「有心論」、心に神=キミが有るから・・~『恋仲』第2話
やはり比較的年齢層が高い視聴者に向けたドラマが多いと思うんですよ。
人口構造上 仕方ないことなんですが。
でも、個人的には若い視聴者に向けたドラマを作りたいと思いまして。
・・・・・・そうしないとテレビドラマが終わってしまうと思うからです。
(藤野良太プロデューサーの言葉 ; NEWSポストセブンからの引用)
☆ ☆ ☆
『恋仲』が第2話で、視聴率を0.1%アップさせて9.9%になったのは、なか
なかの健闘だと思う。普通、連ドラの第2話は大きく数字が下がるわけだし、
これでもフジテレビの今期の連続ドラマだと一番マシな数字なのだ。
とはいえ、初回に続く1ケタということで、月9廃止の動きが出てるとかいうウ
ワサ話を流すメディアまで登場。そんな中、15年7月27日に配信されたNE
WSポストセブンの記事、「月9プロデューサー『若者を標的にしないとドラマ
が終わる』」には、『恋仲』やドラマ全般に対する熱い思いが溢れてた。
なぜ、人口が多くてテレビ視聴者も圧倒的に多い、高齢者層を狙わないのか。
高齢者では、文化とかブームが創れないからだ。。
☆ ☆ ☆
これは高齢者の反発を買いそうな言葉だが、事実としては明らかだろう。新
しい動きはほとんどの場合、若者から生み出されるし、拡がる過程も若者の
方が速い(or 早い)。文化に限らず、学問でもその傾向は強いし、もちろん
スポーツのトップレベルは若者の独壇場だ。
キムタク=木村拓哉の連ドラ視聴率を見るだけでもハッキリ分かるように、
単純な水戸黄門型・事件もの(医療ドラマも含む)、特に一話完結型が有利
な時代。あえて、若者向けの続きものドラマに挑戦する姿勢を見ると、ますま
す応援したくなる♪ 非常に大まかに見ると、ベタな初恋(成就)物語だけど、
むしろポイントはディテール(細部)だろう。
プロデューサーが例として挙げてるのは、同じ月9の名作『ビーチボーイズ』
で反町隆史が使ってたサングラスへの反響とか。『恋仲』だと、ここまでの2
回の放送を見る限り、音楽へのこだわりが強く感じられるし、その点は新しい
特徴だ。今回はそこから見て行こう。。
☆ ☆ ☆
私は第2話「戻れない距離」を、火曜の夜、公式動画で初めて見たけど、月曜
のオンエア時のアクセス解析を見ると、前回のレビューで扱った銀杏boyzの
曲、『BABY BABY』にわりと注目が集まってた。第1話で、高校3年のあか
り(本田翼)と葵(福士蒼汰)が仲良く片耳イヤホンで聴いてた曲。
特にお気に入りみたいで笑ってた歌詞が、
「甘いシュークリーム 君はシュープリーム」
ウチのレビューに対する検索アクセスの大部分は、「シュークリーム」を入力
したものだが、あかりが笑ったのは、それと似た発音の英単語「シュープリー
ム」(supreme:最高の)が続いた所を聴き取った時。つまり英語が得意で、
音を合わせた言葉遊びも瞬時に理解できるわけで、今後、英語の先生にな
るのかも。
ま、就職に向けた授業中に、スマホの電源を入れたままLINEまでやってる
ようじゃ、危なっかしいけど♪ 建築現場でLINEやってた葵よりマシか(笑)
☆ ☆ ☆
この曲、第2話の映画館シーンでも、ヒネった形で強調されてた。映画の本編
が一通り終わって、エンドロールが流れ始めた時、2人がすぐ帰り始める。私
は礼儀として、映画は一番最後まで見る真面目な人間だから、「大勢のスタッ
フさん達に失礼だろ!」と突っ込んでたら、この2人も席に戻ってくれた♪ 思
い出の曲、『BABY BABY』が女性ボーカルで変奏され始めたからだ。
ネットで調べると、ドラマの音楽を担当する世武裕子(せぶ・ひろこ)が歌った
らしい。本人のtwitterで、周囲からの指摘に応えるようにして認めてた。感じ
のいい歌声だね。ドラマのサントラにも収録される予定らしい。
こうなると、次は葵があかりに向かって歌うことになるかも。最終回あたりの
決定的シーンで「君はシュープリーム♪ 俺にとって、あかりが最高なんだ」っ
て感じで。
☆ ☆ ☆
ちなみに私自身は、あかり=本田翼も好きだけど、むしろ瑠衣子=市川由衣
の方が好みだったりする♪ 彼女、フツーに可愛い顔してるのに、いつ見て
も、ひと癖ある女性の役かも (^^ゞ
今回の彼女の名ゼリフ、私以外に萌えた視聴者は少ないかな(笑)。ツイッター
検索してみると、20人くらいのツイートがヒット。あの、雨でズブ濡れになった
葵を後ろから抱き締めるシーン。脚本・桑村さや香&協力・LiLyの女性コンビ、
ちょっとエロイかも。。
葵 「濡れるよ」
瑠衣子 「いいよ。少しくらい。。♡」
葵 「少しじゃ済まないよ ♡」
瑠衣子 「じゃあ、ビショ濡れになっちゃうかも。。♡」
後半の台詞2つは私が追加したので、念のため(笑)。動画を見ながら、私
はすぐにセリフを脳内補足した。ホントはもうちょっと続きがあるんだけど、
「誤解」されそうだから自主規制しとこう。
ちなみに、好きな相手とケンカしたからといって、開いた傘を歩道に投げ捨
てると危ないから、良い子はマネしないように。。♪
☆ ☆ ☆
一方、第2話で遠回しに使われてた(と思われる)曲が、RADWIMPS(ラッ
ドウィンプス)『有心論』。
私は全く知らなかったけど、ツイッターでかなりの視聴者がつぶやいてたか
ら、すぐに歌詞と公式MV(ミュージック・ビデオ、再生回数1300万回☆)を
チェック。これは、ちょっと難しくて興味深い歌詞だ。作詞・作曲の野田洋次郎
は慶應大学出身。中退って所がまたアーティストっぽくて、いいね♪
ドラマの台詞の直接的なヒントになったと思われるのは、次の歌詞。
誰も端っこで泣かないようにと 君は地球を丸くしたんだろう?
葵が初めて設計した保育園のウサギ小屋の柵が丸いのはなぜか、あかり
がたずねると、葵は「端っこができないように。・・・仲間はずれも出来ない
だろうし、みんなで仲良く遊べるでしょ」とか答えてた。
☆ ☆ ☆
他にも、このシーンの最初と歌詞の最初がちょっと重なってる。歌詞では、
「僕がついた嘘」の多さに自分で悲しくなってる。その悲しみから救ってくれ
たのが、「君」という神であり、その神は僕の心に有る。だから、有神論=
有心論なのだ。
それに対してドラマだと、葵が自分の嘘を正直に告白してた。テーマパーク
を手掛けてるとか見栄を張った自分をさらけ出すと、あかりは全くとがめず
に明るく優しく受け入れてくれた。まさに彼女の存在は、神が心に有るような
もの。これまた、有心論。
人は弱い生き物だから、普通は無神論のままでは生きて行けない。宗教で
なくても、何らかの「神」が必要なのだ。たとえば、AKBの「神7」とか♪
あと、翔太の手がける手術と歌詞(心臓、白血球、赤血球)も関係ありそうだ
けど、歌詞の方はドラマより微妙なものも含んでて、意味の解釈に迷う所。
RADWIMPSを知らない私が、この歌詞だけじっくり読むと、どうしても「君」
の「死」を強く感じてしまう。死んだからこそ、神として心に有る。君のクローン
(複製)への欲望も生じる。
その死んだ神は、「僕」の「自殺志願」ともつながってるし、逆に、「今日も生
きて そして 今のままでいて」というメッセージにもつながる。思想的な言い
回しを使うなら、超越的な神の命令2つによる、ダブルバインド(二重拘束)。
死になさい、でも、生きなさい。僕はどうすればいいのか。。
まあ、ドラマとはつながらないと思うし、とりあえず深く追求しないことにしよう。
☆ ☆ ☆
最後に、市川由衣と同じくらいお気に入りの一葉(新川優愛)も忘れるわけ
にはいかない♪ 遺伝子の話なんてどうでもいいとか、手術前にダダをこね
る患者(女の子)に手こずってる翔太(野村周平)を見て、そばで上手くフォ
ローしてた。
HLA遺伝子って、恋愛遺伝子と呼ばれてるの。
人は、自分と異なるHLA遺伝子を持った異性に、
強く魅かれるんだって。
つまり、どうしようもなく魅かれ合う男女は、
遺伝子レベルで決まってるってこと。
運命的でしょ♪
免疫に関わる遺伝子は、多様な方が生存に有利だから、人(女性)は異なる
HLA遺伝子を求めるし、遺伝子の種類は匂いでかなり分かる。。この種の話、
私はかなり調べてみたけど、いつものように、あまり信頼性はない。ネットで
拡散してる話の元ネタの原点は、NHKの報道のようだ(スペシャル「女と男」、
その関連本、『あさイチ』)。
ところが、私は元の英語論文2つ(Wedekindら、1997、2000)にザッと
目を通してみたけど、科学的な結論とは程遠い段階だし、別の研究者によ
るかなり違った結論も見つかった。この件について、ほとんど唯一の信頼
できそうな日本語記事は三菱化学メディエンスのコラムだったのに、その記
事も既に削除されてる(インターネット・アーカイブで内容確認済)。
☆ ☆ ☆
という訳で、いつもの事ながら、この種の科学的な面白コネタの拡散には注
意が必要ということだ。もちろん、単なるお遊び気分ならOK。ちなみにHLA
とは、Human Leukocyte Antigen(ヒト白血球型抗原)の略で、ヒトも含
めた動物全体ならMHC(主要組織適合遺伝子複合体)と呼ばれてる。
翔太にとっては、HLA遺伝子とかに関する生物学・心理学よりも、運命には
勝てないという点が突き刺さったようだ。まあ、ドラマの悪役&脇役は、最初
から負ける運命と決まってる♪ 新川優愛と結ばれるかどうかはさておき。
それにしても、連ドラで主人公の男が走って、男友達を引き戻すシーンは珍
しいかも。公平(太賀)、いい仕事してたね。仮病を使って、葵とあかりを2人
きりにした後、「公平」さを保つために、翔太にちゃんと報告してた。
室伏のハンマー投げを思い出しつつ(笑)、今朝はこの辺で。。☆彡
cf. 葵へ 待っ(てるから) あかり~『恋仲』第1話
斜めから復活、鯛焼きシャチホコの初恋~『恋仲』第3話
PUNGENS(プンゲンス)、刺々しい裏切り~第4話
二重化というアート=技術~第5話
エドガー・アラン・ポーの小説『盗まれた手紙』との比較~第6話
フィクションの建築、人間の設計~第7話
100年続く家で、エバートラベル(永遠の旅)~第8話
普通に輝きを増すノームコア~『恋仲』最終回
(計 4139字)
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