高倉健『幸福の黄色いハンカチ』の原作小説『Going Home』&25km走・3本目
(18日) RUN 25km,2時間06分23秒,平均心拍 154
消費エネルギー 1377kcal(脂肪 220kcal)
スターとしての神秘性を保った最後の映画俳優、高倉健が静かに他界した。
数々のニュースや哀悼の言葉が続く中、ロケの合間にジョギングしてたとい
う話にも驚いたけど、
私が一番感心した
のは、鹿児島の健
康食品通販会社、
「健康家族」の話
だ。最後のCMと、
最期の「仁義」。
自社農場で「不器用」に無農薬生産を続ける地方の会社の社長が、直筆で出演依頼した所、「不器用」な高倉健が共感。井上陽水も共鳴して、大物2人の共演で2パターンのCMが完成。にんにく物語「土との出会い」、「収穫編」。
2月と8月の撮影。いいCMだから、60秒のYouTube動画にリンクをつけといた。BGMはお馴染み、「夏が過ぎ 風あざみ・・・」。陽水の『少年時代』。
本人もお気に入りのCMで、来年以降の続編も楽しみにしてたとの事。ところが急な他界となって、公に発表する前に、所属事務所の社員がわざわざ鹿児島の本社まで伝えに行ったらしい。おまけに、CM放映の継続も希望したとの事。FAXをメディアに送る前に、最後の「短編映画」に筋を通したわけで、なかなか出来る事ではない。旅立ちの際にも男前。流石は大スターだ。。
☆ ☆ ☆
一方、主演した代表作の一つ、
『幸福の黄色いハンカチ』。映画
を見たことはないけど、色んな形
で自然に見聞きしてる有名な作
品だ。
左はCaptain76氏が撮影した、
北海道夕張市のロケ地。ウィキ
メディアより。
私は訃報の中で、この映画の話を読んだ時、これまた「不器用」な秀作ドラマ、『ゴーイング マイ ホーム』を思い出した。タイトル通り「我が家に行く=帰る」話だ。正確に言うと、実家というマイホームに行くことを通じて、本来のマイホームで家族が再出発する物語。是枝裕和監督、阿部寛&山口智子W主演。
その後、ウィキペディアで『幸福の黄色いハンカチ』の項目を見ると、原作となったコラムは『Going Home』(ゴーイング・ホーム)というタイトルらしい。気になって調べ始めると、予想外に深い話で、意外なつながり、共通点も発見。またズブズブとハマってしまったのだ♪
☆ ☆ ☆
時間も字数も無いし、歴史の詳しい話は省略しよう。おそらく、最初に上手くまとめた記事(の1つ)が、アメリカ民俗生活センターの「How the Yellow Ribbon Became a National Folk Symbol」だろう。手軽なまとめなら、日本語サイトを検索しても出て来る。
歴史を遡ると、400年前のシェイクスピア『オセロ』のハンカチや歌までたどることもできるし、20世紀の映画なら1949年の西部劇、ジョン・ウェイン『She wore a Yellow Ribbon』(邦題:黄色いリボン)がポイント。
ただ、『幸福の黄色いハンカチ』の原作コラムとのつながりで言うと、1959年の刑務所改革の書物、『Star Wormwood』(ニガヨモギという星;おそらくヨハネ黙示録より)を挙げられる。その中の一節に、著者カーティス・ボクが聞いた話として、列車で出会った2人の男の物語があるのだ。
無口な方の男は、実は5年の刑務所生活を終えた後。もし、家族が自分を受け入れてくれる場合は、線路のそばの大きなリンゴの木に白いリボンを巻き、それを見た男が列車を降りる。受け入れない場合はリボン無しで、男はそのまま列車で遠くに去る。
ところが、男は自分で見ることが出来ず、相棒の男に任せる。やがて相棒は、男の腕に手を当てて叫ぶ。
「あるよ。良かった。木が丸ごと、リボンで真っ白だ」。。
☆ ☆ ☆
で、いよいよ高倉健の映画の原作コラム、『Going Home』の出番となる。1971年、ピート・ハミルがニューヨーク・ポストに書いたフィクション(短編小説)で、今でも公式サイトに再掲されてるから、すぐ読める。
河出文庫『ニュー
ヨーク・スケッチブック』
に邦訳もあるらしい。
ここでは、英語原文に
即して要約しとこう。ハ
ミルも、誰かから聞い
た話を元にして書いた
そうだ。
3人の少年と3人の少女、計6人が長距離バスに乗ると、冴えない男
が座ってた。全く動かないし、沈黙したまま。見た目もさえない。休憩
の時でさえ、バスを降りないから、若者たちは気になって来る。やがて、
少女が話しかけたのをキッカケにして、男も少しずつ打ち解けて来る。
実は男は、4年の刑務所生活を終えた後、家に向かう所だった(he
was going home)。ずっと連絡を取って無かったけど、最近手紙
を書いた。もし、妻と3人の子供たちが自分を受け入れてくれるなら、
大きなオーク・ツリー(ブナ、カシなどの木)に黄色いハンカチを巻い
てくれ。ハンカチが無ければ、自分はそのまま去る。
刻々と男の故郷に近づき、彼も若者たちも沈黙する。あと20km、あ
と10km。男は窓の外を見ようとしない。そして突然、若者たちが狂喜
乱舞し始めた。木は何百もの黄色いハンカチで覆われてたのだ。男は
席を立ち、緊張したまま歩み始める。バスの出口へ、そして我が家へ。。
☆ ☆ ☆
まとめてしまうと、男2人の列車旅行の話と似てしまうが、やっぱり文学なのだ。「frozen into some personal cocoon of silence」とか、細かい描写に味わいがある。「自分だけの沈黙の繭(まゆ)の中へと凍りついてる」。あと、若者たち、特に少女が可愛い♪ ハンカチの話を聞いた反応とか。
“Wow,” the girl said.“Wow.” ワウ!×2♪
もちろん、男の沈黙と若者たちの騒ぎの対比=コントラストもしっかり作られてる。元の列車の話だと、小説の形にはなってないのだ。最後の別れもいい。男も若者たちも、何も言葉を交わさず、静かにサラッと別れるのだ。
米国とかニューヨークと言うより、日本や古都の香りが漂ってる。百人一首なら、「これやこの 行くも帰るも別れては 知るも知らぬも 逢(あう)坂の関」。
静けさや自然とのつながりは、健康生活のCMともドラマとも共通。そして、そびえたつ木は、キリスト教の神のような、愛に満ちた絶対的存在であると共に、「男自身」でもある。ファルス的存在を、妻=女性が抱きしめるわけだ。リボンという象徴を通じて。
高倉健もおそらく、無数の黄色いハンカチに迎えられたのだろう。ゴーイング・マイ・ホーム。天上の我が家に帰って、安らかにすごして頂きたい。合掌。。
(☆追記 2020年8月5日、ピート・ハミルが死去。訃報を受けて、7日の朝日新聞・朝刊「天声人語」にコラムが掲載された。合掌。。)
☆ ☆ ☆
もう時間が無くなったので、いきなり終わりにするしかない♪ 昨日は3本目の25km走で、1km5分03秒ペース。またしても5分を切れなかったという話だ。気温10度、湿度55%。絶好の条件だったのに。。
ま、ホントは単なるジョグにしようかなと思ってたくらいだから、良しとしよう。走ってる間に、自然にスピードが上がったのだ。パブロン2錠の作用で興奮したのかも♪ コラコラ! それでは、また明日。。☆彡
時間 平均心拍 最大心拍
往路(2.4km) 13分24秒 137 148
LAP1(2.14km) 11分08秒 148 154
2 10分56秒 153 156
3 10分42秒 155 159
4 10分39秒 156 159
5 10分32秒 158 162
6 10分41秒 157 160
7 10分40秒 157 162
8 10分38秒 157 162
9 10分38秒 159 161
復路(3.34km) 16分26秒 159 169
計 25km 2時間06分23秒 心拍平均154(85%) 最大169(93%)
(計 3072字)
(追記64字 ; 合計3136字)
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