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高い地点からの斜方投射2~射程の微分と最大値を与える角度θの計算

この記事は3日前の第1弾記事の続編なので、まだ読んでない方は、まず

あちらに目を通すことをお勧めする。と言っても、この記事だけでも一応、分

かるように書いてある。

 

水平面からではなく、高さのある地点からの斜方投射を一般的にきっちり扱っ

てるネット記事というのは極端に少ない。もちろん実際はあるのだろうが、私

が軽く検索をかけた範囲では見当たらない。式が複雑だからだろう。

 

そこで前の記事では、コンピューターとソフトの助けを借りて、射程(=水平到

達距離)を最大にする投射角θ(水平面から上向きの角度)を求めてみた。

大まかに言うと、30度~45度くらいの値だと分かるのだ。これはブランコの

「靴飛ばし」遊びの実体験にも合ってる。

 

 cf. 高い地点からの斜方投射の軌跡(弾道)~角度と水平到達距離

 

 

         ☆          ☆          ☆

しかし、もっと普通に、人間の手と頭の計算で答を求められないものか。θを

増加させた時の射程は、徐々に増えて最大値に達し、そこから減るのみ。上

に凸1つの単純な変化だから、普通に計算できても不思議ではない。

 

そこで、ちょっと工夫して計算してみると、ほぼ高校の数Ⅲレベルで解けた気

がする。「ほぼ」というのは、最後に三角関数の逆関数を使う必要があるから

だ。そこだけは高校レベルをほんの少し超えてるし、人力計算のやり方も知

らない。まあでも、前の記事の時点よりは自分でスッキリした。

 

以下、とりあえず続編として急ぎでアップするが、ひょっとすると計算ミスがあ

るかも知れない。後でまたチェックしてみるし、万が一の場合は修正するので、

これは仮記事、暫定的まとめとして、悪しからずご了承を。。

 

(☆翌日の追記: 計算は合ってたが、さらに簡単な式になるのを見落としてた。

           既にこの記事の下の方で補足してある。)

 

 

          ☆          ☆          ☆

前回の計算を使うと、高さ hの地点から角度θ(0≦θ<π/2)で斜方投射

した時、水平到達距離

 

   x = (v²/g){sinθcosθ+(cosθ)√(sin²θ+2gh/v²)} ・・・ ①

 

先頭の係数を除いた関数、つまりg x/v² を、X(θ)と置き直して、

sinの倍角公式を使うと

 

   X(θ) = (1/2)sin2θ+(cosθ)√(sin²θ+2gh/v²) 

 

  ∴ X´(θ) = cos2θ-sinθ√(sin²θ+2gh/v²)

             +(sinθcos²θ) / √(sin²θ+2gh/v²) 

 

この微分はθの連続関数で、

   X´(0)=1>0 

   また、θ→(π/2)-0の時、X´(θ)→ -1<0

 

よって、0≦θ<π/2の範囲で少なくとも1つ、X´(θ)=0をみたすθが

存在する。

 

したがって、元のxについて dx/dθ=0をみたすθについても、同様に

0≦θ<π/2の範囲で少なくとも1つ存在する。

 

 

         ☆          ☆          ☆

ここで、少し違う方向からアプローチし直してみる。前の記事の最後に付記

しておいた、軌跡の方程式(x,yの式から時間 t を消した式)は

 

     y=-gx²/(2v²cos²θ)+x tanθ+h

 

水平面ではy=0だから、

 

    0=-gx²/(2v²cos²θ)+x tanθ+h=0

   ∴ gx²-v²xsin2θ-2v²hcos²θ=0 ・・・②

 

 

これをxについての陰関数と見て、両辺をθで微分すると、

 

   2gxx´-v²x´sin2θ-2v²xcos2θ+4v²hcosθsinθ=0

 ∴ (2gx-v²sin2θ)x´+2v²(hsin2θ-xcos2θ)=0

 

ここで、x´=dx/dθ=0とすると、 xcos2θ=hsin2θ

    ∴ x=h tan2θ ・・・③ (ただしθ≠π/4)

 

③を②に代入して x を消し、整理すると、

 

   (v²+gh)cos²2θ+v²cos2θ-gh=0 ・・・④

 

 

          ☆          ☆          ☆

③において x>0だから、 tan2θ>0。一方、 0≦2θ<π。

よって tan のグラフを考えると、 0<2θ<π/2 。

 

ゆえに、cos2θの2次方程式④の解は正で、

     cos2θ=〔-v²+√{v⁴+4(v²+gh)gh}〕/2(v²+gh)

 

0<右辺<1も示せるから(証明は簡単なので省略)、

これを満たす2θは、0<2θ<π/2の範囲で1つだけ存在して、    

    2θ=cos⁻¹ 〔-v²+√{v⁴+4(v²+gh)gh}〕/2(v²+gh)

 

  ∴ θ=(1/2)cos⁻¹ 〔-v²+√{v⁴+4(v²+gh)gh}〕/2(v²+gh)

                                 (0<θ<π/4)

 

 

このθの前後のみでx´の符号が+から-に変化し、x が増加から減少に転

じるので、これが x の最大値を与える唯一の解である。

 

 

(☆翌日の追記: 計算は合ってたが、√の中が(v²+2gh)²になって、√がキ

            レイに外れるのを見落としていた。見方を変えると、2次方

            程式④は因数分解できたということだ。

 

            θ=(1/2)cos⁻¹〔-v²+(v²+2gh)〕/2(v²+gh)

              =(1/2)cos⁻¹gh/(v²+gh)

 

           ここから、射程距離の最大値を求めると、計算は面倒だが、

           わりとキレイな答が出る。

 

           (xの最大値) = {v√(v²+2gh)}/g        )

 

 

 

         ☆          ☆          ☆

上でvやhの値を決めれば、θの値も逆関数で求められる(そこはコンピュー

ター使用)。今現在、計算ミスがないという確信はないが、「正しそうだ」という

事は、前の記事の具体的な初期条件(h=1,v²=2g)で確認済。もちろん

h→0の時、つまり水平投射に近づける時には θ→π/4になる。

 

出来れば、単純な陽関数①式から直接的に議論したい所だが、陰関数の微

分を使わないと厄介な問題は少なくないから、とりあえず妥協しておこう。

 

なお今週は計19999字となった。では、また来週。。☆彡 

 

                                     (計 2012字)

 

             ( 翌日以降(翌週)の追記 256字 ; 合計 2268字)

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コメント

全て、手計算、やりますね、気持ち良いです。
一番最後から一つ前の式の右辺の1/2は不要。
・雑誌「数学セミナーの2014年2月号」の「エレガントな解答をもとむ」出題1が同じ問題であり解答もあります。本屋さんに寄ったとき見てください。
私がセミナー誌に応募した解答は次の通りです。
 ・θ=arccos√[(2gh+v^2)/(2gh+2v^2)]

投稿: gauss | 2014年6月 8日 (日) 11時45分

> gauss さん
   
こんばんは。貴重な情報とケアレスミスの指摘、
ありがとうございます。
  
あの式は、最初書いてなかったけど、
下の式をコピペして2θにしたものです。
うっかり、右辺も2倍するのを忘れてました。
やっぱり、噂の「コピペ」には要注意ってことで♪
   
それより、遥かに驚いたのは、√内が2乗になること。
そんなキレイな計算になることを期待してなかったので、
全く調べませんでした。
既に追記して、射程xの最大値も加えてます。
     
      
最後に、数学セミナー。名前は高校生時代から
知ってましたが、『エレガントな解答』の問題と説明を
マジメに読んだのは初めてです。
最近の数学雑誌で取り上げられてたとは奇遇ですね。
靴飛ばしではなく、東京オリンピック関連で砲丸投げ。
    
紙幅の関係で、略解を載せてるわけですね。
最初に軽く読んだ時、微分の符号チェックをしてないし、
両辺2乗で解いた後の十分性のチェックもしてないので、
論理性がちょっと気になりました。
    
まあ、sinやcosの範囲の確認も含めて、明らか
だから、あるいは簡単だから省略ってことなんでしょう。
   
あの中だと、断トツにエレガントな解答は、
コーシー・シュワルツの不等式を使うものだと思います。
ちなみに僕は、あの不等式を自分で問題解決に
使ったことが一度もありません♪   
鮮やかに決まってるのを見て、反省しました。
  
なお、ロングセラーの問題集、共立出版『力学演習』
にも載ってて、10行ほどでサラッと答を導いてました。
細かい事は気にせず、ザクッと重要なことを示す。
物理屋さんらしいですね♪

投稿: テンメイ | 2014年6月10日 (火) 00時10分

少し時間が空いたとき、下記を開いてください。
三人の世話役のうち一人が私です。
http://www.geocities.jp/elegantnakama/index.html

投稿: gauss | 2014年6月11日 (水) 01時05分

> gauss さん
   
こんばんは。
何がキッカケだったか思い出せませんが、
あのHPは前から知ってましたよ。
エレガントなお仲間ですね♪
雑誌受難の時代ですが、長く続けてください

投稿: テンメイ | 2014年6月12日 (木) 01時51分

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