人生崩壊の原作から、復活ヒーローのドラマへ~『アイムホーム』第1話
「転校生」と言うか、「転局生」のキムタク、心配だね。テレビ朝日の社員食
堂は、肉が少ないらしいから(笑)。こんな脱力系の芸能情報を、なぜか左
派メディアのリテラが載せてる辺りもまた、笑えるのだ♪ 契約ライターの年
代がなせるワザか。
テレビ朝日の好調枠、木曜21時に鳴り物入りで乗り込んで来た木村拓哉。
今回は異色のホームドラマ、『アイムホーム』での主演となった。原作は97~
98年のマンガだから、『ロングバケーション』の翌年。熱々の『ラブジェネレー
ション』の頃の作品だ。既に先週、原作レビューをアップしてある。
存在しない我が家への帰宅~石坂啓『アイ’ム ホーム』
細かい話だが、元々は『アイ’ム ホーム』(I’m)。英語の「ただいま」、「帰っ
たよ」。ドラマや新版のコミックだと、『アイムホーム』。アポストロフィとスペー
ス1コマが無くなってる。
大人の事情が絡んでるのかも知れないけど、要するに軽めの語感のタイト
ルになったわけだ。それは、ドラマの内容についても言えてた。「軽い」という
言葉は、良い意味でも悪い意味でも使うが、さて、このドラマだとどうなるか。。
☆ ☆ ☆
原作が描いてる時期は、80年代半ば~90年代後半であって、主人公の
家路久(いえじ・ひさし)は銀行員。完全に、バブルとその崩壊の物語になっ
てる。崩壊の極致で、金融機関の破たんが相次いでた頃、男性社会人用
の漫画雑誌『ビッグコミック オリジナル』に連載されてたのだから、かなり
暗くて地味な話なのだ。そこへ更に、自分で引き起こした事故による記憶障
害、認知障害までプラス(ドラマでは偶然の事故で高次脳機能障害)。
一方、キムタクと言えば、ドラマでも芸能界でも、断トツのヒーロー。去年の
秋、『HERO 2』での活躍も人気を呼んだ直後だから、今回のドラマは完全
に別世界へのチャレンジだ。去年の春、テレビ朝日で単発(ニ夜連続)で主
演したドラマ『宮本武蔵』も、原作より遥かにヒーローを描き出す作品になっ
てたし、テレ朝の木21もある意味、ヒーロー枠。『Doctor-X』にせよ、『DO
CTORS』にせよ。
さて、どんなアレンジにするのかな・・・と思ってたら、初回を見る限り、家路
久がヒーローに近い存在になってた。おまけに、コメディー・タッチの描き方
だから、原作とはかなり違う路線になってる。カラオケでお尻もプリプリ、ヒッ
プダンス♪(K-POPのKARAの物真似)。キムタクといい、脚本の林宏司
といい、勇気ある挑戦者だろう。あるいは、文字通りの「冒険者」。。
☆ ☆ ☆
今回の話は、原作(上下2巻)だと、上巻の最初(ホーム1)と中盤(ホーム
5)、最後(ホーム7、8)、下巻の最初(ホーム10)辺りをミックスしたものに
なってる。導入部、職場、クラブ、すばる(山口まゆ、原作はスバル)の問題
行動。そして、息子の父親問題。。
原作では基本的に、主人公の久が悪役っぽく(遠回しに)描かれてた。元は
冷徹なエリートだけど、仕事と金に没頭して転落した、ダメ人間。それに対し
てドラマでは、証券会社の同僚・黒木(新井浩文)やその部下、あるいは夜
の街の不良グループが悪役。久はむしろ、不運で気の毒な転落から健気に
復活を目指す、感じのいい中年男性になってた。
料理はできるし、物腰も柔らかくて丁寧。知り合ったばかりの恵まれない同
僚(鈴木浩介?)には、サラッと手柄を渡す。友達は大切に。そして最後は、
まさかの活躍に驚く悪役・黒木に向かって、大型の公募増資の幹事を獲得
したことよりも大切な事があるとつぶやいて、スマートに立ち去る。仕事を持っ
て来てくれたのは、新たな久の人柄に魅かれた旧知の取引相手、竹田専務
(香川照之)。
完全に、ドン底への転落から再上昇して行くヒーローの描き方で、2年半前
の『PRICELESS』を思い出す所だろう。
☆ ☆ ☆
普通、ドラマの原作に使われるのはヒット作であって、だからこそ「原作と違
う」というような批判が大勢の原作ファンから出て来るわけだが、正直この原
作はヒット作とか話題作ではないだろうから、違いへの不満は少ないと思う。
ただ、別の見方をするなら、最初から見込める固定客が少なめになるわけで、
木村拓哉ファン以外にどれだけの視聴者を獲得できるかが、視聴率的には
大切。このマイルドで微妙なキャラの主人公をたっぷり見せる趣向が、この
放送枠でどう受け止められるのか。
ひょっとすると、もっと活躍して欲しいとか、もっと笑わせて欲しいと思う人が
多いのかも。ブラジャーにはアイロンかけないとメモするとか、仮面の上から
の無意味な顔パックとか(笑) 私はあそこで頬が緩んだ後、アルバムの写
真まで仮面をかぶってるのを見て、プッと吹き出してしまった♪ 案外、最終
回では、仮面が実は白い顔パックだったっていうオチとか。。
☆ ☆ ☆
仮面と言えば、原作だと、妻・恵(上戸彩、原作の名はヨシコ)も息子の良雄
(高橋來、原作の名はヨシオ)も、ずっと仮面をかぶったまま。最後まで、ほと
んど感情を読み取ることが出来ない。と言うより、おそらく冷めた表情のまま
なんだろうな・・という感じになってる。
ドラマでは、公式HPのトップ写真と同様、妻子の顔は仮面と素顔を併用した
映し方になってた。流石に、中堅の人気女優を、ずっと仮面のままにするの
は無理だろうけど、ちょっと素顔が多過ぎた気はする。久と一緒の場面でも、
仮面をかぶってない時が結構あった。しかもその素顔が、笑顔もまじえた普
通の表情なのだ。高級マンションに家族で住む、しっかり者の素敵な奥様。
バスタオル(or バスローブ)に包まれた裸の肉体からは、本物の美人妻の
色気も漂う♪
まあ、感じのいい人妻からスタートして、次第に、かげりやトゲのある人妻へ
と変化させるつもりなのかも知れないね。一応、新聞のサブタイトルだと、「た
だいま!壊れかけた家族・・・仮面の妻との夫婦生活!?」と、暗めの描写。
ただ初回で既にこれだと、早くも最終回のハッピーエンドが確定したと言って
いいかも。家族も仕事もかなり取り戻して、みんなで明るい未来に歩んで行
くということか。別れた妻・香(水野美紀、原作はカオル)とも、いきなり和らい
だ雰囲気になってたし。ちなみに水野美紀、キレイに見えたね・・・と書くと、
誤解されるかも♪
そう言えば、タイトルバックも明るい感じで、公式サイトの作りも同様(特に仮
面とキーのイラスト)。お馴染み、菅野祐悟の音楽も、暗いどころか『ガリレオ』
よりかなり明るい感じになってた。。
☆ ☆ ☆
脇役だと、私の目線はどうしても女子社員・小鳥遊優愛(たかなし・ゆあ、吉
本実憂)に向かってしまう♪ クセがあるけど、可愛いね。ちょっとだけ(笑)。
「小鳥遊」と書いて、「たかなし」と読む名字なんだ。調べて良かった。危うく、
「遊優愛(ゆあ)」と間違えてしまう所だった (^^ゞ 原作にはないキャラ。
最後に謎の動きを見せてたけど、公式HPで既に謎解きが書いてある。公式
ネタバレか! この調子だと、ミステリーにはあんましなりそうもない。それな
らもっと、カワイイ女子社員を増やして欲しいかも♪ 萌えポイントとして。
主治医(及川光博)もドラマ独自の設定で、顔だけで何となく笑える役者だけ
ど、ちょっと面白味が足りなかったかな。部長(西田敏行)はずっと、久たちを
明るく優しく支える役か。「もめろ~ いい女」のアドリブに対して、久がすかさ
ず突っ込み。「燃えろです」(笑)。検索すると、79年のツイストの曲『燃えろ
いい女』のことらしい。古っ! 今後も注意して、聞き逃さないようにしなきゃ。
折角、証券会社(葵インペリアル証券)の設定にしたことだし、最近の日本は
ちょうどプチ・バブル状況。来週以降は、市場(マーケット)の話にも期待しよう。
今回はクラブのママ(高岡早紀)が、また儲けさせてね♪とか囁いてて、これは
原作にわりと近かった。要するに、プロの久がひそかに大金を運用してるのだ。
☆ ☆ ☆
今日の朝日新聞・朝刊では、テレビ欄のコラム「試写室」で、あらすじを簡単
にまとめた後、次のように感想を述べてた。担当記者は才本淳子。
仮面という設定は奇抜だけれど、企業のひずみや家族のあり方が、
時にコミカルに、時に温かく描かれており、その世界にすぐに入り込
めた。続きが気になる展開だ。
まあ、このコラムのすぐ上側に、ドラマのカラー広告が載ってるくらいだから、
リップサービスを割り引く必要はあるけど、当たりの柔らかい無難なスタート
とは言えるのかも。写真は、久が息子の仮面をはがそうとして、頬をつねって
るカットを選んである♪ ホームドラマっぽい、ほのぼのムード。
これで視聴率がどのくらい取れるのか、私には正直、見当もつかない。ご当
地ゆるキャラが流行る時代だし、ドラマ全体の保守化もある。原作を先に読
んで、その重みを高く評価してた私にとっては、演出や演技も含めて、柔らか
く丸めた印象のアレンジだった。とりあえず、明日の数字に注目しよう。初回
の勝敗の分かれ目は、キムタクだから18%くらいか。20%超なら完全勝利。
それにしても、トップを走り続けるキムタクのチャレンジャーぶりには感心した。
結果や反応に関わらず、勇気ある挑戦だね。そう言えば冒頭、『華麗』みたい
な工場の爆発で吹っ飛ばされるシーンは、スーパーマンが飛んでるようにも
見えた♪
ジャニーズの後輩・美青年との、障害者ドラマ対決にも注目。
それでは、今日はこの辺で。。☆彡
P.S. 第1話の平均視聴率は16.7%。瞬間最高視聴率は20.4%(22
時06分)。今年の民放連ドラの初回としてはトップの数字との事だ
から、王者キムタクが貫禄を見せた形だ。来週の第2話は、15%取
れるかどうかが目安だろう。裏番組の大島優子『ヤメゴク』は9.1%
で、キムタクの裏としては健闘かも。
P.S.2 6月18日の最終回は、久=キムタクが検察庁に乗り込んで、悪
を退治する活躍。火事も乗り越え、家庭=ホームも円満なハッピー
エンドで、やはり『HERO』的なドラマとして完結した。
cf. 『浦島太郎』に玉手箱をプレゼントした理由&短距離走3日目 (2話関連)
仕事のテレビ出演より、息子の運動会参加~『アイムホーム』第3話
冴えない14km走&つぶやき♪ (4話関連)
『アイムホーム』第5話、軽~い感想♪
『アイムホーム』第6話、軽~い感想&短距離走3日連続
華麗なる遠足、終わりに向かって~第7話
コロッケは天ぷらじゃなくて、フライなの?♪&12km走 (8話関連)
周囲の悪事、他人の犯罪を目撃した時・・&短距離走3連続 (9話関連)
新居のハッピーエンドという仮面~最終回
・・・・・・・・・・・・・・・
奇跡のリターンがもたらす輝き~『ロングバケーション』第1話
夢見る息子vs現実を見る父~『華麗なる一族』第1話
『華麗なる一族』最終回、ドラマと原作の比較
キムタクは素うどんかたぬきで♪~『CHANGE』第1話
脳科学コメディーの綱渡り~『MR.BRAIN』第1話
国際映画ドラマというチャレンジ~『月の恋人』第1話
キムタク=木村拓哉主演ドラマ、視聴率の推移&『月の恋人』第4話
鉄の悲劇から、犬の感動物語へ~『南極大陸』第1話
Jumpin’ Jack Flash、あやつり人形の閃き~『Priceless』第1話
制作費70分の1、SF映画に挑戦するドラマ~『安堂ロイド』第1話
LIE STOPS HERE(嘘=夢はここにある)~『HERO 2』最終回
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、軽~い感想♪
『宮本武蔵』ドラマ第二夜と原作小説(by吉川英治)、感想と比較
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
木村拓哉の『全力坂 完全版』、アスリートにもお勧め☆
キムタクのパンツ&中居のミニスカ~『さんま&SMAP美女と野獣2012』
SMAP×SMAP『いま僕たちに何ができるだろう』、軽~い感想♪
(計 4861字)
| 固定リンク | 0
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 直前の欠場、「パリ五輪は、まだ走れ!っていうメッセージ♪」~カンテレ『前田穂南が走れなかったオリンピック』(TVer動画)(2024.09.06)
- 世論の逆風と雷雨の中、やす子(体重78kg、25歳)の81kmマラソンSPの感想~日テレ『24時間テレビ』2024年(2024.09.04)
- パリ五輪2024・女子マラソン、ほぼリアルタイムの感想♪&優勝したハッサンのラップタイム(2024.08.11)
- パリ五輪2024・男子マラソン、ほぼリアルタイムの感想♪&6位入賞、赤﨑暁選手のラップタイム(2024.08.10)
- 2024パリ五輪、スローガンはフランス語の掛け言葉「五輪を広く開こう=目を大きく開いて世界を見よう」~雨の開会式の感想(2024.07.27)
「芸能・アイドル」カテゴリの記事
- 世論の逆風と雷雨の中、やす子(体重78kg、25歳)の81kmマラソンSPの感想~日テレ『24時間テレビ』2024年(2024.09.04)
- 二重偏波気象レーダー、降雹(こうひょう)アラート、数式(偏微分方程式)の変数 Pidep、Pgacw、etc ~『ブルーモーメント』第5話(2024.05.25)
- 絶対に離れない手のつなぎ方、正義も真実も超えて、人間として「心中」へ・・~『Destiny』第1話~第4話(2024.05.02)
- 嘘(lie)で壊れた橋=つながり、再建を信じて(believe)生きる(be、live)~『believe ━ 君にかける橋 ━」第1話(2024.04.27)
- 晴原(ハルカン=山下智久)が書いた雪崩の数式の意味、雲田彩(出口夏希)の中国語の発音と意味~『ブルーモーメント』第1話(2024.04.25)
コメント
こんにちは~。
読み逃げするとこだった(笑)
>年のツイストの曲『燃えろいい女』のことらしい。古っ!
まさか、本気で知らないと?
「良雄」も昭和臭いより、
小日向さんを連想したとか?(ノ∇≦*)
視聴率で見ると、
今までのテレ朝木9ファンを
取り込めなかったってことなのか…
彼だから見る。
彼だから見ない。
分かれちゃったかぁ。。。
ドラマって、
作品の前に配役が重要でしょ。
裏の『ヤメゴク』メンバーはそそるのに、
主役が何で?…ヾ(゚∇゚*)オイ
春ドラレビュー3本になりそうですが、
完走できるかどうか、
私のやる気が重要ポイント(笑)
今期もよろしくです~
投稿: mana | 2015年4月17日 (金) 16時36分
> mana さん
こんばんは~
読み逃げする寸前、「燃えろいい女」のコネタを
見つけて食いついたと♪ そこか!
それ、最初は書いてなかった文章なのに (^^ゞ
ちょっと淡々とし過ぎだよな・・と思って、
味付けしたわけ。釣れた、釣れた
まさか、本気で平成ブロガーが知ってると?
どれどれ。あっ、紅白歌合戦に出たんだ。
「燃えよ!カンフー」なら記事書いてます(笑)
って言うか、「良雄」で小日向「善男」は全く
思い付かなかった♪ それも古っ!
ヨシオは僕の身内の名前ですよ(笑)
前にこっそり教えたでしょ。そりゃ、よっちゃんだろ!
視聴率は、キムタクとしてはボチボチだけど、
ネットの評判はかなりいいですね
過去最高くらい、好意的な言葉が並んでる☆
やっぱ、ああゆうキムタクにも需要があるわけね。
見た人には意外なほど好評(特に女性)。
ただ、見ない人もわりと多かったと。
来週の視聴率が大きな分かれ目かも。
評判の良さを受けて、上に行くか、あるいは、
自然な流れで下に行くか。
上戸彩のサービスショットがポイントでしょう
おめでたの大事な身体だから、ビミョーな所。。
裏の『ヤメゴク』、北村一輝の髪型だけのために
見てみようかな(笑) 今回は人妻不倫しないの?
ヤメゴクだけに、極楽は止めると♪ 座布団2枚!
3本レビューって、大好きな木村君と美青年が
カブったからネ♪ もう、激甘なんだから。
「美魔女」もOKみたいだったし、
「ぞうさん」の長いお鼻で気持ち良く遊ぶと
早速カードローンで洋服買わなきゃ(笑) コラコラ!
僕は週1本しか書かないつもりだけど、
見るだけなら1.7本くらい見る予定です♪(細かっ!)
こちらこそ、今期もよろしく~
投稿: テンメイ | 2015年4月19日 (日) 02時46分