葵へ 待っ（てるから） あかり～『恋仲』第１話

　　　大人になっても　葵は　葵だろうね

　　　急に何だよ？

　　　これからもさあ　葵　きっとまた　失敗ばかりしちゃうだろうけど

　　　私　応援してるから　ずっと　ずーーっと。。

「いいね」ボタンを２回押したくなる、フツーにいい青春恋愛ドラマだね☆　同じ

月９でヒットした、「美青年」主演の『プロポーズ大作戦』を、『新・ウエディング

大作戦』に変えたような大枠の、眩しいストーリー。はたしてヒーローはヒロイ

ンと結婚できるのか。絶対にできるはず。ハッピーエンド大好きの月９だから♪

花嫁・あかり（本田翼）のもとに走って、抱き締めるのは葵（福士蒼汰）。祝福

するのが、恋敵の翔太（野村周平）。見る前から１２０％の確率で決定だから、

見なくてもいいほど（笑）。コラコラ！　翔太がひそかに握りつぶしたメッセー

ジ・カードにも、こんな感じの文が書かれてたように見えた。

　　　「葵へ　　・・・・・・待っ（てるから）　　あかり」

（☆７月２７日追記：　第２話の後半と３話の予告映像によると、メッセージ

　　　　　　　　　　　　　全文は次の通り。改行や文字のズレも同様にした。

　　　　　　　　　　　　　　　葵へ

　　　　　　　　　　　　　　ずっと好きでした。

　　　　　　　　　　　　　　来年の花火大会

　　　　　　　　　　　　　　　同じ場所で

　　　　　　　　　　　　　　　　　　待ってます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あかり　　）

　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　

途中は読めないし（「同じ場所で」かも・・）、文末は「待ってるよ」とか、「待っ

てるね」かも知れない。でも、あかりは７年後の２０１５年まで待ってるわけで、

まさか「待っててもムダだよ」ではないはず（笑）。花火大会でいきなり葵にキ

スした後、父の会社の倒産（破綻）で夜逃げする直前の、切ない伝言。。

私はオンエア翌日、フジテレビの７日間・無料動画配信「プラス７」で見たけど、

この作品が「視聴率９．８％」、「月９史上初の１桁発進」とかニュースで騒がれ

るのは、スタッフ＆キャストに気の毒だと思った。

ポイントの箇所だけ、動画を繰返しチェック。関連情報も色々と調べたけど、

やはり細部まで丁寧に作られた作品だ。流し見で十分の単純なドラマではな

く、じっくり味わう価値がある。先の展開にちょっと不安はあるけど、とりあえ

ず来週は必ず見るつもり。メインの演出家は、実績がある中堅の金井紘で、

安心感もあった。

　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　☆

興味深いのが、オリジナル脚本。今回の『恋仲』の主演でもある福士が有村

架純とＷ主演した人気映画『ストロボ・エッジ』の脚本家・桑村さや香がメイン

で、脚本協力ＬｉＬｙとなってた。

桑村は、２００８年のフジ・ヤングシナリオ大賞を受賞（『輪廻の雨』）。１０年１

月にドラマ化された後、順調に仕事をこなしてる３０代前半の女性で、新人か

ら中堅に入りつつある段階。情報が少ないけど、横顔写真だけ見るとキレイ

系の物静かなタイプかな。

一方ＬｉＬｙは、同じく３０代前半の女性で、こちらはかなりネット情報があった。

作家としても小説家としても活躍してるようで、ツイッターのフォロワー数は

２５０００超。ギャル系の写真を見ても、『恋仲』公式サイトの連載エッセイを

読んでも、肉食系女子の最後の世代って感じで、パワー全開♪

単なる想像だけど、ＬｉＬｙがアイデアを提供、桑村が脚本としてまとめ上げる

コラボ形式かな。いずれにせよ、わりと若い女性作家２人の作品で、確かに

そんな感じの繊細でせつない胸キュン・ラブストーリーになってた。

冴えない視聴率は、３連休の最後でもあったし、フジへの逆風ムードも続いて

るし、テレビ視聴者数が少ない１０代～２０代をメイン・ターゲットにしてること

も影響したのかも。映画なら、観客１００万人集めればヒットだけど、ドラマだ

と視聴率１％にしかならない。ドラマで世帯視聴率２ケタにするには、個人の

視聴者数で１０００万人集める必要があるのだ。映画とドラマは、ケタ違い。

おまけに、私みたいに「公式動画で見る方が便利」と思う人間も少なくないだ

ろうから、その辺りを考慮する必要はあると思う。フジの場合、ＣＭさえカット

してくれてるから、私は『リスクの神様』も２回とも動画で見たのだ。もし動画

の視聴者数が多いのなら、情報公開した方がいいと思うけど、はたして。。

　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆

それでは、ドラマの内容についての感想に向かおう。視聴率の低さと比べる

と、見た人の評価はわりと高いような気もする。特に、ドラマ初主演らしい、本

田翼の可愛さと制服コスプレが絶賛されてるのだ♪　私の評価も、あのミニス

カ制服のサービスショット満載で大幅にアップした（笑）。そこか！

実は個人的に、本田に対するイメージは、去年の末からイマイチになってた。

主演映画『アオハライド』のＯＬ試写会で、「好きな人からのメールにすぐ返信

する？」と質問されて、バツ（×）と回答。「そもそも私、返事しないんですよ

ね。あとで返そうと思うんですけど、忘れちゃうから、催促されて返す感じで

す」♪　これを読んで、強気すぎる態度がちょっと気になったわけ。

しかし『恋仲』第１話を見ると、なるほど、そんな態度でも通じちゃうかも・・と納

得してしまった (^^ゞ　本田翼の演技は、ネットだと批判が目立つけど、可愛く

て元気で小悪魔的な女のコ・あかりをあれほど上手く演じられる女優は少な

いはず。福士と組んで『きょうは会社休みます。』をヒットさせた綾瀬はるかで

も、人気絶頂の有村でも、あのキャピキャピ感は出せないだろう。

私は他に、『安堂ロイド』のナース・コスプレ役（サプリ）しか知らないけど、ど

ちらも上手いキャスティングで、ハマリ役。普通、演技力と言うと、役に合わせ

て自分を作り変える力を指す。ところが『恋仲』や『安堂』の場合、本田翼は本

人のままで十分通じるのだ。あるいは、素の本人が、「本田翼」というタレント

を演じる力が、そのままドラマに活用されてると言うべきか。

　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　

ただし、来週の第２回からは、女子高生の制服姿をアピールできなくなるんだ

ろうから、多少、難しくなるのは確か。そんな時には、全く無意味にミニスカ制

服で階段を駆け上がったり、ハードル走をやらせればいい♪　体操服には驚

いたね・・・って、何に？（笑）。葵（あおい ： 福士）も、恋敵の蒼井（あおい： 野

村周平）も、教室の中からジッと覗き見して興奮しまくってた。

葵が、自分の部屋のベッドでうつ伏せになって太腿＆ハイソックスの美脚を誇

示するあかりを後ろから見て、こっそり腰を引いたシーン。あれはテレビ向け

の婉曲表現であって、本当の男のコは別の動きをするはず♪　とりあえず「ポ

ジション」を真上に調整した後、シャツをズボンから出して、前に垂らしてガード

するのだ・・・って、細かいわ！

　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　

真面目な話も書くと、あの時、部屋のドアに貼った努力目標の紙をはがさな

かったのは細かい伏線。葵がはがそうとすると、偶然（無意識の内に）あかり

がジャマして、その後、あかりも一瞬みつめてた。

県大会の先にある北信越大会の出場に向けて、「毎日継続　腹筋１００回　

背筋１００回　腕立て５０回　ランニング４０分」と書いてたのは、要するに、あ

かりを目指す努力の暗示表現。

青い（あおい）少年から、立派な男子になって、幼馴染のあかりに堂々と告

白したいという意味。「目指せ　記録更新！」とは、「目指せ　あかり」という

ことなのだ。いや、私も高校陸上部時代、そんな恥ずかしい事を考えて頑

張ってたもんで♪　歴史の陰に女あり。少年の努力の陰に少女あり。

細かすぎて伝わらないレベルの脚本テクニックだったのは、あのシーンの直

後。法律違反だとおことわりも出てた（笑）、お約束の自転車２人乗り。スイ

カのおみやげを前カゴに載せた自転車のリアキャリアで、あかりが、「相変

わらず、うるさいね、この自転車」と突っ込んでる。

この自転車のうるささは、終盤の三角関係へとつながってたのだ。闇金融の

取り立てが続く実家から裸足で飛び出して来たあかりを、ガラ携帯（２００８年

だからパカパカ♪）の忘れ物を届けに来た翔太が受け止め、抱き締める。そ

こに自転車でやって来た葵が、ショックでこっそり引き返すんだけど、自転車

のうるさい音であかりが気付いて振り向くのだ。丁寧な伏線と回収になってた。

　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆

一方、葵＝福士蒼汰の細マッチョ裸体サービスも良かったね♪　いや、変な

意味じゃなくて（笑）。持久系スポーツを続ける市民アスリートの端くれとして、

ダイエットや肉体の引き締めには常に関心を持ってる。２２歳の若さとはいえ、

かなりのスポーツ・トレーニングをこなしてないと、あの身体にはならないはず。

福士も、本田ほどではないけど演技力が色々言われてる俳優で、確かに今回

の演技は『きょうは会社』と似た感じだし、台詞回しもモノローグ（独白）もちょっ

とたどたどしい。まあでも、あの母性本能をくすぐるか弱さが彼の魅力でもある

んだろうし、男の私でも、さほど気にはならなかった。

それより気になったのは、恋敵と言うより悪役に近かった、蒼井翔太＝野村周

平。私は初めて見たから、新人の地味でビミョーな演技かなと思ってたら、どう

も違うらしい。

まだ２１歳なのに、ドラマも映画もかなりの実績を積み重ねてるようで、去年の

主演映画『日々ロック』の公式動画を見ると、派手にはじけまくってた♪　なる

ほど、自分を作り変える力があるわけか。来週はますます悪役に徹して頑張る

んだろうから、もうちょっと真剣に観賞してみよう。本田翼の１０分の１くらい（笑）

　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆

あえて言うなら、福士と野村が夜のプールではしゃいで悦ぶ妖しいシーンは、

あの３倍の長さにした方が良かったかも。２人のシャツを脱がしても良かった

ね。一部の特殊な女子の心を鷲づかみにできるし、特殊な内容の２次小説も

さらに増えたと思う♪

私はあの時、同じ月９のかつてのヒット作、『Ｂｅａｃｈｂｏｙｓ』を思い出してた。

全盛期の反町隆史と竹野内豊が、ビーチやプールではしゃいでたのだ。本質

的な孤独や淋しさも漂わせながら。

もちろん、似たサービス映像なら、『恋仲』の中盤、橋からのＷ落下シーンで

一応あった。賑やかな道化役の公平（太賀）が失恋自殺を装って、たまたま

風でめくれた女子のスカートの中を見た途端、男の子パワー全開（笑）。助け

ようとした葵と蒼井の２人を逆に川へ引き落としてた。単に、上半身ハダカの

萌え映像を撮るために♪

それにしても、今どきイチゴの柄のパンツって売ってるの？・・・って言うか、は

いてるの？・・・と実生活で女性にたずねると、セクハラ扱いされてしまうから

気を付けよう（笑）。目立ってたから、後につながる伏線かも。単なるスタッフの

趣味でなければ♪　

葵の妹・七海（大原櫻子）か、建築事務所の瑠衣子（市川由衣）でもいいけど、

やっぱり本田翼のイチゴが葵のパワーを引き出す展開がベストだろう。意表を

突いて、社長・万里子（吉田羊）で笑いを取りに行くのもアリかも。毎分の瞬間

視聴率がどう変化するかはさておき（笑）。

ちなみに楽天で「いちごパンツ」を検索すると、子ども向けとコスプレ用、他は

男性向けだった（爆）。１割がビンゴとかの景品、９割が実用って感じか。。

　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆

このドラマ、富山が故郷であって原点でもあるのに、富山弁が使われてない

のはマイナス・ポイントだろう。葵とあかりが富山弁で、東京から転校して来

た翔太に標準語を使わせれば、三角関係の特徴ももっとハッキリしてた。

とはいえ、ブラック・ラーメンは、ご当地グルメ商品として実在するらしい♪　塩

分たっぷりで、白飯のおかず（笑）にもなるとの事。しょっぱい味は、東京にも

進出してるらしいから、いずれまた「しょっぱい」シーンの小道具になるかも。

サッカーのロベルト・バッジオの台詞と共に。

「ＰＫをはずす事が出来るのは、蹴る勇気を持った者だけだ」。９４年のＷ杯・

決勝ではずしてしまったイタリアのエースのエピソード。古っ！　ま、勇気が

無くてもキッカーには選ばれるし、外せるけどね（笑）

超人気マンガの『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ（ワンピース）』については、全く知らないけど、

また使われるのは確実だろう。葵とあかりの複雑な思いが込められた第５１巻

が発売されたのは、ａｍａｚｏｎで見ると、２００８年９月４日。本は普通、形式的

な発売日よりも少し先に売り出されるから、ドラマの設定ときっちり合ってた。

つまり、８月３１日の「最後の花火」の直前なのだ。日本雑誌協会・取次協会

によると、最後のページ（奥付）の発行日は、発売日（首都圏基準）から原則

１５日以内まで。だから、発行日と発売日（富山県）が１週間ほどズレてても

不思議はない。

小学生のガキと本気で争うようにして、葵が買う短いカットは、ちょっと面白かっ

た♪　もちろん、あかりを喜ばせるためのカワイイ努力なのだ。男の子はホン

ト、可愛いね。いや、変な意味じゃなくて。。（笑）

　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆

まだまだ書くべき事は多いけど、時間も字数も限界だから、最後は挿入歌

の話を簡単に。『プロポーズ大作戦』でも『ＳＵＭＭＥＲ　ＮＵＤＥ』でも効果的

に使われてた、若者向けの曲。今回は、「ぎんなん」（銀杏ＢＯＹＺ）の『ＢＡＢＹ

　ＢＡＢＹ』。

これは、銀杏の前身バンドと言うべきＧＯＩＮＧ　ＳＴＥＡＤＹ時代の曲で、葵が

聴いてるのを見て、あかりが一緒に片耳イヤホンで聴き始める。

　　　・・・・・・天使のような微笑み　

　　　君を思い出せば　胸が苦しくて

　　　消えて失くなりそうだ

　　　甘いシュークリーム　君はシュープリーム

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（作詞・作曲　峯田和伸）

ここまで聴いた瞬間、あかりはプッと噴き出してた。つまり彼女は、「シュープ

リーム（ｓｕｐｒｅｍｅ）」という英単語をすぐに「シュークリーム」と識別して、意味

を理解したのだ。君は「最高の」女の子、と歌ってることを。そして、ひょっとす

るとその最高の女の子とは自分かも知れないということも♪

このエピソードは、あかりが英語を得意としてることと合ってる。他の多くの

高校生と同じく、葵も、英和辞典を引くかネットでググらないと、意味が分か

らないはず。だからこそ葵はあかりに、英語を教えて欲しいと頼んでたのだ。

そういった事が分かると、このドラマの丁寧な作りを感じ取れるようになる。

あの花火のポスター１つ取ってもそう。「ひと夏の思いを一発の花火にこめ

て」というキャッチ・コピーまで、美術さんがしっかり書き込んで、カメラがきっ

ちり捉えてた。そして実際、葵は「一発の誘い」を行ったし、浴衣姿のあかり

は「一発のキス」で応えたのだ。ひと夏の思いを、一発の花火にこめて。ス

タッフは、一枚のポスターにこめて。。

　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　☆

個人的には、いかにもって感じの無愛想な棟梁（宇梶剛士）や、いつも哀愁

を漂わせてる、あかりの父（小林薫）も味わい深い脇役だった。

特に父が、水泳大会でフライング失格となった直後の葵を見た途端、「派手

に失敗したらしいな」と言ったシーンは地味に光ってた導入部。もちろん、自

分（父）自身も造船工場の経営で「派手に失敗」することを予感させる台詞に

なってたからだ。

それでもフジ月９だから、最後はみんな幸せになって終了♪　チャペルの結

婚式では、父も祝福してくれるだろう。割れたガラスも綺麗に修復して、亡く

なった母の仏壇写真と共に。そうした様子は、同級生たちも、Ｆａｃｅｂｏｏｋで

共有できる。いいねボタンを押しつつ。

あと、そうそう。家入レオの主題歌『君がくれた夏』もいいけど、世武裕子の

音楽がこの青春ドラマにピッタシだった。監督たちもお気に入りとのこと。ド

ラマで６０００字のレビューを書いたのは、１ヶ月半ぶりだね♪

それでは今日はこの辺で。。☆彡

ｃｆ．　「有心論」、心に神＝キミが有るから・・～『恋仲』第２話

　　　 斜めから復活、鯛焼きシャチホコの初恋～『恋仲』第３話

　　　ＰＵＮＧＥＮＳ（プンゲンス）、刺々しい裏切り～第４話

　　　二重化というアート＝技術～第５話

　　　エドガー・アラン・ポーの小説『盗まれた手紙』との比較～第６話

　　　フィクションの建築、人間の設計～第７話

　　　 １００年続く家で、エバートラベル（永遠の旅）～第８話

　　　普通に輝きを増すノームコア～『恋仲』最終回

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（計　６３８２字）