149
2周 11分35秒 153
3周 11分25秒 155
4周 11分02秒 157
5周 10分44秒 160
6周 10分54秒 160
7周 11分14秒 157
8周(1.32km) 7分10秒 157
復路 12分32秒 152
計 21.1km 1時間51分36秒 心拍平均154(85%) 最大165(ゴール時)
(計 4244字)
(追記 237字 ; 合計 4481字)
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