原作を踏まえた、妹との関係~『アルジャーノンに花束を』第7話
なるほど。。お嬢様聖水を飲んだ後・・・違うわ! お嬢様女子大生・梨央(谷
村美月)を弄んだ後、今度は天才に抱かれたい症候群の新・美人秘書と関
係を持って、しかも2人には「何も無かった」とかウソを言わせると(笑)。しっ
かり練習した後で、本命の遥香(栗山千明)を悦ばせて、高級マンションで同
棲。流石に優秀な頭脳の持ち主だ♪
咲人(山下智久)の裸の肉体も美しかったね。特に最後、横からのシルエット
が素晴らしい☆ 適度に盛り上がった胸と、ペタンコに引き締まったお腹。ま
さに細マッチョ。プチ・ダイエットに成功した私自身の姿を見るようだった(笑)。
一番最後、上から覆いかぶさる影も上手かったね。下の女性は映ってないか
ら、ファンの方々は脳内コラージュで悦んでることだろう♪
そう言えば序盤だったか、遥香が平手打ちしそうになった時には、グッと手首
を握って制止してた。あの一番最後のシーンでは、咲人は遥香の両手首を
グッと握り締めて、身動きできないようにのしかかってるのだ(断言♪)。
今、胸がキュンッとしてしまった、そこの貴女! 脳内火遊びは無限反復可能
だから、ご注意あれ。いつまでも終わりに達しない寸止め地獄が続くことにな
る。あるいは、寸止め天国と言うべきか。。(笑)
☆ ☆ ☆
さて、今週は記事ローテーション的に、『アルジャーノン』をレビューする番な
んだけど、私は今、忙しくて余裕がない。先週は結婚式、今週は土曜出勤で
さっき帰宅したばっか。これで仕事もランニングもして、大量の引越し荷物も
片付けて、週2本のドラマ記事を含めて毎日ブログを書くのは至難の技。
おまけに第7話というのは、個人的にちょっと書きにくいストーリーだった。遥
香の「真心」のおかげで、咲人が悪者・蜂須賀(石丸幹二)を斬り捨てて、愛
し合う2人が幸せに結ばれると。型にハマったハッピーエンドもどきを見せら
れると、マニアック・ブロガーとしては反応に困ってしまう。
私はむしろ今回、「床」の活躍を見たかったのだ。遥香のヒステリーのおかげ
で、驚異の知能増進薬・ALGをたっぷり浴びた床が覚醒する姿を(笑)
これは半ば、本気で書いてる事。今後、情報技術がさらに進展していくと、アッ
プルウォッチみたいなウェアラブル端末どころか、人間を取り巻く環境全体が
高度な知性を備えることになる。床や道路のIT化はある意味、自然なことな
のだ。現実世界だと、ヒロインの真心で一気に流れが変わることもないから、
もう止まらないだろう。ささやかな人間知性は、ネットでつながる環境知能、
圧倒的な世界知性の中に埋没していくのだ。。
☆ ☆ ☆
という訳で今回のテーマは、天才になった床だ・・と書くとシュール過ぎるね♪
だから、悲しいチョイ役で終わってた妹・花蓮(飯豊まりえ)について簡単に書
いてみよう。メガネ女子の趣味は全く無いけど、原作小説の妹は興味深い存
在だし、以前アップした原作レビューでも扱ってないもんで。
最近のテレビドラマは原作ものが多いわけだが、ドラマだけ見ても十分楽し
めるような配慮は当然してある。それでも、原作と比較して初めて、十分な
意味が分かるものもあるのだ。
例えば、ウチがドラマと関わりを持つキッカケになった名作、『野ブタ。をプロ
デュース』だと最後、かなり唐突に、修二(亀梨和也)と彰(山P)が一緒に転
校する。ドラマの外部事情から簡単に説明すると、原作小説で主人公が最
後に転校するし、その主人公は1人なのだ。それをドラマで2人に分けたの
だから、最後に2人一緒に転校するのは原作に従う形だと言ってもいい。
あるいは、去年ヒットした『人妻』。違うわ! 『昼顔』♪ 消防車へのこだわり
が特徴的だった。もちろん、ドラマの内部で考えても、不倫の「火事」と「消火」
の象徴として納得できるけど、原作に近い関係のフランス映画を見ればもっ
とキレイに納得できる。ドラマの消防車とは、映画で鐘を鳴らして走ってた、
印象的な馬車の変奏なのだ。。
☆ ☆ ☆
で、『アルジャーノン』の妹。ドラマだと、ほとんど説明なしに、妹がひどい仕
打ちにあってた。折角わざわざお兄ちゃんに会いに来たのに、忘れてた昔
の自分の非を指摘された上で、帰れ!と命令されてしまう。一応、母親(草
刈民代)が一言だけ、自分と妹の昔の冷酷さについて語ってたけど、ドラマ
だけ見ると、やっぱり妹の扱いが奇妙に浮いてた。
原作は良く出来た本格的長編小説だから、脇役の妹・ノーマ(Norma)につ
いてもわりと細かく説明されてる。普通に読むと、おそらく主人公・チャーリイ
にとって最初の「性的対象」、「性的存在」だ(母は別格として)。と言っても、
可愛い妹を好きになったとかいう単純な話ではない。
知的な発達が遅れてた彼は、やってはいけない事をやってしまうし、性的欲望
は普通(以上)にある。だから、妹がお風呂に入ってる時、のぞき見してしまう。
すると、自分とは違う身体が見えるわけで、男性と女性の身体的な性差を認
識することになる。おまけに、脱衣場で妹の下着の変化も確認してるのだ。幼
女から女性への変化のしるし。悪行もどきはバレて、厳しく怒られたらしい。
下は英語原文の「経過報告11」。なぜか、Internet Archive(インターネッ
ト・アーカイヴ)で全文公開されてる。著作権は不明だが、Google books
でも(amazonでも)似たような部分引用は可能。
怒られると言うより、母親によって「子供が叩かれる」のだ。これは原作とも
関わってる精神分析の創始者フロイトの有名な論文タイトルだ。叩かれる子
供の心(特に無意識)では、親への愛(近親相姦的な欲望)、罪悪感、マゾヒ
ズムが融合・進展し、「死の欲動」ともつながる。実際、チャーリイの心の中
では、なぜか罰を受けたい衝動がしばしば発生して止められないし、ラスト
は社会的な死で終わる。その象徴が、「アルジャーノンのお墓への花束」だ。
原作の研究発表会で、ねずみのアルジャーノンをかごから逃がしてブチ壊し
にしてしまうエピソードも、受動的な懲罰欲求を考慮するとより深く理解でき
るだろう。その後の彼は、苦しい独り暮らしという社会的な罰を受ける形に
なった。しかもそのおかげで、新たな女性と出会い、それなりの満足も得ら
れるのだ。。
☆ ☆ ☆
妹の話に戻すと、妹の周囲には同年代の女の子たちがいるから、その姿が
また、チャーリイの欲望を刺激する。もちろん、その欲望がバレないように隠
すということは出来ない精神年齢だから、すぐ分かる恥ずかしい身体的反応
も示したらしい。これがまた、母親からの激しい体罰を招くのだ。こんな事だけ
一人前に!・・といった感じで。
しかし、叩かれる間は、母親は全身で自分の相手をしてくれる。妹に奪われ
た母を取り戻すためにも、その恥ずかしい反応の誇示と罰は好都合だった
だろう。おそらく、その部分自体も叩かれたはずで、まさに「去勢」と呼ばれ
るものなのだ。男性性を消し去ろうとする攻撃。
そう考えると、チャーリイが妹の下着についた赤黒い色を恐れたことも納得
できるし(去勢不安)、妹の下着を身に付けて楽しんでたらしいことも納得で
きる。妹は、自分から母を奪い取るライバル。しかし妹と自分が象徴的・イ
メージ的に「同一化」することは、自らを「母の愛の対象(=妹)」にしてくれる
と共に、自らの「女性化」を手助けしてくれる。そしてまた、母が叩いてくれて、
それが屈折した性的満足につながって行く。
こうした解釈は、チャーリイがアリス(ドラマだと遥香)との行為に失敗するこ
ととも整合的、つじつまが合う。アリスはイメージ的に母親と重なる女性だか
ら、チャーリイは男性として振舞うのが難しい。母の前では、自分は去勢され
て女性化した存在なのだから。それに対して、母親と重ならない女性・フェイ
が相手なら、成功(せいこう)する。
最後に、妹のイメージとして忘れることが出来ないのは、「剣」を持った少女
の幻想。これは、自分の代わりに「男性性」をまとった妹であると同時に、自
分を罰する女性でもある。「妹=母」とでも書くべき、二重存在なのだ。。
☆ ☆ ☆
この種の話を書き始めると、いくらでもズブズブと突っ込めるわけだが、読者
が少なそうだし、このくらいに留めとこう♪
とにかく、妹は表面的には脇役だけど、少なくとも原作での主人公との関係
はかなり複雑で重要。ドラマがほのめかしてたような、子どもの頃にバカに
してたとかいうような話だけでは、全く収まらない。
急激に知能が発達した兄が、昔の記憶を呼び起こして、妹と向き合うのを
激しく拒絶するのは自然なことだろう。と言うのも、今では妹との心的関係
は、心の奥深くに無理やり抑圧してるのだから。まさに、「心にフタ」をして。
原作では、フタの隙間から、「妹=母」が時々出現する。「もう1人のチャー
リイ」という、幻覚的な分身の形をとって、自分を冷たくジッと見張るのだ。
私が芸術的映画のシナリオ作家なら、この妹との関係を追求したい所だけ
ど、日本のテレビドラマでは絶対に不可能なのだった♪ しかし、原作の主
人公がかなり性的な存在であるのは明らかなこと。そう考えると、ドラマで
急激にその種の描写が増えたことも納得できるだろう。
原作に限らず、性とは生なのだ。来週は咲人が、性によって増大したパワー
で、梨央の生を保つ新薬の開発に励むんだろう。ま、現実には、疲れ過ぎ
で失敗するだろうけど♪ コラコラ! 昭和の伝説的な女神、山口百恵が、
女性も「疲れる」と歌ったらしいことは、平成ブロガーでも一応知ってる(笑)
実際、パワーには波があるのだ。まるで、咲人が書きなぐったフーリエ級数
展開の数式が示す、cos曲線のように。それでは、今日はこの辺で。。☆彡
P.S. 第7話視聴率は6.7%。。パワー
注入のため、買ったコカコーラにたまたま
書かれてた名前をアップしよう♪ 全くの
偶然だった。
「Tenmei」を発見した方は、是非ご一報
を(笑)。無いだろ!
cf. ママ、お利口になるから嫌わないで~『アルジャーノンに花束を』第1話
自分たちのために他者を利用すること~『アルジャーノンに花束を』第3話
居眠りジョグ&おまけ&15年4月の全走行距離 (第4話関連)
ホーキング「人は、人生が公平ではないことを悟れる・・」
(英語出典&原文)~『アルジャーノンに花束を』第5話
雨だし生活が乱れてるから、つぶやきミックス (第6話関連)
新薬ALGの原料キサンチンの化学式C5H4N4O2と構造式、
シチズン腕時計♪&12km走 (第8話関連)
波動関数Ψでつながる原子、魂でつながる人間~第9話
Yesterday Once More♪~『アルジャーノンに花束を』最終回
・・・・・・・・・・・・・・・
『アルジャーノンに花束を』と、哲学者プラトン『国家』洞窟の比喩
x²のフーリエ級数展開
~『アルジャーノンに花束を』第5話、咲人(山P)が書いた数式
(計 4425字)
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コメント
「床」の活躍(笑)
人工知能が、人を追い越す日もそう遠くないらしいので、あり得ない事ではないですよね。
ALGを破棄しようと「床」に垂らす場面、私も印象に残りました。
下から遥香を撮して、遥香の顔が怖くなってたし、狂気を表現出来てたと。
このドラマ、撮り方に拘りが感じられて、「絵」として記憶に残る場面がたくさんあります。
今回なら、もちろんKissシーン♡
二人を包み込むように夕日が部屋に差し込んで、淡いオレンジ色がとても綺麗でした♪
ラストのシーンはドキドキして、始めセリフが入ってこなかったから、終わってすぐにリピりました(笑)
「大切なものはきっと、自分では気づくことが出来ないのかもしれない。
それは、自分を愛してくれる人がそっと教えてくれるもの。
耳元でやさしく、愛を囁くように」
う〜ん、一生大切なものに気づけなかったら、どうしよう(大汗)
☆何も考えずに打っていたら、前回のテンメイさんのご指摘の通りに、遥春としていたのでビックリ∑(゚Д゚)
どこかでこっそり見てる?という事は無いから、想像で指摘してくれたのだと思うけど、あまりにぴったりあってたので、驚いちゃいました(汗)
「はるか、かおり」のほうが間違えなくて○ですね(^o^)
投稿: hiro | 2015年5月24日 (日) 11時39分
テンメイさんこんばんは!
お嬢様聖水欲しいです(@_@)
(パワーの波の底のほうですし(*´-`))
レッドブルやポーションよりきっと美味しいと想像してます
成分もヘルシーですし、秋葉原の自販機で売り出せばヒットしますね。きっと
飲みたいです。素敵な情報ありがとうございます(#^.^#)
『アルジャーノンに花束を 2015』
さすがテンメイさん。心理学にも造詣が深いのですね!
そうそう原作でそんな描写あったわ…と思い出しつつ、そこに象徴さ れる意味を改めて見せて頂いた感じです。新鮮!
ドラマは、予想していた流れに進んでいます。が、ラストが謎です。想像つきません。きっと
穏やかな優しい気持ちが溢れてくるラストだと信じます(*´-`)
いしだ壱成さんは、「そうきたか」、とおっしゃっていましたが…(*^-^*)??
投稿: セフィ | 2015年5月24日 (日) 23時57分
> hiro さん
こんばんは。床の活躍、いいでしょ(笑)
って言うか、人間と外部が一体化するっていう
SF的・マンガ的な状況が、現実のものに
なろうとしてるのが今でしょう。
道路は既に高度な知能を持ちつつありますからね。
先進的な車と一体化する形で。
あのシーン。廊下を歩く所から、しっかり
映してましたね。ちょっと危ない様子の遥香。
そう言えばアルジャーノンを逃がしたことも
あったし、良し悪しはともかく、人間的。
男としては、付き合うのは怖いかも(笑)
「このドラマ」って言うからには、
別のドラマもたまには見てくださいね (^_-)-☆
例えば前クールの「修二」のドラマでは、
大胆なベッドシーンが話題になりました。
去年は人妻ドラマの濡れ場も大人気☆
2年前は『ラスト・シンデレラ』とか
僕も含めて、そういった恋愛ドラマを見てた人は、
ごく自然に比較することになるわけです。
美青年ドラマなら、たとえば『プロポーズ大作戦SP』の
ラストのキスシーンと比べるとどうでしょう。
夕陽とオレンジ色の使い方。ロケーション。。
大切なものは、普段から身の周りにあるでしょう。
ただ、それに気付くには特別な状況が必要。
その状況を作ってくれるのが、特別な人。
「一生・・・」? それはヤバイかも
いのち短し、恋せよ乙女♪ 古っ!
あれ、でも確か、ママだったような気が。。(笑)
「はるか はるか」みたいな書き間違いは、
深層心理学でよく扱われるものなんですよ。
『アルジャーノン』の原作は、一番最初から
奇妙なほど書き間違いにこだわってます。
原作者はかなり深層心理学を学んでる人、
あるいは、教え込まれてる人でしょう。
「遥春」は日本的、漢字的なヴァージョンの
書き間違いとして、ありがちなもの。
hiroさんが心の奥で、「春」を欲してるのかも。
「春は遥か彼方・・」と思ってるとか
案外、身近にあるものかも知れません。。
> セフィ さん
こんばんは! そこに食いついてくれましたか♪
お嬢様聖水なんて、最初は書いてなかったんですよ。
アップして半日くらい経った頃、ちょっと堅過ぎる
記事だな・・と思って、遊んでみたわけです。
お嬢様聖水、買わなくてもあるでしょ コラコラ!
今日もあちこちで、看板やドリンクを見ましたよ。
流行の移り変わりは速いから、
今の内に210円投資してみてください♪
もう少し待つと「美少年聖水」も発売されるかも(笑)
そうそう! 今、コカコーラのボトルに色んな
名前がプリントされてるんですけどね。
今日、買ったボトルには何と、「Yamashita」
と書いてました♪ 選んだんじゃなくて、全くの偶然。
お遊びで、写メを記事のP.S.に掲載してみます(笑)
パワーの波が上昇に向かうかも。。
話変わって、僕は総合マニアックブロガーと自称してる
くらいだから、何でも喋ります。数学、心理学、聖水(爆)
とか言いつつ、お花、料理、ペットの話はないけど♪
原作を昔、読んでるわけですね。
是非、読み返してみてください。
驚くほど深層心理学的な小説だと分かるでしょう。
性的描写がかなり多いことも、すぐ確認できます。
最後は花屋さんだと僕は思ってますが、果たして
どうですかね。母親のもとに帰るのは変でしょ。
遥香と一緒にフラワーアートを始めるとか。
梨央がお花になるのを防いだ後、咲人が「お花」に
なるのはいいと思うけど、ファンが許さないかも (≧∇≦)
キムタクの代表的ドラマ『ロンバケ』は、最後に
別れるはずだったのに、ファンの声に負けて
ハッピーエンドに変えたというお話があります(笑)
僕は、さよならの方が綺麗な物語だったと思うけど♪
「そうきたか」。。ほんじゃ、ヒネってるのかな。
咲人が「風船お兄さん」になって飛んで行くとか(笑)
投稿: テンメイ | 2015年5月26日 (火) 03時22分