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富士山の噴火の確率計算~二項分布とポアソン分布

ポツリポツリと(離散的に)起きる事柄の確率については、2年半前に地震の 

確率計算の記事をアップ。地味にアクセスが続いてる。また、今年の夏に再

放送された数学ドラマ『ハードナッツ!』のレビューでも、ごく簡単に触れて

おいた。

 

2014年9月27日の御嶽山(おんたけさん)の噴火によって、また活火山の

噴火への関心が高まってるので、計算の復習も兼ねて、富士山噴火の確率

を計算してみよう。

 

答の1例は、2011年(平成23年)の第60回・砂防学会の発表(吉田真也ほ

か)で示されたようだ。アブストラクト(要約)のpdfファイルから、計算の前提

に関する論述を引用させて頂こう。数学の参考書の練習問題にも似たものが

あるので、おそらく防災の学問的に主流の考えだろうと思う。

 

    現在は静穏期にあり数百年間噴火していない、また時間経過と

    噴火回数との間に特別な関連性はみられない火山に対しては、

    ランダムな発生確率を持つポアソン分布を用いることが適切で

    あると考えられる。

 

 

          ☆          ☆          ☆   

もちろん、実際の火山では噴火と関連する様々な自然現象が継続してるわけ

だから、「ランダム」(無作為、でたらめ)というのも変な話だが、歴史的に大き

な目で、長い時間間隔見るなら、ランダムと考えてもそれほど大きな間違いで

はないだろうという考えなのだ。他に、はっきり優る計算方法も見当たらない中

での、現実的妥協と考えてもいい。

 

ちなみに、「ランダムな発生確率」という言葉も気になる所で、ランダムなら確

率計算など出来ないだろうと思われるかも知れない。これは要するに、何年に

1回とかの平均発生頻度は保たれてるけど、どの年に発生するかは分からな

い状況のこと。つまり、細かく(微視的に)見るとランダムだけど、大きく(巨視

的に)見るとほぼ一定の間隔で規則的に発生してるのだ。

 

我々、人間の時間や人生は、地震や噴火と比べると短いタイム・スパンだし、

一度発生すると大きな影響を受けるから、比較的細かいランダムな部分の計

算が求められることになる。だから、やがて人類が滅亡、アンドロイドは地上

を離れて宇宙空間に移住、寿命は数万年・・・というSF的展開になれば、以

下の計算は全く枝葉の話になるだろう。。 

 

 

           ☆          ☆          ☆

さて、砂防学会の発表のアブストラクトでは、ポアソン分布のみで、途中の計

算式も無いし、今後80年間という非常に長い期間を想定(結果は64.8%)。

前提となる富士山の噴火データも当サイトとは違ってる。逆算してみると、どう

もやや多めに、1000年に13回の噴火と考えるようだ。

 

私が示す以下の計算では、普通に手に入る気象庁HPのデータ(有史以降の

火山活動)を使用して、1500年に10回の噴火があったと前提。地震と同様、

今後30年間に1回以上の噴火が起きる確率を計算する。

 

また、以前の地震記事と同様、まずは簡単な高校1年レベルの計算(1年単位

で二項分布を仮定)。その後で、やや高級なポアソン分布の計算を示すことに

しよう。答はほぼ同じになるのだ。

 

 

          ☆          ☆          ☆

ではまず、1年間に噴火する確率が10/1500、つまり1/150(約0.67%)

で、噴火しない確率が149/150として、普通に計算すると、

 

  (30年以内に1回以上噴火する確率)

              =1-(1回も噴火しない確率)

              =1-(噴火しない年が30回続く確率)

              =1-{(149/150)の30乗}

              =1-0.818・・・

              ≒0.18 

              ≒18%

 

ちなみに二項分布という確率分布モデルは、30乗する時に使われてるわけ

だ。上では単に、(149/150)の30乗とだけ書いてるが、

 

    30 C 0 (1/150)⁰ {(1-1/150)の(30-0)乗}

 

と書き直せば、二項分布で30回中0回起きる確率の形になる。無意味に複

雑だから、普通はこんな式は書かないのだ。

 

 

          ☆          ☆          ☆

一方、ポアソン分布だと、ネイピア数e=2.718・・・を用いて、

 

   (30年以内に1回以上噴火する確率)

             =1-(0回噴火する確率)

             =1-〔eの{(-1/150)×30}乗〕×

                     〔{(1/150)×30}の0乗〕/0!

             =1-{eの(-1/5)乗}×1/1

             =1-0.818・・・

             ≒0.18

             ≒18%

 

近似値としては、全く同じ18%となった。ちなみに、もう1ケタ計算すると、二項

分布なら18.2%、ポアソン分布だと18.1%で、僅かな差が生じる。どうせ非

常に大まかな計算だから、0.1%の差は無意味だろう。

 

というより、要するに約20%、2割の確率で、富士山は30年以内に噴火する

のだ。10年以内に噴火する確率は、同様の計算で約6.5%。もちろん、気象

庁がハッキリ認めてない噴火も考慮すると、確率は増す。世界遺産にも登録

された日本の象徴だし、御嶽山より遥かに影響が大きいだろうから、みんなで

じっくり考える必要がある。

 

 

         ☆          ☆          ☆  

もちろん、リスクは何事にも付き物。メリットもほぼ何事にもある。「正しく恐れる」

ことは不可能だというような(政治的)極論もあるが、「なるべく正しく恐れる」心

がけで生活すればいいわけだ。単なる理想ではなく、現実的な前進、向上を見

据えて。

 

なお、御嶽山の捜索・救助作業は30日、一時中止されたが、まだ終了され

たわけではない。奇跡の吉報に期待しよう。では、また明日。。☆彡

 

 

 

cf. ポアソン分布(過程)による地震の確率計算(by政府・委員会)

   「日本消滅」、超巨大噴火の確率計算~対数正規分布とBPT分布

 

                                    (計 2208字)

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